SES営業のロープレのやり方|案件ヒアリングから面談同席まで場面別シナリオ6つと評価シート、週1回30分の回し方
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
SES営業のロープレとは?
SES営業のロープレとは、案件ヒアリングや要員提案などの場面を、先輩が相手役になって本番の前に練習することです。ロープレは「ロールプレイング(役を演じること)」を短くした言葉です。
一般的な営業のロープレは「お客さんに商品を売る場面」が中心です。SES営業は、相手がエンド(発注元の会社)・BP(取引先のSES企業)・エンジニアと3種類あり、練習する場面も変わります。
| 比べる点 | 一般的な営業のロープレ | SES営業のロープレ |
|---|---|---|
| 相手役 | 見込み客 | エンド・BP・エンジニア |
| 題材 | 自社の商品資料 | 案件票・スキルシート |
| 主な場面 | 商品説明・クロージング | ヒアリング・提案・交渉・連絡 |
| 大事なこと | 話の流れ | 短い時間で条件を聞きもらさない |
ここでいう案件票とは、仕事の内容・必要なスキル・単価・場所などを書いた、案件の説明書のことです。スキルシートとは、エンジニアの経歴とスキルをまとめた書類のことです。用語はSES用語一覧|営業が現場で使う用語60と意味・例文つきで確認できます。
SES営業でロープレが効く理由
SES営業でロープレが効くのは、電話1本・面談の一言で結果が決まる場面が多いからです。案件は早い者勝ちになりやすく、本番でうまく話せるまで待ってはもらえません。
新人がつまずきやすいのは、次のような場面です。
案件の電話で、商流(何社を経由するか)や精算幅を聞き忘れる
単価を上げたいのに、根拠を言えずに引き下がる
面談で、エンジニアが答えに詰まったときに黙ってしまう
客先から苦情が来たときに、その場で約束をしてしまう
どれも、1回練習しておくだけで防げるものです。新人教育の全体の流れはSES営業の新人教育の方法|研修内容と独り立ちまでの90日計画にまとめています。ロープレは、その中の「話す力」を伸ばす練習として組み込みます。
ロープレのやり方(週1回30分の回し方)
ロープレは、週1回・30分・1回1場面で回すのがおすすめです。長くやるより、短く毎週続ける方が身につきます。
30分の進め方は次のとおりです。
| 時間 | やること | 担当 |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 場面と題材を説明し、台本を相手役に渡す | マネージャー |
| 5〜12分 | 1回目のロープレ(録音しておく) | 新人・相手役 |
| 12〜20分 | 評価シートで採点し、良い点1つ・直す点1つを伝える | 見ている人全員 |
| 20〜27分 | 直す点だけ意識して2回目 | 新人・相手役 |
| 27〜30分 | 本人が「明日から変えること」を1行で書く | 新人 |
続けるための手順は、次の5つです。
場面の順番を決める:下の6つのシナリオを、1週目から順に回す
題材は本物を使う:過去の案件票とスキルシートから、名前や会社名を消して使う
相手役は先輩が交代でやる:同じ人ばかりだと相手の癖に慣れてしまう
録音して本人が聞き直す:自分の口ぐせや、聞き忘れに気づける
6週で1周したら、ひっかけを変えて2周目:同じ場面でも難しさを上げる
スキルシートは、名前・住所・生年月日などを消してから使います。本物のスキルシートを他社に送るときは、原則として本人の同意が必要です(個人情報保護法第27条第1項)。この決まりも、ロープレの中で「同意は取れていますか」と相手役が聞く形で練習できます。
場面別シナリオ6つ(相手役の台本つき)
ここからは、そのまま使えるシナリオを6つ紹介します。相手役の台本には「ひっかけ」を1つだけ入れるのがコツです。ひっかけとは、新人が気づけるかを試すための、わざとあいまいにした情報のことです。
シナリオ1:案件ヒアリング(エンドの担当者から新しい案件の相談)
設定:取引のあるエンドの担当者から「Javaの人が1人ほしい」と電話が来た
ゴール:必須スキル・期間・単価・精算幅・場所・面談回数・商流を10分で聞く
相手役の台本:「リモート中心です」とだけ言う(ひっかけ:週何日の出社があるかを聞かれるまで言わない)
新人に言わせたい一言の例です。
「リモート中心とのことですが、出社は週に何日くらいを想定されていますか。初月だけ出社が多いなどの決まりはありますか。」
聞く項目はSESの営業ヒアリング項目30|初回商談のヒアリングシート付きを手元に置いて確認させます。
シナリオ2:要員提案の電話(BPから届いた案件に人材を出す)
設定:BPから届いた案件に、自社のエンジニアを提案する電話をかける
ゴール:30秒で人材の強みを伝え、面談の候補日をもらう
相手役の台本:「他社からも2名来ています」と言う(ひっかけ:締切の時間を言わない)
「ありがとうございます。弊社のエンジニアはSpring Bootでの開発が4年あり、11月1日から参画できます。提案の締切は何時まででしょうか。今日中に面談候補日を3つお送りします。」
シナリオ3:単価交渉(契約更新のときに単価を上げてほしい)
設定:エンジニアが半年で担当範囲を広げたので、更新時に月5万円の単価アップを相談する
ゴール:根拠を2つ示し、「持ち帰って検討」をもらう
相手役の台本:「予算がないので難しい」と一度断る(ひっかけ:実は来期の予算は決まっていない)
「予算の事情は承知しています。来期の予算はいつ頃決まりますか。担当範囲が設計まで広がった点と、同じスキルの案件の単価をまとめた資料をお送りしますので、その時期に合わせてご検討いただけますか。」
交渉の時期はSESの単価交渉のタイミング|更新の何か月前か・例文と資料5点も参考になります。
シナリオ4:見送り連絡(エンジニアに不合格を伝える)
設定:面談の結果、エンジニアが見送りになった。本人に電話で伝える
ゴール:結果を最初に言い、理由と次の案件の話まで5分で終える
相手役の台本:落ち込んで「自分のどこがだめだったんですか」と聞く(ひっかけ:客先の理由は「経験年数が少し足りない」だけ)
「今回は見送りという結果でした。先方からは、スキルは十分だが経験年数があと1年ほしい、と聞いています。〇〇さんの力が足りないという話ではありません。今週中に、経験年数の条件が合う案件を2件ご紹介します。」
シナリオ5:クレーム一次対応(客先から遅刻が続くと連絡が来た)
設定:客先の担当者から「エンジニアの遅刻が今月3回目だ」と電話が来た
ゴール:謝罪し、事実を確かめる時間をもらい、次の連絡の時刻を約束する
相手役の台本:「別の人に替えてほしい」と強く言う(ひっかけ:その場で交代を約束させようとする)
「ご迷惑をおかけし申し訳ございません。まず本人に事情を確認し、本日17時までに改めてご連絡します。交代も含めた対応は、事実を確認したうえでご相談させてください。」
その場で交代や値引きを約束しないことが、この場面でいちばん大事な点です。
シナリオ6:面談同席(エンジニアが質問に答えられない)
設定:客先との面談に同席している。エンジニアが「障害対応の経験は?」に詰まった
ゴール:うそをつかずに、本人の経験を引き出す助け舟を出す
相手役の台本:客先役とエンジニア役の2人で行う(ひっかけ:エンジニアは本当は夜間の障害対応を2回経験している)
「〇〇さん、前の案件で夜間にサーバーが止まったとき、復旧の手順書を作っていましたよね。そのときのことをお話しいただけますか。」
同席のコツはSES面談に同席する営業の役割|冒頭の話し方と助け舟の出し方でくわしく解説しています。
ロープレの評価シート(5項目×4段階)
ロープレの評価は、5項目を4段階で採点する評価シートを使います。項目を増やしすぎると、見ている人が採点に追われます。
| 項目 | 見るポイント | 1点の状態 | 4点の状態 |
|---|---|---|---|
| 結論を先に言う | 用件・結果を最初に言えたか | 前置きが長く、用件が最後 | 最初の1文で用件を言えた |
| 聞きもらし | 決められた項目を全部聞けたか | 半分以上もれた | ひっかけにも気づけた |
| 根拠を示す | 数字・事実で話せたか | 「たぶん」「頑張ります」が多い | 数字と事実で説明できた |
| 約束の範囲 | できない約束をしなかったか | その場で交代・値引きを約束した | 持ち帰る点を言葉にできた |
| 次の行動 | 次に何をするか決めて終われたか | 「また連絡します」で終わった | 日時と内容を約束して終えた |
2点・3点は、1点と4点の間として採点します。合計20点のうち、16点以上をその場面の合格とするのが目安です。
評価シートの記入欄は、次のように作ります。
【ロープレ評価】2026年10月7日 場面:シナリオ3 単価交渉 新人:□□ 相手役:◇◇ 見た人:△△ 結論を先に言う :3 聞きもらし :2(来期予算の時期を聞けなかった) 根拠を示す :3 約束の範囲 :4 次の行動 :2(資料を送る日を決めていない) 合計:14 / 20 良かった点:「予算の事情は承知しています」と受け止めてから話せた 直す点 :資料を「いつ」送るかを言って終える 本人の一言:明日から、電話の最後に次の連絡の日時を必ず言う
ロープレの結果は、評価面談でも使えます。営業スキルマップの作り方|SES営業の評価基準と項目例・シート例の項目とつなげてください。
フィードバックの伝え方
フィードバックは、「良かった点1つ→直す点1つ→すぐやり直し」の順で伝えます。直す点を3つも4つも言うと、2回目で何も変わりません。
伝えるときの決まりは、次の4つです。
良かった点は、言葉をそのまま引用してほめる(例:「予算の事情は承知しています、が良かった」)
直す点は1つにしぼる(ほかは評価シートに書くだけ)
直し方を言い方の例で示す(「もっと自信を持って」ではなく「〇〇と言ってみて」)
2回目で直せたら、その場で伝える
ロープレでやってはいけない4つのこと
ロープレは、やり方を間違えると新人の自信をなくすだけで終わります。次の4つは避けてください。
大勢の前で1人だけやらせる:見る人は2〜3人までにする
相手役がひっかけを増やしすぎる:1回のロープレで試すことは1つだけにする
評価シートなしで感想を言い合う:言う人によって基準が変わる
本物の個人情報をそのまま使う:名前・連絡先・生年月日は必ず消す
チョータツでロープレの題材と本番の記録をそろえる
ロープレの題材は、実際に扱った案件と人材がいちばんです。自分で準備する場合は、次の手順になります。
自分でやる方法
過去の案件メールから、場面に合う案件を1つ選ぶ
案件票の会社名・担当者名を消して、題材用に書き直す
合わせる人材のスキルシートから、名前などを消す
相手役の台本と一緒に、共有フォルダに置く
もっと楽にするなら
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が利用し、無料で始められます。案件と人材がチームで1か所にまとまるので、題材探しの時間が減ります。
| やること | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 題材の案件を探す | 過去のメールを検索する | 共有された案件の一覧から選ぶ |
| 題材の人材を探す | 担当者ごとのExcelを見る | 共有された人材の一覧から選ぶ |
| 本番の提案に移る | 新人が自分でBPに聞き回る | 連携した他社の営業中案件・人材も見られる |
ロープレで練習したあとの本番では、パートナーへのメール配信機能も使えます。新人が「練習した場面を、すぐ本番で試す」流れを作りやすくなります。
よくある質問
- Q. SES営業のロープレは、どのくらいの頻度でやればいいですか?
- 週1回30分がおすすめです。1回に1場面だけ練習し、6週で6つのシナリオを1周させます。
- Q. 新人のロープレで、最初に練習する場面はどれですか?
- 案件ヒアリングです。聞きもらしがあると、そのあとの提案・面談・契約がすべてずれるからです。
- Q. SESの面談の練習もロープレでできますか?
- できます。客先役とエンジニア役の2人を用意し、営業は同席者として助け舟を出す練習をします。
- Q. ロープレの相手役は誰がやるのがよいですか?
- 経験のある先輩が交代で行います。同じ人ばかりだと、新人が相手の癖に慣れてしまいます。
- Q. ロープレで本物のスキルシートを使ってもいいですか?
- 名前・連絡先・生年月日などを消してから使います。社内の練習でも、個人を特定できる情報は残さないのが安全です。
まとめ
SES営業のロープレは、本物の案件票とスキルシートを題材に、週1回30分で回す
練習する場面は、ヒアリング・提案電話・単価交渉・見送り連絡・クレーム一次対応・面談同席の6つ
相手役の台本には、ひっかけを1つだけ入れる
評価は5項目×4段階の評価シートで行い、16点以上を合格の目安にする
フィードバックは「良かった点1つ→直す点1つ→すぐやり直し」
題材と本番の案件は、チョータツでチームに共有しておくと準備が早い
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(第27条第1項 第三者提供の制限)
厚生労働省「職業能力評価基準について」(仕事に必要な知識・技術と職務行動例を職種別に整理した基準。評価シートの項目づくりの参考)
厚生労働省「職業能力評価シート」