派遣の無期雇用とは?有期雇用派遣との違いと3年ルールの例外|SES会社が技術者派遣で使う判断材料

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

派遣の無期雇用とは?

無期雇用派遣とは、派遣元が期間を決めずに雇っている派遣労働者を、派遣先へ送る働き方のことです。 法律では「期間を定めないで雇用される派遣労働者」と定義されています(労働者派遣法 第30条の2第1項)。

ポイントは、「雇用」と「派遣」が別の契約だということです。

  • 雇用契約:派遣元と技術者の間の契約。無期か有期かは、ここで決まる

  • 労働者派遣契約:派遣元と派遣先の間の契約。こちらは3か月・6か月など期間がある

無期雇用派遣でも、派遣先との契約には期間があります。派遣先が変わっても、派遣元との雇用は続くのが無期雇用派遣です。

「無期限派遣」という言葉で検索されることもあります。ただし、法律上の正式な言い方ではありません。期間制限なく派遣できるという意味で使われることが多く、その代表が無期雇用派遣です。

派遣の基本は派遣とは?仕組みと派遣会社の役割|SES営業が知る準委任との差で確認できます。

有期雇用派遣との違い

有期雇用派遣とは、派遣元が「3か月」「6か月」など期間を決めて雇った人を派遣する形です。 いわゆる「登録型派遣」の多くがこちらです。無期雇用派遣との違いは、次の表のとおりです。

比べる点無期雇用派遣有期雇用派遣
派遣元との雇用期間期間の定めなし3か月・6か月などの期間あり
3年ルール(期間制限)対象外対象(事業所単位・個人単位)
派遣契約が終わったとき雇用は続く。終了だけを理由に解雇できない雇用期間が残っていれば、同じく終了だけで解雇できない
雇用安定措置義務の対象外3年見込みの人は派遣元の義務
派遣先への通知「無期雇用」と通知する「有期雇用」と通知する

派遣先への通知は、労働者派遣法 第35条で決まっています。派遣元は、派遣する人が無期か有期かを派遣先に伝えなければなりません。

有期雇用派遣労働者とは、派遣元と期間を決めた雇用契約を結んでいる派遣労働者のことです。 同じ組織単位で1年以上働く見込みがある人は「特定有期雇用派遣労働者」と呼ばれます。

派遣元には、この人の雇用を安定させる措置の努力義務があります(第30条第1項)。3年働く見込みがある人については、努力義務ではなく義務になります(同条第2項)。

無期雇用派遣が3年ルールの対象外になる理由

無期雇用派遣は、法律で派遣の期間制限の例外とされています。 根拠は労働者派遣法 第40条の2第1項ただし書の第1号です。

「無期雇用派遣労働者に係る労働者派遣」には、事業所単位の制限がかかりません。個人単位の制限(第40条の3)も、同じ各号に当てはまる派遣を除いています。

法律がこう決めている理由は、派遣元に雇用が続いていれば、働く人の生活が不安定になりにくいからです。3年ルールはもともと、有期で働く人が派遣のまま固定されるのを防ぐためのものです。

3年ルールの2つの中身

3年ルールとは、同じ職場に派遣できる期間を原則3年までとする決まりです。 2つの単位があります。

単位中身延ばせるか
事業所単位同じ事業所への派遣受け入れは原則3年まで過半数労働組合などの意見を聞けば、3年ずつ延長できる
個人単位同じ人を同じ組織単位(課など)へ派遣できるのは3年まで延長できない。別の課への異動なら可

事業所単位の延長では、派遣先が期限の1か月前までに意見を聞く必要があります(第40条の2第3項・第4項)。3年ルールの細かい数え方は、派遣の抵触日とは?事業所・個人の3年ルールをSES営業向けに解説で解説しています。

期間制限の対象外になる5つのケース

無期雇用派遣のほかにも、期間制限の対象外になる派遣があります。第40条の2第1項の各号は次の5つです。

  1. 無期雇用派遣労働者の派遣

  2. 雇用の継続が特に必要な人として省令で決めた人の派遣(60歳以上の人など)

  3. 終わりの時期が決まっている有期プロジェクトの業務、または月の日数が少ない業務の派遣

  4. 産前産後休業・育児休業をとる人の代わりの派遣

  5. 介護休業をとる人の代わりの派遣

SES会社の技術者派遣で一番使いやすいのは、1つめの無期雇用派遣です。3つめの有期プロジェクトは「一定の期間内に完了することが予定されている」業務に限られます。そのため、使える場面は狭いです。

抵触日と無期雇用派遣の関係

抵触日とは、派遣の期間制限を超えてしまう最初の日のことです。 無期雇用派遣の人には、個人単位の抵触日がありません。

事業所単位の制限も対象外です。そのため、派遣先の事業所が抵触日を迎えていても、無期雇用派遣の人は引き続き派遣できます。

ただし、次の2点には気をつけてください。

  • 抵触日の通知が要るかは契約で変わる:派遣先は、派遣契約を結ぶ前に事業所単位の抵触日を派遣元へ通知します(第26条第4項)。ただし、その契約が無期雇用派遣など期間制限の対象外の派遣だけなら、通知は要りません。有期の人も受け入れる事業所では、事業所の抵触日の管理は続きます

  • 途中で無期になった人の扱い:有期で派遣していた人が、途中で無期雇用に切り替わることがあります。切り替え後は期間制限の対象外になりますが、雇用契約書などで無期になった日を残しておきましょう

期間制限に違反して派遣を受けると、派遣先がその人に直接雇用を申し込んだとみなされることがあります(第40条の6)。無期か有期かの区別を間違えると、派遣先に大きな迷惑がかかります。

派遣契約の期間の決め方は派遣契約の期間は?3年ルールと抵触日をSES営業向けに解説で解説しています。

派遣で無期雇用になる条件

派遣で無期雇用になるルートは、大きく2つです。 最初から無期で雇う場合と、有期から切り替わる場合です。

ルート条件SES会社での例
最初から無期で雇う派遣元が正社員などとして期間を決めずに雇う自社の正社員エンジニアを技術者派遣で出す
無期転換ルール同じ会社との有期契約が通算5年を超え、本人が申し込む契約社員として派遣してきた技術者が5年を超えた

無期転換ルールとは、有期契約が通算5年を超えた人が申し込むと、無期の契約に変わる決まりです(労働契約法 第18条)。会社はこの申し込みを断れません。派遣労働者にもこのルールは当てはまります。

SES会社の多くは、エンジニアを正社員で雇っています。その正社員を技術者派遣で出すなら、それは無期雇用派遣です。まず自社の雇用契約書を確認し、「期間の定めなし」になっているかを見ましょう。

なお、無期雇用派遣でも有期雇用派遣でも、派遣事業をするには労働者派遣事業の許可が要ります。取引先の許可は、労働者派遣の許可番号を検索する方法|取引前の確認手順3つで確認できます。

SES会社が無期雇用派遣を使う判断材料

無期雇用派遣は、「同じ現場に長くいてほしい」という派遣先の要望に応えやすい形です。 一方で、待機のリスクは派遣元がすべて負います。次の表で、SES会社から見た長所と短所を整理します。

見る点長所短所
期間同じ課に3年を超えて派遣できる派遣先の都合で終わることはある
採用「長く働ける」と説明しやすい正社員として雇うので採用の判断が重い
待機自社の技術者なので次の案件に回しやすい待機中も給与や休業手当が出る
営業派遣先との関係が長く続きやすい単価を下げると待機の赤字を埋められない

待機中にかかるお金

派遣契約が終わっても、無期雇用派遣の人をそれだけで解雇することはできません。厚生労働省の「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」に、はっきり書かれています。

会社の都合で仕事がなく休ませる場合は、平均賃金の6割以上の休業手当を払う必要があります(労働基準法 第26条)。社会保険料の会社負担も続きます。待機のお金の扱いは、SESの待機期間の給与と対応|休業手当の計算例と早く案件に入る7手順で詳しく説明しています。

計算例:待機1か月を何か月で取り戻すか

次の数字は、説明のための仮定です。自社の数字に置き換えて計算してください。

  • 派遣料金:月60万円

  • 技術者の人件費(給与と会社負担の社会保険料など):月40万円

  • 稼働中の粗利:60万円 − 40万円 = 月20万円

  • 待機中の会社の負担:休業手当と社会保険料などで、仮に月25万円

この例では、1か月の待機で25万円が出ていきます。取り戻すには、稼働中の粗利で1.25か月分かかります。待機が3か月続けば75万円で、約4か月分の粗利が消えます。

つまり、無期雇用派遣では「待機を何か月までなら耐えられるか」を先に決めておくことが大切です。単価を決めるときも、この待機のリスクを見込んだ金額にします。単価の組み方は派遣単価(派遣料金)の相場とは|内訳とマージン率の計算方法が参考になります。

社内ルールのひな形:無期雇用派遣で出すかの判断基準

担当者ごとの判断にしないよう、次のような基準を社内で決めておきます。数字は例なので、自社の粗利と資金に合わせて変えてください。

基準無期雇用派遣で出す見送る・準委任を検討
派遣先の継続見込み1年以上の継続が見込める3か月ごとに打ち切りの話が出る
待機の上限1か月以内で次を決められる職種次の案件が見つかりにくい職種
粗利待機1か月分を4か月以内に取り戻せる取り戻しに半年以上かかる
指揮命令派遣先が指示を出す必要がある自社の責任者が指示を出せる

長期常駐の技術者派遣を組む手順

無期雇用派遣で長期の技術者派遣を組むときは、次の6つの手順で進めます。 契約形態の判断から、次の案件の準備までを1つの流れにします。

  1. 契約形態を決める:派遣先が指揮命令をするなら派遣契約にする。SES(準委任)のまま指示を受けると偽装請負のおそれがある

  2. 自社の許可を確かめる:労働者派遣事業の許可番号と有効期限を確認する

  3. 技術者の雇用契約を確かめる:「期間の定めなし」になっているかを見る。有期なら無期転換の時期も確認する

  4. 派遣先へ無期雇用であることを通知する:派遣元台帳・通知書の「無期雇用」の欄を正しく埋める

  5. 単価と契約期間を決める:待機の上限月数を決め、それを見込んだ単価を出す。派遣契約の更新単位も決める

  6. 終了の3か月前から次の案件を探す:派遣先の更新の意向を早めに聞き、終わりそうなら次の案件を並べておく

1つめの判断は特に大事です。SES(準委任)と派遣では、指示を出せる人が違います。違いはSESと派遣の違い|準委任・派遣・請負の比較表と確認5項目で確認してください。

SES営業の現場での「無期雇用派遣」の使い方

SES営業が「無期雇用派遣」という言葉を使うのは、主に派遣先との更新交渉と、技術者の提案の場面です。 言葉の意味を正しく伝えないと、派遣先が抵触日の管理を誤ります。

使う場面

  1. 長期常駐の相談を受けたとき:派遣先から「3年を超えても同じ人に来てほしい」と言われたら、無期雇用派遣で出せるかを確認する

  2. 技術者を提案するとき:スキルシートや提案メールに、派遣で出す場合の雇用形態(無期/有期)を書き添える

  3. 更新・抵触日の確認のとき:派遣先の担当者と、事業所単位の抵触日と技術者ごとの雇用形態を分けて確認する

例文

  • 派遣先への提案:「本件の〇〇は当社の正社員(無期雇用)ですので、派遣で入る場合も個人単位の3年制限はかかりません。長期のご要望にもお応えできます。」

  • 更新交渉:「〇〇は無期雇用派遣のため、御社の事業所の抵触日を過ぎても引き続き派遣できます。通知書の雇用形態欄は『無期雇用』で記載しています。」

  • 社内の営業会議:「〇〇さんの派遣が12月末で終わる見込みです。無期雇用なので待機すると休業手当が出ます。9月中に次の候補案件を3件並べましょう。」

待機しそうな技術者が同時に何人も出たときの順番の決め方は、SESの待機エンジニアが複数いるときの営業の優先順位|判断表つきで紹介しています。

注意点

  • 「無期雇用派遣=ずっと同じ現場」と約束しない:派遣契約が更新されなければ終わる。派遣先にも技術者にも、期間の保証ではないと伝える

  • 雇用形態は書面で確かめてから言う:契約社員(有期)の技術者を「無期」と伝えると、派遣先が期間制限に違反するおそれがある

  • 準委任(SES)の案件に「無期雇用派遣だから長くいられる」と言わない:3年ルールは派遣の決まり。準委任で客先が直接指示を出すと、偽装請負のおそれがある

次の派遣先探しをチョータツで楽にする

無期雇用派遣の一番の課題は、待機を短くすることです。 自分でやるなら、派遣が終わる時期を一覧にして、3か月前から取引先に声をかけるのが基本です。

  • 技術者ごとに「派遣契約の終了日」「更新の意向を聞いた日」「次の候補案件」を1つの表で管理する

  • 更新がなさそうな人は、スキルシートを最新にしてBPや取引先に早めに紹介する

この作業を楽にしたいときに使えるのが、チョータツです。チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。

  • 自社の技術者と案件の情報を、1か所で管理・共有できる

  • パートナー企業へのメール配信機能で、空きそうな技術者をまとめて紹介できる

  • 他社と連携すると、他社の営業中案件を自社のデータベースとして見られる

3,000社以上が使っていて、無料で始められます。派遣の終了日を見ながら次の案件を探す作業を、1つの画面で進められます。

よくある質問

Q. 自社の正社員エンジニアを派遣で出すと、無期雇用派遣になりますか?
なります。無期雇用派遣は「派遣元と期間を決めずに雇用契約を結び、派遣先で働く」形です。正社員として雇っていても、働く場所は派遣先で、仕事の指示も派遣先から受けます。派遣事業の許可も必要です。
Q. 無期雇用派遣なら、同じ派遣先に出し続けられますか?
3年ルールの対象外なので、期間制限で終わることはありません。ただし、派遣先との派遣契約が更新されなければ終わります。雇用は派遣元で続くため、営業は次の案件を早めに探します。
Q. 派遣の抵触日は、無期雇用の人にも関係ありますか?
無期雇用派遣の人には、個人単位の抵触日はありません。事業所単位の制限も対象外です。有期雇用派遣の人と同じ職場にいる場合は、有期の人の抵触日を別に管理します。
Q. 無期雇用派遣だけの契約でも、派遣先から抵触日の通知をもらう必要がありますか?
期間制限の対象外の派遣だけなら、通知は要りません(労働者派遣法 第26条第4項)。同じ事業所で有期の人も派遣する契約なら、通知が必要です。
Q. 有期雇用派遣から無期雇用派遣に変わる条件は?
同じ派遣元との有期契約が通算5年を超え、本人が申し込むと無期に変わります(労働契約法 第18条)。派遣元が独自に無期雇用へ切り替える制度を用意している場合もあります。
Q. 無期雇用派遣の人を、派遣契約の終了を理由に解雇できますか?
派遣契約が終わったことだけを理由に解雇してはいけません。厚生労働省の指針で決まっています。次の派遣先を探し、見つからない間は休業手当などを払う必要があります。
Q. SES(準委任)で長く常駐する場合も3年ルールはありますか?
3年ルールは労働者派遣の決まりなので、準委任契約には当てはまりません。ただし、客先が直接指示を出しているなら派遣とみなされるおそれがあります。

まとめ

  • 無期雇用派遣とは、派遣元が期間を決めずに雇った人を派遣する形

  • 有期雇用派遣は、期間を決めて雇った人を派遣する形で、3年ルールの対象になる

  • 無期雇用派遣は、事業所単位・個人単位の3年ルールの対象外(労働者派遣法 第40条の2第1項第1号)

  • 派遣契約が終わっただけでは解雇できず、待機中の休業手当などは派遣元の負担になる

  • SES会社が使うなら、長く続く派遣先があり、待機を短くできる技術者に絞る

  • 単価は、待機を何か月まで耐えられるかを先に決めてから出す

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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