SES営業の新人教育の方法|研修内容と、用語・商流から単独商談までの90日カリキュラム(週単位)

公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日

SES営業の新人教育で最初に決めること

新人教育で最初に決めるのは、「90日後に何ができれば独り立ちか」というゴールです。ゴールがないと、教える内容が先輩ごとにばらばらになります。

SES営業とは、自社やBP(取引先)のエンジニアを、お客さんの案件に提案して契約を決める仕事のことです。仕事は大きく「案件を集める」「人材を集める」「組み合わせて提案する」「契約と稼働を見守る」の4つに分かれます。

独り立ちのゴールは、たとえば次のように決めます。

90日後にできること目安
案件メールを読んで、条件を正しく説明できる単価・商流・期間・場所を言える
自社の人材を、合う案件へ提案メールで出せる先輩のチェックなしで送れる
面談の日程調整と事前準備を1人で回せるエンジニアへの説明まで含む
BPとの単独の商談・情報交換ができる月に数回、1人で実施できる

※ 目安は社内の基準に合わせて変えてください。KPI(数の目標)の決め方はSES営業のKPIの目安|1日の提案数・面談数と1人あたり売上目標で解説しています。

最初の2週間で教える3つの基礎(用語・商流・NG)

最初の2週間は、用語・商流・偽装請負のNGの3つだけを教えます。メールを送らせるのは、この3つを説明できるようになってからです。

1. 業界用語

SES営業の会話は、専門用語が多いのが特徴です。新人がつまずきやすい言葉から覚えてもらいます。

用語意味新人がまちがえやすい点
単金(たんきん)1人月あたりの金額(月単価)「税込か税抜か」を必ず確認する
精算幅月の稼働時間の上限と下限例:140〜180時間。外れると金額が増減する
商流案件が流れてくる会社の順番自社が何番目かで単価が変わる
BPビジネスパートナー(取引先の会社)自社社員(プロパー)と区別する
面談お客さんとエンジニアの顔合わせ「人を選ぶ場」にすると偽装請負を疑われやすい

60語ほどの一覧はSES用語一覧|営業が現場で使う用語60と意味・使い方の例文つきにまとめています。新人研修のテキストとしてそのまま使えます。

2. 商流

商流とは、SESの案件が、エンド(発注元)からいくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。新人には、次の3点を必ず教えます。

  1. エンド → 元請け → 一次請け → 二次請け…と、下に行くほど単価が下がる

  2. 案件メールに書かれた「商流制限」(例:貴社社員まで)を守る

  3. 自社が何番目かわからない案件は、提案前に確認する

3. 偽装請負・二重派遣のNG

偽装請負とは、契約は準委任や請負なのに、実際はお客さんがエンジニアに直接指示を出している状態のことです。労働者派遣法や職業安定法に違反するおそれがあります。

新人のうちから、次の言動はNGと教えます。

  • 「現場の指示に全部従ってください」とエンジニアに言う

  • お客さんに「勤怠や残業はそちらで管理してください」と伝える

  • 他社(BP)所属のエンジニアを、自社が指示する形で別の会社へ出す(二重派遣・労働者供給のおそれ)

判断の基準は、厚生労働省の「37号告示」と、その疑義応答集(よくある質問集)に書かれています。社内研修では偽装請負の判断基準|SES営業が避けたいNG行為10選と予防策を教材にすると、現場の例で説明できます。

独り立ちまでの90日カリキュラム(週単位)

90日カリキュラムは4段階です。知識(1〜2週)→見学と同席(3〜6週)→一部を任せる(7〜10週)→単独(11〜13週)の順に進めます。2026年10月5日(月)入社なら、13週目は12月28日(月)からの週にあたります。

週テーマ新人がやること先輩・マネージャーがやること
1業界の全体像用語60語、SESと派遣・請負の違いを学ぶ用語テストを作る
2商流とNG偽装請負・二重派遣のNG例を説明する口頭で確認する
3情報の読み方案件・人材メールを読み、条件を書き出す書き出しを添削する
4提案メール(下書き)自社人材の提案メールを下書きする送る前に全件チェックする
5面談の見学先輩の面談に同席し、メモを取る面談後に意図を説明する
6面談の準備エンジニアへの事前説明を手伝う準備リストで確認する
7提案メール(本番)チェック付きで提案メールを送る返信率を一緒に見る
8日程調整面談の日程調整を1人で行う詰まったときだけ助ける
9BPとの情報交換先輩のBP訪問・オンライン面談に同席紹介と引き継ぎをする
10条件のすり合わせ単価・精算幅の説明を練習するロールプレイの相手をする

10週目のロールプレイは、場面ごとの台本があると先輩の負担が減ります。台本と評価シートはSES営業のロープレのやり方|場面別シナリオ6つと評価シートをそのまま使えます。

新人が最初に覚える「案件メールへの返信」例文

3〜4週目の下書き練習では、次の型を1つ覚えてもらいます。

件名:Re: 【案件】Java開発/港区/即日〜 ご提案(弊社社員)

〇〇株式会社 △△様
お世話になっております。株式会社□□の■■です。
件名の案件に、弊社社員を1名ご提案いたします。
・イニシャル:K.T/最寄り:京急線 品川駅
・スキル:Java 5年、Spring Boot 3年、詳細設計から担当
・希望単価:65万円(精算幅140〜180時間)
・稼働開始:11月1日から可能
・所属:弊社社員
スキルシートを添付いたします。ご確認のほどよろしくお願いいたします。

所属と単価の書き方をまちがえると商流のトラブルになるため、7週目までは先輩が必ず確認します。
| 11 | 単独の提案 | 提案から面談までを1人で回す | 週1回だけ確認する |
| 12 | 単独の商談 | BPと1人で情報交換・商談をする | 結果を振り返る |
| 13 | 独り立ち判定 | 90日の振り返りを発表する | 判定チェックで評価する |

1〜2週目:知識をつける

1〜2週目は、メールも電話もさせず、知識の習得だけに使います。SESの契約は準委任が中心で、指示の出し方ひとつで違法になることがあるからです。

進め方の例です。

  1. 1日目:会社の事業、取引の多い業界、主な取引先を説明する

  2. 2〜3日目:用語一覧を読み、1日20語ずつ覚える

  3. 4〜5日目:SESと派遣・請負の違いを、図を描いて説明してもらう

  4. 2週目:偽装請負・二重派遣のNG例を、自分の言葉で説明してもらう

3〜6週目:見学と同席

3〜6週目は、先輩のやり方を見て、同じものを下書きする期間です。いきなり送らせず、下書きと添削をくり返します。

提案メールの下書きでは、次の項目がそろっているかを見ます。

  • 人材の名前(イニシャル)、最寄り駅(年齢・性別は載せない)

  • 主なスキルと経験年数

  • 希望単価と、稼働できる開始日

  • 所属(自社社員かBP所属か)

文面の型は要員提案メールの例文とテンプレが参考になります。面談の同席前には、SES面談に同席する営業の役割|冒頭の話し方と助け舟の出し方を読ませておきます。

7〜10週目:一部を任せる

7〜10週目は、「送る」「調整する」を新人に任せ、判断だけ先輩が持つ期間です。任せる範囲は、ミスしても取り返せる作業から広げます。

任せる作業任せる時期の目安先輩が残す判断
提案メールの送信7週目単価の下限を決める
面談の日程調整8週目並行で提案中の案件の優先順位
BPとの情報交換9週目新しい取引を始めるかどうか
条件の説明10週目契約条件を変える交渉

11〜13週目:単独で回す

11〜13週目は、提案から面談、BPとの商談までを1人で回します。マネージャーの確認は週1回の振り返りに減らします。

13週目の最後に、次の「独り立ち判定チェック」で評価します。

独り立ち判定チェック(10項目)

独り立ちの判定は、10項目のうち8項目以上できていれば合格を目安にします。できていない項目は、次の30日の課題にします。

#確認することできた
1案件メールの単価・商流・期間・場所を説明できる□
2商流制限を守って提案できる□
3偽装請負になる指示の例を3つ言える□
4提案メールを先輩のチェックなしで送れる□
5面談の日程調整を1人で完了できる□
6エンジニアへの面談前の説明ができる□
7精算幅と、外れたときの計算を説明できる□
8BPと1人で情報交換ができる□
9案件・人材の情報を、決まった場所に記録している□
10困ったときに、誰にいつ相談するかを知っている□

9番の「決まった場所に記録している」は、見落とされやすい項目です。新人の情報が個人のメールにしか残らないと、次の新人の教材にもなりません。

研修テキストの目次例

SES営業の研修テキストは、1冊にまとめず、「基礎編」と「実務編」の2つに分けると更新しやすくなります。基礎編はあまり変わりませんが、実務編は取引先や単価の相場で毎月変わるからです。

基礎編(1〜2週目で使う)

  1. SESとは何か(準委任・派遣・請負の違い)

  2. 商流と、自社の位置

  3. 業界用語(60語)

  4. 偽装請負・二重派遣のNG例

  5. 個人情報(スキルシート)の扱い方

実務編(3週目以降で使う)

  1. 案件メール・人材メールの読み方

  2. 提案メールの型と、よくある差し戻し

  3. 面談の流れと、エンジニアへの事前説明

  4. 単価・精算幅の説明のしかた

  5. 主な取引先(BP)と、それぞれの特徴

  6. 社内の情報の置き場所と記録ルール

スキルシートには個人情報が入ります。他社に送るのは第三者提供にあたるのが原則です(個人情報保護法第27条)。本人の同意を取ってから送ることを、基礎編に入れておきましょう。

新人教育でのマネージャーの役割

SES営業のマネージャーの役割は、「毎週の振り返り」と「任せる範囲の判断」の2つです。細かい作業の教え方は、先輩(OJT担当)に任せます。

OJTとは、実際の仕事をしながら先輩が教える方法のことです。OJT担当とマネージャーの分担は、次のように決めます。

役割OJT担当(先輩)マネージャー
日々の質問に答える○―
メールの添削○月1回の抜き打ち確認
任せる範囲を広げる判断意見を出す○
週1回の振り返り同席○
独り立ちの判定意見を出す○

週1回の振り返りでは、次の3つだけを聞くと、30分で終わります。

  1. 今週できるようになったこと

  2. 今週つまずいたこと

  3. 来週から任せてほしいこと

新人が早く独り立ちする会社の共通点

早く独り立ちする会社の共通点は、先輩の案件・人材・やりとりの履歴が、会社の共有の場所に残っていることです。新人は、過去の提案を見るだけで「どの人をどの案件に、いくらで出したか」を学べます。

反対に、次のような状態だと、新人は先輩に毎回聞くしかありません。

  • 案件メールが先輩個人の受信箱にしかない

  • 人材の一覧が先輩個人のExcelにある

  • BPとの付き合いの経緯が、先輩の頭の中にしかない

この状態は属人化とよばれます。属人化とは、仕事のやり方や情報が特定の人にしかわからない状態のことです。新人教育を始める前に、情報の置き場所を整えるのが近道です。手順はSES営業の属人化を解消する方法|マニュアル作りと共有の5手順で解説しています。

自分でできる履歴の共有方法

ツールを使わなくても、次の3つで始められます。

  1. 共有のメールアドレス(例:sales@)で案件・人材メールを受ける

  2. 案件と人材の一覧を、共有のスプレッドシート1つにまとめる

  3. 提案した記録(日付・案件・人材・結果)を、同じシートに1行ずつ残す

ただし、人数や取引先が増えると、転記の手間と入力もれが増えていきます。

チョータツで先輩の履歴を共有し、新人を早く育てる

手作業での共有が大変になってきたら、SES営業向けツールのチョータツを使う方法があります。チョータツは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールで、3,000社以上が使っています。

新人教育の場面自分でやる場合チョータツを使う場合
先輩の提案を見て学ぶ先輩に聞くか、メールを転送してもらうチームで管理・共有している案件・人材の情報を見る
提案する人材・案件を探す受信箱を検索する連携した会社の営業中案件・営業中人材のデータベースから探す
情報を入力するExcelへ手で転記するAIが入力を手伝う
自社の情報を届けるBCCでメールを一斉送信メール配信機能でパートナーへ配信

新人にBP開拓を任せるときはチョータツブースト

独り立ちが近づいたら、新しい取引先(BP)の開拓を任せることもあります。そのときは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できるチョータツブーストが使えます。新人が開拓した相手も、チョータツの中の情報として先輩と共有できます。

新人が提案できる人材を増やすならxhours

新人が伸び悩む理由の1つは、提案できる人材が少なく、提案の練習回数が足りないことです。BPからの紹介だけに頼らず、ITフリーランスに直接声をかける方法もあります。

DrivenXのxhours(エックスアワーズ)は、企業がITフリーランスへ直接スカウトできるサービスです。数千名のフリーランスのデータベースから、案件に合う人を探せます。新人には「案件の条件を読み、合う人を探して声をかける」練習にもなります。

→ xhoursでITフリーランスを探す

使い始める流れ

  1. チョータツに無料で登録する

  2. 自社の案件・人材の情報を登録し、チームで共有する

  3. 新人に、先輩の登録した案件・人材を見ながら提案を下書きしてもらう

  4. 独り立ちが近づいたら、チョータツブーストでBP開拓を任せる

  5. 提案できる人材が足りなければ、xhoursでITフリーランスへ直接スカウトする

チョータツブーストは、新人のBP開拓の練習の入り口にもなります。登録はチョータツに無料で登録してブーストを使うから始められます。

新人教育でやってはいけないこと

新人教育で避けたいのは、「いきなり数を追わせること」と「NGを教えずに現場に出すこと」の2つです。

  • 初日からテレアポやメールの件数だけを追わせる:用語も商流もわからないまま送ると、取引先の信頼を失います。

  • 偽装請負のNGを教えずに面談に出す:「現場の指示に従って」と言うだけで、違法のおそれがある状態を作りかねません。

  • 先輩ごとに教え方が違う:研修テキストと判定チェックを1つに決めます。

  • 振り返りをしない:週1回、30分でよいので必ず時間を取ります。

よくある質問

Q. SES営業の新人研修は、何日くらいで行えばいいですか?
座学は最初の2週間(約10営業日)が目安です。そのうえで、OJTを含めて90日で独り立ちを目指すと、無理のない計画になります。
Q. 未経験の新人に、最初に何を教えればいいですか?
業界用語、商流、偽装請負のNGの3つです。メールを送る前に、この3つを自分の言葉で説明できるか確認しましょう。
Q. SES営業の研修テキストは、どう作ればいいですか?
「基礎編」と「実務編」に分けて作ります。基礎編は用語・商流・契約の違い、実務編は提案メールや面談の流れを入れます。
Q. SES営業のマネージャーは、新人教育で何をすればいいですか?
週1回の振り返りと、任せる範囲の判断が中心です。日々の添削や質問への回答は、OJT担当の先輩に任せましょう。
Q. 新人が90日で独り立ちできなかったら、どうすればいいですか?
判定チェックでできなかった項目だけを、次の30日の課題にします。全部をやり直す必要はありません。
Q. 新人でもエンジニアの人材を増やす方法はありますか?
BPから人材を紹介してもらうほか、ITフリーランスに直接声をかける方法もあります。DrivenXのxhours(エックスアワーズ)では、企業がITフリーランスへ直接スカウトできます。

まとめ

  • SES営業の新人教育は「知識→見学→同席→任せる」の順に、90日で進める

  • 最初の2週間は、用語・商流・偽装請負のNGだけに集中する

  • 提案メールは下書きと添削をくり返し、7週目から送信を任せる

  • マネージャーは、週1回の振り返りと任せる範囲の判断に集中する

  • 13週目に10項目のチェックで独り立ちを判定する

  • 先輩の案件・人材・提案の履歴を共有しておくと、新人は早く育つ

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日

参考資料(2026年9月30日確認)

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