IT業界の今後と動向|DX・AIで変わる需要と、SES営業が増やすべき案件5領域

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

IT業界の今後は「市場は伸びるが、中身が変わる」

IT業界の今後は、市場は伸び続ける一方で、求められる仕事の中身が大きく変わると整理できます。なくなる業界ではありませんが、同じ仕事を同じやり方で続ける会社は苦しくなります。

IT業界とは、コンピューターや通信の技術を使って、商品やサービスを提供する会社の集まりのことです。ソフトウェア、情報処理サービス、通信、Web、ハードウェアなどに分けられます。

分け方はIT業界の分類とは?5つの業界と企業の種類、SESの位置づけにまとめています。ここでは、公的なデータで確認できる5つの動向を見ていきます。

#動向SES営業への影響
1市場は伸び続けている案件の総量は当面増える
2DXが進み、人材が足りない人を集められる会社が強くなる
3生成AIが広まる求められるスキルが変わる
4古いシステムの刷新と内製化刷新と内製化支援の案件が増える
5取引ルールが厳しくなる契約・支払いの見直しが必要になる

SES業界にしぼった見通しは、SES業界の今後はどうなる?AI・法改正など5つの動向と営業の備えで解説しています。

動向1:IT業界の市場は伸び続けている

1つ目の動向は、IT業界の市場が伸び続けていることです。売上の統計は、何年も前年を上回っています。

情報サービス業とは、ソフトウェアの開発や、データの処理などを請け負う業種のことです。SIerやSES企業の多くが、この業種に入ります。

経済産業省の統計では、情報サービス業の売上高は2024年に約17.9兆円で、前年比5.5%増でした。前年比のプラスは、2019年から6年続いています。

2025年からは、総務省統計局の「サービス産業動態統計調査」が同じ役割を引き継いでいます。2026年7月の速報では、情報サービス業の売上高が前年同月比8.2%増でした。増加は52か月続いています。

今の売上・投資・人手不足の動きを月ごとの数字で追う方法は、IT業界の現状と市場動向2026|SES営業が見る4つの数字で解説しています。この記事は、数年先の見通しを担当します。

動向2:DXが進み、IT人材が足りない

2つ目の動向は、DXを進めたい企業が多いのに、それを担う人が足りないことです。人材不足は、IT業界の需要の強さの裏返しでもあります。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を使って、会社の仕事の進め方や商品・サービスを変えることです。

IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」では、DXを進める人材が足りない日本企業は85.5%でした。経済産業省の2019年の試算では、2030年にIT人材が約16万〜79万人足りなくなります(中位は約45万人)。

人が足りない分野と、余るかもしれない分野

経産省の試算では、AIなどの先端IT人材は大きく不足します。AI人材だけで、2030年に約12.4万人の不足と試算されています。

一方で、シナリオによっては、昔ながらの開発・保守を担う従来型のIT人材が余る可能性も示されています。「人が足りない」は全員に当てはまるわけではありません。

くわしい数字はIT人材不足の2030年予測とデータ|経産省試算を営業目線で解説で紹介しています。

動向3:生成AIが広まり、仕事の中身が変わる

3つ目の動向は、生成AIの広がりです。プログラムを書く作業の一部をAIが手伝うようになり、仕事の中身が変わり始めています。

生成AIとは、文章や画像、プログラムなどを自動で作るAIのことです。

総務省の「令和8年版 情報通信白書」で、生成AIを活用する方針の日本企業は68.9%でした。「積極的に活用」と「領域を限定して活用」の合計で、前の年度の49.7%から大きく増えています。

IT業界の仕事への影響

私たちは、生成AIの影響を次のように見ています。

仕事の種類起こりやすいこと
決まった手順の作業(簡単な修正・テスト)AIで置きかえやすく、人数が減る可能性がある
AIを使って早く作る開発1人でできる量が増え、使える人の需要が上がる
AIを業務に組み込む仕事新しい案件として増える
要件を決める・お客さんと話す仕事AIでは置きかえにくく、価値が上がる

AIに仕事を奪われるというより、AIを使える人への需要に移っていくと考えるのが自然です。

動向4:古いシステムの刷新と内製化が進む

4つ目の動向は、古いシステムの作り直しと、企業が自社でシステムを作る「内製化」の流れです。

レガシーシステムとは、長年使われて複雑になり、直しにくくなった古いシステムのことです。2025年の崖とは、レガシーシステムが足かせになってDXが進まず、経済損失が出るおそれを表した言葉です。経済産業省が2018年の「DXレポート」で使いました。

経済産業省は2025年5月、レガシーシステムの刷新に関するレポートをまとめました。ユーザー企業には内製化を、ベンダー企業にはその支援・伴走を求める方向性を示しています。

内製化とは、システムの開発や運用を外部に任せず、自社の社員で行うことです。SES営業にとっては、「人を出す」だけでなく「お客さんの社員と一緒に作り、育てる」提案が求められる流れです。

内製化の影響はSESへの内製化の影響|ユーザー企業の動きと営業の打ち手5つで解説しています。刷新で出る案件は2025年の崖のその後|SIer需要の変化とSES営業が狙う案件にまとめています。

動向5:取引のルールが厳しくなる

5つ目の動向は、IT業界の取引ルールが厳しくなっていることです。2024年と2026年に、大きな法律の施行・改正がありました。

時期法律主な中身
2024年11月1日フリーランス法フリーランスへの取引条件の明示、受け取りから60日以内の支払期日など
2026年1月1日取適法(下請法の改正)手形払いの禁止、協議なしの一方的な代金決定の禁止など

取適法とは、仕事を頼む会社が、立場の弱い受け手に不利な取引をしないよう定めた法律のことです。下請法が改正され、名前が変わりました。

受ける側のSES企業にとっては、単価の相談をしやすくなる変化です。交渉の進め方は取適法で単価交渉の協議拒否は違反?一方的な代金決定のNG例と対処法で解説しています。

IT業界の4つの課題

IT業界の課題は、人材不足・スキルのずれ・多重下請構造・古いシステムの4つです。どれもSES営業の仕事に直接かかわります。

課題中身SES営業への影響
人材不足DX人材が足りない企業は85.5%人を出せる会社に案件が集まる
スキルのずれ先端は不足、従来型は余る可能性同じ人数でも決まりやすさに差が出る
多重下請構造1つの仕事が何社も通って流れる商流の深い会社ほど単価が下がる
古いシステム刷新が進まず、DXの足かせになる刷新の案件が増える一方、古い技術だけの人は先細る

多重下請構造とは、1つの仕事が元請けから一次請け、二次請けと、何社も通って下へ流れていくしくみのことです。

公正取引委員会は2022年に、資本金3億円以下のソフトウェア業を調べました。立場を答えた4,589社のうち、元請は40.4%でした。残りの約6割は、誰かの下で仕事を受けていることになります。

「IT業界は未来がない」と言われる理由と、データでの反論

「IT業界は未来がない」と言われることがありますが、公的データを見る限り、業界全体が縮む兆しはありません。変わるのは、伸びる分野と縮む分野の差です。

よく挙がる理由と、実際のデータを並べました。

よく言われる理由実際のデータ・見方
AIにプログラマーの仕事を奪われるAI人材は2030年に約12.4万人不足の試算。AIを使える人の需要は増える
市場はもう頭打ち情報サービス業の売上は6年続けて前年比プラス(2019〜2024年)
下請けばかりで稼げない商流の深さの問題。一次請けに近づけば条件は変わる
求人が減ってきた2026年3月の情報通信業の新規求人は前年同月比15.8%減。ただし1か月の数字で、DX人材は85.5%の企業で不足

気をつけたいのは「業界」ではなく「スキル」

求人の勢いに落ち着きが見えるのは事実です。これからは、「誰でも決まる」時期が終わり、スキルによって決まりやすさの差が広がると考えるのが自然です。

SES営業にとっての本当のリスクは、業界が縮むことではありません。自社の人材のスキルが、伸びる分野からずれていくことです。

SES営業が増やすべき案件5領域

SES営業がこれから増やしたいのは、AI・クラウド・セキュリティ・レガシー刷新・内製化支援の5領域の案件です。5つの動向とつながる分野で、需要が続きやすいと私たちは考えています。

領域増やしたい理由提案したい人材
AI活用・組み込み生成AIを活用する企業が68.9%に増えたAIツールを使った開発経験がある人
クラウド古いシステムの作り直し先になるクラウドの設計・構築経験がある人
セキュリティシステムが増えるほど守る範囲が広がるネットワーク・セキュリティの経験者
レガシー刷新古い言語と新しい技術の両方が要る古い言語の保守経験+新技術を学ぶ人
内製化支援経産省がベンダーに伴走を求めている教えながら作れる中堅〜上級の人

従来型のスキルしかない人材も、レガシー刷新の案件なら強みになります。古い言語がわかる人は、作り直しの現場で欠かせないからです。

領域を広げる5つの手順

  1. 自社とBPの人材を、5領域で分類する:スキルシートを見て、どの領域に出せるかを印をつける

  2. 案件も同じ5領域で分類する:取引先から届く案件を領域ごとに数える

  3. 足りない領域を見つける:案件が多いのに人材が少ない領域が、まず人を増やす領域

  4. 人を増やす:BPを増やす、フリーランスに声をかける、自社の人に学び直しの機会をつくる。フリーランスにはxhoursで直接スカウトを送れます

  5. 月1回、数を見直す:領域ごとの案件数と成約数を比べ、力を入れる領域を決め直す

集計は、次のような表にすると営業会議で使いやすくなります(数字は例)。

領域今月届いた案件出せる人材次の打ち手
AI活用・組み込み12件1名BPとフリーランスで候補を増やす
クラウド20件6名単価の高い案件から提案
レガシー刷新8件4名移行経験をスキルシートに追記

スカウトの文面はフリーランスエンジニアに企業がスカウトする方法|文面例と注意点で紹介しています。

チョータツで伸びる領域の案件と人材を見える化する

5領域の案件を増やすには、どの領域の案件がどれだけ来ていて、合う人材が何人いるかを把握する必要があります。

自分でやる方法

Excelで「案件一覧」と「人材一覧」を作り、それぞれに「領域」の列を足します。月末に領域ごとの件数を数えれば、足りない領域が見えます。

もっと楽にするなら:チョータツ

チョータツは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールです。3,000社以上が利用していて、無料で始められます。

  • 自社とBPの人材情報、取引先から届く案件を1か所で管理・共有できる

  • 他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる

  • パートナーへのメール配信機能で、伸ばしたい領域の人材をまとめて案内できる

  • 入力はAIが手伝う

届いた案件と人材を1か所に集めておけば、伸びる領域の案件に合う人を早く探せます。

よくある質問

Q. IT業界の今後は明るいですか?
市場全体は伸びる見込みです。情報サービス業の売上高は2019年から2024年まで6年続けて前年を上回りました(経済産業省の統計)。ただし分野によって差が広がります。
Q. IT業界はこの先、何が変わりますか?
5つの変化があります。市場の伸び、DXと人材不足、生成AIの普及、古いシステムの刷新と内製化、取引ルールの強化です。今月の数字で見た動きは、現状と市場動向の記事で確認できます。
Q. IT業界の課題は何ですか?
人材不足、スキルのずれ、多重下請構造、古いシステムの4つです。DX人材が足りない日本企業は85.5%あります(IPA、2026年)。
Q. IT業界は未来がないというのは本当ですか?
公的データでは、業界全体が縮む兆しはありません。AIで減る仕事がある一方、AIを使える人の需要は増えると見られています。
Q. SES企業はAIで仕事がなくなりますか?
決まった作業だけの案件は減る可能性があります。AI・クラウド・レガシー刷新など、伸びる領域に人材を寄せていくことが大切です。

まとめ

  • IT業界の市場は伸び続けている。情報サービス業の売上高は2024年に約17.9兆円(前年比5.5%増)

  • 5つの動向は、市場の伸び・DXと人材不足・生成AI・レガシー刷新と内製化・取引ルールの強化

  • 課題は、人材不足・スキルのずれ・多重下請構造・古いシステムの4つ

  • 「未来がない」は誤り。伸びる分野と縮む分野の差が広がると見るのが正確

  • SES営業は、AI・クラウド・セキュリティ・レガシー刷新・内製化支援の5領域の案件を増やす

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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