SaaS・PaaS・IaaSの違い|SES案件票の「AWS構築」「SaaS導入」の見分け方と営業トーク例
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
SaaS・PaaS・IaaSとは?意味をひとことで
SaaS・PaaS・IaaSとは、クラウドサービスを「何を借りるか」で3つに分けた呼び名です。 クラウドサービスとは、インターネットを通して、ソフトや設備を必要な分だけ借りる仕組みのことです。
この3分類は、アメリカ国立標準技術研究所(NIST)が2011年に出した定義がもとになっています。NISTは、アメリカ政府の標準を決める機関です。
| 呼び名 | 読み方 | 借りるもの | 代表的なサービス |
|---|---|---|---|
| SaaS(Software as a Service) | サース | 完成したソフト | Microsoft 365、Salesforce、kintone |
| PaaS(Platform as a Service) | パース | 開発・実行の土台 | Azure App Service、Google App Engine |
| IaaS(Infrastructure as a Service) | イアース/アイアース | サーバー・ネットワークなどの設備 | Amazon EC2、Azure Virtual Machines |
SaaSとは、完成したソフトをインターネット経由で使うサービスのことです。 利用者はログインするだけで使えます。
PaaSとは、プログラムを動かす土台(OSや実行環境)を借りるサービスのことです。 利用者は自分のプログラムを載せるだけです。
IaaSとは、サーバーやネットワークなどの設備を借りるサービスのことです。 OSから上は利用者が自分で整えます。
反対に、自社でサーバーを買って社内に置く形をオンプレミスと呼びます。案件票では「オンプレ」と略されることが多いです。
SaaSとIaaSの違いは「自分で管理する範囲」
SaaSとIaaSの一番の違いは、利用者が自分で管理する範囲の広さです。 IaaSは広く、SaaSはせまいです。PaaSはその中間です。
家にたとえると、わかりやすくなります。
| 形 | 家にたとえると | 利用者が管理するもの | 必要な技術 |
|---|---|---|---|
| IaaS | 土地と骨組みだけ借りる | OS・ミドルウェア・アプリ・データ | サーバー・ネットワークの知識 |
| PaaS | 内装済みの部屋を借りる | アプリ・データ | プログラミングの知識 |
| SaaS | 家具付きの部屋に住む | データと設定 | 業務とツール設定の知識 |
| オンプレミス | 土地を買って家を建てる | 設備を含むすべて | 設備を含む幅広い知識 |
営業として押さえたいのは、管理する範囲が広いほど、インフラの技術者が必要になるという点です。IaaSの案件ではサーバーを組める人、SaaSの案件では業務を理解して設定できる人が求められます。
AWS・Azure・Google Cloudはどれに入る?
AWS・Azure・Google Cloudは、IaaSとPaaSの両方を提供するクラウドの総合サービスです。 1つの会社名で3分類のどれかに決まるわけではありません。
たとえばAWSには、サーバーを借りるAmazon EC2(IaaS)があります。一方で、プログラムの実行だけを任せるサービスもあります。案件票に「AWS」とだけあるときは、どのサービスを使うかを必ず確認します。
案件票での見分け方|3つの案件タイプ
案件票に出るクラウド関連の案件は、ほぼ3つのタイプに分けられます。 「AWS・Azure構築案件」「SaaS導入支援案件」「自社SaaS開発案件」です。
| 案件タイプ | 案件票に出る言葉の例 | 中心になる分類 | 求める人材 |
|---|---|---|---|
| AWS・Azure構築案件 | 「AWS環境構築」「オンプレからAzureへ移行」「EC2・VPC設計」 | IaaS・PaaS | インフラエンジニア、クラウドエンジニア |
| SaaS導入支援案件 | 「Salesforce導入」「kintoneアプリ作成」「Microsoft 365展開」 | SaaS(使う側) | 業務に強い導入コンサル、設定担当 |
| 自社SaaS開発案件 | 「自社サービス開発」「SaaSプロダクトの機能追加」「toB SaaS」 | SaaS(作る側) | Web系のバックエンド・フロントエンド開発者 |
同じ「SaaS」という言葉でも、使う側(導入支援)と作る側(自社開発)で、求める人材は正反対です。使う側か作る側かを読み違えると、面談で「思っていた案件と違う」となります。
AWS・Azure構築案件:インフラの人を出す
AWS・Azure構築案件とは、クラウド上にサーバーやネットワークを組む案件のことです。 IaaSとPaaSの知識が中心になります。
案件票でよく見る言葉と、人材の見方は次のとおりです。
言葉の例:VPC、EC2、IAM、Terraform、CloudFormation、移行、冗長化
合う人材:オンプレのサーバー・ネットワーク経験があり、クラウドの構築経験もある人
スキルシートで見る点:使ったクラウドの名前、担当した工程(設計・構築・運用)、自動化ツールの経験
「運用・監視」だけの経験と、「設計・構築」の経験は分けて見ます。案件票が「設計から」なら、運用だけの人は通りにくいです。
オンプレからの移行案件は、設計・構築・移行作業を複数名で求められることがあります。体制の組み方はSESのチーム提案のやり方|複数名の体制の組み方と単価の出し方が参考になります。
SaaS導入支援案件:業務と設定に強い人を出す
SaaS導入支援案件とは、企業が既製のSaaSを使い始めるのを手伝う案件のことです。 プログラムを書く量は少なく、業務の整理と設定が中心です。
言葉の例:要件整理、業務フロー、設定、データ移行、ユーザー教育、定着化
合う人材:そのSaaS製品の設定経験がある人、営業・経理・人事などの業務を理解している人
スキルシートで見る点:製品名、導入した部署や業務、画面設定か追加開発か
SaaS導入は、パッケージ導入と考え方が近い仕事です。製品名の経験が一番の条件になります。詳しくはスクラッチ開発とパッケージ開発の違い|SES案件票での見分け方で解説しています。
自社SaaS開発案件:Web系の開発者を出す
自社SaaS開発案件とは、SaaSを自社の商品として作って売る会社で、開発を手伝う案件のことです。 客先はSaaS企業そのものです。
言葉の例:自社サービス、プロダクト開発、アジャイル、マイクロサービス、SRE
合う人材:言語とフレームワークの経験があり、少人数で改善を回した経験がある人
スキルシートで見る点:言語・フレームワーク、使ったクラウド、チームの人数と開発手法
自社SaaSの多くはAWSなどのクラウド上で動いています。「アプリ開発+クラウドの基本知識」を持つ人が選ばれやすいです。提案先のSaaS企業はSaaS企業一覧|日本の主要企業とSES営業の営業先としての見方で探せます。
SES営業の現場での使い方|ヒアリングの言い回しと例文
客先ヒアリングでは「どのサービスを・誰の立場で・どの工程から」の3点を聞けば、案件タイプが決まります。 3分類の言葉は、この質問をするための道具として使います。
ヒアリングの手順
サービス名を聞く:「AWS」「Salesforce」など、使う製品の名前を確認する
立場を聞く:導入する側か、自社で作る側か、構築を受ける側かを確認する
工程を聞く:設計・構築・設定・開発・運用のどこから入るかを確認する
管理範囲を聞く:OSやネットワークまで触るのか、アプリだけかを確認する
案件タイプを決めて人材を当てる:3タイプのどれかに分け、合う人材を選ぶ
そのまま使える営業トーク例
AWSとだけ書かれた案件を確認するとき
「今回の案件はAWSとのことですが、EC2などでサーバーを組むお仕事でしょうか。それともAWS上で動くアプリの開発でしょうか。インフラ寄りか開発寄りかで、ご提案する人が変わりますので確認させてください。」
SaaS案件が導入か開発かを確認するとき
「SaaS関連とのことですが、御社がSaaSを導入される側でしょうか。それとも御社のSaaS製品を開発される側でしょうか。」
工程と開始時期を確認するとき
「2026年11月開始とのことですが、設計からのご参画でしょうか。構築後の運用からでしょうか。運用からであれば、監視経験が長い者もご提案できます。」
人材を提案するとき
「オンプレのネットワーク構築を5年、AWSの設計・構築を2年経験した者がおります。移行案件でしたら、両方の環境がわかる点がお役に立てると考えております。」
案件の聞き方をもっと広く知りたい場合は、SESの営業ヒアリング項目30|初回商談のヒアリングシート付きも使えます。
BPへ流す案件メールの書き方の例
案件タイプがはっきりしたら、BPへ流すメールの件名にタイプを入れます。合わない人材の提案が減ります。
件名:【AWS構築/設計から】オンプレ→AWS移行(2026年11月〜)
求める人:AWSの設計・構築2年以上(EC2・VPC・IAM)、オンプレのサーバー経験
不可:運用・監視のみの経験
商流:エンド→元請け→弊社
件名:【SaaS導入支援】Salesforce導入の設定担当(2026年11月〜)
求める人:Salesforceの画面設定・データ移行の経験、営業部門の業務理解
不要:プログラミング経験(Apexは尚可)
営業が気をつけたい3つの勘違い
「クラウド案件=インフラ案件」と決めつけないことが、一番大事です。 よくある勘違いは次の3つです。
| 勘違い | 実際 | 確認すること |
|---|---|---|
| 「AWS」とあればインフラ案件 | AWS上のアプリ開発案件もある | 触る範囲はサーバーかアプリか |
| 「SaaS」とあれば開発案件 | 導入支援・設定だけの案件も多い | 導入する側か作る側か |
| クラウド経験があれば全部に出せる | 製品ごと・工程ごとに求める経験が違う | 製品名と担当工程 |
クラウドの利用はどれくらい広がっている?
従業員100人以上の日本企業の8割以上が、何らかのクラウドサービスを使っています。 総務省の「令和7年通信利用動向調査」は、2026年5月29日に公表されました(2025年8月末時点)。
この調査では、クラウドサービスを一部でも利用する企業は83.5%、全社的に利用している企業は60.0%でした。調査の対象は、常用雇用者100人以上の企業です。
市場も伸びています。総務省の「令和8年版 情報通信白書」は、IDC Japanの調査を紹介しています。日本のパブリッククラウドサービス市場は、2025年に4兆4,930億円(前年比20.3%増)です。
同じ白書は、クラウドの設備を貸すサービス(IaaS・PaaSなど)の世界シェアも紹介しています。出典はSynergy Research Groupの調査です。2025年第3四半期は、Amazonが約29%、Microsoftが20%、Googleが13%です。案件票で「AWS」「Azure」「GCP」をよく見るのは、3社のシェアが大きいからです。
市場全体の動きはIT業界の市場規模と推移|ソフトウェア業界の動向と営業が狙う5分野でも整理しています。
案件タイプ別に人材を整理する方法
案件と人材の両方に「案件タイプ」と「製品名」を記録しておくと、提案が早くなります。 自分でやる場合は、Excelの管理表に列を足すだけで始められます。
自分で整理する手順
案件の管理表に「案件タイプ」列を作る(IaaS構築/SaaS導入/自社SaaS開発/その他)
同じ表に「製品名」列を作る(AWS、Azure、Salesforce、kintoneなど)
人材の管理表にも「経験した案件タイプ」と「製品名」の列を作る
担当した工程(設計・構築・設定・開発・運用)も書く
新しい案件が来たら、案件タイプと製品名で人材を絞り込む
列の名前は、社内で統一します。「AWS」「aws」「アマゾン」のように表記がばらばらだと、絞り込めません。人材側の書き方はSESスキルシートのフォーマットと書き方|15項目の記入例付きも参考になります。
チョータツで管理を楽にする
案件や人材が増えてきたら、チョータツで管理すると手間が減ります。 チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。
案件と人材を1か所で管理・共有できる:Excelの管理表をメールで回す手間を減らせます
AIが入力を手伝う:案件や人材の情報を登録する手間を減らせます
他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる:クラウド経験者を探すときの候補が広がります
パートナーへのメール配信機能がある:クラウド案件の人材募集をパートナーへ配信できます
3,000社以上が利用しており、無料で始められます。
届いたメールを整理する手間を減らしたいときは、チョータツメールAIも使えます。届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分けます。
AWS経験者などがBPでも見つからないときは、フリーランスに直接声をかける方法もあります。xhoursなら、ITフリーランスに直接スカウトを送れます。
よくある質問
- Q. SaaSとIaaSの違いを一言でいうと?
- SaaSは完成したソフトを借りる形で、IaaSはサーバーなどの設備を借りる形です。IaaSのほうが、利用者が自分で管理する範囲が広くなります。
- Q. PaaSはSaaSやIaaSとどう違う?
- PaaSは、プログラムを動かす土台を借りる形です。IaaSとSaaSの中間で、利用者はアプリとデータだけを管理します。
- Q. AWSはSaaS・PaaS・IaaSのどれ?
- AWSは、IaaSとPaaSの両方を提供する総合サービスです。案件票に「AWS」とあるときは、使うサービスと担当範囲を確認します。
- Q. SaaS導入支援の案件にはどんな人材を出せばいい?
- その製品の設定経験があり、業務を理解している人です。プログラミングより、業務整理と設定の経験が重視されます。
- Q. 自社SaaS開発の案件で重視されるスキルは?
- 言語とフレームワークの経験、クラウドの基本知識、少人数での開発経験です。案件票の開発手法(アジャイルなど)も確認します。
- Q. クラウド案件の単価はオンプレ案件より高い?
- 案件ごとに違うため、一律には言えません。職種・スキル別の目安は、記事末の「次に読む・使う」にある単価相場の記事で確認できます。
まとめ
SaaSは完成したソフト、PaaSは開発の土台、IaaSはサーバーなどの設備を借りる形
違いは利用者が自分で管理する範囲で、IaaSが一番広く、SaaSが一番せまい
案件票は「AWS・Azure構築」「SaaS導入支援」「自社SaaS開発」の3タイプで読む
同じ「SaaS」でも、導入する側と作る側では出す人材が正反対になる
ヒアリングでは「どのサービスを・誰の立場で・どの工程から」を聞く
案件と人材に案件タイプと製品名を記録する。数が増えたらチョータツで管理すると楽になる
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
NIST「SP 800-145 The NIST Definition of Cloud Computing」(2011年9月。SaaS・PaaS・IaaSの3つのサービスモデルを定義)
総務省「令和7年通信利用動向調査の結果」(2026年5月29日公表。常用雇用者100人以上の企業でクラウドサービスを利用する企業83.5%、全社的に利用60.0%)
総務省「令和8年版 情報通信白書 クラウドサービス」(日本のパブリッククラウドサービス市場。出典:IDC Japan。クラウドインフラサービスの世界シェア。出典:Synergy Research Group)