オフショア開発と国内SESを比較|単価・手間・向く案件の違いと提案トーク例
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
オフショア開発と国内SESは何が違う?
一番の違いは「開発する場所」と「やり取りの言葉」です。オフショア開発は海外のチームが作り、国内SESは日本のエンジニアが日本語で作業します。
オフショア開発とは、システム開発を海外の開発会社や海外拠点に任せることです。人件費の低い国の力を使い、費用を抑えたり、人手を増やしたりするのがねらいです。
国内SESとは、日本国内のSES企業が、エンジニアの作業時間を客先に提供する働き方のことです。契約は準委任契約が中心です。準委任契約とは、成果物の完成ではなく、決まった作業をすること自体を約束する契約のことです。
| 比べる点 | オフショア開発 | 国内SES |
|---|---|---|
| 作業する場所 | 海外(ベトナム・インドなど) | 客先常駐または国内リモート |
| やり取りの言葉 | 通訳やブリッジSEを通すことが多い | 日本語で直接話せる |
| 時差 | ベトナム2時間、インド3時間30分など | なし |
| 主な契約 | ラボ型・請負・SES | 準委任契約が中心 |
ラボ型開発とは、海外に専属の開発チームを一定期間確保する契約のことです。人を確保する点で、国内SESによく似ています。2025年版の調査では、オフショア開発の契約のうちラボ型が45%、SES契約が20%でした。
国ごとの単価と特徴は、オフショア開発の単価相場|国別の人月単価と今後の動向を解説で詳しく解説しています。
単価の比較:1人あたりはオフショアが安い
プログラマー1人の月額では、ベトナム・インド・フィリピンは国内SES(月70万円前後)の半分から6割ほどです。ただし、中国は約8割と高めで、国やポジションによって大きく変わります。
オフショア開発の単価は、オフショア開発.comの「オフショア開発白書(2025年版)」の数字です。人月単価とは、エンジニア1人が1か月働いたときの料金のことです。
| 国 | プログラマー | ブリッジSE | PM |
|---|---|---|---|
| ベトナム | 40.1万円 | 59.0万円 | 71.4万円 |
| インド | 37.5万円 | 60.0万円 | 67.5万円 |
| フィリピン | 37.2万円 | 60.5万円 | 63.5万円 |
| 中国 | 58.3万円 | 75.8万円 | 84.6万円 |
国内SESには、国がまとめた「SES単価」の統計はありません。そこで、公的データから目安をつくります。
| 公的データ | 数字 | 月額に直した目安 |
|---|---|---|
| IT系の派遣料金(厚生労働省、2024年度) | 1日8時間で34,382円 | 20日で約69万円 |
| job tagの年収から試算(開発系) | 年収578.5万円 | 約72万円 |
| job tagの年収から試算(インフラ設計・PM系) | 年収889万円 | 約110万円 |
job tagの2行は、年収を12で割って1.5倍した試算です(578.5万円÷12×1.5≒72万円)。1.5倍には、会社負担の社会保険料や経費、SES企業の粗利を見込んでいます。
国内の開発系SESは月70万円前後が目安です。ベトナムのプログラマー40.1万円と比べると、1人あたり約30万円の差があります。国内単価の調べ方は、SESの単価相場|職種別の月額目安と公的データの使い方で解説しています。
オフショアの単価は年ごとに大きく動く
オフショアの単価は、為替や調査の対象で毎年変わります。同じ調査では、中国のプログラマー単価が2024年の44.4万円から58.3万円に上がりました。インドは53.3万円から37.5万円に下がりました。
客先に数字を見せるときは、「2025年版の調査で」と出典と時期を必ず添えましょう。1年前の数字をそのまま使うと、信頼を落とします。
総額で比べる計算例:差は見た目より小さい
比べるべきなのは、1人の単価ではなく「チーム全体の月額」と「客先の手間」を足した総額です。ここでは、開発者4人のチームを例に計算します。
ブリッジSEとは、日本の発注企業と海外チームの間に立ち、仕様の説明や通訳、進み具合の確認をする人のことです。オフショアでは、開発者とは別にブリッジSEを置くのが一般的です。
計算例(ベトナムに開発者4人のチームを出す場合)
開発者の費用:40.1万円×4人=160.4万円
ブリッジSEの費用:59.0万円×1人=59.0万円
オフショアの月額合計:160.4万円+59.0万円=219.4万円
国内SESの月額合計:約72万円×4人=約288万円
単価だけの差:288万円−219.4万円=約68.6万円
ここに、客先側の手間を足します。仮に、客先の担当者が仕様の確認や翻訳のチェックに月40時間を追加で使うとします。社内の人件費を1時間5,000円とすると、月20万円です。
この場合、実質の差は約48.6万円まで縮みます。さらに、仕様の行き違いで作り直す手戻りが起きると、差はもっと小さくなります。手戻りとは、できたものが要件と違い、前の工程に戻ってやり直すことです。
| 項目 | オフショア(ベトナム) | 国内SES |
|---|---|---|
| 開発者4人 | 160.4万円 | 約288万円 |
| ブリッジSE | 59.0万円 | 不要なことが多い |
| 客先の追加の確認工数(仮定) | 約20万円 | ほぼなし |
| 月の実質合計 | 約239.4万円 | 約288万円 |
この計算例の「月40時間」「1時間5,000円」は仮の数字です。客先に出すときは、客先の実際の体制で数字を入れ替えましょう。人月の計算の考え方は、人月単価とは?計算方法と工数単価との違い|SES見積もりの例つきで確認できます。
品質とやり取りの手間の違い
品質の差は、エンジニアの腕より「仕様がどれだけ正しく伝わるか」で決まることが多いです。オフショアでは、日本語と現地の言葉の間で、細かいニュアンスが落ちやすくなります。
| 比べる点 | オフショア開発 | 国内SES |
|---|---|---|
| 仕様の伝え方 | 文書にして翻訳する | 口頭と文書の両方で伝えられる |
| 質問への返事 | 時差と翻訳で半日〜1日かかることがある | その場や当日中に返せる |
| 急な仕様変更 | 伝達に時間がかかる | すぐ反映しやすい |
| 客先の会議への参加 | オンラインで、通訳つきが多い | 対面・オンラインどちらも可能 |
オフショアで品質を保つには、仕様書をていねいに作る必要があります。つまり、客先側に「書く力」と「確認する時間」が求められます。客先にその余力がないと、品質が下がりやすくなります。
一方で、オフショアが悪いわけではありません。仕様がはっきり決まった大きな開発では、オフショアの人数の多さが強みになります。営業は「どちらが上か」ではなく「どの案件に向くか」で話しましょう。
向く案件・向かない案件の比較
仕様が固まっていて量の多い開発はオフショア、変化が多く日本語の調整が要る仕事は国内SESに向きます。案件の性質で分けると、客先も判断しやすくなります。
| 案件の性質 | オフショア開発 | 国内SES | 理由 |
|---|---|---|---|
| 仕様が固まった大量の開発・テスト | 向く | 向く | 人数を集めやすいのはオフショア |
| 要件定義・基本設計 | 向きにくい | 向く | 客先と日本語で細かく話す必要がある |
| 仕様がよく変わるアジャイル開発 | 向きにくい | 向く | すぐ話し合って直す必要がある |
| 客先常駐・現地作業が要る仕事 | 向かない | 向く | 物理的にその場にいる必要がある |
| 個人情報・機密を扱う仕事 | 条件つき | 向く | 海外への持ち出しに法律の決まりがある |
| 1〜2か月の短期・急ぎの仕事 | 向きにくい | 向く | 海外チームの立ち上げに時間がかかる |
| 運用・保守(障害対応) | 条件つき | 向く | 日本の業務時間の即時対応が求められる |
個人情報を海外の会社に渡すときは、個人情報保護法第28条の決まりを守る必要があります。原則として本人の同意が要ります。こうした理由で「国内の人しか入れない」案件は、国内SESの出番です。
また、2025年版の調査では、オフショアを使う目的の1位が「開発リソースの確保」でした。客先の本音が「安くしたい」ではなく「人が足りない」ことも多いのです。国内の人手不足の見通しは、IT人材不足の2030年予測とデータ|経産省試算を営業目線で解説で解説しています。
「オフショアを検討中」と言われたときの提案5ステップ
否定せずに理由を聞き、国内に残る工程を見つけて提案します。「海外はやめたほうがいい」と言うと、客先の判断を否定することになり、関係が悪くなります。
検討している理由を聞く:コスト削減か、人手不足か、どちらが主な理由かを確かめる。
海外に出す工程を聞く:設計・製造・テスト・運用のどこを海外に出すつもりかを聞く。
国内に残る工程を書き出す:要件定義、受け入れテスト、客先常駐が要る作業、日本側の窓口役を洗い出す。
総額で比べた資料を出す:ブリッジSEと客先の確認工数を含めた月額を、表で示す。
国内で担う人材をすぐ提案する:国内に残る工程に合う人材を、スキルシートつきで候補に出す。複数名ならSESのチーム提案のやり方|複数名の体制の組み方と単価の出し方を参考に体制で出す。
客先で確かめる質問チェックリスト
オフショアを検討する一番の理由は何か(費用・人手・スピード)
海外に出したい工程はどこか。国内に残す工程はどこか
個人情報や機密情報を扱う案件か
仕様はどのくらい固まっているか。途中で変わりそうか
日本側の窓口(PM・ブリッジSE)はだれが担う予定か
いつまでに体制を決めたいか
そのまま使える提案トーク例
① 費用を理由に検討している客先へ
「プログラマー1人の単価だけで見ると、海外のほうが安いことが多いです。ただ、ブリッジSEの費用と、御社で仕様を確認する時間も足すと、差は小さくなる場合があります。総額で比べた表を、10月9日(金)までにお持ちしてもよろしいでしょうか。」
② 人手不足を理由に検討している客先へ
「人が集まらないのが一番の課題でしたら、海外と国内を組み合わせる形もあります。製造は海外チームにお任せし、要件定義と受け入れテストを国内で担う体制はいかがでしょうか。日本側の窓口役になれる人材を、今週中に2名ご提案できます。」
③ 品質やスピードに不安がある客先へ
「仕様がまだ動きそうな段階でしたら、最初の数か月は国内で進めるのも一つの方法です。仕様が固まった部分から海外に出せば、手戻りを減らせます。最初の3か月を国内で立ち上げるプランを作ってみます。」
やってはいけない返し方
「海外は品質が悪いですよ」と決めつける(客先の判断を否定し、根拠もない)
単価を大きく下げて対抗する(自社の粗利が残らず、長続きしない)
古い単価の数字を出典なしで見せる(信頼を落とす)
単価を下げる前に、粗利がいくら残るかを確かめましょう。計算の方法は、SESの粗利率の平均は?利益率の計算式と計算例・上げる方法5つで解説しています。地方の会社と組む方法は、ニアショア開発の単価相場|地方SESの提案単価と都内案件の取り方が参考になります。エンド向けの比較資料は、エンド直案件の提案書の作り方|SESの体制提案の構成と見本の構成に入れると伝わります。
チョータツで国内の人材提案を早くする
オフショアと比べられる商談では、国内の人材を「その日のうちに」出せるかが勝負です。客先が検討を進める前に候補を見せられれば、国内に残る工程を任せてもらいやすくなります。
自分でやるなら、次の準備をしておきます。
自社の待機予定のエンジニアを、スキルと空く時期で一覧にする。
よく取引するBP(取引先の会社)に、要件定義やテストができる人材がいるか聞いておく。
日本語で海外チームと調整した経験がある人を、別に印をつけておく。
チョータツを使うと、この準備を楽にできます。
| 場面 | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 他社の人材を探す | BPのメールを1通ずつ読む | 連携した他社の営業中人材をデータベースで見られる |
| 自社の人材をまとめる | Excelとスキルシートが別々 | 人材の情報として管理・共有できる |
| パートナーに要件を知らせる | BCCで一斉送信 | メール配信機能で配信できる |
| 情報を入れる | 1件ずつ手で書き写す | AIが入力を手伝う |
チョータツは3,000社以上が利用しており、無料で始められます。
よくある質問
- Q. オフショア開発と国内SESでは、単価はどのくらい違いますか?
- 2025年版の調査で、ベトナムのプログラマーは月40.1万円です。国内の開発系SESは公的データからの試算で月70万円前後で、1人あたり約30万円の差があります。
- Q. オフショア開発のほうが総額でも必ず安いですか?
- 必ずではありません。ブリッジSEの費用や客先側の確認工数、手戻りを足すと、差は小さくなります。仕様がよく変わる案件では、国内SESのほうが結果的に安くなることもあります。
- Q. オフショア開発の品質は低いのですか?
- 一概には言えません。品質は、仕様がどれだけ正しく伝わるかで大きく変わります。仕様が固まった開発なら、オフショアでも十分な品質を出せることがあります。
- Q. オフショアに流れた案件に、SES営業が入る余地はありますか?
- あります。要件定義、受け入れテスト、日本側の窓口役など、国内に残る工程が多くあります。客先が海外チームとの窓口役を国内で探す場面もあります。
- Q. ニアショア開発とは何が違いますか?
- ニアショア開発とは、都市部から国内の地方の会社に開発を任せることです。日本語で話せて時差もありません。単価はオフショアと都市部の国内SESの間になることが多いです。
まとめ
1人あたりの単価はオフショアが安いことが多い(ベトナムのプログラマー月40.1万円、国内の開発系SESは月70万円前後)
ブリッジSEと客先の確認工数を足した総額で比べると、差は見た目より小さくなる
国内SESが強いのは、要件定義、仕様が変わる開発、客先常駐、機密を扱う仕事、短期の急ぎの仕事
「オフショアを検討中」と言われたら、否定せずに理由と工程を聞き、国内に残る工程を提案する
国内で担える人材をすぐ出せる状態をつくっておくと、商談を失いにくい
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
オフショア開発.com「人気6カ国の単価比較|最新のオフショア開発単価はいくら?」(オフショア開発白書(2025年版)の国別・職種別の人月単価と推移)
オフショア開発.com「オフショア開発白書(2025年版)」(契約形態の割合、利用目的)
厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(表6 派遣料金:情報処理・通信技術者 34,382円/8時間)
厚生労働省 job tag「プログラマー」「システムエンジニア(基盤システム)」
個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外国にある第三者への提供編)」
経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」