SESの営業ヒアリング項目30|初回商談のヒアリングシートと聞き方・確認メール例文

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SESの営業ヒアリングとは?

SESの営業ヒアリングとは、案件を持つ会社から、提案に必要な条件を漏れなく聞き取ることです。ここで聞いた内容が、そのまま人材選びと提案メールの材料になります。

ヒアリングシートとは、商談で聞く項目を一覧にした確認表のことです。毎回同じ表を使うと、営業ごとの聞き漏れが減ります。新人でも、ベテランと同じ質の情報を集められます。

SESのヒアリングでは、聞く相手が大きく3つに分かれます。

相手どんな会社かヒアリングの重点
エンドシステムを使う会社(発注の出発点)募集の背景、業務の中身、決裁の流れ
元請け・SIerエンドから直接仕事を受ける会社体制、スキル要件、面談の進め方
BP(取引先のSES企業)案件を回してくれる同業の会社商流、商流制限、精算、支払い条件

エンドとは、システムを使う発注元の会社のことです。BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。相手の位置によって、答えられる項目と答えられない項目が変わります。

ヒアリング漏れで起きる5つのトラブル

ヒアリング漏れは、提案後の「聞いていない」につながります。よくあるのは次の5つです。

聞き漏らした項目起きるトラブル防ぐ項目番号
商流・商流制限提案後に「貴社は対象外」と言われる20・21
精算幅・精算単位請求のときに控除額で揉める16・17
支払いサイトBPへの支払いが先になり、資金繰りが苦しくなる18
面談回数面談が3回あり、人材が他社で決まってしまう25
外国籍・個人事業主の可否書類通過後に「対象外」で落ちる23・27

どれも、初回商談で1分聞けば防げるものです。次の章のシートで、毎回同じ順番で確認しましょう。

→ 項目の書き方をメールに落とすならSESの条件面の書き方|案件・人材メールに入れる14項目と記入例

SES案件のヒアリングシート30項目【必須/あれば】

ヒアリング項目は、5分類・30項目です。「必須」は提案の前に必ず埋める項目、「あれば」は聞けると提案の精度が上がる項目です。

表は、そのまま社内のExcelやスプレッドシートに写して使えます。「聞き方の例」は、相手に失礼にならない言い回しの目安です。

A. 案件の中身(8項目)

#項目優先度聞き方の例
1案件名・業務の概要必須「ひとことで言うと、どんなシステムの案件ですか」
2エンド企業の業界必須「社名は伏せて大丈夫です。業界だけ教えてください」
3担当する工程必須「要件定義からですか、製造・テストからですか」
4必須スキル必須「ないと難しい、というスキルはどれですか」
5尚可スキルあれば「あると喜ばれるスキルはありますか」
6チーム体制・人数あれば「チームは何名で、どなたと一緒に動きますか」
7言語・環境・ツール必須「言語とクラウド、使うツールを教えてください」
8募集の背景あれば「増員ですか、欠員の補充ですか」

工程とは、システム開発の段階のことです。要件定義・設計・製造・テスト・運用保守の順に進みます。要件定義や設計に近い工程ほど、単価が高く、求められる経験も多くなる傾向があります。

B. 期間・場所・働き方(6項目)

#項目優先度聞き方の例
9募集人数必須「何名の募集ですか。1名ずつでも大丈夫ですか」
10開始時期必須「いつから入れる方がよいですか」
11想定期間・更新の見込み必須「長期の予定ですか。更新は何か月ごとですか」
12勤務地・最寄り駅必須「作業場所の最寄り駅を教えてください」
13リモートの頻度必須「出社は週に何日くらいですか」
14勤務時間・残業の目安あれば「始業・終業と、月の残業の目安はどのくらいですか」

C. 単価・精算・支払い(5項目)

#項目優先度聞き方の例
15単価(上限)必須「スキル見合いで、上限の目安はいくらですか」
16精算幅・割り方必須「精算幅は140〜180時間ですか。上下割ですか」
17精算単位あれば「稼働は15分単位ですか、30分単位ですか」
18支払いサイト必須「月末締めの翌月何日払いになりますか」
19交通費の扱いあれば「交通費は単価に込みですか、別で精算ですか」

スキル見合いとは、提案する人のスキルに応じて単価を決めるという意味です。上限を聞かないまま提案すると、後で単価が合わずに止まります。言葉の使い方はスキル見合いとは?SES案件の単価の意味と提示額の決め方で解説しています。

精算幅とは、月額単価のまま追加請求も値引きもしない稼働時間の範囲のことです。支払いサイトとは、締め日から入金日までの日数のことです。どちらもお金に直結するので、あいまいなままにしません。

→ 精算幅の決め方はSESの稼働時間の上限・下限の決め方|契約前の確認12項目つき

D. 商流・契約(5項目)

#項目優先度聞き方の例
20商流(貴社は何次か)必須「エンドから見て、貴社は何社目になりますか」
21商流制限・再委託の可否必須「弊社の社員までですか。1社先のBPまで可ですか」
22契約形態必須「準委任契約でのご発注でよろしいですか」
23個人事業主の可否必須「フリーランスの方でも提案できますか」
24契約書の書式と締結時期あれば「基本契約はどちらのひな形を使いますか」

商流とは、仕事がエンドから何社を通って流れてくるかという経路のことです。商流制限とは、「自社の社員まで」「1社先まで」のように、提案できる人材の所属を制限する条件のことです。

公正取引委員会は2022年6月、ソフトウェア業の取引の調査を公表しました。調査は、取引の立場を「元請」「中間下請」「最終下請」に分けています。自社がどの位置で入るかは、単価と提案できる人材の両方に影響します。

準委任契約とは、決まった業務を行うこと自体に報酬が払われる契約のことです。SESの多くはこの形で結ばれます。

→ 商流の聞き方はSESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文

E. 面談・人物要件・進め方(6項目)

#項目優先度聞き方の例
25面談回数・形式・結果連絡の目安必須「面談は何回で、オンラインですか」
26PC貸与・セキュリティ条件あれば「PCは貸与ですか。入館のルールはありますか」
27外国籍の可否・日本語レベル必須「外国籍の方は、日本語がどの程度なら可ですか」
28経験年数・役割の目安あれば「リーダー経験は必要ですか」
29提案の締切・並行提案の可否必須「いつまでに何名まで提案できますか」
30決定までの流れと決め手あれば「最後はどなたが、何を見て決めますか」

30項目のうち「必須」は20項目です。初回で20項目が埋まらない場合は、埋まらなかった項目を確認メールに書き、回答期限を決めて聞き直します。

揉めやすい項目の聞き方トーク例

聞きにくい項目ほど、理由を添えて聞くと答えてもらえます。「なぜ聞くのか」が相手に伝わると、疑われずに済みます。

商流を聞くとき

商流は、「提案の対象外になるのを防ぐため」と理由を言ってから聞きます。

例文・テンプレート
営業:念のため商流を確認させてください。
あとから対象外になって、貴社にご迷惑をかけたくないためです。
エンドから見て、貴社は何社目になりますか。
あわせて、弊社の社員までか、1社先のBPまで可かも教えてください。

単価と精算幅を聞くとき

単価は「上限」と「スキル見合い」をセットで聞きます。精算幅は数字で聞き直します。

例文・テンプレート
営業:ご予算の上限の目安はおいくらでしょうか。
経験に合わせてご提案したいので、幅で教えていただけると助かります。
精算は140〜180時間の上下割、15分単位でよろしいでしょうか。

面談回数を聞くとき

面談回数は、人材の予定を押さえるために聞くと伝えます。

例文・テンプレート
営業:面談は何回の予定でしょうか。
候補者の予定を先に押さえておきたいので、
結果のご連絡までの目安日数もうかがえますか。

外国籍の可否を聞くとき

外国籍の可否は、「可・不可」だけでなく日本語の水準まで聞きます。「日本語ネイティブ並み」なのか「業務会話ができれば可」なのかで、提案できる人が変わります。

例文・テンプレート
営業:外国籍の方のご提案は可能でしょうか。
可能な場合、日本語はどの程度あれば大丈夫ですか。
たとえば、会議での会話ができれば可、というイメージでしょうか。

外国籍エンジニアを提案するときは、在留資格の確認も必要です。なお、年齢や性別の条件を示されたときの確認のしかたと返し方は、SES案件の年齢制限・性別指定は違法?営業の確認点と返し方で整理しています。

→ 外国籍エンジニアをSESで提案する注意点|在留資格の確認と提案文

初回商談ヒアリングの進め方6ステップ

初回商談は、準備 → 背景 → 業務 → 条件 → 復唱 → 確認メールの6ステップで進めます。30分の商談なら、条件の聞き取りは15分を目安にします。

  1. 事前に相手を調べる:公式サイトで事業内容と主な取引先を見ておきます。シートの2・20番は、先に仮で埋められることがあります。

  2. 募集の背景から聞く:「なぜ今、人が必要か」を最初に聞きます。背景がわかると、合う人材の像が見えます。

  3. 業務の中身を聞く:シートのA分類(1〜8番)を埋めます。ここで相手の困りごとを深く聞きます。

  4. 条件とお金を聞く:B・C分類(9〜19番)を聞きます。単価は業務の話が済んでから聞きます。

  5. 商流と契約を聞き、復唱する:D・E分類を聞いたら、必須20項目を声に出して確かめます。

  6. 当日中に確認メールを送る:聞いた内容と、未回答の項目を書いて送ります。

聞く順番を守る理由は、いきなりお金や商流の話をすると「値段しか見ていない会社」と思われるからです。業務の話で相手の困りごとを理解したことを示してから、条件を聞きます。

信頼されるヒアリング術4つ

ヒアリングで信頼される営業は、「相手が言いにくいことを先に言う」「数字で聞く」「約束を守る」を徹底しています。すぐ使えるコツは次の4つです。

1. 自社の条件を先に出す
「弊社は二次請けの位置で、社員中心にご提案します」と先に伝えます。自分から開示すると、相手も商流や予算を話しやすくなります。

2. あいまいな答えは数字で聞き直す
「長期です」と言われたら「半年以上の見込みですか」と聞き直します。「リモート多め」なら「週何日出社ですか」と聞きます。

3. できないことは、その場で言う
条件に合う人材がいないとわかったら、その場で正直に伝えます。無理に「探します」と言って提案が遅れるほうが、信頼を失います。

4. 回答の期限を自分から決める
「10月2日(金)17時までに、候補の有無をご連絡します」と日時まで言います。約束どおりに連絡するだけで、次の案件も声がかかりやすくなります。

ヒアリングで聞いてはいけないこと・注意点

ヒアリングでは、契約上や法律上問題になる前提の話に乗らないことが大切です。特に次の3点に注意します。

1. 客先が直接指示する前提の働き方
準委任契約では、客先がSESのエンジニアに直接、仕事のやり方や時間を細かく指示できません。偽装請負とは、契約は準委任や請負なのに、実態が派遣になっている状態のことです。「現場の指示に全部従ってほしい」と言われたら、指示の出し方を確認します。

厚生労働省の疑義応答集(第3集)は、アジャイル開発の場合を整理しています。両社の開発者が対等に協働し、受注側が自律的に動くなら、偽装請負にならないとしています。一方で、実態が指揮命令なら偽装請負になるとも書かれています。

2. 面談で人を「選ぶ」前提の進め方
労働者派遣法第26条第6項は、派遣先の努力義務を定めています。派遣先は、派遣労働者を特定する目的の行為をしないよう努めます。準委任の面談の進め方も、契約形態に合わせて確認が必要です。

→ SESの事前面談は違法?営業が守りたい適法な進め方7つとNG例

3. 人材の個人情報をその場で渡すこと
スキルシートには氏名や経歴などの個人情報が入ります。個人情報保護法第27条は、本人の同意なく個人データを第三者に渡すことを原則として禁じています。商談の場で求められても、本人の同意を得た範囲でだけ渡します。

ヒアリング後に送る確認メール例文

確認メールは、商談の当日中に送ります。聞いた必須項目と、未回答の項目を分けて書くのがコツです。

例文・テンプレート
件名:【ご確認】本日のお打ち合わせ内容(〇〇案件)

株式会社〇〇
〇〇様

本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
株式会社△△の□□です。
うかがった内容を、念のためまとめました。

■ 案件:〇〇業界の基幹システム改修(設計〜テスト)
■ 必須スキル:Java 3年以上、Spring Boot
■ 開始:2026年11月2日(月)〜
■ 場所:〇〇駅(週2日出社)
■ 単価:〜70万円(スキル見合い)
■ 精算:140〜180時間・上下割・15分単位
■ 支払いサイト:月末締め翌月末払い
■ 商流:貴社(エンドから2社目)→ 弊社社員まで
■ 面談:1回(オンライン)

【ご回答をお待ちしている項目】
・外国籍の方の可否と日本語の目安
・交通費の扱い

候補者の有無は、10月2日(金)17時までにご連絡いたします。
相違がございましたら、お知らせください。

メールで残しておくと、担当者が替わっても条件がわかります。商談の最後に次の約束を取る方法は、SES営業のクロージングのコツ|商談を決めきる質問と切り返し例で解説しています。

チョータツで聞いた案件条件を管理・共有する

自分で運用するなら、Excelに30項目の列を作り、1案件1行で記録するのが一番簡単です。ただ、案件が増えると、次の3つの手間が出てきます。

場面Excel・メールでやる場合チョータツを使う場合
条件を残す営業ごとのファイルに転記案件情報として登録。AIが入力を手伝う
チームで見るファイルを探して開く案件・人材の情報をチームで共有
合う人材を探す別の人材表と見比べる自社の人材と、連携した他社の営業中人材から探す
案件を知らせるBCCで一斉送信メール配信機能でパートナーに配信

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。

ヒアリングで聞いた条件を案件ごとに登録しておけば、チームの誰でも同じ情報を見られます。他社と連携すると、相手の営業中人材もデータベースとして見られます。自社に合う人がいないときも、提案できる候補を探しやすくなります。

使い始める流れ

  1. チョータツに無料で登録する

  2. ヒアリングした案件の条件を登録する(AIが入力を手伝う)

  3. 自社の人材情報を登録し、チームで共有する

  4. 取引先と連携し、営業中人材の情報も見られるようにする

よくある質問

Q. SESの営業ヒアリングで、最低限聞くべき項目は何ですか?
次の10項目です。業務内容、必須スキル、開始時期、勤務地とリモート頻度、単価、精算幅、支払いサイト、商流、面談回数、外国籍の可否。この10項目が抜けると、提案後に対象外になりやすくなります。
Q. 初回商談で30項目すべてを聞く必要はありますか?
ありません。「必須」の20項目を優先し、「あれば」の10項目は確認メールや2回目の連絡で聞いても大丈夫です。
Q. 商流や単価を聞くと、嫌がられませんか?
理由を添えれば嫌がられにくくなります。「対象外になってご迷惑をかけないため」「経験に合わせて提案するため」と伝えてから聞きましょう。
Q. ヒアリングシートは相手に見せてもいいですか?
見せても問題ありません。事前に項目を送っておくと、相手も答えを準備でき、商談が短く済みます。
Q. ヒアリングの内容は、どこに記録するのがよいですか?
案件ごとに1か所へまとめるのがおすすめです。Excelなら1案件1行で記録し、チームで共有するならチョータツのような管理ツールを使うと探しやすくなります。
Q. ヒアリングした後、次に何をすればいいですか?
当日中に確認メールを送り、約束した日時までに候補者の有無を連絡します。候補がいれば、聞いた条件に合わせて要員提案メールを送ります。

まとめ

  • SESの初回ヒアリングは、5分類・30項目のシートで聞き漏れを防ぐ

  • 「必須」の20項目は提案前に必ず埋める。商流・精算幅・支払いサイト・面談回数・外国籍の可否は特に重要

  • 聞く順番は「背景 → 業務 → 条件 → お金 → 商流・契約」

  • 聞きにくい項目は、理由を添えて数字で聞く

  • 当日中に確認メールを送り、未回答の項目は期限を決めて聞き直す

  • 聞いた条件は案件ごとに1か所へ記録し、チームで共有する

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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