派遣の1ヶ月更新は違法?日雇派遣の30日ルールとSESの短期更新案件の注意点

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

派遣の1ヶ月更新は違法?答えは「更新期間では決まらない」

派遣の1ヶ月更新が違法かどうかは、契約書の更新期間ではなく、雇用契約の長さで決まります。派遣会社がエンジニアを30日以内の期間で雇っていなければ、1ヶ月更新でも日雇派遣の禁止にはあたりません。

ここで2つの契約を分けて考えることが大切です。

労働者派遣契約とは、派遣会社(派遣元)と、エンジニアを受け入れる会社(派遣先)が結ぶ契約のことです。「誰を、どの業務に、いつまで派遣するか」を決めます。

雇用契約とは、派遣会社とエンジニア本人が結ぶ、働く条件の契約のことです。正社員なら期間の定めがなく、契約社員なら「6ヶ月」などの期間があります。

契約結ぶ人どうし1ヶ月ごとの更新
労働者派遣契約派遣元 ⇔ 派遣先法律上の下限はない。1ヶ月でも可
雇用契約派遣元 ⇔ エンジニア30日以内の期間で雇うと日雇派遣の問題になる
準委任契約(SES)SES企業 ⇔ 顧客派遣法の期間ルールはかからない

つまり「派遣先との契約は1ヶ月更新、エンジニアは自社の正社員」という形なら、日雇派遣にはなりません。SES企業が派遣で人を出す場合も、自社の正社員を出しているなら同じ考え方です。

違法になる線は「日雇派遣の30日ルール」

違法になりうるのは、30日以内の雇用契約の人を派遣する日雇派遣です。日雇派遣は、労働者派遣法第35条の4で原則として禁止されています。

日雇派遣とは、派遣会社が「日々」または「30日以内の期間」を決めて雇った人を派遣することです。法律の条文では、この人を「日雇労働者」と呼んでいます。

日雇派遣が例外として認められる場合

日雇派遣の禁止には、業務による例外と人による例外があります。IT業界に関係が深いのは業務の例外です。

例外の種類主な内容根拠
業務の例外システムの設計・保守、プログラムの設計・作成・保守など施行令第4条第1項第1号
業務の例外機械の設計・製図、通訳・翻訳、財務処理など、政令で決められた業務施行令第4条第1項
人の例外60歳以上の人、昼間の学校の学生など施行令第4条第2項
収入の例外本業の年収が500万円以上で副業として働く人、または世帯年収500万円以上で主な稼ぎ手でない人施行令第4条第2項第3号、施行規則第28条の3

システム開発やプログラム作成の業務は、業務の例外に入っています。そのため、IT案件で日雇派遣の禁止が問題になる場面はかなり限られます。

ただし、ヘルプデスクやキッティング(パソコンの初期設定)などは、例外の業務にあたるか注意が必要です。「IT案件だから必ず例外」とは言い切れません。業務内容が例外にあたるか迷うときは、労働局や専門家に確認してください。

30日ルールに違反するとどうなるか

日雇派遣の禁止に違反すると、派遣会社は行政上の処分を受けるおそれがあります。改善の命令や、派遣の許可の取消しなどです。

派遣の許可が取り消されると、その会社はすべての派遣事業ができなくなります。取引先の派遣会社が処分を受ければ、自社の要員も現場を離れることになりかねません。

例外の19業務と短期スポットの判断は、日雇い派遣とは?禁止の例外とSESの短期スポット案件の判断で詳しく解説しています。

1ヶ月更新でも気をつけたい、雇用側のルール

派遣でもSESでも、エンジニアを雇う契約を1ヶ月ごとに更新し続けるのは避けるべきです。労働契約法に、必要以上に短い期間で更新をくり返さないよう配慮する決まりがあるからです。

労働契約法第17条第2項は、使用者(雇う会社)に対して次のように求めています。「必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない」。

有期労働契約とは、「6ヶ月」「1年」など、働く期間が決まっている雇用契約のことです。

SES営業の現場では、次のような形がやりがちなNGです。

  1. 顧客との契約が1ヶ月更新だから、エンジニアとの雇用契約も1ヶ月にする

  2. 顧客が更新しなかった月に、エンジニアとの契約もそのまま終える

  3. 1と2を何度もくり返す

こうした雇止め(有期の雇用契約を更新せずに終えること)は、無効と判断されることがあります。労働契約法第19条は、何度も更新された契約や更新を期待する理由がある契約を、合理的な理由なく終えられないとしています。判断の手順は有期労働契約の雇止めルール|SESの案件終了と派遣法の注意点で整理しています。

顧客との契約の長さと、エンジニアとの雇用の長さは、別のものとして考えるのが基本です。雇用の期間は、社内の人事・労務の担当者と決めましょう。

準委任のSES契約で1ヶ月更新が当たり前になっている理由

準委任のSES契約では、1ヶ月〜3ヶ月ごとの更新がよく使われます。法律上の期間の決まりがなく、顧客が予算や人員を見直しやすいからです。

準委任契約とは、「仕事を完成させること」ではなく、「決められた業務を行うこと」を約束する契約のことです。民法第656条が根拠で、期間の長さに法律上の決まりはありません。

SESで短期更新が多い主な理由は次のとおりです。

  • 顧客の予算が月ごとや四半期ごとに決まる:長い契約を約束しにくい

  • 最初の数ヶ月は様子を見たい:スキルが合うかを確かめてから延ばしたい

  • プロジェクトの終わりが読めない:作業の量に合わせて人数を変えたい

一方で、準委任契約はどちらからでも、いつでも解除できるのが民法の原則です(民法第651条)。ただし、相手に不利な時期に解除すると、損害を賠償する責任が出る場合があります。

実際の解除のルールは、基本契約書の「中途解約」の条項で決まっていることが多いです。1ヶ月更新の案件ほど、中途解約の条項を先に読んでおきましょう。条項の書き方はSESの中途解約条項の書き方|準委任の途中解約と報酬の扱いで確認できます。

法律より怖い、1ヶ月更新の営業上のリスク

1ヶ月更新の一番のリスクは、打ち切りが決まってから次の現場までの時間が短いことです。法律違反でなくても、要員が宙に浮けば売上はゼロになります。

リスク起きること営業ができる対策
急な打ち切り満了の2〜3週間前に「今月で終了」と連絡が来る通知期限を契約書に書き、毎月確認する
待機の発生次の案件が決まらず、給与だけが出ていく満了1ヶ月前から次の案件を探し始める
要員の不安エンジニアが毎月「来月あるのか」と不安になる更新の見通しを月1回共有する
単価交渉の弱さ更新のたびに値下げを言われやすい3ヶ月更新への切り替えを提案する
事務の手間注文書・請書を毎月やりとりする更新手続きの月次スケジュールを決める

たとえば、単価70万円のエンジニアが1ヶ月待機すると、その月の売上70万円がまるごと消えます。年度末は打ち切りが集中するので、SESの3月末の契約終了対策|年度末に待機を出さない営業の7手順の段取りも使ってください。一方で、自社の正社員なら給与や社会保険料は出ていきます。

会社の都合で休ませる場合、平均賃金の60%以上の休業手当が必要です(労働基準法第26条)。計算例はSESの待機期間の給与と対応|休業手当の計算例と早く案件に入る7手順で確認してください。

1ヶ月更新の案件で、打ち切りに備える6つの手順

1ヶ月更新の案件は、「更新される前提」ではなく「毎月が満了の可能性がある前提」で動きます。次の6つの手順を、担当案件ごとに回しましょう。

  1. 契約書で通知期限を確認する:基本契約書・個別契約書で「満了の何日前までに更新しない旨を伝えるか」を見る。書いていなければ、次の更新時に「満了の1ヶ月前まで」と入れるよう相談する

  2. 更新確認の日をカレンダーに入れる:満了日の1ヶ月前と2週間前に、顧客へ更新の意向を聞く予定を入れる

  3. 現場の様子を毎月聞く:エンジニア本人と月1回話し、作業量の変化や人員削減のうわさを拾う

  4. 満了1ヶ月前から次の案件を探す:更新の返事を待たずに、スキルに合う案件の候補を3件以上そろえておく

  5. スキルシートを最新にしておく:今の現場の作業内容を毎月書き足し、いつでも提案に出せる状態にする

  6. 打ち切りが決まったら、その日のうちに提案を出す:エンジニア本人・社内・BP(取引先の会社)へ連絡し、候補の案件へ提案する

顧客に更新の意向を確かめるメール例文

更新の確認は、満了日と返事の期限をはっきり書くのがコツです。

件名:【ご確認】10月末満了の〇〇様のご契約更新について

株式会社〇〇 〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
現在ご支援中の〇〇(エンジニア名)のご契約が、2026年10月31日(土)に満了となります。
11月以降のご契約について、10月16日(金)までにご意向をお知らせいただけますでしょうか。
あわせて、今後の体制のご予定があれば、差し支えない範囲で教えていただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いいたします。

返事が遅れる顧客には、期限の3日前にもう一度連絡しましょう。更新しない連絡の文面は、SESの契約終了メール例文5つ|理由別の伝え方と送る時期にまとめています。

1ヶ月更新を3ヶ月更新に変えてもらう交渉のコツ

1ヶ月更新が何度も続いている案件は、3ヶ月更新への切り替えを提案する価値があります。顧客にとっても、毎月の契約手続きが減るメリットがあるからです。

交渉のときは、次の順で話すと通りやすくなります。

  1. 実績を伝える:「〇ヶ月連続で更新いただき、ありがとうございます」と、続いている事実から入る

  2. 顧客のメリットを示す:「毎月の注文書のやりとりが3ヶ月に1回になります」と、手間が減ることを伝える

  3. 要員側の事情を伝える:「本人も長く担当したいと話しています」と、現場の安定につながることを伝える

  4. 中途解約の条件で安心してもらう:「必要な場合は1ヶ月前のご連絡で終了できる形にします」と、顧客の不安を先に消す

すべての顧客が応じるわけではありません。予算の事情で1ヶ月更新しかできない顧客もいます。その場合は、次の案件を常に探しておく体制で補いましょう。

自分で次の案件を探す方法と、チョータツで楽にする方法

次の案件を探す方法は、BPからのメール、顧客への直接の聞き取り、案件サイトの3つが基本です。まずは自分でできる方法から始めましょう。

自分でやる方法

  • BPからの案件メールを毎日見る:受信フォルダで「開発」「インフラ」など要員のスキル名を検索する

  • 既存の顧客に聞く:今の現場の顧客に「別の部署で人が足りていないか」を聞く

  • Excelで候補を管理する:案件名・スキル・単価・開始時期・連絡先を1行ずつ書き出す

ただ、この方法は案件メールが1日に何百通も届くと追いきれなくなります。担当する要員が増えるほど、候補を見落としやすくなります。

チョータツで楽にする方法

チョータツは、SES営業の案件・人材を管理・共有するツールです。3,000社以上が利用しており、無料で始められます。

  • 他社と連携すると、相手の営業中案件をデータベース化できる:メールを1通ずつ開かずに、スキルや時期で候補を探せる

  • 自社の人材の情報を管理・共有できる:1ヶ月更新の要員を一覧で見て、満了が近い人から提案を進められる

  • パートナーへのメール配信機能がある:打ち切りが決まった要員を、BPへまとめて紹介できる

案件メールの整理に時間がかかっている場合は、チョータツメールAIも使えます。届いたメールをAIが案件メールと人材メールに切り分けます。

代わりの人材が必要になったとき

反対に、自社が顧客側で、BPの要員が1ヶ月で打ち切りになることもあります。急いで代わりの人を探すなら、DrivenXのxhours(エックスアワーズ)が使えます。ITフリーランスに直接スカウトを送れるサービスで、数千名のデータベースから探せます。

よくある質問

Q. 派遣の契約を1ヶ月ごとに更新するのは違法ですか?
違法ではありません。労働者派遣法に、派遣契約の期間の下限はありません。違法になりうるのは、派遣会社とエンジニアの雇用契約が30日以内の日雇派遣です。
Q. 派遣の契約更新の期間は、どのくらいが一般的ですか?
法律で決まった長さはなく、1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月などさまざまです。最初は短く、続くにつれて長くするケースがよく見られます。なお、同じ人を同じ組織単位に派遣できるのは原則3年までです。
Q. SES(準委任)で1ヶ月更新が続くのは問題ありませんか?
法律上の問題はありません。準委任契約には派遣法の期間ルールがかからないからです。ただし、エンジニアとの雇用契約まで1ヶ月にそろえて更新をくり返すのは、労働契約法の考え方から避けるべきです。
Q. 日雇派遣の禁止は、IT系の派遣にもかかりますか?
システムの設計・保守やプログラムの設計・作成・保守は、禁止の例外の業務に入っています。ただし、例外にあたるかは実際の業務内容で決まるので、迷うときは労働局や専門家に確認しましょう。
Q. 1ヶ月更新の案件は、満了のどのくらい前に次を探し始めるべきですか?
満了日の1ヶ月前が目安です。更新の返事を待ってから探すと、待機が出やすくなります。候補を3件以上そろえておくと、打ち切りの連絡が来ても慌てずに済みます。
Q. 派遣の契約更新で、派遣先から急に「更新しない」と言われたら?
まず契約書で、更新しない旨を伝える期限が守られているかを確認しましょう。そのうえで、エンジニア本人に早く伝え、次の案件への提案をその日のうちに始めます。

まとめ

  • 派遣の1ヶ月更新は、それだけでは違法ではない。違法になりうるのは、雇用契約が30日以内の日雇派遣

  • システムやプログラムの設計・作成・保守の業務は、日雇派遣の禁止の例外に入っている

  • 準委任のSES契約には、派遣法の期間ルールはかからない

  • エンジニアとの雇用契約を、顧客との契約に合わせて1ヶ月にするのは避ける

  • 本当のリスクは、急な打ち切りと待機。満了1ヶ月前から次の案件を探し、3ヶ月更新への切り替えも提案する

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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