SESの契約更新はいつ決まる?満了1か月前の通知時期・自動更新条項の確かめ方と、更新しない時の連絡4手順
公開日:2026年9月29日更新日:2026年9月29日
SESの契約更新はいつ決まる?
SESの契約更新は、契約満了日の1か月前を期限に決まることが多いです。個別契約書に「期間満了の1か月前までに書面で申し出がないときは、同じ条件で更新する」と書く例がよくあるためです。
実際の打診は、もう少し早く動きます。顧客は満了の1〜2か月前に、次の期間も続けるかを社内で決めます。営業は、その時期に合わせて顧客へ確認の連絡を入れます。
SESの契約でよくある期間と、更新の確認を始める目安は次のとおりです。
| 個別契約の期間 | 更新の確認を始める目安 | 期限の例 |
|---|---|---|
| 1か月ごと | 満了の3〜4週間前 | 満了の2週間〜1か月前 |
| 3か月ごと | 満了の1.5〜2か月前 | 満了の1か月前 |
| 6か月ごと | 満了の2〜3か月前 | 満了の1か月前 |
※ 期限は会社や契約ごとに違います。必ず自社の契約書で確かめてください。
「退場は1か月前に伝える」と言われるのは、この期限の目安から来ています。ただし、1か月は法律で決まった期間ではありません。契約書に書かれた期間が基準です。
準委任契約とは、仕事の完成ではなく「決められた業務をきちんと行うこと」を約束する契約のことです。SESの多くはこの形で結ばれます。
更新の期限は契約書のどこで確かめる?
更新の期限は、個別契約書(注文書)の「契約期間」と、基本契約書の「解約予告」「契約の更新」の条項で確かめます。どちらか片方だけ見ると、期限を読み違えることがあります。
個別契約とは、要員ごと・期間ごとに、作業内容・単価・期間を決める契約のことです。基本契約とは、取引全体に共通するルールを最初に一度だけ決める契約のことです。
| 見る書類 | 見る条項 | 確かめること |
|---|---|---|
| 個別契約書(注文書) | 契約期間 | 今の期間の開始日と満了日 |
| 個別契約書(注文書) | 特記事項 | 期間や予告について個別の決まりがないか |
| 基本契約書 | 契約の更新 | 自動で更新されるか、申し出の期限はいつか |
| 基本契約書 | 解約予告・中途解約 | 何日前までに、どんな方法で伝えるか |
個別契約と基本契約で決まりが違うときは、どちらを優先するかが基本契約に書かれていることが多いです。「個別契約の定めを優先する」と決める例がよく見られます。
基本契約書の条項を一通り見直したい場合は、SES基本契約書のテンプレートと条項チェック15が役立ちます。
「勝手に更新された」はなぜ起きる?自動更新条項の読み方
「勝手に更新された」と感じる原因は、ほとんどが自動更新条項です。自動更新条項とは、期限までにどちらも申し出をしなければ、同じ条件で次の期間も続くと決める条項のことです。
よくある書き方は、次のような形です。
本契約の期間満了の1か月前までに、甲乙いずれからも書面による 申し出がないときは、本契約は同一条件でさらに1か月間更新される ものとし、以後も同様とする。
自動更新条項があると、期限を1日でも過ぎれば、次の期間も契約が続きます。営業が「更新しない」と伝えるのを忘れると、要員を次の案件に出せなくなります。
自動更新条項がない場合
自動更新条項がない契約は、満了日で終わるのが原則です。続けるには、新しい注文書を出してもらう必要があります。
ただし、注文書が届かないまま要員が働き続けると、黙って更新に合意したと見られるおそれがあります。単価や精算幅があいまいになる原因にもなります。満了の2週間前までに、注文書が届いているかを必ず確認しましょう。
顧客から更新の返事が来ないとき
満了の1か月半前を過ぎても返事がなければ、営業から期限を示して確認します。返事を待つだけだと、予告の期限を過ぎて自動更新になったり、次の案件探しが遅れたりするためです。
「〇月〇日までに、次期のご意向をお聞かせいただけますでしょうか」と日付を入れて聞く
現場の担当者と、契約の窓口(購買・総務)の両方に確認する
返事が遅い理由が予算の決裁待ちなら、決まる日の見込みを聞いておく
条項を読むときの3つのポイント
申し出の期限:「1か月前まで」なのか「満了日の前月末まで」なのか。数え方で期限が変わる
申し出の方法:「書面」と書かれていたら、口頭や電話だけでは足りないことがある
更新後の期間:同じ期間で更新されるのか、1か月ごとの更新に変わるのか
更新されない・更新しないの3つのパターン
契約が更新されない理由は、顧客都合・自社都合・要員都合の3つに分けられます。どのパターンかで、最初に話す相手と伝え方が変わります。
| パターン | よくある理由 | 営業が最初にやること |
|---|---|---|
| 顧客都合(更新されない) | 予算の削減、プロジェクトの終了、体制の縮小 | 終了日と理由を顧客に確認し、書面で残す |
| 自社都合(更新しない) | 単価が合わない、別の案件に移したい | 顧客に早めに相談し、代わりの要員を示す |
| 要員都合(本人が更新を断る) | 本人の希望、体調、スキルとのずれ | 本人の意向を聞き、会社として判断する |
顧客から「更新しない」と言われたとき
顧客から更新しないと言われたら、まず終了日と理由を確認します。理由がスキル不足なら、改善の余地がないかを聞き、次の提案に生かします。
スキル面の指摘を受けたときの進め方は、スキル不足で退場を求められた時の5手順でくわしく解説しています。
要員から「更新を断りたい」と言われたとき
要員から更新を断りたいと言われたら、理由と希望の時期を先に聞きます。理由が長時間労働や人間関係なら、会社として現場の改善を求めるのが先です。
改善しても続けるのが難しいときは、契約書の期限に間に合うよう、会社として「更新しない」を顧客に伝えます。要員が直接顧客に伝えるのではなく、営業が窓口になるのが原則です。
更新しないと決まった時の4手順
更新しないと決まったら、期限の確認→顧客→パートナー→要員の順に連絡し、同時に次の案件を用意します。順番を守ると、行き違いや情報もれを防げます。
契約書で期限と方法を確かめる
顧客との個別契約・基本契約と、パートナー(BP)との契約の両方を見ます。予告の期限と「書面かどうか」をメモします。顧客に伝え、終了日を確定する
結論・理由・引き継ぎの案を1通で伝えます。電話で話したあとも、必ずメールか書面で残します。パートナー(BP)に伝える
自社の間にBPがいる場合は、BPとの契約の予告期限にも間に合わせます。BPの要員には、BPを通して伝えてもらいます。要員に伝え、次の案件を用意する
自社の要員には、終了日と次の予定をセットで伝えます。代わりの要員を顧客に出す場合は、この時点で候補を固めます。
パートナーの要員に直接連絡しないのはなぜ?
パートナーの要員には、必ずパートナー企業を通して伝えます。要員に直接連絡すると、商流を飛ばして引き抜こうとしていると受け取られることがあるためです。
商流を飛ばしたときのリスクは、SESの商流飛ばしは違法?リスクと防ぎ方5つで解説しています。
連絡の順番と伝える内容
| 順番 | 相手 | 伝える内容 | 期限の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 顧客 | 更新しないこと、終了日、引き継ぎの案 | 顧客との契約の予告期限より前 |
| 2 | パートナー | 終了日、理由(伝えられる範囲) | BPとの契約の予告期限より前 |
| 3 | 要員 | 終了日、次の案件の予定 | 顧客・BPと終了日が決まった直後 |
顧客やパートナーへ送る文面は、SESの契約終了メール例文5つにまとめています。
要員との契約で守りたい予告のルール
顧客との契約とは別に、要員との契約にも予告のルールがあります。要員がフリーランスか、有期雇用の社員かで、守るルールが変わります。
フリーランスの要員:6か月以上なら30日前までに予告
要員が個人のフリーランスで、業務委託が6か月以上続いている場合は、30日前までの予告が法律で必要です。2024年11月1日に施行された「フリーランス・事業者間取引適正化等法」の第16条で決まっています。
この予告は、途中で解除するときだけでなく、契約期間の満了後に更新しないときも対象です。予告は書面のほか、メールなど記録が残る方法でも行えます。
予告のあと満了日までに、フリーランスから理由の開示を求められたら、原則として遅滞なく理由を伝える必要があります。災害などで予告が要らない例外もあるので、迷うときは専門家に確認しましょう。
顧客から「更新しない」と言われた日が、満了の30日前を切っていると、予告が間に合いません。フリーランスの要員がいる案件ほど、顧客への確認を早めましょう。
有期雇用の社員:条件によって30日前までに予告
自社の契約社員(期間の決まった雇用)を雇止めにする場合も、条件によって30日前までの予告が必要です。厚生労働省の基準では、3回以上更新しているか、1年を超えて続けて働いている人が対象です。
顧客との契約が終わっても、社員との雇用契約は自動では終わりません。雇用の扱いは社内の人事・社会保険労務士と相談して決めましょう。
次の案件・代わりの要員を切れ目なく用意する段取り
空白の期間をつくらないコツは、満了の2か月前から「更新の確認」と「次の準備」を並行することです。更新が決まってから次を探すと、待機の期間が生まれます。
| 時期 | 顧客との動き | 次の準備 |
|---|---|---|
| 満了2か月前 | 更新の意向を軽く確認する | 要員のスキルシートを最新にする |
| 満了1.5か月前 | 更新するかの返事をもらう | 次の案件の候補を集め始める |
| 満了1か月前 | 更新しないなら正式に通知する | 次の案件へ提案、面談を組む |
| 満了2週間前 | 引き継ぎの内容と日程を決める | 次の案件の参画日を確定する |
| 満了日 | 最終日の稼働と精算を確認する | 翌営業日から次の現場に入る |
派遣の「3年ルール」はSESの更新には当てはまらない
派遣の「3年ルール」とは、同じ職場で派遣として働ける期間を原則3年までとする、労働者派遣法の決まりのことです。準委任契約のSESは派遣ではないので、この期間の上限は当てはまりません。
ただし、顧客が要員に直接指示を出すなど、実態が派遣と同じだと偽装請負と見られるおそれがあります。違いはSES契約と派遣契約の違いと偽装請負の判断基準で確かめてください。
更新のときこそ単価を見直す
更新の確認は、単価を見直すよい機会でもあります。要員のスキルが上がっているなら、更新の打診と一緒に単価の相談をします。進め方は、SESの単価交渉のタイミングと例文を参考にしてください。
待機が出てしまったとき
次の案件が間に合わず待機が出た場合は、社員の給与や休業手当の扱いを先に確認します。くわしくはSESの待機期間の給与と対応で解説しています。
更新前に確かめたいチェックリスト
個別契約の満了日と、予告の期限をカレンダーに入れた
自動更新条項があるかを基本契約・個別契約の両方で確かめた
予告の方法(書面・メール)を確かめた
パートナーとの契約の予告期限も確かめた
要員がフリーランスなら、6か月以上続いているかを確かめた
要員本人に、続けたいかどうかの意向を聞いた
スキルシートを最新にし、次の案件の候補を集め始めた
更新しない場合の引き継ぎ案を用意した
チョータツとxhoursで「次の一手」を早くする
更新の確認や次の案件探しは、Excelとメールでも進められます。ただ、次の案件や代わりの要員を探すたびに、過去のメールを検索し、パートナーに1社ずつ聞くのは時間がかかります。DrivenXのツールを使うと、案件や要員を「探す」時間を短くできます。
チョータツとは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。
| 場面 | 自分でやる場合 | DrivenXのツールを使う場合 |
|---|---|---|
| 次の案件を探す | パートナーからのメールを検索して探す | チョータツでパートナーと連携し、営業中案件をデータベースで探す |
| 代わりの要員を探す | パートナーに1社ずつ問い合わせる | チョータツで連携先の営業中人材をデータベースで探す |
| 自社の要員を紹介する | BCCでメールを一斉送信する | チョータツのメール配信機能でパートナーに配信する |
| フリーランスに声をかける | エージェントに依頼する | xhoursでITフリーランスに直接スカウトする |
更新の確認と並行して次を準備するには、ふだんから案件・人材の情報を1か所に集めておくことが大切です。チョータツに登録しておけば、「更新なし」が決まった日から、すぐに候補を当たれます。
代わりの要員をフリーランスから探す場合は、DrivenXのxhours(エックスアワーズ)が使えます。数千名のフリーランスのデータベースから探し、ITフリーランスに直接スカウトを送れます。
よくある質問
- Q. SESの契約更新はいつ決まりますか?
- 多くは契約満了の1か月前までに決まります。顧客は満了の1〜2か月前に社内で判断するので、営業はその時期に確認の連絡を入れます。正確な期限は、個別契約書と基本契約書で確かめてください。
- Q. SESで退場を伝えるのは1か月前で足りますか?
- 契約書の予告期限が1か月前なら、1か月前までに伝えれば足ります。ただし、パートナーやフリーランスの要員への予告も必要です。フリーランスへの予告は30日前までなので、顧客へは1か月より早めに伝えるのが安全です。
- Q. 更新しないと伝えていないのに、契約が勝手に更新されていました。
- 契約書に自動更新条項があると、期限までに申し出がなければ同じ条件で更新されます。次の期間は契約どおりに働き、次の満了に向けて早めに「更新しない」と伝えましょう。途中で抜けたい場合は、SESの契約途中の退場の対応を参考にしてください。
- Q. 要員から「更新を断りたい」と言われたら、どうすればいいですか?
- 理由と希望の時期を聞き、改善できることがないかを先に確かめます。それでも難しければ、営業が窓口になって顧客に伝えます。要員から顧客へ直接伝えてもらうのは避けましょう。
- Q. 顧客から更新されない理由を聞いてもいいですか?
- 聞いて問題ありません。理由がわかると、次の提案や要員のフォローに生かせます。答えにくそうなら、「今後のご提案の参考にしたい」と目的を添えて聞くと話してもらいやすくなります。
- Q. パートナーの要員が更新されない場合、誰が要員本人に伝えますか?
- 要員が所属するパートナー企業が伝えます。自社はパートナーに終了日と理由を伝え、本人への連絡はパートナーに任せます。
まとめ
SESの契約更新は、満了の1か月前までに決まることが多い
民法に準委任の自動更新ルールはなく、契約書の自動更新条項と予告期間で決まる
「勝手に更新された」は、自動更新条項の期限を過ぎたことが原因
更新しない時は、期限の確認→顧客→パートナー→要員の4手順で連絡する
フリーランスの要員は、6か月以上続いていれば30日前までの予告が必要
満了の2か月前から次の案件と代わりの要員を並行して探すと、待機を防げる
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツ(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月29日|更新日:2026年9月29日
参考資料(2026年9月28日確認)
e-Gov法令検索「民法」(第651条 委任の解除)
e-Gov法令検索「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(第16条 解除等の予告)
厚生労働省「フリーランス・事業者間取引適正化等法 リーフレット」
公正取引委員会「フリーランス法に関するQ&A」
厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」
e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(第35条の3、第40条の2・第40条の3 派遣期間の制限)
厚生労働省「有期労働契約の締結、更新、雇止め等に関する基準」