最近上場したSES・IT企業の一覧【2025〜2026年】|IPO前後で変わる取引条件と営業が見るチェックリスト
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
IPO(新規上場)とは
IPOとは、会社の株式を初めて証券取引所で売り買いできるようにすることです。日本語では「新規上場」と呼びます。
東京証券取引所(東証)には、プライム・スタンダード・グロースの3つの市場があります。市場区分とは、会社の規模や成長段階に合わせた株式市場の分け方のことです。
SES営業にとってIPOは、取引先の会社の中身が公開される出来事です。上場する会社は「新規上場申請のための有価証券報告書」を出します。そこには売上、主要な顧客、協力会社の使い方まで書かれています。
有価証券報告書とは、上場企業が事業や決算の中身を公開する書類のことです。取引先を調べる資料として、これ以上に確かなものはあまりありません。
最近上場したSES・技術者提供の会社一覧(2025〜2026年)
2025年4月〜2026年9月に上場し、エンジニアを客先に提供する事業を持つ会社は、次の5社です。東証の新規上場会社情報と、各社の有価証券報告書で確認しました(2026年9月30日確認)。
| 会社名(コード) | 上場日・市場 | 事業の形 | 営業が見る点 |
|---|---|---|---|
| テラテクノロジー(483A) | 2025年12月23日・スタンダード | 派遣と受託開発。大手ベンダー経由が中心 | 外注比率を20%程度に抑える方針 |
| ノースサンド(446A) | 2025年11月21日・グロース | ITコンサルティング | 従業員1,602名の大所帯 |
| システムエグゼ(548A) | 2026年4月6日・スタンダード | システムインテグレーション(SI) | 外注費が約6割強。協力会社を集約中 |
| ソフトテックス(550A) | 2026年4月9日・スタンダード(東証・名証) | 派遣・準委任・請負開発。名古屋が本社 | SIer経由の売上が約6割 |
| LiNKX(584A) | 2026年6月23日・グロース | 金融向けシステムのモダナイゼーション。主に準委任 | 開発は自社社員が中心 |
表の数字や方針は、各社が上場時に出した「新規上場申請のための有価証券報告書」の記載です。上場後に変わることがあるため、取引前には最新の決算資料も確かめてください。
テラテクノロジー:派遣と受託開発を組み合わせる会社
テラテクノロジーは、東京都豊島区に本社を置くシステム開発の会社です。契約の形は「受託開発を請け負う形態と、社員を派遣する形態」の2つです。
2025年3月期の売上高は約43.9億円、従業員数は347人です。上位2社(富士通、TIS)で売上の約4割を占め、大手ベンダー経由の取引が約7割あります。
協力会社への外注比率は20%程度にコントロールすると書かれています。BPとして入るなら、枠が限られる前提で提案を考えます。2000年8月に一般労働者派遣事業の許可を取っています。
ノースサンド:大人数のITコンサルティング会社
ノースサンドは、東京都中央区に本社を置くITコンサルティングの会社です。2025年1月期の売上高は約164億円、2025年9月30日時点の従業員数は1,602名です。
売上高上位20社への売上が62.7%を占めます。金融・製造・情報通信などの業界を支援しています。有価証券報告書では、協力会社の使い方について具体的な記載は確認できませんでした。
SES営業から見ると、コンサル案件の周辺でエンジニアが必要になるかが接点になります。いきなり要員提案をするより、案件の形を聞くところから始めます。
システムエグゼ:協力会社を多く使うSI企業
システムエグゼは、東京都中央区に本社を置くSI企業です。提案から設計・構築、運用までをまとめて請け負います。第28期(2025年3月期)の売上高は約116億円、グループの従業員数は877人です。
外注費の割合は約6割強と書かれており、ビジネスパートナーの力を大きく使う会社です。一方で「協力会社の集約を実施、長期・安定的な取引の構築を図る」とも書かれています。
協力会社の集約とは、取引するパートナーの数をしぼり、1社との取引を深くすることです。新しく入るには、品質と長く続けられる体制を示す提案が向きます。
ソフトテックス:名古屋のSIer支援・技術者支援の会社
ソフトテックスは、愛知県名古屋市に本社を置くシステム開発の会社です。2025年3月期の売上高は約35.7億円、2026年1月31日時点の従業員数は330名です。
技術者支援サービスは、SIer支援と直接顧客支援に分かれます。契約は派遣契約と準委任契約の両方があり、請負開発も約25.6%あります。ソフトウェア開発の売上のうち57.7%がSIerなどからの売上です。
社内の開発力が足りないときや、専門技術が必要なときにビジネスパートナーへ外部委託すると書かれています。東海エリアで専門スキルの人材を持つ会社には、接点がある相手です。
LiNKX:金融系モダナイゼーションの準委任会社
LiNKXは、東京都港区に本社を置く会社です。金融分野を中心に、古い基幹システムを新しくするモダナイゼーション事業をしています。モダナイゼーションとは、古いシステムを新しい技術で作り直すことです。
2025年6月期の売上高は約13.7億円、従業員数は87人です。契約の形は主に準委任契約です。販売先上位2社で売上の71.6%を占め、うち北國銀行が49.5%です。
システム開発支援は自社の従業員で行うと書かれており、外注はデザインなどの一部に限られます。いまの時点では、BPとしての入り口は小さい会社と考えられます。
参考:SES以外のIT人材関連で最近上場した会社
エンジニアを客先に出す事業ではありませんが、SES営業に関係の近い会社も上場しています。
ギークリー(505A):2026年2月27日にスタンダード市場へ上場。IT・Web・ゲーム業界に特化した人材紹介の会社です。
辻・本郷ITコンサルティング(476A):2025年12月19日にスタンダード市場へ上場。DX支援やシステム開発、専門人材の供給などを行う会社です。
上場SES企業を広く見るなら、SESの上場企業一覧と大手ランキング|売上規模で見る20社も使ってください。
最近上場した会社を自分で調べる手順
最近上場した会社は、東証の「新規上場会社情報」ページから無料で調べられます。月に1回見るだけで、新しい取引先候補を見逃しません。
日本取引所グループのサイトで「新規上場会社情報」のページを開きます。
一覧の会社名と市場区分を上から見て、IT・人材系の社名に印を付けます。
気になる会社の行にある「新規上場会社概要」のPDFを開き、事業内容の1行を読みます。
事業内容に「システム開発」「技術者」「派遣」「準委任」などがあれば、新規上場申請のための有価証券報告書を開きます。
有価証券報告書の「事業の内容」で、契約の形、主要な顧客、協力会社(外注)の記載を探します。
わかったことを、社名・上場日・協力会社の使い方・担当窓口の4つでメモに残します。
過去の年の一覧は、同じページの年ごとの一覧から見られます。上場後の決算は、金融庁のEDINET(上場企業の開示書類を無料で見られるサイト)で追えます。
上場の前後で、取引条件と審査はどう変わるか
上場の前後では、取引先に求める確認や契約の書き方が厳しくなる傾向があります。東証の上場審査では、会社の健全性やコーポレートガバナンス(会社を正しく運営するしくみ)、内部管理体制が見られるからです。
上場準備中の会社は、取引の記録や契約書の抜けを直していきます。その結果、パートナー側にも同じレベルの対応を求めることが増えます。
| 項目 | 上場前によくある姿 | 上場準備〜上場後に増える傾向 | 営業がすること |
|---|---|---|---|
| 反社チェック | 口頭確認だけのこともある | 取引前に必ず確認。条項も入れる | 自社の登記簿や会社情報をすぐ出せるようにする |
| 契約書 | 注文書だけで始めることがある | 基本契約と個別契約をそろえる | 基本契約書のひな形を用意しておく |
| 協力会社の数 | 付き合いで増えていく | 数をしぼり、長く付き合う会社を選ぶ | 継続の実績と品質を数字で示す |
| 支払い・取引ルール | 会社ごとにばらばら | 法律に合わせた社内ルールになる | 支払いサイトや単価の協議は記録を残す |
表の「傾向」は、すべての会社に当てはまるわけではありません。実際の条件は、相手の購買部門や契約担当に必ず確かめてください。
協力会社の集約は、新規参入の壁にもチャンスにもなる
上場準備で協力会社を集約する会社は、新しいBPを増やしにくくなります。一方で、残った協力会社にはまとまった数の案件が回りやすくなります。
システムエグゼのように、有価証券報告書で集約の方針を書く会社もあります。書いてある方針は、提案の方向を決める材料になります。
取適法など、法律上の立場が変わることもある
取適法(中小受託取引適正化法)とは、発注する会社と受ける会社の取引を公正にするための法律です。下請法を改正して名前を変え、2026年1月1日に施行されました。
取適法の対象かどうかは、資本金や従業員数で決まります。上場で資本金や社員が増えると、相手の法律上の立場が変わることがあります。くわしくは取適法でSESの準委任は対象?適用条件と営業の変更点7つで確かめてください。
取引先として見る8つのチェックポイント
最近上場した会社を取引先候補として見るときは、次の8つを確かめます。上から順に、有価証券報告書と会社のサイトで確認できます。
事業の形:派遣、準委任、請負のどれが中心か。
協力会社の使い方:外注費の割合や、外注比率の方針が書かれているか。
主要な顧客:上位の取引先はどこか。1社への依存が大きいか。
商流での位置:エンドユーザーと直接か、大手SIer経由か。
得意な分野:金融、製造、医療など、どの業界の案件が多いか。
本社とエリア:東京以外のエリアの案件があるか。
パートナー募集の窓口:会社のサイトにパートナー募集ページがあるか。
取引前の確認:反社チェックや与信の手順が、自社側でも準備できているか。
8番の準備が足りないと、話が進んでも契約の段階で止まります。SESの反社チェックの方法|新規取引の前にやる手順と条項例を見て、自社側の準備を先に整えておきます。協力会社登録の審査項目はSIerの協力会社登録の条件と流れ|審査で見られる7項目にまとめています。
上場した会社に初めて連絡するときのメール例文
上場直後の会社に連絡するときは、上場へのお祝い+相手の事業に合う一言+小さな依頼の3つで書きます。いきなり要員リストを送るより、話を聞く場をお願いするほうが通りやすいです。
件名:協力会社のご相談(株式会社〇〇/SES事業)
株式会社△△
パートナー推進ご担当者様はじめてご連絡いたします。株式会社〇〇の□□と申します。
このたびの東京証券取引所へのご上場、誠におめでとうございます。貴社の有価証券報告書を拝見し、金融分野の開発を多く手がけていると知りました。
当社は、金融系の開発経験があるエンジニアを中心にSES事業を行っております。貴社のパートナー登録の流れや、求めている体制を伺えればと思います。
2026年10月13日(火)〜10月16日(金)のうち、30分ほどお時間をいただけないでしょうか。会社概要と、反社チェック用の登記情報もすぐにお送りできます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「会社概要と登記情報をすぐ送れる」と書くのがポイントです。上場企業の確認作業が早く進むので、相手の手間が減ります。添付する会社概要はSESの会社紹介資料の作り方|BP・エンド向けの構成10枚を参考に作れます。
やってはいけないこと
最近上場した会社への営業では、次の3つを避けます。
株価や時価総額の話から入る:営業の相手は購買や開発の担当者です。株の話は関係がありません。
有価証券報告書を読まずに一斉メールを送る:相手の事業の形に合わない提案は、すぐに読まれなくなります。
「上場企業だから支払いは安心」と決めつける:上場企業でも業績は変わります。与信の確認はほかの会社と同じように行います。
取引先が増えても情報が散らばらない:チョータツで管理を楽にする
上場企業との取引が始まると、案件と人材の情報が一気に増えます。自分でやるなら、まずは表計算ソフトで取引先ごとのシートを作るのが手軽です。
ただ、取引先が10社、20社と増えると、メールと表計算ソフトの行き来で手間がかかります。どの人材をどの会社に出したかも、あとから追いにくくなります。
もっと楽にするなら、チョータツが使えます。チョータツは、SES営業の案件・人材の管理・共有ツールです。
案件と人材の情報を1か所で管理し、社内で共有できます。
パートナーへのメール配信機能があり、提案の一斉送信をまとめて行えます。
他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できます。
AIが入力を手伝ってくれるので、登録の手間が減ります。
チョータツは3,000社以上が使っていて、無料で始められます。上場企業との新しい取引をきっかけに、情報の置き場所を1つにそろえておくと、担当者が変わっても困りません。
よくある質問
- Q. 最近上場したSES企業はどこですか?
- 2025年4月〜2026年9月では5社です。テラテクノロジー、ノースサンド、システムエグゼ、ソフトテックス、LiNKXです。事業の形は会社ごとに違います。
- Q. SES企業はIPOできるのですか?
- できます。テラテクノロジーやソフトテックスのように、派遣や準委任で技術者を提供する会社も上場しています。上場審査では、会社の健全性や内部管理体制が見られます。
- Q. 上場すると、取引先への審査は厳しくなりますか?
- 厳しくなる傾向があります。反社チェックや契約書の整備を、取引先にも求めることが増えます。すべての会社が同じではないので、相手の担当者に確かめてください。
- Q. 上場企業の協力会社になるには何が必要ですか?
- 会社概要、登記情報、反社チェックへの対応、基本契約を結べる体制が基本です。有価証券報告書で相手の外注の方針を読んでから提案すると、話が進みやすくなります。
- Q. 最近のIPO情報はどこで確認できますか?
- 日本取引所グループの「新規上場会社情報」ページで確認できます。上場予定の会社も載るので、月に1回見る習慣をつけると見逃しません。
- Q. 上場企業との取引は、支払いが安全ですか?
- 一般に情報が公開されている分、状況はつかみやすくなります。ただし業績は変わるため、ほかの会社と同じように与信の確認を続けます。
まとめ
2025年4月〜2026年9月に上場した、エンジニアを客先に提供する事業を持つ会社は5社です。
同じ「上場したIT企業」でも、協力会社を多く使う会社と、自社社員が中心の会社があります。
上場の前後では、反社チェック・契約書・協力会社の集約など、取引先に求める確認が厳しくなる傾向があります。
営業は、有価証券報告書で事業の形・主要な顧客・外注の方針を読んでから連絡します。
自社側の反社チェック対応と契約書の準備を先に整えておくと、上場企業との取引が止まりません。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
日本取引所グループ「新規上場会社情報」
日本取引所グループ「新規上場会社情報(2025年)」
テラテクノロジー株式会社「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」
株式会社ノースサンド「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」
株式会社システムエグゼ「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」
株式会社ソフトテックス「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」
LiNKX株式会社「新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)」
日本取引所グループ「新規上場会社概要:株式会社ギークリー」
日本取引所グループ「新規上場会社概要:辻・本郷ITコンサルティング株式会社」
日本取引所グループ「新規上場ガイドブック」
公正取引委員会「取適法(中小受託取引適正化法)」
金融庁「EDINET」