派遣会社のマージン率の調べ方|人材サービス総合サイトで確認する7手順と取引先の見極め方
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
マージン率とは?公開が義務になっている理由
マージン率とは、派遣料金と派遣社員の賃金の差が、派遣料金に占める割合のことです。派遣会社(法律では「派遣元事業主」)は、この数字を事業所ごとに公開しなければなりません。根拠は、労働者派遣法第23条第5項です。
計算式は、厚生労働省令(労働者派遣法施行規則第18条の2)で決まっています。
マージン率 =(派遣料金の平均額 − 派遣労働者の賃金の平均額)÷ 派遣料金の平均額
平均額は、前の事業年度の「派遣労働者1人1日(8時間)あたり」の金額です。パーセントにしたとき、小数点以下第2位を四捨五入します。
公開の目的は、派遣会社の透明性を高めることです。厚生労働省の「労働者派遣事業関係業務取扱要領」に、その説明があります。派遣社員が派遣会社を選びやすくし、待遇の改善につなげるためです。
派遣会社が公開しなければならない項目
派遣会社が事業所ごとに公開する項目は、マージン率だけではありません。法律と省令で、次の項目が決まっています。
| 項目 | 内容 | 見るときのポイント |
|---|---|---|
| 派遣労働者の数 | その事業所の派遣社員の人数 | 何年何月時点の数か |
| 派遣先の数 | 派遣を受けた会社の数 | 取引の広さの目安 |
| 派遣料金の平均額 | 1人1日(8時間)あたり | 全業務の平均 |
| 賃金の平均額 | 1人1日(8時間)あたり | 全業務の平均 |
| マージン率 | 料金と賃金の差の割合 | 何年度の数字か |
| 労使協定の有無 | 労使協定方式かどうか | 協定の対象と有効期間の終わり |
| 教育訓練など | キャリア形成支援の内容 | 研修の種類や相談窓口 |
労使協定方式とは、派遣社員の賃金を、派遣会社と労働者代表が結んだ協定で決める方式のことです。協定を結んでいる場合は、対象となる派遣社員の範囲と、協定の有効期間の終わりも公開します。
いつ・どこで公開されるのか
公開の時期は、毎事業年度が終わったあと、できるだけ早くです。前の年度の実績を出すのが基本です。
公開の方法は、「インターネットの利用その他の適切な方法」と省令で決まっています。さらに派遣元向けの指針で、常にインターネットで見られるようにすることが原則とされています。
実際の公開方法は、厚生労働省の「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」でわかります。
| 公開の方法 | 事業所数 | 割合 |
|---|---|---|
| インターネット | 33,942所 | 77.5% |
| 書類の備え付け | 20,405所 | 46.6% |
| その他 | 1,455所 | 3.3% |
※ 複数回答のため、割合を足しても100%になりません。
つまり、4社に3社以上はネットで公開しています。インターネットには、自社のホームページと、次に説明する人材サービス総合サイトの2つがあります。
人材サービス総合サイトとは
人材サービス総合サイトとは、厚生労働省が運営する、派遣会社と職業紹介会社の情報を検索できる無料のサイトのことです。許可を受けた事業所の一覧を、誰でも見られます。
派遣会社は、このサイトの「掲載の申込」からマージン率などを載せられます。業務取扱要領でも、自社のホームページだけでなく、このサイトを積極的に使うことが望ましいとされています。
使う前に知っておきたい点は、次の3つです。
更新は原則月1回:サイトのよくあるご質問では、労働局に届け出た変更は毎月10日前後に反映される予定とされています。検索結果の画面にも「〇年〇月〇日現在」と表示されます
メンテナンス時間がある:毎週日曜日の22時から翌朝8時までは、システムメンテナンスで使えません。急ぎの確認は平日の日中に行います
表記の違いに弱い:登録どおりの文字でないと、検索に出ません
人材サービス総合サイトでマージン率を調べる手順
人材サービス総合サイトでは、都道府県を選んで社名を入れ、詳細画面を開くだけでマージン率を確認できます。サイトは、Google ChromeとMicrosoft Edgeの最新版で表示を確認していると案内しています。
サイトを開く:厚生労働省の「人材サービス総合サイト」を開き、「労働者派遣事業検索」を選びます。
都道府県を選ぶ:必須の項目です。事業所がある都道府県にチェックを入れます。わからなければ「全国」を選びます。
社名を入れる:「事業主名称(本社など)」に社名を入れます。部分一致なので、「株式会社」を外した名前だけでも探せます。
許可番号がわかる場合は入れる:「派13-000000」のように、2桁と6桁を半角で入れると確実です。
検索する:結果の一覧から、目的の会社と事業所を選びます。支店ごとに分かれていることがあります。
詳細画面で公開情報を見る:許可番号の部分をクリックすると詳細画面が開きます。マージン率・派遣料金の平均額・賃金の平均額・労使協定の有無などを確認します。数字の代わりに、会社が載せたPDFやURLへのリンクが表示されることもあります。
確認した日と画面を残す:画面を保存し、確認日と確認者をメモします。数字は年に1回変わるためです。
社名で出てこないときは、表記の違いを疑います。サイトでは、大文字・小文字や全角・半角が登録と違うと検索できないと案内されています。名前の一部だけで検索し直すと、見つかることが多いです。
詳細検索で「マージン率の範囲」から探す
人材サービス総合サイトの詳細検索では、マージン率の範囲で会社を絞り込めます。社名がわからない段階で、候補を探したいときに便利です。
| 条件 | 使い方 |
|---|---|
| マージン率 | 20%未満/20%以上30%未満/30%以上40%未満/40%以上から選ぶ |
| 派遣料金・賃金の平均額 | 1万円未満/1万円以上2万円未満/2万円以上3万円未満/3万円以上から選ぶ |
| その他 | 許可・届出受理年月日、得意とする職種、行政処分(なし・改善命令・停止命令など)、労使協定の締結の有無 |
※ 2026年9月29日に画面で確認した内容です(2026年9月30日時点で変更の告知なし)。選べる範囲や項目名は、サイトの改修で変わることがあります。
「行政処分なし」で絞れるのも、取引先を探す営業にとっては便利な点です。ただし、マージン率をサイトに載せていない会社は、この絞り込みでは見つかりません。
サイトに載っていないときの3つの確認先
人材サービス総合サイトに数字がなくても、公開していないとは限りません。次の順番で確認します。
会社のホームページ:「情報公開」「マージン率」「派遣法に基づく情報提供」などのページを探します。Googleで
"会社名" マージン率と検索すると早いです。事業所に備え付けの書類:ネットを使わない会社は、事業所に書類を置いて公開していることがあります。
会社に直接問い合わせる:業務取扱要領では、関係者から求められたら応じる義務があるとされています。
問い合わせても公開していない場合は、法律上の義務を守れていない可能性があります。取引を始める前に、理由を確かめておくと安心です。
マージン率の見方と計算例
マージン率は、「何年度の、どの範囲の平均か」を確かめてから読みます。数字だけを比べると、判断を誤ります。
計算例:派遣料金の平均額が1日30,000円、賃金の平均額が1日21,000円の事業所の場合です。
差額:30,000円 − 21,000円 = 9,000円
マージン率:9,000円 ÷ 30,000円 = 30.0%
読むときに気をつけたい点は、次の4つです。
| 気をつける点 | 理由 |
|---|---|
| 全業務の平均である | 職種ごとの差は見えない |
| 事業所ごとの数字である | 本社と支店で違うことがある |
| 前年度の実績である | 最新の単価とはずれる |
| 利益率ではない | 社会保険料や研修費も含む |
マージンには、会社が負担する社会保険料・福利厚生費・教育訓練の費用などが含まれます。そのため、マージン率が高い=もうけすぎ、とは言えません。業務取扱要領でも、マージン率に含めている教育訓練の経費・福利厚生費・社会保険料などを示すことが望ましいとされています。
参考までに、厚生労働省の令和6年度の集計を紹介します。全業務の平均は、派遣料金26,257円・賃金16,735円です(1人1日8時間あたり)。派遣料金は消費税込みの額です。IT職種の平均と計算方法は、SESのマージン率の平均と相場|計算式・適正ライン・説明例文付きで詳しく解説しています。
SES(準委任)にはマージン率の公開義務がない
SESの準委任契約には、マージン率の公開義務はありません。公開義務を定めた労働者派遣法第23条第5項は、「派遣元事業主」だけを対象にしているからです。
準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決まった業務を行うこと自体を引き受ける契約のことです。SESの多くはこの契約で、派遣契約とは別のものです。
| 比べる点 | 労働者派遣 | SES(準委任) |
|---|---|---|
| マージン率の公開 | 義務あり | 義務なし |
| 厚生労働大臣の許可 | 必要 | 不要 |
| 現場での指揮命令 | 派遣先がする | 受託した会社がする |
| サイトでの確認 | できる | できない |
SESの会社でも、派遣の許可を持っていれば人材サービス総合サイトに載ります。ただし、公開されるのは派遣事業の数字だけです。その会社のSES案件の利益率は、公開されたマージン率からはわかりません。派遣とSESの違い全体は、SESと派遣の違い|準委任・派遣・請負の比較表と確認5項目をご覧ください。
エンジニアから「うちのマージン率は?」と聞かれた場合の答え方は、SESの単価に開示義務はある?派遣との違いとエンジニアへの説明例で整理しています。
取引先の見極めにマージン率をどう使うか
SES営業がマージン率を見る目的は、取引先が法律のルールを守る会社かどうかを確かめることです。数字の高い低いで良し悪しを決めるのはおすすめしません。
派遣許可を持つBP(取引先の会社)を確認するときは、次の順番で見ます。BPとは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。許可番号そのものの調べ方は労働者派遣の許可番号を検索する方法|取引前の確認手順3つで解説しています。
許可があるか:人材サービス総合サイトに事業所が載っているか
公開しているか:マージン率などが、サイトかホームページで見られるか
時点が新しいか:前の年度の数字が出ているか。数年前のままではないか
行政処分がないか:詳細検索の「行政処分」の項目や、処分の公表を確認する
説明が一致するか:営業担当の説明と、公開の数字や労使協定の有無が合っているか
私たちが特に大事だと考えるのは、2と3です。公開していない、または古いままの会社は、ほかの手続きもおろそかな可能性があります。二重派遣などのトラブルを防ぐ意味でも、取引前に確かめましょう。
二重派遣のリスクはSESの二重派遣(多重派遣)は違法?罰則と避ける契約の組み方で解説しています。
確認結果を残すメモの例
取引先ごとに、次のようなメモを残しておくと、社内で共有しやすくなります。
【派遣許可・公開情報の確認メモ】 会社名:株式会社〇〇(東京本社) 許可番号:派13-000000 確認日:2026年9月29日(火) 確認者:営業部 △△ マージン率:〇〇%(令和〇年度・全業務平均) 公開先:人材サービス総合サイト/自社ホームページ 労使協定:あり(有効期間の終わり:〇年〇月〇日) 行政処分:なし(人材サービス総合サイトの詳細検索「行政処分」で確認) 次の確認予定:2027年9月
公開情報を問い合わせるメールの例文
サイトにもホームページにも見つからないときは、次のように丁寧に聞きます。
件名:派遣事業に関する公開情報のご確認(株式会社△△) 株式会社〇〇 ご担当者様 いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。 お取引の開始にあたり、社内の確認手続きを進めております。 つきましては、労働者派遣法に基づいて公開されている 次の情報の掲載先を、お教えいただけますでしょうか。 ・マージン率(直近の年度分) ・労使協定の締結の有無 ・教育訓練に関する事項 公開ページのURLをお送りいただくだけで結構です。 お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
取引開始の審査で集める書類は、SESの取引開始の審査と必要書類|口座開設で求められる8点一覧にまとめています。
公開情報が確認できないときの社内判断表
| 確認の結果 | 社内の判断(例) |
|---|---|
| サイトかHPで最新年度を公開 | 通常どおり取引を進める |
| 公開はあるが2年以上前のまま | 理由を聞き、回答を記録してから進める |
| 問い合わせても掲載先が出てこない | 派遣での取引は保留。準委任のみで様子を見るか上長判断 |
| 許可番号が検索で出てこない | 派遣での取引は行わない |
反社チェックや与信の確認は、SESの取引先の与信チェック方法|反社チェックと確認手順5ステップをご覧ください。
確認した取引先をチョータツで管理し、ブーストで新しいBPを探す
マージン率の確認は、1社ずつ手作業で行う仕事です。確認が済んだ後は、取引先の情報を管理し、新しい取引先を増やすことに時間を使いたいところです。DrivenXのツールを使うと、次のように楽になります。
| 場面 | 自分でやる場合 | DrivenXのツールを使う場合 |
|---|---|---|
| 新しいBPを探す | 検索・交流会・紹介で1社ずつ | チョータツブーストで新しいパートナーを開拓 |
| BPの案件・人材を知る | 届いたメールを読んで転記 | チョータツで連携すると、相手の営業中案件・人材がデータベースになる |
| 自社の情報を届ける | BCCでメールを一斉送信 | チョータツのメール配信機能でパートナーに配信 |
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が利用していて、無料で始められます。
チョータツブーストとは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能のことです。1社ずつ募集ページを探す手間を減らせます。
おすすめの使い方は、「ブーストで候補を見つける→この記事の手順で公開情報を確認する→連携して情報を共有する」の順番です。確認の手間は残りますが、候補探しと取引後の情報整理が楽になります。
よくある質問
- Q. マージン率の公開は法律上の義務ですか?
- はい。労働者派遣法第23条第5項で、派遣会社(派遣元事業主)に事業所ごとの情報提供が義務付けられています。方法はインターネットなどで、前年度の実績を毎年出します。
- Q. 人材サービス総合サイトの使い方で、会社が見つからないときは?
- 社名の一部だけで検索し直してください。大文字・小文字や全角・半角が登録と違うと出ません。許可番号がわかれば、番号で探すのが確実です。
- Q. 派遣会社のマージン率を確認したら、何%なら安心ですか?
- 何%なら安心という基準はありません。社会保険料や研修費も含むため、会社の方針で変わります。公開しているか、時点が新しいかを先に確認しましょう。
- Q. SESの会社にマージン率を聞いてもいいですか?
- 聞くのは自由ですが、準委任のSESには法律上の公開義務がありません。答えるかどうかは相手の判断です。派遣許可がある会社なら、派遣事業分の数字はサイトで見られます。
- Q. マージン率が公開されていない派遣会社はどうなりますか?
- 情報提供は法律上の義務なので、守れていない状態です。取引を考えている場合は、公開先を問い合わせて、理由を確認してから判断しましょう。
- Q. 派遣許可の番号や有効期限もこのサイトでわかりますか?
- 許可番号や許可年月日は確認できますが、許可の有効期限は詳細画面に表示されません。許可の有効期間は、新規が3年、更新後が5年です(労働者派遣法第10条)。
まとめ
派遣会社は、労働者派遣法第23条第5項で、事業所ごとのマージン率などの公開が義務
マージン率=(派遣料金の平均額−賃金の平均額)÷派遣料金の平均額。前年度の1人1日あたりで計算
調べ方は、人材サービス総合サイトで都道府県と社名を入れ、詳細画面を見る7手順
サイトにないときは、ホームページ・事業所の書類・直接の問い合わせで確認する
SES(準委任)だけの会社には公開義務がない。派遣許可がある会社も、公開は派遣事業分だけ
取引先の見極めでは、数字の高い低いより「公開しているか・新しいか・処分がないか」を見る
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(第10条 許可の有効期間、第23条第5項 情報提供)
e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律施行規則」(第18条の2 情報提供の方法とマージン率の算定)
厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領 第4 事業報告等」(事業所ごとの情報提供の項目・方法)
厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領」
厚生労働省「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(表12 マージン率等の情報提供の状況)
厚生労働省「人材サービス総合サイト」(労働者派遣事業検索・よくあるご質問)