SES営業の市場価値とは?買い手市場・売り手市場で変わる評価のされ方と、現場で評価される7つのスキル・90日の伸ばし方
公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日
SES営業の市場価値とは?
SES営業の市場価値とは、ほかの会社から見て、その営業担当者にどれだけ価値があるかのことです。具体的には、「この人がいると、案件と人材がどれだけ決まり、どれだけ利益が出るか」で測られます。
SES営業の仕事は、案件(エンジニアを求める仕事)と人材(エンジニア)を結びつけることです。どちらか一方だけでは売上になりません。
そのため、市場価値も「案件を持ってくる力」と「人材を持ってくる力」の2つで考えるとわかりやすくなります。
買い手市場と売り手市場で、評価されるSES営業は変わる
SES営業の市場価値は、案件と人材のどちらが足りないかで変わります。足りない側を持ってこられる営業が、その時々で高く評価されます。
買い手市場とは、買う側(お金を払う側)が有利な状態のことです。SESでは、案件より人材が多く、発注する会社がエンジニアを選べる状態を指します。
売り手市場とは、売る側が有利な状態のことです。SESでは、人材より案件が多く、エンジニアやSES企業が案件を選べる状態を指します。
| 市場の状態 | 足りないもの | 評価される営業 |
|---|---|---|
| 売り手市場(人が足りない) | エンジニア | BPやフリーランスから人を集められる営業 |
| 買い手市場(案件が足りない) | 案件 | エンドや元請けから案件を取れる営業 |
今はどちらの市場か:スキルで分かれる
今のSES市場は、スキルによって売り手市場と買い手市場に分かれています(2026年9月時点)。IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2025」では、DXを進める人材が足りない日本企業は85.1%でした。
ただし、経済産業省の試算では、AIなどの先端IT人材は大きく不足します。一方で、昔ながらの従来型IT人材は、学び直しが進まないと余る可能性があります。
一方、厚生労働省の調査では、2026年3月の情報通信業の新規求人が前年同月より15.8%減りました。つまり、スキルごとに市場が分かれていると考えられます。先端スキルの人は売り手市場、従来型スキルだけの人は買い手市場に近づきます。
詳しいデータはIT人材不足の2030年予測とデータで解説しています。
SES営業の市場価値を決める7つのスキル
SES営業の市場価値を決めるのは、BP網・上流開拓・技術理解・単価交渉・法令知識・情報処理・キャリア支援の7つです。どのスキルも、相手の話を聞いて調整するコミュニケーション力が土台になります。
| # | スキル | 評価される理由 | 伸ばし方の例 |
|---|---|---|---|
| 1 | BPネットワーク | 人材不足でも提案できる | 毎月、新しい取引先を開拓する |
| 2 | 商流の上流開拓 | 単価と粗利が上がる | エンド・元請けへ営業する |
| 3 | 技術の理解とマッチング | 決まる確率が上がる | 案件の技術用語を調べる習慣 |
| 4 | 単価交渉と粗利管理 | 会社の利益に直結する | 案件ごとの粗利を記録する |
| 5 | 契約・法令の知識 | トラブルを防げる | 偽装請負や法改正を学ぶ |
| 6 | 情報処理のスピード | 早く提案できる | 情報を1か所にまとめる |
| 7 | エンジニアのキャリア支援 | 人が離れず、単価も上がる | スキルが伸びる案件を選ぶ |
1. BPネットワーク:人材を集める力
BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。BPが多い営業ほど、自社にいないスキルの人材でも提案できます。
売り手市場で一番評価されるのが、このBPネットワークです。数だけでなく、毎月情報交換している「動いている取引先」が何社あるかが大切です。探し方はSESパートナー募集企業の一覧と探し方7選にまとめています。
2. 商流の上流開拓:案件を取る力
商流とは、仕事がエンド(発注元)から、いくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。エンドや元請けに近い案件ほど、途中で引かれるお金が少なく、単価が高くなりやすいです。
買い手市場で評価されるのが、この上流を開拓する力です。エンドと直接つながれる営業は、会社を問わず求められます。
進め方はSESのエンド開拓のやり方7ステップを参考にしてください。一次請けと二次請けの単価差はSESの一次請け・二次請けの違いで解説しています。
3. 技術の理解とマッチング
案件の中身とエンジニアのスキルを正しく理解できる営業は、面談の通過率が上がります。エンジニアでなくても、「Java」「AWS」「PMO」などの意味と、よく組み合わさる技術を知っておけば十分に役立ちます。
面談で案件側に確認する質問を準備しておくのも効果的です。質問例はSES面談で営業が聞くべき深掘り質問27にあります。
4. 単価交渉と粗利管理
粗利とは、売上から仕入れ(エンジニアへの支払いやBPへの支払い)を引いた利益のことです。同じ1件でも、粗利を意識して交渉できる営業は、会社への貢献が大きくなります。
粗利率の目安と計算式はSESの粗利率の平均と上げる方法で解説しています。単価を上げる相談はタイミングと根拠が大切で、SESの単価交渉のタイミングと例文に資料と例文をまとめました。
5. 契約・法令の知識
契約や法律の知識がある営業は、トラブルを未然に防げます。
偽装請負とは、準委任や請負の契約なのに、実態が労働者派遣になっている状態のことです。発注者がエンジニアに直接指示を出すのが典型例です。判断のポイントは偽装請負の判断基準とNG行為10選で確認できます。
2024年11月1日にフリーランス法、2026年1月1日に取適法(改正下請法)が施行されました。法改正の動きはSES業界の今後と5つの動向で整理しています。
6. 情報処理のスピード
SES営業には、毎日たくさんの案件メール・人材メールが届きます。必要な情報を早く見つけて提案できる営業ほど、決まる件数が増えます。
情報処理が遅いと、ほかの6つのスキルに使う時間が減ってしまいます。7つの中で最初に手をつけたいスキルです。
7. エンジニアのキャリア支援
エンジニアのスキルが伸びる案件を選べる営業は、エンジニアから信頼されます。信頼されると、エンジニアが長く自社にいてくれるうえ、スキルが上がって単価も上がります。
経産省の試算では、従来型から先端へ学び直しが進むほど、IT人材の不足は小さくなります。AIやクラウドの経験が積める案件を優先して紹介することは、エンジニアの市場価値と営業自身の市場価値の両方を上げます。
自分の市場価値を数字でチェックする方法
自分の市場価値は、取引BP数・稼働人数・成約数・粗利・商流の位置・開拓社数の6つの数字で確認できます。数字で示せると、社内の評価やチームの目標づくりで伝わります。
| チェック項目 | 書き出す数字の例 |
|---|---|
| 動いている取引先(BP)の数 | 毎月やりとりしている会社が何社か |
| 担当している稼働人数 | 自分が決めて、今稼働しているエンジニアが何人か |
| 月あたりの成約数 | 1か月に何件決めたか |
| 粗利の合計 | 担当案件の粗利が月いくらか |
| 商流の位置 | 担当案件のうち、元請け・一次請けの割合 |
| 開拓した取引先の数 | 自分で新しく開拓したエンドやBPが何社か |
数字が出せないときの考え方
数字をすぐに出せないのは、情報がメールやExcelにバラバラに散らばっているからかもしれません。まずは担当案件と人材を1つの一覧にまとめ、毎月数字を記録するところから始めましょう。
市場価値を伸ばす90日のステップ
市場価値は、次の3つの段階で90日かけて伸ばすのがおすすめです。最初に時間をつくり、その時間で評価されるスキルを伸ばす順番です。
1〜30日目:情報処理を効率化して時間をつくる
届く案件・人材の情報を1か所にまとめ、探す時間を減らします。浮いた時間を記録しておくと、次の段階の計画が立てやすくなります。31〜60日目:BPを増やし、人を集める力をつける
毎週1〜2社の新しい取引先に連絡します。すでにある取引先とは、月1回は近況を伝え合う関係をつくります。61〜90日目:上流を開拓し、案件を取る力をつける
担当案件の商流を一覧にし、一段上の会社への営業を始めます。単価交渉ができそうな案件も洗い出します。
自分でやる場合の道具
ツールを使わずに進めるなら、Excelで「案件一覧」「人材一覧」「取引先一覧」の3つのシートをつくります。毎朝、届いたメールから新しい案件・人材を書き写し、決まったものを消していきます。
無料で始められる反面、取引先が増えるほど、書き写す作業が1日の大きな時間を占めるようになります。シートの作り方はSESの案件・人材管理をExcelで無料で行う方法が参考になります。
チョータツで情報処理の時間を減らし、評価される仕事に集中する
7つのスキルのうち「情報処理のスピード」は、ツールを使うと大きく改善できます。探す・写す時間が減れば、BPの開拓や上流の営業に時間を回せます。
| 作業 | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| BPの案件・人材を把握する | メールを読んでExcelに転記 | 連携先の営業中案件・営業中人材がデータベースになる |
| 自社の案件・人材を登録する | 1件ずつ手入力 | AIが入力を手伝う |
| 自社の情報を届ける | BCCでメールを一斉送信 | メール配信機能でパートナーに配信 |
チョータツでできること
チョータツとは、SES営業の案件・人材を管理・共有するためのツールのことです。3,000社以上が使っており、無料で始められます。
自社の案件・人材の情報を管理・共有できる(AIが入力を手伝う)
他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる
パートナーへのメール配信機能がある
連携する取引先が増えるほど、見られる案件・人材も増えます。つまり、BPネットワークを広げる努力が、そのまま情報の多さにつながるしくみです。
市場価値が上がりにくいSES営業の特徴
市場価値が上がりにくいのは、情報を流すだけで、商流・契約・数字を見ていないSES営業です。次の5つに当てはまるものがあれば、1つずつ見直しましょう。
メールの転送だけで終わっている:届いた案件・人材を、中身を見ずに別の会社へ流すだけでは、誰でもできる仕事になります。
商流を気にしていない:何次請けの案件かを知らないまま提案すると、単価も粗利も上がりません。
取引先が固定されている:同じ数社とだけ取引していると、市場の変化に弱くなります。
契約の中身を確認しない:精算幅や再委託のルールを見ずに進めると、トラブルの原因になります。
数字を記録していない:成果を説明できず、社内の評価で損をします。
市場価値は、評価・報酬・任される仕事に表れる
SES営業の市場価値は、社内の評価、報酬、任される仕事の広さの3つに表れます。数字で成果を示せる営業ほど、上流の顧客やチームの管理を任されやすくなります。
| 表れる場所 | 市場価値が高い営業の例 |
|---|---|
| 社内の評価 | 粗利と稼働人数を毎月説明できる |
| 報酬 | 粗利に連動した評価で差がつきやすい |
| 任される仕事 | エンド担当、チームリーダー、BP窓口 |
営業責任者がチームの市場価値を上げるには
営業責任者は、7つのスキルを評価の項目に入れるのがおすすめです。成約数だけで評価すると、メールを流すだけの営業が増えやすいからです。
具体的には、「開拓した取引先の数」「元請け・一次請けの割合」「粗利」を毎月同じ表で確認します。数字がそろうと、誰にどのスキルを伸ばしてもらうかが決めやすくなります。
よくある質問
- Q. SES営業の市場価値は高いですか?
- 人を集める力と案件を取る力の両方がある営業は、評価されやすいです。IT人材の不足が続く中、人材を集められる営業はとくに求められています。
- Q. SES業界は今、買い手市場ですか、売り手市場ですか?
- スキルによって分かれていると考えられます。先端IT人材は不足が続く一方、従来型のスキルだけの人材は、案件が決まりにくくなる可能性が示されています。
- Q. SES営業に必要なスキルは何ですか?
- 次の7つです。BPネットワーク、商流の上流開拓、技術の理解、単価交渉と粗利管理です。さらに、契約・法令の知識、情報処理のスピード、エンジニアのキャリア支援です。
- Q. 営業チーム全体の市場価値を上げるには、何をすればいいですか?
- まず、チーム全員の数字(取引BP数・稼働人数・粗利・商流の位置)を同じ表で記録しましょう。そのうえで、情報を1か所にまとめ、BP開拓と上流開拓に使える時間を増やします。
- Q. SES営業は「誰でもできる仕事」と言われますが、本当ですか?
- メールの転送だけなら、誰でもできる仕事になります。商流を上げる開拓、粗利を意識した交渉、法令の知識がある営業は、代わりがききにくく評価されます。
- Q. 未経験からSES営業の市場価値を上げるには、何から始めればいいですか?
- まず情報を1か所にまとめて探す時間を減らし、その時間でBPを増やしましょう。技術用語は、担当する案件に出てくるものから覚えるのが近道です。
まとめ
SES営業の市場価値は、「足りないもの」を持ってこられるかで決まる
人が足りない時期は人を集める力、案件が足りない時期は案件を取る力が評価される
今はスキルによって市場が分かれている。人を集める力と案件を取る力の両方が必要
評価される7つのスキルは、BP・上流開拓・技術理解・単価交渉・法令知識・情報処理・キャリア支援
まず情報処理を効率化して時間をつくり、BPと上流の開拓に回す
本記事は一般的な情報であり、法的助言ではありません。個別の契約や取引は、弁護士などの専門家に確認してください。
運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日
参考資料(2026年9月28日確認)
経済産業省「IT人材需給に関する調査(概要)」(2019年4月)
IPA(情報処理推進機構)「DX動向2025-AI時代のデジタル人材育成」(2025年10月9日)
IPA(情報処理推進機構)「DX動向2025」
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