SESで参画決定後にエンジニアが辞退したら|客先への連絡24時間の動きと、謝罪と代替要員を1通で伝える例文

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

参画決定後の辞退とは?段階によって重さが違う

参画決定後の辞退とは、客先から「この人でお願いします」と返事をもらったあとに、エンジニアが参画を断ることです。辞退がどの段階で起きたかで、客先への影響と、お金の話になるかどうかが変わります。

参画とは、エンジニアが客先のプロジェクトに入って作業を始めることです。上位とは、商流で自社のひとつ上にいる発注元の会社のことです。業界の言葉はSES用語一覧|営業が現場で使う用語60と意味・例文つきでまとめています。

段階状態辞退の重さ
① 面談通過・内示口頭やメールで「決定」と言われた契約前。謝罪と代替案で収まることが多い
② 注文書・注文請書のやりとり後個別契約が成立している契約を守れない状態。請求の話になりうる
③ 入館準備・PC手配の後客先が費用や手間をかけている実費を求められることがある
④ 参画初日の前日・当日客先の作業計画に組み込まれている最も重い。当日中の報告が必須

段階①は、客先の側から取り消す「内示キャンセル」と同じく、契約の前です。客先から取り消された場合の考え方はSESの内示キャンセルで請求できる?損害賠償の判断基準と伝え方で解説しています。

辞退の連絡を受けてから24時間の動き

辞退の連絡を受けたら、本人の理由確認を30分以内、上位への電話を2時間以内、メールを当日中に済ませます。客先は、知らされるのが遅いほど怒ります。

時間の目安やること相手
〜30分理由と、戻れる余地があるかを確認エンジニア本人(BP要員ならBP担当者も)
〜1時間社内の上長に報告し、代替候補の洗い出しを始める上長・チーム
〜2時間上位の担当者に電話で第一報上位の担当者
当日中謝罪と代替案をまとめたメールを送る上位の担当者
翌営業日中代替候補のスキルシートを送る上位の担当者
1週間以内辞退の原因を記録し、再発防止を決める社内・BP

「翌営業日中に代替候補」は、編集部がおすすめする目安です。候補が出せない場合も、「いつまでに出すか」を約束して守ることが大切です。

順番を守る理由

本人への確認を飛ばして上位に連絡すると、あとで辞退が撤回されたときに話が複雑になります。一方で、確認に半日かけると上位への報告が遅れます。30分で確認できなければ、「辞退の可能性がある」として上位に第一報を入れます。

本人に辞退の理由を確認するときの聞き方

本人への確認で聞くのは、辞退の理由と、条件が変われば参画できるかの2つです。責める言い方をすると、本音の理由が出てきません。

連絡ありがとうございます。まず、事情を教えてもらえますか。条件のことなら、まだ調整できるかもしれません。どうしても難しい場合も、〇〇さんを責めることはないので、正直に話してください。

理由ごとの対応は次のとおりです。引き止めは1回だけにしましょう。

辞退の理由戻れる可能性営業の対応
単価・勤務地・リモート日数などの条件ある上位に調整を相談してよいか本人に確認する
作業内容が聞いていた話と違うある上位に作業範囲を確認し、正しい情報を伝える
他社の案件に決まった低い引き止めず、事実として受け止める
体調・家庭の事情低い引き止めない。詳しい事情は聞きすぎない
連絡が取れない・理由を言わない低い半日連絡がなければ辞退として動く

体調や家庭の事情を無理に聞き出す必要はありません。上位には「本人の事情」とだけ伝えれば足ります。

上位へ電話で第一報を入れるときの言い方

上位への第一報は、メールより先に電話で入れます。参画決定後の辞退は、メール1通で済ませると誠意がないと受け取られやすいからです。

電話で伝えるのは、次の4点です。

  1. 辞退が起きたという事実と、お詫び

  2. 決まっている範囲の理由(言える範囲で)

  3. 代わりの要員をいつまでに出すか

  4. このあとメールでも送ること

お世話になっております。〇〇社の佐藤です。10月1日から参画予定だったY.Kの件で、大変申し訳ないご報告です。本日、本人から参画を辞退したいと連絡がありました。本人の事情によるもので、弊社で確認しましたが、参画は難しい状況です。代わりの要員を、明日18時までに2名ご提案します。詳しくは、このあとメールでもお送りします。

電話がつながらないときは、留守番電話に「至急のご報告」と残し、すぐにメールを送ります。

謝罪と代替要員の提案を1通にまとめる例文

電話のあとのメールは、謝罪・事実・代替案・今後の予定を1通にまとめます。謝罪だけのメールと、代替案のメールを分けて送ると、上位は同じ話を2回読むことになります。

例文1:自社の社員が辞退した場合(上位の担当者あて)

件名:【お詫びとご提案】10/1参画予定 Y.Kの辞退について

株式会社〇〇 △△様

いつもお世話になっております。株式会社□□の佐藤です。
先ほどお電話でお伝えしたとおり、10月1日から参画予定だったY.Kが、本人の事情により参画を辞退することになりました。
ご決定いただいた後のご連絡となり、大変申し訳ございません。

■ 代わりの要員のご提案
・候補1:S.T(Java 5年、要件定義から経験あり、10月1日から参画可能)
・候補2:明日18時までに、もう1名のスキルシートをお送りします

■ 今後の予定
・面談は最短で10月1日から設定できます
・入館手続きなど、すでにご準備いただいたものがあれば教えてください。

同じことが起きないよう、参画前の意思確認の手順を見直します。
重ねてお詫び申し上げます。

例文2:BPの要員が辞退し、自社が間にいる場合(上位の担当者あて)

件名:【お詫び】10/1参画予定 K.Mの参画辞退と代替のご提案

株式会社〇〇 △△様

いつもお世話になっております。株式会社□□の佐藤です。
10月1日から参画予定だったK.Mが、所属会社を通じて参画を辞退するとの連絡がありました。
弊社の確認が足りず、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。

所属会社にも代わりの要員を依頼しており、弊社からも別の候補を探しています。
明日18時までに、少なくとも1名のスキルシートをお送りします。

BPの要員の辞退でも、上位から見れば提案したのは自社です。「BPのせいで」と書かず、自社の確認不足として謝ります。

辞退を伝えるメールの書き方は、面談前後の辞退をまとめたSES面談の断り方|辞退・お見送りのメール例文8つと返し方も参考にしてください。

BP要員の辞退で違約金や損害賠償は請求できる?

BPの要員が辞退したときに請求できるかは、BPとの個別契約が成立していたかと、契約書に違約金などの条項があるかで決まります。成立前なら請求は難しく、成立後でも実際に請求する例は多くありません。

辞退の段階考え方根拠
内示のみ(注文書・請書の前)契約は成立していない。BPが「必ず出す」と強く信じさせた場合に限り、責任を問える余地がある民法1条2項(信義則)
注文書・請書のやりとり後契約どおりに人を出さないのは債務不履行。実際の損害を請求できる場合がある民法415条・416条
契約書に違約金の定めがある違約金は、損害賠償の額を前もって決めたものと推定される民法420条

債務不履行とは、契約で約束したことを果たさないことです。違約金とは、約束を破ったときに払うと前もって決めておくお金のことです。

請求を考える前に確かめること

  1. BPとの基本契約・個別契約に、要員を出せないときの定め(代替の義務、違約金、解除)があるか

  2. 自社が上位から、実費や違約金を求められているか

  3. 自社に実際に出た損害(入館準備の費用など)を、書類で示せるか

  4. 請求した場合に、BPとの今後の取引をどうするか

請求の前に、まずBPに代わりの要員を出してもらえるかを確認します。 代わりが出れば、上位の損害も自社の損害も小さく済みます。お金の話を先にすると、BPの協力を得にくくなります。

自社の社員やフリーランスが辞退した場合

自社の社員には、「参画を辞退したら〇万円払う」といった約束はさせられません。労働基準法16条が、労働契約の不履行について違約金や損害賠償額を前もって決めることを禁じているからです。

自社と直接契約するフリーランスとの業務委託(準委任契約)は、民法651条により、どちらからもいつでも解除できます。ただし、相手に不利な時期の解除では、やむを得ない事由がない限り損害を賠償する決まりです。考え方はSES契約の一方的な解除で損害賠償は?民法651条と請求の目安でくわしく解説しています。

BPに代わりの要員を依頼するメールの例文

BPへの連絡は、辞退の事実の確認 → 代わりの要員の依頼 → 再発防止のお願いの順にします。責める言い方は避け、上位への約束の期限を共有します。

件名:【至急】10/1参画予定 K.Mさんの件と代替要員のご相談

株式会社◇◇ ●●様

いつもお世話になっております。株式会社□□の佐藤です。
K.Mさんの参画辞退の件、ご連絡ありがとうございます。上位には、本日お詫びと状況をお伝えしました。

上位には、明日18時までに代わりの候補を出すとお約束しています。
御社で同じ条件(Java 3年以上、10月1日開始、単価〇〇万円)に合う方がいれば、明日12時までにご提案いただけますか。

今回の経緯は、落ち着いてから一度お電話で確認させてください。

決定前に辞退を防ぐ意思確認3点

参画決定後の辞退の多くは、決定前の意思確認で防げます。編集部では、面談の前と、客先に「お受けします」と返事をする前の2回、次の3点を確認することをおすすめします。

  1. 他社の選考の状況:ほかに面談中・結果待ちの案件があるか。あれば、どちらを優先するか

  2. 開始日と条件の最終確認:参画開始日、単価(給与)、勤務地、リモート日数、作業内容を、本人の言葉で言ってもらう

  3. 「決まったら参画する」ことの合意:この案件で決まったら、辞退しないで参画するかを、はっきり聞く

面談の前に本人へ送る確認メッセージの例です。

〇〇さん、明日の面談の前に3点だけ確認させてください。
① ほかに結果待ちの案件はありますか?
② 開始は10月1日、勤務は週3日出社・週2日リモートです。問題ありませんか?
③ この案件で決まった場合、参画していただけますか?
どれかが迷っている場合は、面談前に教えてください。今なら調整できます。

同時に複数の案件で合格したときの選び方と断り方は、SESで複数の案件に同時合格したら|選ぶ基準と断り方の例文で紹介しています。面談前の準備全体はSESの面談準備|営業が事前にやること10項目とエンジニアへの伝え方にまとめています。

代わりの要員を早く出す:自分で探す方法と、もっと楽にする方法

辞退のあとで取引を守れるかは、代わりの要員をどれだけ早く出せるかで決まります。自分で探す場合は、次の順に当たります。

  1. 自社の待機中・近く契約が終わる社員を探す

  2. 取引のあるBPに、条件をまとめた依頼メールを送る

  3. 届いた人材メールの中から、条件に合う人を探す

  4. 見つからなければ、フリーランスに直接声をかける

この方法は、BPから返事が来るまで待つ時間が長くなりがちです。

チョータツとxhoursで探す時間を短くする

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が利用し、無料で始められます。他社と連携すると、相手の営業中人材がデータベースになります。

やること自分でやる場合チョータツ・xhoursを使う場合
代わりの候補を探すBPに依頼メールを送り、返事を待つ連携した会社の営業中人材から探せる
BPへ一斉に依頼する1社ずつメールを書くメール配信機能でまとめて送れる
フリーランスに声をかける紹介を待つxhoursでITフリーランスに直接スカウトできる

xhours(エックスアワーズ)とは、企業がITフリーランスに直接スカウトを送れるサービスのことです。数千名のフリーランスのデータベースから探せます。BPで見つからないときは、xhoursでITフリーランスに直接スカウトする方法もあります。

よくある質問

Q. 参画決定後にエンジニアが辞退するのは違法ですか?
辞退そのものが、すぐに違法になるわけではありません。ただし、会社どうしの個別契約が成立した後なら、人を出せないことは債務不履行(民法415条)になりえます。
Q. 客先への連絡は、電話とメールのどちらが先ですか?
電話が先です。連絡を受けてから2時間以内を目安に電話で第一報を入れ、当日中に謝罪と代替案をまとめたメールを送ります。
Q. 自社の社員に「辞退したら違約金」と約束させてもよいですか?
できません。労働基準法16条は、労働契約の不履行について違約金や損害賠償額を前もって決めることを禁じています。
Q. 代わりの要員は、どれくらいで出せばよいですか?
編集部では、翌営業日中に1名以上のスキルシートを出すことをおすすめします。出せないときも、出す期限を約束して守ります。
Q. BPの要員が辞退したら、BPに違約金を請求できますか?
BPとの個別契約が成立し、契約書に違約金の定めがあれば請求できる可能性があります。まずは代わりの要員を出してもらえるかを確認しましょう。

まとめ

  • 辞退の連絡を受けたら、理由の確認を30分以内、上位への電話を2時間以内、メールを当日中に済ませる

  • 引き止めは1回だけ。条件の行き違い以外は、無理に戻さない

  • 客先へのメールは、謝罪と代わりの要員の提案を1通にまとめる

  • BP要員の辞退での請求は、契約の成立と条項しだい。先に代わりの要員を頼む

  • 自社の社員に辞退の違約金を約束させることはできない(労働基準法16条)

  • 決定前に、他社選考・開始日と条件・参画の合意の3点を確認する

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

  • e-Gov法令検索「民法」(第1条第2項 信義誠実の原則、第415条 債務不履行による損害賠償、第416条 損害賠償の範囲、第420条 賠償額の予定、第651条 委任の解除、第656条 準委任)

  • e-Gov法令検索「労働基準法」(第16条 賠償予定の禁止)

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