IT業界の市場規模と推移|ソフトウェア業界の伸びと、SES営業が狙う分野の優先順位

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

IT業界の市場規模は、国内生産額で146.7兆円

IT業界の市場規模は、総務省の集計で2024年の国内生産額が146.7兆円です。日本の産業の中でも、大きな規模を持つ業界です。

IT業界とは、コンピューターや通信の技術を使って、製品やサービスを提供する会社の集まりのことです。国の統計では「情報通信産業」と呼ばれます。

市場規模とは、ある業界で1年間に動くお金の大きさのことです。ただし、何で測るかによって金額が大きく変わります。

市場規模を測る3つの物差し

IT業界の市場規模には、よく使われる物差しが3つあります。どれを使うかで数字が2倍以上違うため、出典と物差しをセットで覚えましょう。

物差し2024年の金額何を数えているか出典
国内生産額146.7兆円情報通信産業が生み出した売上の合計総務省(情報通信白書)
名目GDP71.7兆円売上から材料費などを引いた「新しく生まれた価値」総務省(情報通信白書)
情報サービス業の売上高約17.9兆円大手を中心に集めたソフト・情報処理の売上経済産業省(特定サービス産業動態統計)

国内生産額とは、国内で生み出されたモノやサービスの金額の合計のことです。材料や仕入れの金額も含むため、3つの中で一番大きくなります。

名目GDPとは、売上から仕入れなどを引いた「その産業が新しく生み出した価値」のことです。情報通信産業の名目GDPは71.7兆円で、全産業の11.5%を占めています。

情報通信産業に入る9つの部門

総務省は、情報通信産業を9つの部門に分けて集計しています。SES営業に一番関係が深いのは「情報サービス業」です。

  1. 通信業

  2. 放送業

  3. 情報サービス業

  4. インターネット附随サービス業

  5. 映像・音声・文字情報制作業

  6. 情報通信関連製造業(パソコンや通信機器などの製造)

  7. 情報通信関連サービス業

  8. 情報通信関連建設業

  9. 研究

IT業界の市場規模の推移:10年で約1.4倍に

IT業界の国内生産額は、2015年から2024年までに約1.4倍に増えました。とくに2020年以降は、毎年はっきりと伸びています。

年情報通信産業の国内生産額うち情報サービス業情報サービス業の割合
2015年105.6兆円19.3兆円約18%
2018年116.8兆円23.9兆円約20%
2020年119.8兆円27.3兆円約23%
2022年138.1兆円31.7兆円約23%
2023年141.2兆円34.6兆円約25%
2024年146.7兆円36.9兆円約25%

※ 総務省「令和8年版 情報通信白書」データ集(名目国内生産額)から作成。割合は表の金額から計算した概数です。

2024年の国内生産額は、前の年より約3.9%増えました。情報サービス業だけを見ると、約6.6%の増加です。

情報サービス業がIT業界全体に占める割合も、約18%から約25%に上がりました。IT業界の成長を引っぱっているのは、ソフトウェアや情報処理の仕事だと言えます。

働く人の数も情報サービス業で増えている

情報サービス業で働く雇用者数は、2015年の112.0万人から、2024年は157.9万人になりました。約1.4倍の増加です。

同じ期間に、情報通信産業全体の雇用者数は420.0万人から522.4万人に増えました。増えた人数の半分近くが、情報サービス業です。

部門別の動向:伸びているのは情報サービスとインターネット

部門ごとに見ると、情報サービス業とインターネット附随サービス業が大きく伸びています。反対に、放送業や映像・文字の制作は、ほぼ横ばいです。

部門2015年2024年伸び
情報サービス業19.3兆円36.9兆円約1.9倍
インターネット附随サービス業3.6兆円13.0兆円約3.6倍
通信業16.4兆円19.3兆円約1.2倍
情報通信関連製造業20.1兆円22.1兆円約1.1倍
映像・音声・文字情報制作業7.4兆円7.9兆円ほぼ横ばい
放送業4.9兆円4.8兆円ほぼ横ばい

※ 総務省「令和8年版 情報通信白書」データ集(名目国内生産額)から作成。

インターネット附随サービス業とは、ネット上のサービスの運営や、それを支える仕事のことです。金額はまだ情報サービス業の約3分の1ですが、伸び方は一番大きい部門です。

情報通信業界の地図(国の分類)

国の産業の分け方を「日本標準産業分類」と言います。IT業界の中心は、その中の「情報通信業」という区分です。情報通信業とは、通信・放送・ソフトウェア・ネットサービス・コンテンツ制作をまとめた産業のことです。

情報通信業の中の区分主な仕事SES営業との関係
通信業電話・インターネット回線ネットワーク・インフラ案件の発注元
放送業テレビ・ラジオ放送システムの保守案件がある
情報サービス業ソフトウェア開発・情報処理SES企業・SIerの多くが入る
インターネット附随サービス業ネットサービスの運営支援Web系の開発・運用案件の発注元
映像・音声・文字情報制作業映像・出版・新聞など配信・電子書籍の開発案件がある

会社名まで入れた業界の全体像は、SIer業界地図2026|系列・下請け構造を図解、営業先の選び方つきで紹介しています。

ソフトウェア業界・情報処理サービス業界とは

ソフトウェア業界と情報処理サービス業界は、どちらも「情報サービス業」の中の区分です。SES企業の多くは、このどちらかに入ります。

ソフトウェア業とは、コンピューターのプログラムを作る事業のことです。日本標準産業分類では、次のような区分に分かれています。

  • 受託開発ソフトウェア業:お客さまの委託を受けてプログラムを作る。システム開発やシステムインテグレーションも含む

  • 組込みソフトウェア業:家電や機械の中で動くプログラムを作る

  • パッケージソフトウェア業:完成品のソフトウェアを作って売る

  • ゲームソフトウェア業など

情報処理・提供サービス業とは、お客さまのデータを預かって計算・処理したり、情報を提供したりする事業のことです。一般に「情報処理サービス業界」と呼ばれるのは、この区分です。

SESで人を出す現場の多くは、受託開発ソフトウェアの仕事です。自社の業種の書き方に迷ったら、SES事業の業種は何?書き方と業種番号を3つの場面別に解説を確認しましょう。

ソフトウェア業界の市場規模:受注開発が約11兆円

ソフトウェア業界の市場規模は、経済産業省の統計で見るのが一般的です。2024年の「ソフトウェア開発・プログラム作成」の売上高は約12.96兆円でした。

受注ソフトウェアとは、お客さまの注文を受けて作るソフトウェアのことです。「システム開発 市場規模」と検索したときに知りたい数字は、多くの場合この金額です。

業務の種類(2024年)売上高前年比ひとこと
受注ソフトウェア約11.04兆円7.8%増ソフトウェア業界の中心
└ うちシステムインテグレーション約7.32兆円9.7%増一番伸びている
ソフトウェアプロダクト約1.92兆円4.2%減完成品のソフト。減少
システム等管理運営受託約2.24兆円3.9%増運用保守。安定して伸びる
計算事務等情報処理約1.24兆円7.0%増データ処理の受託

※ 経済産業省「特定サービス産業動態統計」を情報サービス産業協会(JISA)がまとめた資料から作成。

システムインテグレーション(SI)とは、システムの企画から開発・導入までを、まとめて請け負う仕事のことです。2024年はSIが9.7%増と、ソフトウェア業界の伸びを引っぱりました。

ここから読み取れるのは、完成品を売るより、お客さまごとに作る仕事が伸びているということです。人の手が必要な仕事が増えているため、SESの案件も生まれやすい状況です。

この統計の読み方の注意点は、SES業界の市場規模と推移|公的データで見る4つのポイントで詳しく解説しています。

最新の動向:2026年も伸びが続いている

IT業界の伸びは、2026年に入っても続いています。総務省統計局の速報では、2026年7月の情報通信業の売上高が前年同月比6.4%増でした。情報サービス業だけでは8.2%増です(JISAの集計)。

前年同月を上回るのは52か月連続です。4年以上、毎月前の年を上回っていることになります。月ごとの数字の追い方はIT業界の現状と市場動向2026|SES営業が見る4つの数字で解説しています。

企業のIT投資の約8割はソフトウェア

企業側のお金の使い方を見ても、ソフトウェアへの投資が中心です。2024年の民間企業の情報化投資は25.7兆円で、前年より1.9%増えました。

情報化投資とは、企業がパソコン・通信機器・ソフトウェアに使ったお金のことです。そのうちソフトウェア(受託開発とパッケージ)は20.2兆円で、全体の約78%を占めています。

企業が設備にかけるお金のうち、情報化投資の割合は24.7%でした。設備投資の約4分の1がITに使われている計算です。

国内IT市場の予測:クラウドとAIが大きく伸びる

今後の国内IT市場で特に伸びると予測されているのは、クラウドとAIです。どちらも、情報通信白書で民間調査会社の予測として紹介されています。

クラウドとは、自社でサーバーを持たずに、ネット経由でシステムやデータの置き場所を借りるしくみのことです。

分野2025年の規模予測・伸び出典(白書で引用)
国内パブリッククラウド4兆4,930億円前年比20.3%増IDC Japan(2026年3月)
国内AIプラットフォーム3,083億円2030年に2兆3,851億円IDC Japan(2026年3月)
世界のICT市場4.77兆ドル(2024年)2030年に7.38兆ドルStatista

国内のAIプラットフォーム市場は、2030年に2025年の約7.7倍になると予測されています。クラウドも、年20%前後のペースで伸びています。

ただし、クラウドとAIの数字は民間企業(IDC Japan)の予測・推計です。国の統計のような実績の数字ではないため、営業で使うときは「〜という予測があります」と伝えましょう。

生成AIがSESの案件にどう影響するかは、SESへの生成AIの影響|人月モデルと単価の変化、営業の備え5つでまとめています。AI案件の取り方はAI受託開発とは?市場規模とSESがAI案件を取る方法で解説しています。

IT業界の市場データを読むときの注意点3つ

IT業界の市場データは、出典・物差し・年をそろえないと正しく比べられません。次の3つを守りましょう。

  1. 物差しをそろえる:国内生産額(146.7兆円)と売上高(約17.9兆円)は、数え方が違います。違う物差しの数字を並べて比べてはいけません。

  2. 実績と予測を分ける:国の統計は「実際にあった数字」、調査会社の数字の多くは「予測」です。予測を事実のように話さないようにします。

  3. SESだけの数字はないと知っておく:国の分類にSESの区分はありません。SESの規模は、情報サービス業の数字から考えることになります。

年ごとの金額の差をそのまま「〇兆円増えた」と言うのも注意が必要です。統計によっては、調べる会社や計算の基準が途中で見直されるためです。

たとえば令和8年版の情報通信白書では、計算の基準年が2015年から2020年に改められました。その結果、情報通信産業の名目GDPや情報化投資の金額が、過去の白書より上方修正されています。古い白書の数字と混ぜないことが大切です。

SES営業が狙う業界・案件の優先順位

市場データから考えると、SES営業が優先して狙う分野は次の5つです。伸び率が高く、人の手が必要な分野ほど、優先度を上げます。

優先度分野根拠となるデータ狙う案件の例
1SI・受託開発SI売上高 前年比9.7%増基幹システム刷新、業務システム開発
2クラウド国内パブリッククラウド 20.3%増クラウド移行、インフラ構築・運用
3AI・データAIプラットフォーム 2030年に約7.7倍の予測データ基盤構築、AI導入支援
4Web・ネットサービスインターネット附随サービス業 約10年で3.6倍Webアプリ開発、EC・決済システム
5運用保守管理運営受託 3.9%増で安定システム運用、ヘルプデスク

一方で、完成品のソフトウェア(ソフトウェアプロダクト)は2024年に4.2%減でした。パッケージ製品の導入だけに頼る案件は、今後は増えにくいと考えられます。

優先度ごとの営業の考え方

優先度1〜2(SI・クラウド)は、案件の量が多い分野です。まずはここで提案できる人材を切らさないことが、売上の土台になります。

優先度3〜4(AI・Web)は、伸びは大きいものの、求められるスキルが新しい分野です。対応できる人材が少ないため、単価が上がりやすい傾向があります。単価の目安はSESの単価相場|職種別の月額目安と公的データの使い方で確認できます。

優先度5(運用保守)は、大きな伸びはないものの、減りにくい分野です。経験の浅い人材の入り口として、安定した稼働先になります。

自社の優先順位を決める5つの手順

市場の伸びと自社の案件の中身を比べると、どの分野を強めるべきかがわかります。次の手順で、1時間ほどで作れます。

  1. 過去6か月の案件を書き出す:自社が受けた案件・提案した案件を、Excelに一覧にします。

  2. 分野でラベルを付ける:優先順位の表の5分野に「その他」を足した、6つに分けます。

  3. 分野ごとの割合を出す:件数と、できれば売上の割合も計算します。

  4. 市場の伸びと並べる:伸びている分野の割合が低ければ、そこが伸ばしどころです。

  5. 来期に増やす分野を1〜2つ決める:その分野の人材の確保と、発注元の開拓を同時に進めます。

計算例:過去6か月の案件が100件あったとします。内訳が運用保守45件、SI・受託開発35件、クラウド12件、Web6件、AI・データ2件だったとしましょう。

この場合、市場で伸びているクラウドとAI・データが合わせて14%しかありません。来期は「クラウド案件を20件に増やす」など、分野と件数で目標を決めます。

伸びている分野のSIerと取引を始めるには、SIerの協力会社登録の条件と流れ|審査で見られる7項目を確認しましょう。

市場規模の数字を営業トークで使う例

市場規模の数字は、「なぜ今この提案なのか」を短く裏づけるために使います。数字は1つか2つにしぼり、出典と年を必ず添えます。

お客さまにクラウド移行の人材を提案するときは、次のように話せます。

例文・テンプレート
国内のパブリッククラウド市場は、2025年に前年比20.3%増えたと
IDC Japanが予測・集計しています(総務省の情報通信白書で紹介)。
移行案件が増えている分、クラウド経験のあるエンジニアは早く決まります。
今回の候補者は、10月中にご面談いただけると確実です。

社内の営業会議で、分野の見直しを話すときは次のように使えます。

例文・テンプレート
情報サービス業の国内生産額は、2015年から2024年で約1.9倍になりました。
その中でもSIは2024年に前年比9.7%増と、特に伸びています。
当社は運用保守の案件が45%を占めているため、
来期はSI・クラウドの案件比率を上げる方針にしたいです。

「IT業界は必ず伸び続けます」のような将来の断定は避けましょう。「統計では〇年に〇%伸びています」と、事実だけを伝えるのが安全です。

チョータツで「伸びている分野の案件・人材」を集める

市場データでわかるのは、業界全体の方向です。実際に売上を増やすには、伸びている分野の案件と人材を、自社のまわりで早く見つけることが必要です。

自分でやる方法

自分でやる場合は、BPから届く案件メール・人材メールを読み、分野ごとにExcelに振り分けます。「クラウド」「AI」などのキーワードで色分けすると、探しやすくなります。

ただし、取引先が増えるほど、メールの転記と振り分けに時間がかかります。取引先が多い会社ほど、伸びている分野の案件の見落としも起きやすくなります。

もっと楽にするなら:チョータツ

チョータツとは、SES営業の案件・人材を管理・共有するためのツールのことです。3,000社以上が使っており、無料で始められます。

  • 自社の案件・人材の情報を管理・共有できる(AIが入力を手伝う)

  • 他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる

  • パートナーへのメール配信機能がある

やりたいこと自分でやる場合チョータツを使う場合
伸びている分野の案件を探すメールを読んでExcelに転記連携先の営業中案件がデータベースになる
その分野の人材を探す人材メールを1通ずつ確認連携先の営業中人材がデータベースになる
自社の人材をBPに知らせる1社ずつメールを送るメール配信機能でまとめて届ける

業界全体の伸びは公的な統計で、自社のまわりの案件・人材はチョータツで。2つを組み合わせると、伸びている分野に営業の時間を集中できます。

よくある質問

Q. IT業界の市場規模はどれくらいですか?
総務省の集計で、2024年の情報通信産業の国内生産額は146.7兆円です。名目GDPでは71.7兆円で、全産業の11.5%を占めます(令和8年版 情報通信白書)。
Q. IT業界の市場規模は伸びていますか?推移を教えてください。
伸びています。国内生産額は2015年の105.6兆円から、2024年は146.7兆円と約1.4倍になりました。2026年7月の情報通信業の売上高も、前年同月比6.4%増です。
Q. ソフトウェア業界の市場規模はどれくらいですか?
経済産業省の統計では、2024年の「ソフトウェア開発・プログラム作成」の売上高は約12.96兆円です。そのうち受注ソフトウェア(システム開発)が約11.04兆円を占めます。
Q. ソフトウェア業とは何ですか?
ソフトウェア業とは、コンピューターのプログラムを作る事業のことです。国の分類では、受託開発・組込み・パッケージ・ゲームなどのソフトウェア業に分かれます。
Q. 情報処理サービス業界と情報通信業界の違いは?
情報通信業界は、通信・放送・ソフトウェア・ネットサービスなどを含む大きな区分です。情報処理サービス業界は、その中の「情報サービス業」に入る一部の業界です。
Q. 国内IT市場の予測で、伸びる分野はどこですか?
情報通信白書では、クラウドとAIの伸びが紹介されています。国内パブリッククラウドは2025年に前年比20.3%増でした。国内AIプラットフォームは、2030年に約2.4兆円になる予測です(どちらもIDC Japan)。

まとめ

  • IT業界(情報通信産業)の市場規模は、2024年の国内生産額で146.7兆円。10年で約1.4倍

  • 伸びを引っぱるのは情報サービス業で、約10年で1.9倍。インターネット附随サービス業も3.6倍に

  • ソフトウェア業界の中心は受注ソフトウェア。2024年はSIが前年比9.7%増、パッケージは4.2%減

  • 2026年7月も情報通信業の売上高は6.4%増。今後はクラウドとAIが大きく伸びる予測

  • SES営業は、SI・クラウド・AI・Web・運用保守の順で優先順位を付け、自社の案件の割合と比べて伸ばす分野を決める

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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