IT業界の現状と市場動向2026|売上・投資・人手不足の最新データと、SES営業が見る4つの数字

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

IT業界の現状:2026年も売上・投資・人手不足がそろって強い

2026年時点のIT業界の現状は、売上が伸び、投資計画が増え、人手が足りないという状態です。3つの数字が同じ方向を向いています。

見る数字最新の値読み方出典
情報通信業の売上高2026年7月は前年同月比6.4%増(52か月連続増)今の売上が伸びている総務省統計局
ソフトウェア投資計画2026年度は前年度比13.5%増この先の発注が増える日本銀行 短観(2026年6月調査)
雇用人員判断DI全規模・全産業で-37(先行き-40)人手不足が続く日本銀行 短観(2026年6月調査)

前年同月比とは、今月の数字を、1年前の同じ月と比べた増減の割合のことです。季節による上下を消して比べられます。

日銀短観とは、日本銀行が約9,100社の企業に景気や投資の予定を聞き、年4回公表する調査のことです。正式な名前は「全国企業短期経済観測調査」です。

雇用人員判断DIとは、「人が余っている」と答えた企業の割合から「足りない」と答えた割合を引いた数字のことです。マイナスが大きいほど、人手不足が強いことを表します。

業種・規模別のソフトウェア投資計画(2026年度)

SES営業の重点先選びで一番役に立つのが、業種・規模別のソフトウェア投資計画です。どこの企業がITにお金を使う予定かがわかります。

企業の規模・業種2025年度(実績見込み)2026年度(計画)
大企業・製造業4.3%増23.4%増
大企業・非製造業11.2%増7.3%増
中堅企業・全産業2.1%増12.3%増
中小企業・全産業9.4%増20.1%増
全規模・全産業7.5%増13.5%増
金融機関(うち銀行業)12.3%増(7.9%増)9.5%増(19.8%増)

※ 日本銀行「短観(概要)2026年6月調査」から作成。前年度比。2026年度は計画の数字で、今後の調査で修正されます。

2026年度の計画では、大企業の製造業、中小企業、銀行の伸びが目立ちます。工場や設計のシステム、中小企業の業務システム、銀行の基幹システムの案件が増える可能性があります。

ただし、年度の初めの計画は、あとで変わることがよくあります。9月・12月の調査で数字がどう修正されたかも、あわせて確認しましょう。

人手不足は「人材を出せる会社」に有利

雇用人員判断DIは、全規模・全産業で-37でした。非製造業では-43と、さらに人手不足が強く出ています。

発注側が人を採れないと、外部の力を借りる必要が高まります。SES企業にとっては、エンジニアを出せること自体が強みになる状況です。ITエンジニアに絞った求人の数字は、ITエンジニアの有効求人倍率の推移|公的データで見る採用と営業の今で確認できます。2026年7月の情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.50倍でした(常用・パート除く原数値)。

IT業界の市場規模:前提として押さえる3つの数字

IT業界の市場規模は、総務省の集計で2024年の国内生産額が146.7兆円です。今の動きを読むときの「土台の大きさ」として、次の3つだけ押さえておけば十分です。

市場規模とは、ある業界で1年間に動くお金の大きさのことです。何で測るかで金額が変わるため、必ず「物差し」と一緒に覚えます。

物差し金額(2024年)約10年の変化出典
情報通信産業の国内生産額146.7兆円2015年の105.6兆円から約1.4倍総務省 情報通信白書
うち情報サービス業の国内生産額36.9兆円2015年の19.3兆円から約1.9倍総務省 情報通信白書
情報サービス業の売上高約17.9兆円(前年比5.5%増)―経済産業省 特定サービス産業動態統計

国内生産額とは、国内で生み出されたモノやサービスの金額の合計のことです。仕入れの金額も含むので、売上高より大きな数字になります。情報サービス業とは、ソフトウェアの開発や、データの処理を請け負う業種のことです。SES企業やSIerの多くがここに入ります。

企業のIT投資も、人が作るソフトウェアに集中しています。2024年の民間企業の情報化投資は25.7兆円(2020年価格)でした。そのうちソフトウェアが20.2兆円と約8割を占めます。情報化投資とは、企業がパソコン・通信機器・ソフトウェアに使ったお金のことです。

年ごとの推移や部門別の内訳は、IT業界の市場規模と推移|ソフトウェア業界の動向と営業が狙う5分野で解説しています。ここでは、今の動きをどの数字で追い、営業にどう使うかに絞ります。

分野別の動向:システムインテグレーションが9.7%増で一番伸びた

分野別に見ると、2024年に一番伸びたのはシステムインテグレーション(前年比9.7%増)です。経済産業省の統計では、ソフトウェア開発・プログラム作成の売上高全体も約12.96兆円(前年比5.9%増)でした。

受注ソフトウェアとは、お客さまの注文を受けて作るソフトウェアのことです。ここでは伸び率に注目します。システム開発の市場規模そのもの(金額と推移)は、市場規模の記事で扱っています。

業務の種類(2024年)売上高前年比SES営業から見た意味
受注ソフトウェア約11.04兆円7.8%増開発案件の中心
うちシステムインテグレーション約7.32兆円9.7%増一番伸びている。上流の案件も多い
システム等管理運営受託約2.24兆円3.9%増運用保守。長く続く案件
ソフトウェアプロダクト約1.92兆円4.2%減完成品のソフト。人の需要は小さめ

※ 経済産業省「特定サービス産業動態統計」を情報サービス産業協会(JISA)がまとめた資料から作成。情報サービス業全体は約17.92兆円(前年比5.5%増)です。

システムインテグレーション(SI)とは、システムの企画から開発・導入までを、まとめて請け負う仕事のことです。SIが一番伸びているのは、企業ごとに作り込む仕事が増えているからです。

完成品を売る「ソフトウェアプロダクト」は減っています。つまり、お客さまごとに人が手を動かす仕事が伸びているということです。SESの案件が生まれやすい流れが続いています。

なお、経済産業省の特定サービス産業動態統計は、2024年分までで終わりました。2025年からは総務省の「サービス産業動態統計調査」で追います。統計の切り替えの注意点は、SES業界の市場規模と推移|公的データで見る4つのポイントで解説しています。情報サービス業だけの売上高は、2026年7月で前年同月比8.2%増でした(JISAの集計)。

これからの伸び:クラウドとAIがけん引する見込み

今の動きの先を見ると、クラウドとAIの分野が大きく伸びると予測されています。クラウドとは、自社でサーバーを持たず、ネット経由でシステムやデータの置き場所を借りるしくみのことです。クラウドへの移行やAIの導入には、設計や移行作業の人手がかかります。

ただし、これらは民間企業による予測で、国の統計のような実績ではありません。営業で使うときは「〜という予測があります」と伝え、出典も添えましょう。国内IT市場の予測の金額はIT業界の市場規模と推移|ソフトウェア業界の動向と営業が狙う5分野の「国内IT市場の予測」で、分野ごとの中長期の見通しはIT業界の今後と動向|DX・AIで変わる需要とSES営業の備えで解説しています。

--- | --- | --- | --- |
| 国内パブリッククラウド | 4兆4,930億円(2025年) | 前年比20.3%増 | IDC Japan |
| 国内AIプラットフォーム | 3,083億円(2025年) | 2030年に2兆3,851億円 | IDC Japan |

クラウドとは、自社でサーバーを持たず、ネット経由でシステムやデータの置き場所を借りるしくみのことです。クラウドへの移行やAIの導入には、設計や移行作業の人手がかかります。

クラウドとAIの2つの数字は民間企業による予測で、国の統計のような実績ではありません。営業で使うときは「〜という予測があります」と伝え、出典も添えましょう。分野ごとの中長期の見通しは、IT業界の今後と動向|DX・AIで変わる需要とSES営業の備えで解説しています。

SES営業が見る4つの数字と、チェックする時期

SES営業が市場を追うなら、4つの数字を決まった時期に見るのが一番効率的です。全部を毎日追う必要はありません。

数字見る時期わかること営業での使い道
①情報通信業の売上高(前年同月比)毎月今、業界が伸びているか月初の営業会議の話題
②ソフトウェア投資計画年4回(短観の公表時)どの業種・規模が投資するか重点業種の選び直し
③雇用人員判断DI・求人の数字年4回・毎月人手不足の強さ単価交渉・提案の強気度
④市場規模(国内生産額・年間売上)年1回業界全体の大きさと推移会社紹介資料・採用資料

①は総務省統計局「サービス産業動態統計調査」の速報で見られます。②③は日本銀行の短観の概要PDFに載っています。④は総務省の情報通信白書が毎年まとめています。

情報サービス業の経営者の実感を知りたいときは、業界団体の調査も役に立ちます。読み方はJISAのDI調査で見る情報サービス業の景況|SES営業での読み方で紹介しています。

数字から重点先を決める5つの手順

市場の数字は、見るだけでは売上になりません。次の手順で、営業の重点先リストに落とし込みましょう。

  1. 短観のソフトウェア投資計画を開く:業種・規模別の表で、伸びが大きい上位3つに印をつけます。2026年度なら「大企業・製造業」「中小企業」「銀行業」です。

  2. 自社の取引先を業種別に分ける:今の取引先と、過去半年に届いた案件を、発注元の業種ごとに数えます。

  3. ずれを探す:投資が伸びる業種なのに、自社の案件が少ない業種を見つけます。そこが伸びしろです。

  4. 重点業種に強い会社を探す:その業種のシステムを多く手がけるSIerや元請けを、開拓リストに入れます。

  5. 3か月後に見直す:次の短観が出たら、計画が上方修正か下方修正かを確認し、重点先を入れ替えます。

重点業種のSIerと取引するには、協力会社として登録されている必要があります。流れはSIerの協力会社登録の条件と流れ|審査で見られる7項目で解説しています。エンドに直接提案するときはエンド直案件の提案書の作り方|SESの体制提案の構成と見本が使えます。

やってはいけない数字の使い方3つ

市場の数字は、使い方を間違えると信用を落とします。次の3つは避けましょう。

  • 物差しの違う数字を並べる:146.7兆円(国内生産額)と約17.9兆円(売上高)は数え方が違います。比べてはいけません。

  • 予測を実績のように話す:クラウドやAIの金額は民間の予測です。「〜になります」と言い切らないようにします。

  • 市場の伸びを自社の伸びと混同する:市場が伸びても、自社の案件が増えるとは限りません。自社の数字と分けて話します。

市場の数字を営業トークで使う例

市場の数字は、相手の業種に合わせて1つだけ使うと伝わります。いくつも並べると、かえって印象に残りません。以下は2026年9月時点の数字を使った例です。

製造業のお客さまに新規で提案するとき

「日本銀行の短観(2026年6月調査)では、大企業の製造業のソフトウェア投資計画が前年度比23.4%増でした。設計や生産管理のシステムで、10月以降の体制づくりのご相談が増えています。今、候補のエンジニアを2名ご紹介できます。」

BPのパートナー会社に協業を持ちかけるとき

「情報通信業の売上は、2026年7月まで52か月連続で前年を上回っています。弊社も案件が人材より多い状態です。10月開始の案件を中心に、人材情報を共有し合えませんか。」

社内の営業会議で方針を共有するとき

「短観では中小企業のソフトウェア投資計画が20.1%増です。来期は、中小企業向けの業務システムを作るSIerを、開拓リストに10社追加します。」

どの例でも、出典と時期を必ず添えることが信頼につながります。単価の話につなげるときは、SESの単価相場|職種別の月額目安と公的データの使い方で相場も確認しましょう。

チョータツで「伸びている分野の案件」を集める

市場の数字で重点分野を決めたら、次はその分野の案件と人材を集める番です。まずは自分でできる方法から紹介します。

自分でやる方法

  1. 届いた案件メールを、発注元の業種と技術(クラウド・AI・基幹系など)で分けてExcelに記録する

  2. 月末に、業種別・技術別の件数を数える

  3. 短観の投資計画と見比べて、足りない業種のパートナーに声をかける

この方法はお金がかかりません。ただ、案件メールが1日に何十通も届くと、記録だけで手が止まりがちです。

もっと楽にするなら:チョータツ

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が利用していて、無料で始められます。

  • 案件・人材を1か所で管理:Excelに分けて書かなくても、案件と人材の情報をまとめて管理・共有できます。

  • 他社と連携してデータベース化:他社と連携すると、連携先の営業中案件・営業中人材をデータベース化できます。重点分野の案件を探す範囲が広がります。

  • メール配信:パートナーへのメール配信機能で、重点分野の人材や案件をまとめて案内できます。

  • AIが入力を手伝う:登録の手間を減らせるので、記録が続きやすくなります。

市場の数字は「どこを狙うか」を決める材料です。実際に案件と人材を集めて提案するところを、チョータツで楽にしましょう。

よくある質問

Q. IT業界の現状は、2026年も伸びていますか?
伸びています。2026年7月の情報通信業の売上高は前年同月比6.4%増で、52か月連続の増加です(総務省統計局の速報)。
Q. IT業界の市場規模はいくらですか?
総務省の集計では、情報通信産業の国内生産額が2024年に146.7兆円です。SES企業が多い情報サービス業の売上高(経済産業省)は、2024年に約17.9兆円でした。
Q. IT業界の市場規模の推移はどうなっていますか?
情報通信産業の国内生産額は、2015年の105.6兆円から2024年の146.7兆円へ、約1.4倍に伸びました。情報サービス業は同じ期間に約1.9倍です。
Q. 国内IT市場の予測で、伸びる分野はどこですか?
民間調査会社の予測では、クラウドとAIが大きく伸びるとされています。国内AIプラットフォーム市場は、2030年に2兆3,851億円になるという予測があります。
Q. システム開発の市場規模はどのくらいですか?
経済産業省の統計で、2024年の受注ソフトウェアの売上高は約11.04兆円(前年比7.8%増)です。うちシステムインテグレーションは約7.32兆円(9.7%増)でした。
Q. SES営業は、どの数字を見ればいいですか?
毎月の情報通信業の売上高と、年4回の日銀短観(ソフトウェア投資計画・雇用人員判断DI)を見ます。年1回の情報通信白書も合わせた4つがおすすめです。

まとめ

  • 2026年のIT業界の現状は、売上が52か月連続で増加、ソフトウェア投資計画が13.5%増、人手不足も続く状態です。

  • 分野別では、システムインテグレーションが9.7%増(2024年)と一番伸びています。

  • 土台となる市場規模は、国内生産額で146.7兆円(2024年)。情報サービス業は約10年で約1.9倍に伸びました。

  • 2026年度は、大企業の製造業・中小企業・銀行のソフトウェア投資計画の伸びが目立ちます。

  • SES営業は4つの数字を決まった時期に見て、3か月ごとに重点先を見直すのがおすすめです。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

関連する記事