SESで契約途中に退場・退職の相談を受けたら?営業がやるべき対応5ステップと連絡例文

公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日

SESの途中退場とは?退職との違い

SESの途中退場とは、エンジニアが契約期間の途中で、顧客の現場から抜けることです。退職は、エンジニアが所属する会社を辞めることで、途中退場とは別の話です。

SESの途中退場には、2つの契約が関係します。

契約誰と誰の契約か途中で終わるときのルール
取引の契約(準委任)自社 ⇄ 顧客(またはBP)契約書の解約予告・中途解約、民法651条
雇用の契約自社 ⇄ エンジニア就業規則・雇用契約、民法627条・628条

エンジニアが会社を辞めても、顧客との契約は自動では終わりません。営業は2つの契約を分けて整理します。

準委任契約とは、仕事の完成ではなく「決められた業務をきちんと行うこと」を約束する契約のことです。SESの多くはこの形で結ばれます。

SESで途中退場が起きるよくある理由

途中退場の理由は、スキルのずれ・人間関係・顧客の予算や体制・本人の事情の4つに大きく分けられます。理由によって、営業が最初に動く相手が変わります。

理由例営業が最初にやること
スキルのずれ募集内容と実際の作業が違う顧客に作業内容を確認し、配置を相談する
人間関係・働き方長時間労働、ハラスメント本人から事実を聞き、会社として改善を求める
顧客の予算・体制予算削減、プロジェクトの縮小終了日と理由を確認し、書面で残す
本人の事情体調、家庭の事情、転職希望の時期を聞き、雇用の手続きを確認する

「スキル不足」と言われた場合は、スキル不足で退場を求められた時の5手順を参考にしてください。

状況別:まず何が起きているかを整理する

途中退場の相談は、誰から何を言われたかで、最初に見る書類が変わります。

相談の内容関係する契約最初に見るもの
エンジニアが「この現場を抜けたい」取引の契約個別契約書の期間・解約予告
エンジニアが「会社を辞めたい」雇用+取引の契約就業規則・雇用契約、個別契約書
顧客が「来月で終了で」取引の契約個別契約書の解約予告・中途解約
BPのエンジニアが抜けたいBPとの契約+顧客との契約BPとの契約書の解約予告
個人フリーランスとの契約を途中で切る業務委託の契約契約期間の通算、フリーランス法16条

営業がやるべき対応5ステップ

途中退場の相談を受けたら、聞く→契約を見る→連絡する→代わりを出す→書面で終えるの5ステップで進めます。

  1. 本人から理由と希望の時期を聞く

  2. 契約書の3つの条項を確認する

  3. 顧客に早めに連絡する

  4. 代わりの人(代替要員)を提案する

  5. 引き継ぎを行い、書面で終える

ステップ1:本人から理由と希望の時期を聞く

最初に「いつまでに」「なぜ」「現場を変えたいのか、会社を辞めたいのか」を聞きます。理由が長時間労働やハラスメントなら、会社として現場に確認し、改善を求めることが先です。

ステップ2:契約書の3つの条項を確認する

条項確認すること
契約期間個別契約(注文書)の期間はいつまでか
解約予告「〇日前までに書面で通知」などの決まり
中途解約・損害賠償途中で終わる場合の取り決め、精算の方法

契約書に解約予告の決まりがあれば、まずその決まりに従います。「1か月前までに書面で通知」と決める例がよく見られますが、期間は契約ごとに違います。基本契約書の条項は、SES基本契約書のテンプレートと条項チェック15で確かめられます。

ステップ3:顧客に早めに連絡する

顧客への連絡は、契約書の期限より早く行うのが信頼を守るコツです。伝える順番は、①結論→②理由→③引き継ぎの案→④代わりの人の提案です。

ステップ4:代わりの人(代替要員)を提案する

代替要員とは、途中で抜ける人の代わりに入るエンジニアのことです。途中終了で一番困るのは顧客なので、後任をすぐ出せるかどうかで取引の続き方が変わります。引き継ぎ期間を重ねられるよう、スキルシートを早めに集めます。

ステップ5:引き継ぎを行い、書面で終える

引き継ぎの資料と期間を決め、終了日と精算の方法をメールか書面で残します。口頭だけで終わらせないことが、後のトラブルを防ぎます。終了を伝える文面は、SESの契約終了メール例文5つを使えます。

引き継ぎで最低限そろえるもの

引き継ぎでは、作業の一覧・進み具合・連絡先・アカウント・貸与物の5つを最低限そろえます。これがあれば、後任が初日から作業に入りやすくなります。

  • 担当している作業の一覧と、それぞれの進み具合

  • 途中の作業の残り手順と、関係するファイルの場所

  • 顧客側・自社側の連絡先と、定例会議の予定

  • 使っているアカウント・権限の一覧(返却や停止の手配)

  • 入館証・PCなど貸与物の返却日

引き継ぎの期間は、後任が決まっていれば1〜2週間重ねるのが理想です。重ねられない場合は、資料を先に顧客へ渡し、質問を受ける日を決めておきます。

民法のルール:いつでも解除できる?損害賠償は?

準委任契約はいつでも解除できますが、相手に不利な時期の解除には損害賠償が必要になることがあります。契約書に決まりがない部分は、民法と労働基準法で判断します。

条文内容SESでの意味
民法651条委任(準委任)はいつでも解除できる。不利な時期の解除は、やむを得ない理由がなければ損害賠償急な解除には賠償のリスクがある
民法648条3項途中で終わったときは、すでに行った割合に応じて報酬を請求できる最終月は日割りなどで精算できる
民法627条期間の定めのない雇用は、申し入れから2週間で終わる正社員は原則2週間前の申し出で退職できる
民法628条期間の定めのある雇用は、やむを得ない理由があれば直ちに解除できる契約社員の期間中の退職には条件がある
労働基準法16条違約金や賠償額を前もって決める契約は禁止「途中で辞めたら罰金」は決められない

エンジニアへの損害賠償が実際に認められるケースは限られます。請求する・される場合は、必ず専門家に相談してください。

考え方はSESの途中退職で損害賠償は請求できる?判断基準と上限で解説しています。

フリーランスの要員は30日前までの予告が必要

要員が個人のフリーランスで、業務委託が6か月以上続いているなら、途中解除は原則30日前までの予告が必要です。2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」の第16条で決まっています。

予告は書面のほか、メールなど記録が残る方法でも行えます。予告の日から解除日までに理由を聞かれたら、原則として遅滞なく伝えます。

災害などやむを得ない場合や、フリーランス側に重大な責任がある場合など、予告が要らない例外もあります。顧客から急に終了を告げられた場合に例外にあたるかは、個別の判断になるため専門家に確認しましょう。

代わりの人をすぐ見つける方法

代わりの人を早く見つけるには、自社の待機メンバー、BPの営業中人材、フリーランスの3つを同時に当たります。まず自分でできる方法を試し、手が足りなければツールを使います。

探し先自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
BPの人材過去のメールを検索し、BPに1社ずつ聞くチョータツで連携先の営業中人材をデータベースで探す
募集を広く出すBCCで一斉送信(誤送信の心配)チョータツのメール配信機能でパートナーに配信する
フリーランスエージェントに依頼するxhoursでITフリーランスに直接スカウトする

チョータツとは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。途中退場は予定外に起きるので、ふだんからBPの人材情報をデータベースにしておくことが一番の備えです。

フリーランスに直接声をかけたい場合は、DrivenXのxhours(エックスアワーズ)が使えます。数千名のフリーランスのデータベースから探し、直接スカウトを送れます。

BPの数そのものが足りない場合は、SESパートナー募集企業の一覧と探し方7選で取引先を増やす方法を紹介しています。

顧客への連絡例文

顧客への最初の連絡では、結論・理由・引き継ぎ・代わりの人の4つを1通で伝えます。理由は「一身上の都合」にとどめ、体調などの個人情報は本人の了解なしに書きません。

例文・テンプレート
件名:【ご相談】〇〇(エンジニア名)の契約期間について

〇〇株式会社 〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。

弊社〇〇につきまして、一身上の都合により、
〇月末をもって現プロジェクトからの離任をご相談させていただきたく、
ご連絡いたしました。

ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。
後任として、同等のスキルを持つ要員を〇月〇日までにご提案いたします。
引き継ぎ期間(〇月〇日〜〇月〇日)も設けさせていただきたく存じます。

一度、お打ち合わせのお時間をいただけますでしょうか。
何卒よろしくお願いいたします。

BPの要員が抜ける場合は、要員本人ではなくBPの営業担当に連絡します。要員に直接連絡すると、引き抜きを疑われることがあるためです。

商流を飛ばすリスクはSESの商流飛ばしは違法?リスクと防ぎ方5つで解説しています。

ほかの例文は提案・お断りメール例文集にまとめています。

トラブルを防ぐために契約書に入れておくこと

途中退場のトラブルを防ぐには、解約予告・精算・代替要員の3点を契約書で決めておくことが大切です。

  • 解約予告の期間(例:1か月前までに書面で通知)

  • 途中で終わるときの精算の方法(日割りか、月単位か)

  • 代わりの人を提案するときの取り決め

  • BPとの契約では、顧客との契約より長い解約予告の期間

よくある質問

Q. SESの解約予告が1か月前なのに、2週間後に辞めたいと言われました。
正社員は、民法627条により原則2週間前の申し出で退職できます。一方、顧客との契約は解約予告の期間を守る必要があります。後任を早く出す、引き継ぎ期間を相談するなどで穴を埋めましょう。
Q. 顧客から「スキル不足なので来月で終了」と言われました。
準委任契約で約束しているのは、成果ではなく「仕事をきちんと行うこと」です。終了の理由と時期が契約に沿っているかを確認しましょう。→ スキル不足で退場を求められた時の5手順
Q. SESの途中退場で、エンジニアに損害賠償を請求できますか?
実際に認められるケースは限られます。前もって違約金を決めることも、労働基準法16条で禁止されています。→ SESの途中退職で損害賠償は請求できる?
Q. 商流の途中にいるBPのエンジニアが抜ける場合は?
自社は、BPとの契約と顧客との契約の両方を持っています。顧客への予告に間に合うよう、BPには早めの通知を求める条項を入れておくと安心です。
Q. 途中で終わった月の料金はどうなりますか?
契約書の精算の決まりに従います。決まりがなければ、民法648条3項により、すでに行った割合に応じて請求できます。日割りか月単位かを、終了の連絡と一緒に確認しましょう。
Q. 契約更新をしないと伝えるのは、いつまでがよいですか?
契約書の解約予告の期間が基準です。決まりがなくても、後任を探す時間を考え、1か月以上前に伝えるのが安全です。→ SESの契約更新はいつ決まる?

まとめ

  • 途中退場は「取引の契約」と「雇用の契約」を分けて考える

  • 最初に見るのは、契約期間・解約予告・中途解約の3つの条項

  • 準委任はいつでも解除できるが、急な解除は損害賠償のリスクがある

  • フリーランスの要員は、6か月以上なら原則30日前までの予告が必要

  • 顧客には早めに連絡し、代わりの人と引き継ぎ資料をセットで出す

  • ふだんからチョータツでBPの人材をデータベースにしておくと、すぐ動ける

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日

参考資料(2026年9月28日確認)

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