派遣契約の期間は?最長期間・3年ルール・抵触日と、契約更新のたびに確認する7つの手順
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
派遣契約の期間とは?2つの契約の期間を分けて考える
派遣の「期間」には、派遣先との契約の期間と、働く人との雇用契約の期間の2つがあります。 SES営業が混同しやすいので、最初に分けておきます。
労働者派遣契約とは、派遣元(人を送り出す会社)と派遣先(人を受け入れる会社)の間で結ぶ契約のことです。 労働者派遣法 第26条で、契約に「労働者派遣の期間及び派遣就業をする日」を定めることになっています。
| 契約 | だれとだれの契約か | 期間のルール |
|---|---|---|
| 労働者派遣契約 | 派遣元と派遣先 | 1回の上限はない。3年ルール(抵触日)までしか派遣できない |
| 雇用契約(労働契約) | 派遣元と技術者 | 期間を決めるなら原則3年まで(労働基準法 第14条) |
| 準委任契約(SES) | SES企業と客先 | 派遣法の期間制限はない |
派遣元と技術者の雇用契約は、労働基準法 第14条により、期間を決める場合は原則3年が上限です。一方で、派遣先との派遣契約の1回の長さには上限がありません。
派遣そのものの仕組みは、労働者派遣法とは?SES営業が知るべきルール8つと労基法で説明しています。
派遣契約の最長期間は?
1回の派遣契約で決められる期間に、法律上の上限はありません。 ただし、事業所単位・個人単位の抵触日を超えて派遣することはできません。つまり、実際の最長は「早いほうの抵触日の前日まで」です。
厚生労働省は「派遣先が講ずべき措置に関する指針」を出しています。この指針は、派遣先に派遣契約の期間を可能な限り長く定めるよう求めています。派遣元向けの指針は、技術者との雇用契約の期間を派遣契約の期間と合わせるなどの配慮を求めています。
反対に、短すぎる期間にも決まりがあります。
日雇派遣の原則禁止:日々または30日以内の期間で雇う人の派遣は、原則として禁止です(第35条の4)。
例外は、政令で決めた業務や、60歳以上の人・学生などに限られます。
これは技術者との雇用契約の長さの話です。派遣契約の長さそのものではありません。
派遣の3年ルールとは?事業所単位と個人単位
派遣の3年ルールとは、同じ事業所・同じ課への派遣を原則3年までとする、労働者派遣法の期間制限のことです。 2015年9月30日施行の改正で、今の2つの制限になりました。
| 種類 | 何を数えるか | 延長 | 条文 |
|---|---|---|---|
| 事業所単位 | 派遣先の同じ事業所で、派遣を受け入れた期間 | 労働組合などの意見を聞けば3年ずつ延長できる | 第40条の2 |
| 個人単位 | 同じ人を、同じ組織単位(課など)に派遣した期間 | 延長できない | 第35条の3・第40条の3 |
事業所単位とは
事業所とは、場所がほかと分かれていて、人事・経理・指導監督などがある程度独立している単位のことです。 本社・支店・工場などが、それぞれ1つの事業所になるのが一般的です。
事業所単位の期間は、派遣元ごとではなく事業所ごとに1つです。他社の派遣が先に入っていれば、その開始日から数えます。延長するには、派遣先が抵触日の1か月前までに、過半数労働組合などの意見を聞く必要があります。
個人単位とは
組織単位とは、課やグループのように、長が仕事の割り振りと指揮監督の権限を持つ単位のことです。 同じ人を同じ課に派遣できるのは3年までです。別の課に移れば、新たに3年を数えられます。
クーリング期間
クーリング期間とは、派遣の受け入れが途切れた空白の期間のことです。 空白が3か月を超えると、期間は数え直しになります。3か月以内なら、続いているものとみなされます。
ただし、延長の手続きを避ける目的で3か月空けることは、指針で法律の趣旨に反するとされています。数え方の具体例は、派遣の抵触日とは?事業所・個人の3年ルールをSES営業向けに解説で詳しく説明しています。抵触日が半年後に迫った技術者の次の現場探しや派遣先への相談の段取りは、派遣契約終了ショックとは?抵触日の6か月前からSESがやる段取りにまとめています。
3年ルールの例外:期間制限がかからない5つのケース
次の5つのケースの派遣には、3年ルールがかかりません(第40条の2第1項各号)。抵触日の管理も要りません。
派遣元に無期雇用されている人の派遣
60歳以上の人の派遣
終わる時期が決まっている有期プロジェクトや、月の日数が少ない業務の派遣
産前産後休業・育児休業をとる人の代わりの派遣
介護休業をとる人の代わりの派遣
SES企業の技術者派遣で一番関係するのは、1つめの無期雇用派遣です。正社員として無期で雇う技術者なら、3年を超えて同じ課に派遣できます。
派遣契約では、派遣する人を「無期雇用の人などに限るか否か」を定めます(施行規則 第22条)。例外で3年を超えるなら、この項目が契約と合っているか必ず確かめます。無期雇用派遣の詳しい扱いは、派遣の無期雇用とは?有期との違いと3年ルールをSES向けに解説を参照してください。
派遣法の「1年ルール」は4つある
派遣法で「1年ルール」と呼ばれるものは、主に4つあります。 どれも「1年」という期間が基準になる決まりで、3年ルールとは別のものです。
| 呼び方の例 | 中身 | 条文 |
|---|---|---|
| 離職後1年以内の派遣禁止 | 辞めた会社に、1年以内は派遣として戻れない(60歳以上の定年退職者は除く) | 第35条の5・第40条の9 |
| 雇用安定措置 | 同じ課で1年以上働く見込みの有期の人に、派遣元が雇用を安定させる措置をとる(努力義務) | 第30条 |
| 派遣先の雇い入れ努力 | 1年以上受け入れた有期の人を、同じ業務で雇うなら優先して雇うよう努める | 第40条の4 |
| 募集情報の知らせ | 1年以上受け入れている人に、派遣先の正社員などの募集を知らせる | 第40条の5 |
雇用安定措置は、同じ課で3年働く見込みの人には義務になります(第30条第2項)。
なお、2015年の改正前は「原則1年、最長3年」という期間制限がありました。古い記事で見かける「派遣は1年まで」は、この旧ルールを指していることが多いです。
派遣契約書と抵触日:契約前の通知と書くこと
派遣先は、派遣契約を結ぶ前に、事業所単位の抵触日を派遣元に通知しなければなりません(第26条第4項)。通知がないとき、派遣元はその派遣契約を結んではいけません(同条第5項)。
抵触日とは、派遣の期間制限に違反することになる最初の日のことです。 派遣を始めた日から3年が過ぎた翌日です。たとえば2026年10月1日に受け入れを始めたら、抵触日は2029年10月1日です。
契約前後の流れは次のとおりです。
派遣先から抵触日の通知を受け取る:書面・FAX・電子メールなどで受け取る(施行規則 第24条の2)
派遣契約(個別契約)を結ぶ:派遣期間・就業日・業務内容・組織単位などを定める
技術者に明示する:派遣元は、事業所と個人の両方の抵触日を技術者に示す(第34条)
延長されたら新しい通知を受け取る:派遣先は延長後すぐに新しい抵触日を通知する(第40条の2第7項)
受け取った抵触日は、契約書の控えと一緒に保管します。個別契約書にも抵触日を書いておくと、更新のときに照らし合わせやすくなります。記載事項の一覧は、派遣の個別契約書の書き方|記載事項一覧と保管・印紙にまとめています。
派遣契約の更新期間はどう決める?
派遣契約を何か月ごとに更新するかは、法律では決まっていません。 派遣先と派遣元の話し合いで、1か月・3か月・6か月などに決めます。
ただし、派遣先の指針は「可能な限り長く定める」よう求めています。短い更新を繰り返すと、技術者が先の見通しを持てず、辞める原因にもなります。
更新期間を決めるときの考え方は次の3つです。
業務の見通しに合わせる:プロジェクトの終わりが決まっているなら、その日までを1回の契約にする
抵触日を超えない:更新後の終了日が、早いほうの抵触日の前日を超えないようにする
雇用契約と合わせる:技術者との雇用契約の期間を、派遣契約の期間とそろえる
1か月ごとの更新を続けるときの注意は、派遣の1ヶ月更新は違法?SESで短期更新を続けるときの注意点で取り上げています。
契約更新のたびに確認する7つの手順
派遣元の営業は、契約を更新するたびに、期間に関わる7点を順番に確認します。 更新の1〜2か月前に確認を始めると、抵触日の直前に慌てずに済みます。
雇用形態を確認する:無期雇用・60歳以上なら期間制限の対象外。有期雇用なら次へ進む
事業所単位の抵触日を確認する:最新の通知書と照らし合わせる。延長の予定も派遣先に聞く
個人単位の抵触日を確認する:技術者がその課に入った日から3年後の翌日を出す
早いほうの抵触日を「派遣できる最終日」にする:その前日が最終の就業日になる
更新後の終了日を決める:最終日を超えない範囲で、業務の見通しに合わせる
雇用契約の期間をそろえる:技術者との雇用契約の更新も同時に行う
1年・3年の節目を確認する:同じ課で1年以上・3年見込みの人は、雇用安定措置の対象になる
管理表の例
次の表は管理表の例です(架空の内容)。2つの抵触日のうち早いほうが、派遣できる最終日を決めます。
| 技術者・派遣先 | 雇用形態 | 事業所/個人の抵触日 | 派遣できる最終日 |
|---|---|---|---|
| Aさん/〇〇社 本社 開発1課 | 有期 | 2029年10月1日/2030年4月1日 | 2029年9月30日 |
| Bさん/□□社 大阪支店 基盤課 | 有期 | 2031年4月1日(延長後)/2029年7月2日 | 2029年7月1日 |
| Cさん/△△社 本社 運用課 | 無期 | 対象外 | 期間制限なし |
Aさんは事業所単位が先に来ます。派遣先が延長すれば、個人の抵触日の前日(2030年3月31日)まで続けられます。
派遣先に抵触日と延長予定を確認するメール例文
件名:【ご確認】開発1課 Aの契約更新と抵触日について
〇〇株式会社 〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
2027年1月からの契約更新にあたり、次の2点を確認させてください。
本社事業所の抵触日(現在のご通知では2029年10月1日)に変更はございますか
抵触日の後も受け入れを続けるご予定の場合、意見聴取による延長のご予定はございますか
延長の場合は、延長後の抵触日を書面かメールでご通知ください。
12月11日(金)までにご回答いただけますと幸いです。
3年ルールと5年ルール(無期転換)の違い
3年ルールは派遣先で働ける期間の決まりで、5年ルールは雇用契約が無期に変わる決まりです。 名前が似ていますが、別の法律の別の制度です。
無期転換ルールとは、有期の雇用契約が通算5年を超えると、本人の申込みで無期に変わる決まりのことです(労働契約法 第18条)。同じ会社との契約の通算で数えます。
| 比べる点 | 3年ルール | 5年ルール(無期転換) |
|---|---|---|
| 法律 | 労働者派遣法 | 労働契約法 |
| 対象 | 派遣先での受け入れの期間 | 派遣元と技術者の雇用契約 |
| 期間 | 事業所・課ごとに3年 | 有期契約の通算5年 |
| 効果 | 抵触日から同じ形で派遣できない | 本人が申し込むと無期雇用になる |
派遣元に無期雇用された技術者は、3年ルールの対象外になります。つまり、5年ルールで無期に変わると、その技術者は3年を超えて同じ課に派遣できるようになります。
期間制限を逃れる準委任への切り替えは偽装請負になる
3年ルールを避けるために、同じ働き方のまま準委任(SES)に名前だけ切り替えると、偽装請負になります。 準委任には派遣法の期間制限がありませんが、実態が派遣なら派遣として扱われるからです。
偽装請負とは、準委任や請負の形なのに、実態は客先が直接指示を出す派遣になっている状態のことです。 派遣法を免れる目的で、派遣以外の名目で契約した場合も同じです。派遣先が技術者に直接雇用を申し込んだとみなされることがあります(第40条の6第1項第5号)。
準委任に切り替えるなら、次の3点を実際に変える必要があります。
| 確認すること | 派遣のまま(NG) | 準委任として適切 |
|---|---|---|
| 作業の指示 | 客先の課長が毎日直接指示する | SES企業の責任者が指示を出す |
| 勤怠の管理 | 客先が出退勤や残業を決める | SES企業が管理する |
| 契約書 | 客先の指揮命令者の名前がある | 業務の範囲と受託側の責任者を書く |
1人で常駐し、客先から細かい指示を受ける働き方は、準委任に向きません。その場合は、課の異動・無期雇用への切り替え・別の案件を選ぶほうが安全です。判断の基準は、偽装請負の判断基準|SES営業が避けたいNG行為10選と予防策で確認できます。3つの契約の違いは、SESと派遣の違い|準委任・派遣・請負の比較表と確認5項目にまとめています。
抵触日を超えて派遣するとどうなる?
抵触日を超えて派遣を受けると、派遣先が技術者に直接雇用を申し込んだとみなされることがあります。 これを労働契約申込みみなし制度といいます(第40条の6第1項第3号・第4号)。
派遣先:その時点の労働条件で、技術者に雇用契約を申し込んだとみなされる
派遣元:抵触日以降の派遣は法律で禁止されている(第35条の2・第35条の3)
派遣元にとっては、技術者を派遣先に直接雇われて失うおそれがあります。派遣先との信頼も損ないます。抵触日を守ることは、取引先と技術者の両方を守ることです。
派遣と準委任の案件管理をチョータツで楽にする
派遣と準委任が混ざる案件は、契約形態と期限を案件ごとに見える形にすると、確認のもれが減ります。 先に、自分でやる方法を紹介します。
自分でやる方法
Excelに、技術者・派遣先・契約形態(派遣/準委任)・雇用形態の列を作る
派遣の案件には、事業所と個人の抵触日、派遣できる最終日の列を足す
最終日の6か月前・3か月前に色が変わるよう、条件付き書式を設定する
毎月の更新会議で、色が変わった行から対応を決める
管理表の作り方は、SESの案件・人材管理をExcelで無料で行う方法|テンプレ付きで紹介しています。
チョータツでもっと楽にする
チョータツは、SES営業の案件・人材の管理・共有ツールです。派遣の期間管理まわりでは、次の点で手間が減ります。
案件情報を管理・共有できる:案件ごとの条件をチームで見られ、提案の前に確認できる
他社と連携すると、他社の営業中案件をデータベース化できる:抵触日が近い技術者の次の現場を、早めに探せる
AIが入力を手伝う:案件・人材の登録の手間を減らせる
抵触日の計算そのものは、自社の管理表で行う必要があります。そのうえで、次の案件探しをチョータツで早めるのがおすすめの使い方です。3,000社以上が利用しており、無料で始められます。
よくある質問
- Q. 派遣契約の期間は最長何年ですか?
- 1回の派遣契約の長さに、法律上の上限はありません。ただし、事業所単位・個人単位の抵触日を超えて派遣することはできません。同じ人を同じ課に派遣できるのは最長3年です(無期雇用・60歳以上などは対象外)。
- Q. 派遣法の3年ルールに例外はありますか?
- あります。無期雇用の人、60歳以上の人、有期プロジェクト・日数の少ない業務、産休・育休・介護休業の代わりの派遣は対象外です。
- Q. 派遣の事業所単位とは何ですか?
- 本社・支店・工場のように、場所が分かれ、人事や経理がある程度独立している単位です。派遣元ごとではなく、派遣先の事業所ごとに3年を数えます。
- Q. 派遣契約書に抵触日は書きますか?
- 派遣先は、契約を結ぶ前に事業所単位の抵触日を派遣元へ通知します。通知がなければ契約を結べません。個別契約書にも書いておくと、更新時の確認が楽になります。
- Q. 派遣法の1年ルールとは何ですか?
- 主に、離職後1年以内の元の勤務先への派遣禁止、1年以上の見込みの人への雇用安定措置など4つの決まりを指します。旧制度の「原則1年」を指すこともあります。
- Q. 派遣契約は何か月ごとに更新すればいいですか?
- 法律の決まりはありません。業務の見通しに合わせ、抵触日を超えない範囲で決めます。指針は、派遣契約の期間をできるだけ長く定めるよう求めています。
- Q. 3年が近いので準委任に切り替えてもいいですか?
- 指示の出し方や勤怠管理など、働き方の実態を準委任に合わせて変えるなら可能です。名前だけ変えると偽装請負になり、みなし制度の対象になることがあります。
まとめ
1回の派遣契約の長さに法律上の上限はないが、抵触日を超えて派遣できない
3年ルールは事業所単位(延長できる)と個人単位(延長できない)の2つ
派遣先は契約前に事業所単位の抵触日を通知する。通知がなければ契約を結べない
無期雇用・60歳以上など5つのケースは期間制限の対象外
「1年ルール」は、離職後1年以内の派遣禁止など4つの決まりを指すことが多い
更新のたびに7つの手順で、雇用形態と2つの抵触日を確認する
期間制限を逃れる目的の準委任への名前だけの切り替えは偽装請負
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(第26条 契約の内容等、第30条 雇用安定措置、第34条、第35条の2〜第35条の5、第40条の2〜第40条の6、第40条の9)
e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則」(第22条 契約で定める事項、第24条の2 抵触日の通知の方法)
厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」(派遣契約の期間を可能な限り長く定める、3か月を超えない空白は継続とみなす)
厚生労働省「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」(雇用契約の期間を派遣契約の期間と合わせる配慮)
厚生労働省・都道府県労働局「派遣先の皆様へ 受入れ期間制限ルール」
厚生労働省「派遣元事業主・派遣先の皆様(労働者派遣法の改正)」(日雇派遣の原則禁止、離職後1年以内の派遣禁止)
e-Gov法令検索「労働基準法」(第14条 契約期間等)
e-Gov法令検索「労働契約法」(第18条 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)