SESで面談と別人のエンジニアが来たら?営業の対応5ステップと本人確認の手順

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SESの「別人参画」「替え玉面談」とは?

別人参画とは、面談で合格した人とは違う人が、そのまま現場に参画することです。替え玉面談とは、面談だけを別の人が受けることです。どちらも、客先が「この人に来てほしい」と決めた相手と違う人が働くことになります。

なりすましとは、他人の名前や経歴を使って、その人のふりをすることです。オンライン面談が増えたことで、顔を合わせずに話が進む場面が多くなりました。そのため、こうしたトラブルが起きやすくなっています。

よく見られるパターンは、次の4つです。

パターン何が起きるか気づくきっかけ
面談だけ替え玉経験のある人が面談を受け、別の人が参画する初日に声や話し方が違う
名前の貸し借り実在する人の経歴を、別の人が名乗る入館証や社員証の写真が合わない
無断の差し替え面談後に、所属会社が別の人に入れ替える初日の顔合わせで気づく
聞いていない再委託知らない会社の人が、別人として参画する契約書類の社名が合わない

経歴詐称の記事との違い

経歴詐称は、「本人は同じだが、経験を盛って伝えた」問題です。ここで扱う別人参画は、「人物そのものが違う」問題です。

経歴詐称なら、本人の実力に合う作業に変える選択肢も残ります。別人参画では、客先は面談で見ていない人に仕事を任せています。そのため、同じ人のまま続ける道は、ほとんど残りません。

経験の盛りすぎへの対応は、SESの経歴詐称がバレたら?営業がやる対応6ステップと予防策で解説しています。

なぜSESで別人参画が起きるのか

別人参画が起きる一番の理由は、面談の場と参画の場で、同じ人かを誰も確かめていないことです。営業が理由を知っておくと、どこで防げるかがわかります。

  1. オンライン面談が当たり前になった:カメラをオフにしたままの面談では、顔を確かめられない

  2. 商流が深い:間に何社も入ると、要員の所属や本人が見えにくくなる

  3. スキルが足りない人を通したい:経験のある人に面談だけ受けてもらい、案件を取ろうとする

  4. 営業が本人と話していない:スキルシートだけで提案し、本人の顔も声も知らない

商流とは、客先から要員まで、契約がどの会社を順番に通っているかの流れのことです。2と4は、提案する側の営業が防げる理由です。本人確認の7手順は、この2つを中心に組み立てています。

別人が参画していると気づいたら?営業の対応5ステップ

別人の参画に気づいたら、次の5ステップで動きます。ステップ1〜2は当日中、ステップ4は1週間以内を目安にします。

  1. 事実を確かめ、作業を止めてもらう(当日)

  2. 客先に第一報を入れ、謝罪する(当日)

  3. 所属会社と本人から経緯を聞く(1〜3日)

  4. 交代要員を出すか、契約を終えるかを決める(1週間以内)

  5. 契約・精算・パートナーへの責任を整理する(方針が決まったら)

ステップ1:事実を確かめ、作業を止めてもらう

最初にやるのは、本当に別人なのかを確かめることです。客先の勘違いや、写真の古さによる見間違いもあるからです。

確かめるのは、次の3点です。

  • 面談の録画・メモと、現場に来た人の名前・顔・話す内容が合うか

  • 所属会社から受け取った要員名と、入館手続きの名前が合うか

  • 面談の日に、誰がどの会社の立場で出席していたか

別人の可能性が高いときは、確認が終わるまで作業を止めてもらうよう客先にお願いします。情報漏えいを防ぐためです。面談を受けていない人が、客先のシステムや資料に触れている状態だからです。アカウントや入館証の扱いは、客先の判断に従います。

ステップ2:客先に第一報を入れ、謝罪する

客先には、当日中に電話で第一報を入れます。そのあとメールでも同じ内容を送り、記録を残します。

第一報で伝えるのは、次の4つです。

  1. 面談した方と違う方が参画した可能性があることへのお詫び

  2. 現時点でわかっている事実

  3. 作業を止めていただくお願いと、今後確認すること

  4. 次に連絡する日時

まだ確認中の段階で、「所属会社が勝手にやった」とは言わないようにします。客先から見れば、契約の相手は自社です。

例文・テンプレート
件名:〇〇案件 参画要員の件(お詫びとご報告)

株式会社△△
〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社□□の■■です。
本日ご連絡いただいた件、面談いただいた方と参画した方が
異なる可能性があり、大変ご迷惑をおかけしております。
深くお詫び申し上げます。

確認が終わるまで、該当の要員の作業を止めていただけますと幸いです。
現在、所属企業と本人に経緯を確認しております。
2026年10月2日(金)15時までに、確認結果と今後のご提案をご報告いたします。

取り急ぎ、お詫びとご報告を申し上げます。

ステップ3:所属会社と本人から経緯を聞く

次に、所属会社と本人の両方から話を聞きます。聞いた内容は、日時と一緒にメモに残します。所属会社がパートナー企業なら、その営業担当と責任者の両方に連絡します。

聞くことは、次の5つです。

  • 面談を受けた人と、参画した人は誰か(氏名・所属会社)

  • 入れ替えを決めたのは誰か。いつ決めたか

  • 面談を受けた人は、入れ替えを知っていたか

  • 参画した人は、どの会社と契約しているか(知らない会社が間にいないか)

  • 客先の資料やアカウントに、どこまで触れたか

所属会社が無断で入れ替えたのか、要員個人がなりすましたのかで、責任の重さが変わります。本人だけの問題と決めつけず、入れ替えの経緯を確かめましょう。

所属会社への連絡は、次のような文面が使えます。

例文・テンプレート
件名:〇〇案件 参画要員の確認のお願い(至急)

株式会社◇◇
〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社□□の■■です。
10月1日(木)に参画した〇〇様について、客先より
「面談を受けた方と異なるのではないか」とのご指摘がありました。

つきましては、以下を本日中にご回答ください。
1. 面談を受けた方と、参画した方の氏名・所属
2. 入れ替えがあった場合、その経緯と判断した方
3. 参画した方と貴社との契約関係(再委託の有無)

確認が終わるまで、該当の方の作業は止めていただいております。
何卒よろしくお願いいたします。

ステップ4:交代要員を出すか、契約を終えるかを決める

別人と確定したら、同じ人のまま続けることは原則として避けます。客先が面談で認めていない人だからです。選べる道は、次の2つです。

選択肢向いている場面営業がやること
交代要員を出す客先が取引を続けたいと言っている所属と本人を確かめた要員を、改めて面談に出す
契約を終える客先の不信が強い、代わりが出せない終了日と精算の方法を書面で決める

客先から「面談を受けた本人に来てほしい」と言われることもあります。その場合も、本人の意思と所属会社との契約を確かめてから返事をします。

交代要員を出すときは、参画初日に営業が同席するか、ビデオ通話で顔合わせをすると安心です。客先に「今回は必ず同じ人です」と示せるからです。

途中で抜けるときの契約の扱いは、SESの契約途中の退場|営業がやる対応5ステップと連絡例文で解説しています。

ステップ5:契約・精算・パートナーへの責任を整理する

方針が決まったら、契約書と精算の扱いを整理します。客先との契約と、パートナーとの契約の両方を見直します。

確かめる条項は、次のとおりです。

条項確認すること
要員の特定・交代要員名が書かれているか。交代に客先の承諾が要るか
再委託再委託に書面の承諾が要るか。無断の再委託の扱い
契約の解除どんな時に解除できるか。予告の期間
損害賠償賠償の範囲と上限(「委託料の〇か月分まで」など)

再委託とは、受けた仕事を、さらに別の会社や人に任せることです。無断の再委託が隠れていた場合は、その条項違反も問題になります。

再委託の条項の書き方は、SESの再委託禁止条項の書き方|承諾条件と個人事業主の扱いで確認できます。知らない会社が間にいたら、SESでBPが無断で商流を増やしていたら|発覚時の対応と再発防止で動き方を確かめます。

契約解除と返金はどう考える?

別人参画での契約解除や返金は、「誰が、何を約束していたか」で考えます。答えは契約書ごとに違うため、ここでは考え方の筋道を紹介します。

SESの契約は多くが「準委任」

準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決めた業務を行うことを約束する契約です。SESの多くはこの形で結ばれます。準委任では、民法の「委任」のルールが使われます(民法656条)。

委任のルールでは、受けた側は、原則として勝手に別の人に仕事を任せられません。民法644条の2は、委任者の許諾を得たときか、やむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選べないと定めています。復受任者とは、受けた仕事をさらに任された人のことです。

客先の許諾なく別人を参画させることは、この考え方に反するおそれがあります。

解除について

委任は、民法651条により各当事者がいつでも解除できます。ただし、相手に不利な時期に解除すると、損害の賠償が必要になる場合があります。実際には、契約書の「解除」の条項が優先して使われることが多いです。

また、面談の内容をだまして契約を結ばせた場合は、民法96条の詐欺による取消しが問題になることもあります。

返金について

すでに払われた委託料を返すかは、次の3つで考えます。

  1. 別人がどれだけ実際に働いたか(作業の中身と時間)

  2. 客先がその作業を使えるか(やり直しが要らないか)

  3. 契約書に、要員の特定や交代について何が書かれているか

準委任では、途中で終わった場合でも、すでにした履行の割合に応じて報酬を請求できる決まりがあります(民法648条3項)。一方で、法律上の理由なく得た利益は、返す義務が生じる場合があります(民法703条の不当利得)。どちらが当てはまるかは、事実関係で変わります。

損害賠償について

契約で約束したことを果たさないことを債務不履行といい、損害賠償の理由になります(民法415条)。わざと、または不注意で他人に損害を与えた場合は、不法行為として賠償を求められることもあります(民法709条)。

誰が誰に何を求めうるかを、表にまとめます。

誰が誰に起こりうること主な根拠
客先 → 自社契約の解除、委託料の返還、損害賠償民法415条・651条・703条、契約書
客先 → 自社だまされて結んだ契約の取消し民法96条
自社 → パートナー損害分の請求、契約の解除民法415条、再委託・要員交代の条項
自社 → なりすました個人損害賠償民法709条

悪質な場合は、刑法246条の詐欺罪が問題になることもあります。ただし、刑事事件になるかは個別の事情によります。金額が大きいときや、客先から請求書が届いたときは、弁護士に相談してから返事をしましょう。

賠償の上限を決める条項は、SESの損害賠償の上限条項|準委任の責任限定の書き方と有効性で解説しています。

オンライン面談で替え玉を防ぐ本人確認の7手順

替え玉を防ぐ基本は、面談前・面談中・参画初日の3回、同じ人かを確かめることです。次の7手順を、自社の決まりにしておきましょう。

  1. 提案前に、営業が本人とビデオ通話で話す(10分でよい)

  2. 所属会社に、身分証での本人確認をお願いする(書面かメールで「確認済み」と回答をもらう)

  3. 商流と所属を書面で確かめる(要員の雇用元・契約元の会社名)

  4. 面談はカメラをオンにしてもらう(事前の案内メールに書いておく)

  5. 面談の冒頭で、名前と所属を本人に言ってもらう

  6. 面談で聞いた内容をメモに残し、参画前に本人と答え合わせする

  7. 参画初日に、営業が同席するかビデオで顔合わせをする

身分証の確認は「所属会社」にお願いする

身分証は、要員が雇われている所属会社に確認してもらうのが基本です。自社や客先が身分証の写しを集めると、個人情報を持つ量が増えるからです。

個人情報を受け取るときは、利用目的を本人に知らせる必要があります(個人情報保護法21条)。自社で確認する場合も、見るだけにして写しは取らないなど、必要な範囲にとどめましょう。

要員の個人情報の扱い方は、スキルシートの個人情報と第三者提供の同意|SES提案で守る手順と文例で確認できます。

所属会社への本人確認の依頼例文

例文・テンプレート
件名:〇〇案件 ご提案要員の本人確認のお願い

株式会社◇◇
〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社□□の■■です。
〇〇様を〇〇案件にご提案するにあたり、次の2点をお願いいたします。

1. 貴社にて、身分証で〇〇様ご本人であることをご確認ください
   (写しのご送付は不要です。「確認済み」とご返信ください)
2. 〇〇様と貴社の契約形態(社員・個人事業主)をお知らせください

面談と参画初日は、カメラをオンにしてご参加いただく予定です。

客先の面談の進め方にも注意する

SESの面談は、客先が要員を選ぶ場になりやすく、法律上の注意点があります。本人確認の手順も、自社(受ける側)が主体となって行う形にしておきます。

適法な面談の進め方は、SESの事前面談は違法?営業が守りたい適法な進め方7つとNG例で解説しています。

替え玉を疑うサイン・チェック表

面談や参画の前後で、次のサインが2つ以上あれば、提案や参画を一度止めて確かめましょう。

#確認すること替え玉を疑うサイン
1カメラ面談で「カメラが壊れている」と映さない
2回答の様子答える前に間が空く、目線が画面の外にそれる
3声事前の通話と、面談での声や話し方が違う
4所属所属会社の名前が、書類ごとに違う
5連絡先本人と直接連絡を取らせてもらえない
6初日面談で話した経験の内容を、初日に説明できない

別人参画の対応でやってはいけないこと

別人参画の対応では、次の4つを避けます。どれも、客先の信用をさらに失う行動です。

  • 「本人が体調不良で」など、事実と違う理由で入れ替えを説明する

  • 別人と分かったのに、客先に黙って作業を続けさせる

  • 確認が終わる前に、パートナーや本人だけのせいにする

  • 返金や賠償の金額に、その場で即答する

別人参画の後に、次の候補をすぐ出す方法

別人参画のあと取引を続けられるかは、所属のはっきりした交代要員を、どれだけ早く出せるかで決まります。

自分でやる場合

  1. 自社で待機中、または近く契約が終わる社員を確認する

  2. 取引が長く、所属を確かめやすいパートナーにだけ条件を送る

  3. 届いた人材メールから、条件に合う人を選ぶ

  4. 候補が決まったら、7手順で本人と所属を確かめる

自分で探すと、パートナーからの返事を待つ時間がかかります。急いで知らない会社の要員を出すと、同じトラブルをくり返すおそれもあります。

取引先を選ぶ目安は、SESパートナーの選び方と注意点|取引前に見る10項目チェック表にまとめています。

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よくある質問

Q. SESで面談と別人が来たら、すぐ契約解除になりますか?
すぐ解除になるとは限りません。客先が取引を続けたい場合は、所属と本人を確かめた交代要員を出すことで続けられることもあります。ただし、別人のまま続けることは原則として避けます。
Q. 別人が働いた分の委託料は返す必要がありますか?
契約書の条項と、実際の作業の中身で決まります。履行の割合に応じた報酬(民法648条3項)と不当利得の返還(民法703条)のどちらになるかは、事実関係次第です。金額が大きいときは弁護士に相談しましょう。
Q. オンライン面談で、本人確認はどこまでしてよいですか?
カメラをオンにしてもらう、冒頭で名前と所属を言ってもらう、といった確認は一般的です。身分証の確認は所属会社にお願いし、「確認済み」の回答をもらう形が安全です。
Q. パートナーの要員が別人だった場合、客先への責任は誰にありますか?
客先との契約の相手である自社が、まず客先に対応します。そのうえで、パートナーとの契約書にもとづき、経緯の説明や損害分の負担を求めます。
Q. 別人参画で損害賠償を請求されることはありますか?
あります。客先に損害が出れば、債務不履行(民法415条)などで賠償を求められることがあります。契約書に賠償の上限があれば、その範囲で話し合うことが多いです。
Q. 替え玉面談を防ぐために、面談を録画してもいいですか?
録画する場合は、事前に参加者全員に伝えて了解をもらいましょう。録画を残すと、参画初日に同じ人かを確かめる材料になります。

まとめ

  • 別人参画は、経歴の盛りすぎと違い「人物そのものが違う」問題

  • 気づいたら当日中に事実を確かめ、作業を止めてもらい、客先に第一報

  • 所属会社と本人から経緯を聞き、交代か契約終了かを1週間以内に決める

  • 返金や賠償は、契約書の条項と実際の作業・損害で決まる。即答しない

  • 予防は、面談前・面談中・参画初日の3回の本人確認と、商流の書面確認

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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