SaaS企業一覧|日本の主要SaaS企業・建設/製造業SaaS・外資と、SES営業が直契約を狙う5つの手順

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SaaS企業とは

SaaS企業とは、インターネット経由で使うソフトウェアを作り、月額や年額の料金で提供する会社のことです。SaaSは「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略で、「サース」と読みます。

利用者はソフトをパソコンに入れず、ブラウザやアプリで使います。会計ソフトや名刺管理、勤怠管理などが代表例です。違いはSaaS・IaaSの違い|SES案件票での読み方と営業トーク例で説明しています。

SES営業から見ると、SaaS企業には次の特徴があります。

特徴どういうことか営業への意味
製品を作り続ける機能追加と改善が終わらない開発者の需要が長く続く
開発は自社で行う社員エンジニアが中心の「内製」増員で外部の人材を使う
自社がエンド自社製品の発注元が自社直契約を狙いやすい
成長が速い売上が年20%以上伸びる会社もある採用が追いつかない時期がある

内製開発とは、システムを外部の会社に丸ごと任せず、自社の社員を中心に作ることです。SIerに丸ごと任せる会社とは、SES企業の入り方が変わります。

SaaSの市場規模とSES営業への意味

SaaSを含むクラウドの市場は伸び続けており、SaaS企業の開発者需要も続く見込みです。総務省の「令和8年版 情報通信白書」は、IDC Japanの調査を紹介しています。日本のパブリッククラウドサービス市場は、2025年に4兆4,930億円(前年比20.3%増)です。

パブリッククラウドサービスとは、ネット経由で提供されるサービス全体のことです。SaaSのほか、サーバーなどの基盤を貸すIaaS・PaaSも含みます。つまり4兆4,930億円はSaaSだけの金額ではありません。SaaSだけの市場規模は調査会社ごとに定義が違うため、本記事では確認できた公的な数字だけを載せています。

使う側の企業も増えています。総務省の「令和7年通信利用動向調査」は、従業員100人以上の企業が対象です。クラウドサービスを一部でも使う企業は83.5%でした(前年は80.6%)。

SES営業にとっての意味は、次の3つです。

  1. SaaS企業は、利用企業が増えるほど機能追加が必要になり、開発者が足りなくなりやすい

  2. SaaSを導入する企業では、ほかのシステムとつなぐ「連携開発」の仕事が生まれる

  3. 外資SaaSを導入する大企業では、設定や開発を手伝う会社(導入パートナー)に案件が出る

市場全体の数字は、IT業界の市場規模と推移|ソフトウェア業界の動向と営業が狙う5分野もあわせて確認してください。

日本の主要な上場SaaS企業一覧(売上高順)

上場SaaS企業の売上高は、2026年9月時点で確認できた通期決算でラクスが1位です。いずれも社員エンジニアを中心に開発している会社です。

順位会社名(証券コード)主な製品売上高(決算期)
1ラクス(3923)楽楽精算・メールディーラーなど602億8,600万円(2026年3月期)
2Sansan(4443)Sansan・Bill Oneなど537億6,100万円(2026年5月期)
3マネーフォワード(3994)マネーフォワード クラウドなど約503億5,000万円(2025年11月期)
4freee(4478)freee会計・freee人事労務など424億4,100万円(2026年6月期)
5サイボウズ(4776)kintone・Garoonなど374億3,000万円(2025年12月期)

決算期がそろっていないため、順位は目安です。マネーフォワードの数字は、決算説明会を報じた記事で確認したものです(他の4社は各社の決算短信・決算説明資料で確認)。売上の伸びは、ラクスが前期比23.3%、Sansanが24.4%、freeeが27.6%、サイボウズが26.1%でした。どの会社も20%を超える成長が続いています。

5社をSES営業の目線で見るポイント

  • ラクス:経費精算やメール共有など、中小企業向けの製品を複数持つ会社です。製品ごとに開発チームがあるため、声がかかる部署が複数あります。

  • Sansan:名刺管理のSansanと、請求書のBill Oneなど、法人向けの製品を持つ会社です。データを扱う製品が多く、データ基盤の経験者が合いやすい相手です。

  • マネーフォワード:会計・人事などの業務SaaSをまとめて提供する会社です。お金を扱うため、品質やセキュリティへの意識が高い人材が求められやすいです。

  • freee:会計・人事労務などのSaaSを提供する会社です。スモールビジネス向けの製品が中心です。

  • サイボウズ:kintoneなどのグループウェアの会社です。2025年12月期はクラウド関連の売上が全体の92.1%でした。kintoneを使った業務アプリ開発は、導入企業側でも案件になります。

上場企業の数字は、各社の決算短信や決算説明資料で毎年確認できます。ほかの大手IT企業との比較は、日本のIT企業ランキング15社|売上上位の大手と商流での位置づけを参考にしてください。

業界特化型SaaS(建設・製造業)の企業

建設や製造業では、その業界だけの課題を解く「業界特化型SaaS」が伸びています。業界の知識が要るため、業界の業務がわかるエンジニアを持つSES企業には入口になります。

業界特化型SaaSとは、特定の業界の仕事に合わせて作られたSaaSのことです。「バーティカルSaaS」とも呼ばれます。

分野会社名主なサービス上場
建設スパイダープラス(4192)SPIDER+(施工管理のデジタル化)東証に上場
建設アンドパッドANDPAD(建設業向けのクラウド)非上場
製造業キャディCADDiシリーズ(製造業向けAIデータ基盤)非上場

建設SaaSの特徴

スパイダープラスは、決算短信で「SPIDER+」を施工管理のサービスと説明しています。主な利用者は、ゼネコン(総合建設会社)やサブコン(総合設備会社)の現場監督です。アンドパッドは、住宅や建築の分野で建設DXのサービスを提供しています。

建設SaaSは、スマホやタブレットで現場で使う製品が多いです。そのため、スマホアプリ開発や、図面など大きなデータを扱う経験が評価されやすくなります。

製造業SaaSの特徴

キャディは、製造業向けの「AIデータプラットフォーム」の会社です。設計から調達・製造までの流れにあるデータを、AIで解析・整理します。図面の検索や見積もりなど、製造業の業務に合わせた製品を複数出しています。

製造業SaaSでは、AI・データ処理・3D図面(CAD)に関わる技術が出てきます。一般的なWeb開発だけでなく、データの扱いに強い人材が合いやすい分野です。AI分野の営業先は、AI開発企業ランキング|日本の主要企業とSES営業の商流の入り方にもまとめています。

外資SaaS企業と、SES企業の入り方

外資SaaSの場合、SES企業が入るのはSaaS企業本体より、導入を手伝う会社や導入する企業の側が中心です。製品そのものの開発は、海外の本社で行われることが多いためです。

代表的な外資SaaSには、次のようなものがあります。

会社(製品)何の製品かSES企業の主な入口
Salesforce顧客管理(CRM)など導入パートナー・導入企業の開発
ServiceNow社内の業務管理・IT運用導入パートナー・導入企業の運用
Microsoft(Microsoft 365など)事務ソフト・業務アプリ導入企業の社内システム部門

CRMとは、お客さまの情報や商談の状況を管理する仕組みのことです。外資SaaSの導入では、設定・画面の作り込み・ほかのシステムとの連携が必要になります。

この仕事は、元請けのSIerや、製品の導入を専門にする会社(導入パートナー)が受けることが多いです。SES企業は、その導入パートナーの下か、導入した企業の情報システム部門に入る形が一般的です。

外資SaaSの案件では、その製品の資格や経験が条件になることがよくあります。案件票に製品名があれば、自社の人材の資格を先に確認しましょう。

SaaS企業の開発体制と、求められるスキル

SaaS企業の開発チームは、社員エンジニアを中心に、足りない人数を外部の人材で補う形が多いです。求められるのは「言われたとおり作る人」より、チームの一員として改善を続けられる人です。

よく出てくる職種と、案件票で見るポイントは次のとおりです。

職種主な仕事案件票で見るポイント
バックエンド画面の裏側の処理・データ使う言語とフレームワーク
フロントエンド画面の作り込みReact・TypeScriptなどの経験
SRE・インフラサービスを止めない運用AWSなどクラウドの経験年数
QA(品質保証)テストの設計と自動化テスト自動化の経験

SREとは、サービスを止めずに安定して動かすための仕組みを作る仕事のことです。SaaSは止まると全利用企業に影響するため、SREの需要は高めです。

SaaS企業の案件で、よく確認されることは次の4つです。

  1. 同じ言語・同じ規模のサービスでの開発経験

  2. コードレビュー(仲間同士でプログラムを確認し合うこと)に慣れているか

  3. チャットツールでの自分からの報告・相談ができるか

  4. 長く参画できるか(短期より半年以上を好む会社が多い)

SaaS企業が直契約を取りやすい理由と注意点

SaaS企業は自社がエンドなので、SIerを通さず直接契約できる可能性がある営業先です。ただし、直契約には気をつける点もあります。

直契約を取りやすい理由

  • 自社がエンド:自社製品の開発なので、元請けSIerが間にいないことが多い

  • 開発部門が決める:現場のエンジニアリングマネージャーが外部人材の採用に関わることがある

  • 増員が続く:一度取引が始まると、別のチームからも声がかかりやすい

直契約とは、エンド企業とSES企業が、ほかの会社をはさまずに直接結ぶ契約のことです。商流が浅くなるので、単価と粗利の面で有利になりやすくなります。直契約の提案で使う資料は、エンド直案件の提案書の作り方|SESの体制提案の構成と見本を参考にしてください。

直契約の注意点

  • スキルの水準が高い:経験の浅い人材は通りにくい。提案前に案件の条件と人材を細かく照らし合わせる

  • 口座開設が必要:直契約には、取引先として登録する審査がある。会社の情報や実績の資料を用意しておく

  • 指揮命令の線引き:準委任契約で社員と同じチームに入ると、社員から直接の作業指示を受けやすくなる

準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決められた業務を行うこと(事務の処理)を約束する契約のことです。民法第656条が、委任の規定を準委任に当てはめると定めています。SESの多くはこの形です。

準委任では、発注側の社員が、SES企業のエンジニアに直接細かい指示を出すと偽装請負と見なされるおそれがあります。派遣と請負・準委任の線引きは、厚生労働省の「37号告示」と「37号告示関係疑義応答集」が基準です。

チームに入り込むSaaS企業では、誰が指示を出すのかを契約前に決めておきましょう。契約前の打ち合わせでは、次の4点を確かめて議事録に残します。

確かめること決めておく内容の例
作業の指示を出す人自社のリーダー(または自社の責任者)を通す
日々のタスクの受け方チケットは自社リーダーが割り振る
勤怠・残業の管理自社が把握し、残業の判断も自社が行う
評価・交代の申し入れ客先は自社の責任者に伝え、個人を指名しない

NG行為の具体例は、偽装請負の判断基準|SES営業が避けたいNG行為10選と予防策を確認してください。

SaaS企業の営業先リストを作る5つの手順(自分でやる方法)

SaaS企業の営業先リストは、公開情報だけで作れます。次の5つの手順で進めましょう。

  1. 候補を集める:この記事の一覧に加え、自社の人材が得意な業界(建設・製造・会計など)のSaaSを検索で集める

  2. 開発体制を調べる:採用ページ・技術ブログで、使っている言語やクラウドを確認する

  3. 成長度を見る:上場企業なら決算短信で、売上の伸びと人員の増やし方を確認する

  4. 自社の人材と照らし合わせる:言語・クラウド・業界経験が合う会社に印を付ける

  5. 入口を決める:直契約を狙うか、その会社と取引のある元請け・導入パートナーから入るかを決める

リストは、次の4列で管理すると次の行動がはっきりします。

会社名開発の特徴自社との関係次にやること
(例)A社Go・AWS、建設向け取引なし採用担当へ問い合わせ
(例)B社TypeScript・会計向けBP経由で1名参画中直契約の口座開設を相談

内製チームへの提案のしかたは、内製化支援をSES営業で提案する方法|エンドに刺さる提案の型と例が参考になります。

初回連絡のメール例文

件名:開発チームの増員について、ご相談の機会をいただけないでしょうか

株式会社〇〇 開発部門ご担当者様

突然のご連絡失礼いたします。株式会社△△の□□と申します。
貴社の技術ブログを拝見し、TypeScriptとAWSでの開発体制に関心を持ちご連絡しました。
弊社には、SaaSの開発経験3年以上のエンジニアが在籍しております。
2026年11月以降の増員のご予定があれば、15分ほどお話を伺えないでしょうか。
ご都合のよい日時を、10月中でお知らせいただけましたら幸いです。

例文のポイントは、相手の技術を調べたうえで連絡したことを最初に伝えることです。一斉送信ではないことが伝わると、読んでもらえる可能性が上がります。

チョータツでSaaS企業の案件と人材をまとめて管理する

SaaS企業の増員案件は、条件が細かく、合う人材をすぐに出せるかで決まりやすいです。自分でやる方法は、案件と人材をスプレッドシートにまとめ、条件で絞り込むやり方です。

ただ、取引先が増えると、メールで届く案件と人材の情報を追いきれなくなります。そこで役に立つのがチョータツです。

  • 案件・人材の情報を管理・共有:SaaS企業から届いた増員案件と、提案できる人材を1か所にまとめられる

  • AIが入力を手伝う:情報の登録の手間を減らせる

  • メール配信:パートナー企業へ、案件や人材の情報をまとめて送れる

  • 他社との連携:連携した他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる

自社の人材で足りないときも、連携先の営業中人材から候補を探せます。チョータツは3,000社以上が利用し、無料で始められます。

よくある質問

Q. SaaS企業とはどんな会社ですか?
インターネット経由で使うソフトウェアを作り、月額などの料金で提供する会社です。日本ではラクス、Sansan、マネーフォワード、freee、サイボウズなどが代表例です。
Q. 日本のSaaSの市場規模はどれくらいですか?
SaaSを含む日本のパブリッククラウドサービス市場は、2025年に4兆4,930億円(前年比20.3%増)です。総務省の情報通信白書が、IDC Japanの調査として紹介しています。
Q. SaaS企業はSESを使いますか?
使う会社は多くあります。社員エンジニアが中心の内製開発でも、成長が速く採用が追いつかない時期に、外部の人材で増員することがあります。
Q. 外資SaaSの案件に入るにはどうすればいいですか?
製品を導入する側の会社か、導入を手伝う導入パートナーを営業先にします。製品の資格や経験が条件になることが多いので、人材の資格を先に確認しましょう。
Q. 建設や製造業のSaaSでは、どんな人材が求められますか?
建設SaaSでは、現場で使うスマホアプリの開発経験が評価されやすいです。製造業SaaSでは、AI・データ処理・CADなどの経験が合いやすくなります。
Q. SaaS企業と直契約するときの注意点は?
求めるスキルの水準が高いことと、準委任での指揮命令の線引きです。社員から直接細かい指示を受けると偽装請負になるおそれがあるため、指示の出し方を契約前に決めましょう。

まとめ

  • SaaS企業とは、ネット経由で使うソフトを作り、月額などで提供する会社

  • 上場SaaSの売上上位は、ラクス・Sansan・マネーフォワード・freee・サイボウズ

  • SaaS企業は内製開発で増員の需要があり、自社がエンドなので直契約を狙いやすい

  • 建設・製造業の業界特化型SaaSは、業界経験のある人材を持つSES企業の入口になる

  • 外資SaaSは、導入パートナーや導入企業の側から入るのが一般的

  • 直契約では、スキルの水準と、指揮命令(偽装請負)の線引きに注意する

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)