派遣の抵触日とは?事業所単位・個人単位の3年ルールと数え方|SES営業の管理表の書き方と準委任へ切り替えるときの注意

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

派遣の抵触日とは?

抵触日とは、派遣の期間制限に「抵触する(ぶつかる)」ことになる最初の日のことです。 派遣の期間制限は「3年ルール」とも呼ばれ、労働者派遣法 第40条の2・第40条の3などで決まっています。

派遣可能期間とは、派遣先が同じ事業所で派遣を受け入れ続けられる期間のことで、原則3年です(第40条の2第2項)。3年が過ぎた翌日が抵触日です。たとえば、2026年10月1日に派遣の受け入れを始めたら、抵触日は2029年10月1日です。

抵触日の前日までは派遣できます。抵触日からは、延長などの手続きをしていない限り、同じ形では派遣を続けられません。

種類何を数えるか延長根拠
事業所単位同じ事業所で派遣を受け入れた期間意見聴取をすれば3年ずつ延長できる第40条の2
個人単位同じ人を同じ組織単位(課など)に派遣した期間延長できない第35条の3・第40条の3

事業所単位の抵触日

事業所単位の抵触日とは、派遣先の1つの事業所で、派遣の受け入れを始めてから3年が過ぎた翌日です。 派遣する人が途中で入れ替わっても、事業所で受け入れが続いていれば期間は続けて数えます。

事業所とは、場所がほかと分かれていて、人事・経理・指導監督などがある程度独立している単位のことです。 本社・支店・工場などが1つの事業所になるのが一般的です。

派遣会社ごとではなく、事業所ごとに1つ

事業所単位の抵触日は、派遣先の事業所ごとに1つです。派遣会社ごとには分かれません。SES会社が新しく技術者派遣を始める現場で、見落としやすい点です。

  • 2026年10月1日:A社の派遣社員が、〇〇株式会社 本社で働き始める

  • 2027年4月1日:自社の技術者が、同じ本社に派遣で入る

  • 自社の技術者の事業所抵触日も、2029年10月1日になる

自社が入った日から3年ではありません。そのため派遣先は、契約を結ぶ前に抵触日を派遣元へ通知する義務があります(第26条第4項)。

延長の手続き

派遣先は、過半数労働組合などの意見を聞けば、事業所単位の派遣可能期間を3年延長できます(第40条の2第3項・第4項)。意見を聞く期限は、抵触日の1か月前の日までです。抵触日が2029年10月1日なら、2029年9月1日までに意見を聞きます。

延長したときは、派遣先は新しい抵触日をすぐに派遣元へ通知します(第40条の2第7項)。派遣元は、その抵触日を派遣する人に伝えます(第34条第2項)。

個人単位の抵触日

個人単位の抵触日とは、同じ人を同じ組織単位に派遣してから3年が過ぎた翌日です。 派遣元は、同じ組織単位で3年を超えて同じ人を派遣してはいけません(第35条の3)。派遣先も受け入れてはいけません(第40条の3)。

組織単位とは、課やグループのように、長が業務の配分と指揮監督の権限を持つ単位のことです。 名前ではなく実態で判断します。

個人単位のポイントは3つです。

  • 延長できない:事業所単位と違い、意見聴取で延ばす仕組みはない

  • 課を変えれば続けられる:同じ事業所でも、別の組織単位なら新たに3年を数えられる

  • 事業所単位が先に来ることがある:個人の抵触日がまだ先でも、事業所の抵触日が延長されなければ、そこで止まる

例:どちらの抵触日が先に来るか

〇〇株式会社 本社の事業所抵触日が2029年10月1日だとします。技術者Bさんが、2027年4月1日から開発1課に派遣されました。

  • Bさんの個人抵触日:2030年4月1日

  • 本社の事業所抵触日:2029年10月1日(延長しない場合)

  • Bさんが派遣で働けるのは、2029年9月30日まで

派遣先が事業所単位の期間を延長すれば、Bさんは個人抵触日の前日(2030年3月31日)まで続けられます。

抵触日の通知

抵触日の通知とは、派遣先が派遣元に、事業所単位の抵触日を知らせることです。 「派遣受入期間制限抵触日通知書」などの名前の書類で行います。

通知の流れは次の3つです。

  1. 契約を結ぶ前:派遣先が派遣元に事業所単位の抵触日を通知する。書面の交付・FAX・電子メールなどで行う(第26条第4項、施行規則第24条の2)

  2. 通知がなければ:派遣元はその事業所と派遣契約を結んではいけない(第26条第5項)

  3. 延長したとき:派遣先は新しい抵触日をすぐ派遣元に通知する(第40条の2第7項)

派遣元は、派遣する人に、事業所と個人の両方の抵触日を前もって明示します(第34条第1項)。そのとき、違反すると派遣先が直接雇用を申し込んだとみなされる制度があることも伝えます(同条第3項)。

通知書で受け取った抵触日は、個別契約書を作るときの前提になります。書き方は、派遣の個別契約書の書き方|記載事項一覧と保管・印紙で説明しています。

クーリング期間

クーリング期間とは、派遣の受け入れが途切れた空白の期間のことで、3か月を超えると期間の数え直しになります。 厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」で決められています。

  • 空白が3か月以内:前の派遣から続いているものとみなされる

  • 空白が3か月を超える:新しく3年を数える

事業所単位・個人単位のどちらにも、同じ3か月の考え方が使われます。

ただし、同じ指針は、延長の手続きを避ける目的で3か月空けて受け入れを再開することを、法律の趣旨に反すると書いています。個人単位でも、本人が続けたいのに3か月空けさせる運用はトラブルのもとです。クーリングを「抜け道」として提案するのはやめましょう。

抵触日の対象外になるケース

次の5つのケースの派遣には、期間制限がかかりません(第40条の2第1項各号)。抵触日の管理も要りません。

  1. 無期雇用派遣労働者の派遣

  2. 60歳以上の人の派遣

  3. 終わりの時期が決まっている有期プロジェクトや、月の日数が少ない業務の派遣

  4. 産前産後休業・育児休業をとる人の代わりの派遣

  5. 介護休業をとる人の代わりの派遣

SES会社の技術者派遣で一番関係するのは、1つめの無期雇用派遣です。正社員として雇う技術者を派遣するなら、3年ルールの対象外になります。

詳しくは、派遣の無期雇用とは?有期との違いと3年ルールをSES向けに解説で解説しています。

抵触日を超えて派遣するとどうなる?

抵触日を超えて派遣を受けると、派遣先が派遣されている人に直接雇用を申し込んだとみなされることがあります。 これを労働契約申込みみなし制度といいます(第40条の6第1項第3号・第4号)。

  • 派遣先:その時点の労働条件で、働く人に労働契約を申し込んだとみなされる

  • 派遣元:抵触日以降も派遣を続けることは禁止されている(第35条の2・第35条の3)

派遣元にとっては、技術者を派遣先に直接雇われて失うおそれがあります。派遣先にとっても大きな問題です。抵触日を守ることは、取引先との関係を守ることでもあります。

3年ルールは廃止された?見直しの経緯

3年ルールは廃止されていません(2026年9月30日時点)。いまの「事業所単位」「個人単位」の2つの期間制限は、2015年9月30日に施行された改正でできました。

それまでは、ソフトウェア開発などの「専門26業務」は期間制限がありませんでした。2015年の改正でこの区分がなくなり、すべての業務に同じ3年ルールがかかるようになりました。「派遣は最長3年」という言葉は、この見直しを指すことが多いです。

2026年10月1日には、派遣労働者の同一労働同一賃金に関する改正が施行されます。中心は、雇い入れ時・派遣時に「待遇の違いの説明を求められること」を伝える義務の追加です。期間制限(事業所単位・個人単位の3年)の仕組みは変わりません。

SES営業の管理表への書き方

技術者派遣の案件は、事業所抵触日と個人抵触日を並べて、早いほうを「派遣できる最終日」として管理します。 次の表は管理表の例です(架空の内容)。

技術者・派遣先組織単位事業所抵触日個人抵触日
Bさん/〇〇社 本社開発1課2029年10月1日2030年4月1日
Cさん/□□社 名古屋支店基盤課2031年4月1日(延長後)2029年7月2日
Dさん/△△社 大阪支店運用グループ2028年12月1日対象外(無期雇用)

Cさんの派遣先は事業所単位を延長済みなので、個人抵触日が先に来ます。派遣できるのは2029年7月1日までです。

表には、ほかに次の列も足しておくと便利です。

  • 雇用形態(無期/有期):無期なら期間制限の対象外

  • 派遣できる最終日:2つの抵触日のうち早いほうの前日

  • 延長の見込み:派遣先に事業所単位の延長予定を聞いた日と回答

  • 次の対応を決める期限:最終日の3か月前

抵触日が近づいたときの手順

  1. 6か月前:派遣先に、事業所単位を延長する予定があるか聞く

  2. 3か月前:技術者本人に、続けたいか・希望する働き方を聞く

  3. 3か月前:選択肢を決める(課の異動、無期雇用への切り替え、派遣先の直接雇用、別の案件、準委任への切り替え)

  4. 2か月前:別の案件に移る場合は、スキルシートを更新して提案を始める

  5. 1か月前:更新しないなら、派遣先・本人と終了日を確定する

同じ課で1年以上続けて働く見込みがある有期雇用の人が、引き続き働きたいと希望する場合があります。そのとき派遣元には、雇用安定措置(派遣先への直接雇用の依頼、別の派遣先の紹介など)の努力義務があります。同じ課で3年続けて働く見込みの人には、措置が義務になります(第30条、施行規則第25条)。

終了の連絡の仕方は「派遣契約終了ショックとは?抵触日の6か月前からSESがやる段取り」でも取り上げています。同じ時期に空く人が重なったら「SESの待機エンジニアが複数いるときの営業の優先順位|判断表つき」の判断表で順番を決めます。

次の案件が決まらなかったときの給与の扱いは「SESの待機期間の給与と対応|休業手当の計算例と早く案件に入る7手順」で確認できます。

SES営業の現場での「抵触日」の使い方(例文つき)

SES営業が「抵触日」という言葉を使うのは、主に3つの場面です。 新しい技術者派遣の契約前、更新の打ち合わせ、社内の要員会議です。

使う場面相手確認すること
派遣契約を結ぶ前派遣先の担当者事業所単位の抵触日の通知をもらったか
契約更新の打ち合わせ派遣先の担当者事業所単位を延長する予定があるか
社内の要員会議営業責任者・営業事務派遣できる最終日と次の案件の見込み

例文1:契約前に通知を依頼する

「〇〇様、本社で派遣をお受けいただく件です。契約の前に、事業所単位の抵触日のご通知をいただけますでしょうか。他社様の派遣がすでに入っている場合は、その開始日からの日付でお願いいたします。」

例文2:更新の打ち合わせで延長の予定を聞く

「本社の事業所抵触日が2029年10月1日と伺っております。延長の意見聴取は、2029年9月1日までに行うご予定でしょうか。弊社Bさんの今後の配置を決めるため、見込みだけでも教えてください。」

例文3:社内の要員会議で共有する

「Bさんは事業所抵触日が先に来るので、派遣できる最終日は2029年9月30日です。派遣先の延長が決まらなければ、2029年7月から次の案件の提案を始めます。」

使うときの注意点

  • 「3年たったら終わり」とだけ言わない:事業所単位と個人単位のどちらの話かを、毎回はっきり伝える

  • 日付は「抵触日」と「最終日」を分けて書く:抵触日の前日が派遣できる最終日。1日ずれると違反になる

  • 準委任の案件では使わない:抵触日は派遣だけの言葉。SES(準委任)の案件で「抵触日」と言うと、派遣と同じ働き方だと誤解される

  • クーリングを提案しない:「3か月空ければまた入れます」と取引先に持ちかけるのは避ける

抵触日の後に準委任へ切り替えるときの注意

抵触日を理由に派遣から準委任(SES)へ切り替えるなら、契約書だけでなく働き方の実態を変える必要があります。 同じ席で同じ上司の指示を受け続けるなら、それは派遣のままです。

偽装請負とは、準委任や請負の形なのに、実態は客先が直接指示を出す派遣になっている状態のことです。 派遣法を免れる目的で、派遣以外の名目で契約した場合も同じです。派遣先が直接雇用を申し込んだとみなされることがあります(第40条の6第1項第5号)。

切り替える前に、次の5点を確認します。

確認すること派遣のまま(NG)準委任として適切
作業の指示客先の課長が毎日直接指示するSES会社の責任者が指示を出す
勤怠の管理客先が出退勤や残業を決めるSES会社が管理する
体制技術者1人が客先の課に組み込まれる受託側の責任者を置き、チームで受ける
契約書客先の指揮命令者の名前がある業務の範囲と受託側の責任者を書く
切り替えの時期抵触日の翌日から同じ席で継続業務の範囲を決め直してから始める

1人で常駐し、客先から細かく指示を受ける働き方は、準委任に切り替えても変えにくいことが多いです。その場合は無理に切り替えず、課の異動や別の案件を選ぶほうが安全です。

準委任で客先がどこまで指示できるかは、準委任契約の指揮命令はどこまで?SES現場のOK・NG具体例20で具体例を見られます。判断の全体像は偽装請負の判断基準|SES営業が避けたいNG行為10選と予防策にまとめています。

抵触日が近い技術者の次の案件探しをチョータツで楽にする

抵触日の管理で一番大事なのは、終わりが見えた技術者の次の案件を、早く並べておくことです。

自分でやる方法

まずは管理表に「派遣できる最終日」の列を作り、最終日が6か月以内の人を毎月抜き出します。抜き出した人は、スキルシートを最新にして取引先に紹介します。

チョータツでもっと楽にする

取引先が増えて案件探しが追いつかないときは、チョータツが使えます。チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。

  • 自社の技術者と案件の情報を、1か所で管理・共有できる

  • パートナーへのメール配信機能で、空きそうな技術者をまとめて紹介できる

  • 他社と連携すると、他社の営業中案件を自社のデータベースとして見られる

3,000社以上が利用していて、無料で始められます。抵触日を管理する専用の機能ではありません。最終日が近い技術者の次の案件を探す作業を、1つの画面で進められます。

よくある質問

Q. 派遣の抵触日とは、わかりやすく言うと何ですか?
派遣の3年ルールに違反してしまう最初の日です。派遣を始めた日から3年が過ぎた翌日で、2026年10月1日開始なら2029年10月1日が抵触日です。
Q. 事業所単位の抵触日は、派遣会社ごとに決まりますか?
いいえ。派遣先の事業所ごとに1つです。他社の派遣が先に入っていれば、その受け入れ開始日から数えます。そのため派遣先は、契約前に抵触日を派遣元へ通知します。
Q. 派遣の抵触日は、クーリング期間でリセットされますか?
派遣の受け入れがない期間が3か月を超えると、新しく3年を数えます。ただし、延長手続きを避ける目的で3か月空けるのは、法律の趣旨に反するとされています。
Q. 派遣の3年ルールは廃止されましたか?
廃止されていません(2026年9月時点)。2015年9月30日施行の改正で専門26業務の区分がなくなり、いまの事業所単位・個人単位のルールになりました。
Q. 抵触日を過ぎても、同じ人を同じ課で働かせる方法はありますか?
派遣元で無期雇用にする、60歳以上である、などの例外に当てはまれば続けられます。派遣先に直接雇用してもらう方法もあります。準委任への切り替えは、実態も変えないと偽装請負になります。
Q. 抵触日の通知書は、だれがいつ出しますか?
派遣先が、派遣契約を結ぶ前に派遣元へ出します。書面のほか、FAXや電子メールでも通知できます。通知がないと、派遣元は契約を結べません。

まとめ

  • 派遣の抵触日とは、3年ルールに違反することになる最初の日

  • 事業所単位は派遣先の事業所ごとに1つで、意見聴取をすれば3年ずつ延長できる

  • 個人単位は同じ人・同じ組織単位で3年まで。延長はできないが、課を変えれば続けられる

  • 派遣先は契約前に事業所単位の抵触日を通知し、通知がなければ派遣元は契約できない

  • 受け入れの空白が3か月を超えると数え直しだが、延長を避ける目的のクーリングは不可

  • 無期雇用派遣・60歳以上などは期間制限の対象外

  • 管理表では2つの抵触日の早いほうを「派遣できる最終日」とし、6か月前から動く

  • 準委任に切り替えるなら、指示の出し方と体制を変える。名前だけ変えると偽装請負になる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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