営業スキルマップの作り方|SES営業の評価基準(4段階)と項目例18・シート例

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

営業スキルマップとは?

営業スキルマップとは、営業に必要なスキルを項目ごとに並べ、1人ずつの今のレベルを表にしたものです。「力量表」「スキル表」と呼ぶ会社もあります。

スキルマップがあると、「何ができれば一人前か」が文字で決まります。上司の感覚ではなく、同じ物差しで育成と評価ができるようになります。

スキルチェック表・評価制度との違い

似た道具との違いは、次のとおりです。

道具何を見るか主な使い道
スキルチェック表今できるか、できないか本人の自己採点・弱点探し
営業スキルマップ項目ごとのレベル(段階)育成計画・評価面談・配置
評価制度スキル+成果+行動給与・賞与・昇格の決定

スキルマップは、評価制度の中の「スキル」の部分を支える表です。成果(売上・粗利)だけで評価すると、担当顧客の運に左右されます。スキルマップを足すと、成果が出る前の成長も評価できます。

なお、客先に常駐するエンジニアの評価は別の考え方が必要です。エンジニア向けはSESの評価制度の作り方|客先常駐でも公平に評価する5つの軸で解説しています。この記事は営業担当を評価するためのスキルマップに絞ります。

近い記事との役割分担は次のとおりです。必要な力の一覧と育てる順番は営業スキル一覧|SES営業に必要な力10個と身につける順番で扱います。半期の数字と行動をまとめて採点する用紙はSES営業の評価シートの作り方|数字と行動の評価項目と記入例で扱います。この記事は、その間にある「スキルの段階表」の作り方です。

公的な評価の物差しもある

厚生労働省は、仕事に必要な知識・技能と「成果につながる職務行動例」を整理した「職業能力評価基準」を公開しています。業種をまたぐ事務系職種の中には「営業・マーケティング・広告」も含まれています。

同じページでは、チェック形式の「職業能力評価シート」も配られています。本人と上司がそれぞれチェックし、認識の違いを伝え合う使い方が示されています。この記事の進め方も、同じ考え方です。

SES営業にスキルマップが必要な理由

SES営業は、成果が「案件の運」と「要員の空き状況」に左右されやすいため、スキルを別に測る表が必要です。

たとえば、担当するBPが強い営業は、スキルが同じでも成約が増えます。反対に、待機中の要員が少ない月は、どんなに上手な営業でも数字が伸びません。

スキルマップがないと、次のような問題が起きます。

  • 評価が「今月の売上」だけで決まり、新人がやる気をなくす

  • 商流確認を飛ばす営業が、売上が高いという理由で評価される

  • 「何をできれば昇格か」を説明できず、中堅が辞めてしまう

  • 教える人によって、新人に教える内容がばらばらになる

特に商流確認のように、できていないと後でトラブルになるスキルは、売上には表れません。スキルマップで項目として見える化することが大切です。

SES営業スキルマップの項目例【5領域18項目】

SES営業のスキルマップは、仕事の流れに沿って5領域に分けると作りやすいです。「案件理解→商流確認→提案→交渉→BPとの関係」の順です。1領域あたり3〜4項目にすると、評価面談で話し切れる量になります。

領域1:案件理解(4項目)

No項目見るポイント
1案件メールの読み解き必須スキル・工程・時期・単価を正しく拾える
2不足情報の質問足りない条件をすぐに質問して埋められる
3技術用語の理解言語・工程・環境の意味を説明できる
4案件の優先順位づけ決まりやすい案件から動ける

領域2:商流・条件確認(4項目)

No項目見るポイント
5商流の確認何次請けか、再委託の可否を提案前に聞ける
6条件面の確認精算幅・支払いサイト・面談回数を確かめる
7契約形態の確認準委任か派遣かを確かめ、指揮命令の注意を守る
8並行営業の管理同じ人材の二重提案を防げる

商流の聞き方は、SESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文に質問例をまとめています。

領域3:提案(4項目)

No項目見るポイント
9マッチング案件と人材の合う点・合わない点を説明できる
10提案メールの作成1通で条件が伝わる提案文を書ける
11提案スピード案件を受けて当日中に提案できる
12面談の段取り事前準備と結果の追いかけまで回せる

領域4:交渉(3項目)

No項目見るポイント
13単価交渉根拠を示して単価を上げる・守る話ができる
14粗利の計算仕入れ値と売値から粗利をすぐ出せる
15延長・終了の交渉契約更新の時期に先回りして動ける

領域5:BPとの関係(3項目)

No項目見るポイント
16BPとの情報交換定期的に案件・人材を出し合うBPがいる
17新規BPの開拓自分で新しい取引先をつくれる
18トラブル時の対応途中終了や遅延で、関係を壊さず調整できる

全部で18項目です。会社の規模や役割によって、使わない項目は外してかまいません。営業事務が提案を手伝う会社なら、領域1と領域3だけの短い版を作る方法もあります。

評価基準は4段階がおすすめ

SES営業のスキルマップは「レベル1〜4」の4段階で評価するのがおすすめです。3段階だと差が出にくく、5段階だと上司ごとに採点がぶれやすくなります。

レベル状態目安となる人
1教わりながらならできる入社〜3か月の新人
21人でできる独り立ちした担当者
3安定して成果が出る中堅・主力の営業
4人に教えられる・仕組みにできるリーダー・責任者

レベル4を「教えられる」にしている点がポイントです。自分だけが上手な状態を最高点にすると、ノウハウが人に閉じたままになります。教えられる人を高く評価すると、チーム全体の力が上がります。

項目ごとの基準文の例

4段階の言葉だけだと、採点する人によって解釈が変わります。重要な項目には、レベルごとの具体的な行動を書いておきます。

レベル5. 商流の確認13. 単価交渉
1上司に言われると商流を聞ける上司の同席で単価の話ができる
2全案件で提案前に商流を聞いている希望単価と根拠を自分で伝えられる
3聞き方を工夫し、上位商流の案件を増やせる延長時の単価アップを毎回打診できる
4商流確認のルールを作り、新人に教えている交渉の型を資料にし、チームに広めている

基準文は「〜できる」「〜している」のように、見て確かめられる行動で書きます。「意識が高い」「積極的」のような言葉は、採点の根拠にできないので避けます。

営業スキルマップのシート例と記入例

シートは「項目・本人評価・上司評価・根拠」の4列で作ると、スマホでもExcelでも扱いやすいです。レベルの数字を入れ、根拠の欄には事実を1行で書きます。

シート例(記入例:入社1年目のAさん、2026年10月評価)

項目本人上司根拠(事実)
1. 案件メールの読み解き329月は条件の読み違いが2件あった
5. 商流の確認229月の提案15件すべてで商流を確認済み
11. 提案スピード33受けた案件の8割に当日中に提案した
13. 単価交渉21延長時の単価の打診は上司同席の1件のみ
16. BPとの情報交換12月1回やりとりするBPが2社ある

この例では、本人と上司の点数がずれた3項目(1・13・16)を面談で話します。16は上司の評価のほうが高いので、本人の自信につながる話ができます。

シートに入れておくとよい欄

  • 評価した日(例:2026年10月1日)

  • 評価する人の名前(本人・上司)

  • 前回のレベル(伸びが見えるようにする)

  • 次の3か月で伸ばす項目(1〜2個に絞る)

Excelで作る場合は、1人1シートにせず、1行=1人×1項目の形で縦に並べると集計しやすくなります。チームの平均や、レベル1が多い項目がすぐにわかります。

営業スキルマップの作り方【6ステップ】

営業スキルマップは、項目を決める→基準を書く→試しにつける→直す、の順で作ります。最初から完璧を目指さず、1回使ってから直すのが早道です。

  1. 目的を決める:育成に使うのか、評価(給与)にも使うのかを先に決めます。評価にも使うなら、基準文をより細かく書きます。

  2. 項目を洗い出す:できる営業の1週間の仕事を書き出します。この記事の18項目を土台にし、自社にない仕事は外します。

  3. レベルの基準を書く:4段階の共通の定義を決めます。重要な5項目ほどは、レベル別の行動も書きます。

  4. 試しに採点する:営業2〜3人と上司で、1回つけてみます。採点に迷った項目は、基準文があいまいな証拠です。

  5. 基準を直して全員に配る:迷った項目の文を直します。完成版は全員に見せ、評価の物差しを隠さないようにします。

  6. 3か月ごとに見直す:採点と面談を3か月ごとに行います。仕事の変化に合わせて、項目も年1回は見直します。

目標の立て方と組み合わせる場合は、営業目標の立て方|SES営業の個人目標・行動目標の例文と決め方も参考にしてください。スキルの伸びを「行動目標」にすると、日々の仕事と結びつきます。

評価面談でのスキルマップの使い方

評価面談では、点数そのものより「本人と上司のずれ」と「次に伸ばす1項目」を話すことに時間を使います。全18項目を順番に読み上げると、面談が長くなるだけで終わります。

面談の進め方(30分の例)

  1. 本人と上司が、面談の前にそれぞれ採点しておく(各10分)

  2. 面談の最初に、ずれた項目を2〜3個だけ選ぶ(5分)

  3. ずれた項目ごとに、根拠の事実を出し合う(15分)

  4. 次の3か月で伸ばす項目を1つ決め、練習方法を決める(10分)

練習方法は、ロープレ(役を決めて本番のように練習すること)にすると効果が見えやすくなります。単価交渉や商流の聞き方の台本は、SES営業のロープレのやり方|場面別シナリオ6つと評価シートにあります。

面談で使う言い方の例

点数がずれた項目は、責める言い方を避け、事実から入ります。

例文・テンプレート
「13番の単価交渉、Aさんは2、私は1をつけました。
延長のときに自分から単価の話を切り出したのは、9月は同席の1件だけでしたよね。
次の3か月で、延長の打診を1人で2件やってみましょう。
最初の1件は、事前に言い方を一緒に練習しましょうか。」

成果の数字と組み合わせる

スキルマップだけで給与を決めると、「できるけれど成果が出ない」状態を見逃します。評価に使うときは、スキル(スキルマップ)と成果(KPIや粗利)の両方で見ます。

評価の軸見るもの例
スキルスキルマップのレベル18項目の平均・重点項目のレベル
行動行動の量提案数・面談数
成果結果の数字成約数・粗利

提案数や面談数の目安は、SES営業のKPIの目安|1日の提案数・面談数と1人あたり売上目標で整理しています。採用面接でも同じ項目で見ると、入社後の育成計画がすぐ立てられます。面接での聞き方はSES営業の採用面接の質問30|見極めたい5つの力と評価表で紹介しています。

スキルマップ作りでやってはいけないこと

スキルマップは、作り方を間違えると「書くだけの表」になり、誰も使わなくなります。よくある失敗は次の4つです。

  • 項目を増やしすぎる:40項目を超えると、採点だけで1時間かかります。20項目前後に絞ります。

  • 基準文があいまい:「提案力がある」では採点がぶれます。「当日中に提案できる」のように行動で書きます。

  • 上司だけが採点する:本人が納得しません。本人評価と上司評価を必ず並べます。

  • 評価だけに使う:点数をつけて終わると、育成につながりません。毎回「次に伸ばす1項目」を決めます。

また、スキルマップの点数で人を比べて順位を貼り出すのはおすすめしません。スキルマップは、本人の成長を助けるための表として使うと続きます。

チョータツで「採点の根拠」を集めやすくする

スキルマップの採点で一番手間がかかるのは、根拠となる事実を集めることです。提案の記録がメールや個人のExcelに散らばっていると、上司は面談の前に何時間も探すことになります。

自分たちでやるなら、次の3つを決めるだけでも楽になります。

  1. 提案した案件と人材を、共通のExcelに1行ずつ記録する

  2. 商流・単価・結果の欄を必ず埋めるルールにする

  3. 月末に上司が5分だけ確認する

もっと楽にするなら、DrivenXのチョータツを使う方法があります。チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールです。

困りごとチョータツでできること
案件・人材の情報が人ごとにばらばらチームで同じ場所に管理・共有できる
入力が面倒で記録が続かないAIが入力を手伝う
パートナーへの案件・人材の案内に時間がかかるメール配信機能で送れる
他社の営業中案件・人材を追い切れない他社と連携すると、データベース化できる

また、チョータツメールAIを使うと、届いたメールをAIが案件メールと人材メールに切り分けます。転送設定で取り込めるので、新人が「案件メールの読み解き」(項目1)を練習する材料が自然にたまります。

チョータツは3,000社以上が利用していて、無料で始められます。

よくある質問

Q. 営業スキルマップの項目はいくつが適切ですか?
15〜20項目が目安です。面談前の採点が1人10分ほどで終わる量にします。この記事の例は5領域18項目です。
Q. 営業の評価基準は何段階にすればよいですか?
4段階がおすすめです。「教わりながらならできる」「1人でできる」「安定して成果が出る」「人に教えられる」で分けます。差が出て、採点もぶれにくくなります。
Q. 営業スキルマップのシートはExcelで作れますか?
作れます。「項目・本人評価・上司評価・根拠」の4列が基本です。1行=1人×1項目で縦に並べると、チームの集計も簡単です。
Q. 営業事務や新人にも同じスキルマップを使ってよいですか?
使えますが、項目を絞るのがおすすめです。営業事務なら案件理解と提案の領域だけにします。新人は全項目でつけ、レベル1が多くても問題ありません。
Q. スキルマップと営業スキル一覧は何が違いますか?
営業スキル一覧は「どんな力が必要か」を並べたものです。スキルマップは、その力を1人ずつ段階で評価する表です。
Q. どのくらいの頻度で評価すればよいですか?
3か月ごとがおすすめです。1か月だと変化が小さく、半年だと伸ばす項目を忘れてしまいます。

まとめ

  • 営業スキルマップとは、必要なスキルを項目に分け、1人ずつのレベルを一覧にした表

  • SES営業は、案件理解・商流確認・提案・交渉・BPとの関係の5領域18項目で作れる

  • 評価基準は4段階。最高レベルは「人に教えられる」にする

  • シートは「項目・本人・上司・根拠」の4列。ずれた項目を面談で話す

  • 評価に使うなら、スキルと行動・成果の数字を組み合わせる

  • 採点の根拠になる提案・案件の記録は、チョータツでチームに共有すると集めやすい

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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