フリーランスの反社チェック方法|個人事業主と法人BPの違い、確認6手順と与信・記録の残し方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

フリーランスの反社チェックとは?

反社チェックとは、取引の相手が反社会的勢力と関係していないかを、取引の前に確かめることです。フリーランスの場合、調べる相手は会社ではなく、エンジニア本人です。

反社会的勢力とは、暴力や脅し、詐欺のような手口で利益を得ようとする集団や個人のことです。法務省が公表している政府の指針は、暴力団や暴力団関係企業、総会屋などを例に挙げています。

フリーランス(個人事業主)とは、会社に雇われず、個人で仕事を受けて働く人のことです。SESでは、フリーランスのエンジニアと直接契約したり、BP経由で紹介されたりします。

SES営業がフリーランスの反社チェックをする場面は、主に次の3つです。

場面契約する相手誰が調べるか
自社がフリーランスと直接契約するエンジニア本人自社
BPがフリーランスを提案してくるBP(会社)BPが本人を調べ、自社はBPを調べる
客先から「個人の確認結果」を求められる客先と自社自社がまとめて回答する

会社相手の反社チェック全体の流れは、SESの反社チェックの方法|新規取引の前にやる手順と条項例で解説しています。ここでは、個人が相手のときに何が違うかに絞って説明します。

法人BPとフリーランスで確認できる情報の違い

フリーランスは、法人BPに比べて公的に確かめられる情報が少ないです。そのため、本人からもらう書類と約束の比重が大きくなります。

確認できる情報法人BPフリーランス(個人事業主)
法人番号法人番号公表サイトで確認できるない
登記(役員・所在地)登記情報で確認できる原則ない(屋号は登記されない)
インボイス登録登録番号で検索すると、名称・所在地・登録年月日がわかる登録番号で検索すると、氏名・登録年月日がわかる(名前では検索できない)
本人確認書類通常は不要運転免許証などで確認する
Web上の情報会社サイト・ニュースが多い少ない。同姓同名が多い

表からわかるとおり、フリーランスは「会社の外側から調べる」手段が限られます。本人確認書類で「誰と契約するか」をはっきりさせることが、最初の一歩になります。

同姓同名が多いことにも注意が必要です。名前だけで検索して出てきた記事を、本人のことだと決めつけてはいけません。生年月日や住所の地域など、ほかの情報と合わせて判断します。

フリーランスの反社チェック方法6ステップ

フリーランスの反社チェックは、次の6つの手順で行います。無料でできる手順1〜3から始め、必要に応じて手順4を足します。

ステップ1:本人確認書類で氏名・生年月日・住所を確かめる

運転免許証やマイナンバーカードの表面などで、本人の氏名・生年月日・住所を確かめます。以降の検索で同姓同名と見分けるための基本情報になります。

注意点:マイナンバー(個人番号)が見える面のコピーは取りません。番号法は、必要な場合を除いて個人番号を集めることを制限しています。

ステップ2:公的サイトで事業の実態を確かめる

無料で使える公的サイトは次の2つです。

  1. インボイス公表サイト(国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト」):登録番号を入れると、氏名と登録年月日がわかります。名前からは検索できないので、登録番号は本人に教えてもらいます。屋号や事務所の所在地は、本人が申し出た場合だけ載ります。

  2. 官報(国が発行する公式の広報紙):破産などの手続きが載ります。2025年4月から内閣府の官報発行サイトで、直近90日分を無料で見られます。

適格請求書発行事業者とは、インボイス(消費税の控除に使える請求書)を出せるように、税務署に登録した事業者のことです。登録していないフリーランスもいるので、登録がないこと自体は問題ではありません。取引条件の考え方はインボイスで免税事業者に値下げは違反?SESの取引と単価交渉を参考にしてください。

ステップ3:氏名・屋号でWeb検索する

氏名と屋号を、次のような言葉と組み合わせて検索します。

  • 「氏名」+「逮捕」「容疑」「暴力団」「詐欺」

  • 「屋号」+「トラブル」「被害」

  • 「氏名」+「エンジニア」「フリーランス」(本人の活動実績の確認)

ヒットした記事は、ステップ1の生年月日・住所の地域と照らし合わせます。年齢や地域が合わない記事は、本人のものと判断しないのが原則です。

ステップ4:新聞記事データベースや専用サービスで調べる

新聞記事データベースや反社チェックの専用サービスは、過去の記事をまとめて調べられる有料の手段です。フリーランスとの契約が月に数人までなら、ステップ1〜3で始めても問題ありません。

当研究所の考え方:フリーランスの契約が月に10人を超えるなら、専用サービスを検討します。担当者ごとの調べ方のばらつきを減らせるためです。

ステップ5:表明確約書をもらい、契約書に反社条項を入れる

表明確約書とは、「自分は反社会的勢力ではなく、今後も関係を持たない」と相手に約束してもらう書類のことです。公的サイトで調べきれない部分を、本人の約束で補います。

業務委託契約書にも、暴力団排除条項(相手が反社会的勢力とわかったら、すぐ解除できる約束)を入れます。東京都暴力団排除条例の第18条も、次の2つを事業者の努力義務としています。

  • 契約が暴力団の活動を助ける疑いがあるとき、相手が暴力団関係者でないか確かめる(第1項)

  • 書面の契約に、暴力団排除の特約を入れる(第2項)

ステップ6:調べた結果を記録に残す

調べた日・調べた人・使った方法・結果を記録します。記録の項目は、後ろの「確認記録の残し方」でまとめています。

個人事業主向けの表明確約書の例

個人事業主向けの表明確約書は、会社向けより「本人と家族・関係者」に焦点を当てて書きます。次の例を、自社の契約書に合わせて直して使ってください。

例文・テンプレート
表明・確約書

株式会社〇〇 御中

私は、貴社との業務委託契約の締結にあたり、次のとおり表明し、確約します。

1.私は、現在、暴力団、暴力団員、暴力団員でなくなった時から
 5年を経過しない者、その他の反社会的勢力に該当せず、
 将来にわたっても該当しません。
2.私は、反社会的勢力に資金を提供するなど、
 反社会的勢力と社会的に非難されるべき関係を持っていません。
3.私は、自ら又は第三者を利用して、暴力的な要求、
 法的な責任を超えた不当な要求、脅迫的な言動を行いません。
4.第1項から第3項に反した場合、貴社が催告なしに契約を解除できること、
 解除により私に損害が生じても貴社に請求しないことに同意します。

2026年10月1日
住所:
氏名:          (署名)

「5年を経過しない者」という書き方は、多くの暴力団排除条項で使われている表現です。条項の最終的な文言は、顧問の弁護士に確認してもらうと安心です。

フリーランスの与信はどう見るか

与信とは、相手と取引してよいかを、お金と信用の面から見極めることです。フリーランス相手のSESでは、自社がお金を払う側になることが多く、会社相手とは見るポイントが変わります。

相手主なリスク見るポイント
法人BP(自社が請求する側)代金を払ってもらえない設立年・資本金・支払いサイト・取引実績
法人BP(自社が払う側)エンジニアの交代・連絡の途絶所属エンジニアの人数・担当者の対応
フリーランス(自社が払う側)途中離脱・経歴の違い・二重契約過去の稼働実績・連絡の速さ・他社との契約状況

フリーランスで確認したい5項目

  1. 直近2〜3件の稼働先と期間(空白が長すぎないか)

  2. スキルシートの内容と面談での受け答えが合っているか

  3. ほかの会社とも同じ時間帯で契約していないか

  4. インボイス登録の有無と、請求書の出し方

  5. 連絡がつく手段(メール・電話)が2つ以上あるか

1〜3は、途中で稼働が止まるリスクを見るための項目です。契約後の掛け持ちへの対応は、SESのBP要員の案件掛け持ちが発覚したらで解説しています。4は請求と支払いの事務を、5は困ったときに連絡がつくかを確かめます。

法人BPの与信で見る点

自社が請求する側になる法人BPでは、支払いが遅れないかが中心です。法人番号・登記・会社サイトで実在を確かめ、支払いサイト(締めから支払いまでの日数)を契約前に決めます。支払いサイトの差が大きいと自社の資金繰りが苦しくなります。対策はSESの黒字倒産を防ぐ資金繰り|支払いサイトの差と対策6つで解説しています。

反社チェックの確認記録の残し方

確認記録は、1人1行で残し、あとから誰でも見返せる形にします。客先から確認結果を聞かれたときや、契約を更新するときに使います。

記録シートに入れる8項目

項目記入例
氏名・屋号山田太郎(ヤマダテック)
確認日・確認者2026年9月29日・営業部 佐藤
本人確認書類運転免許証(表面のみ確認、番号は控えない)
公的サイトインボイス登録あり/官報に該当なし
Web検索検索語3種・該当なし
表明確約書2026年10月1日 受領
判定取引可
次の見直し日2027年4月(契約更新時)

記録のコツ

  • 本人確認書類のコピーは、必要な期間が過ぎたら処分する。個人情報を持ちすぎない

  • 検索で出てきた記事は「本人と判断した理由・しなかった理由」も一言書く

  • 見直しは契約更新のたび、または少なくとも年1回にする

取引先の情報をどう管理するかは、SESのBP登録管理方法|取引先情報の管理項目15と更新の仕組みも参考にしてください。

BP経由のフリーランスはどう確認するか

BP経由で来るフリーランスは、BPに確認を任せ、その約束を契約書で取るのが現実的です。自社から本人の本人確認書類を直接もらうのは、BPとの関係上むずかしいことが多いためです。

具体的には次の3つを行います。

  1. BPとの基本契約書に「再委託先・所属エンジニアの反社チェックはBPが行う」と書く

  2. 新しいエンジニアの提案時に「反社チェック済みか」をメールで確認し、返信を残す

  3. BP自体の反社チェックは、法人として自社で行う

提案を受けたときにBPへ送る確認メールの例です。そのまま使えます。

例文・テンプレート
件名:【確認】ご提案いただいた〇〇様の反社チェックについて

△△株式会社 □□様

いつもお世話になっております。株式会社〇〇の佐藤です。
〇〇様のご提案、ありがとうございます。

面談の前に、次の3点をご確認いただけますでしょうか。
1.〇〇様の反社チェックを御社で実施済みか(実施日)
2.〇〇様との契約形態(御社社員/御社と契約する個人事業主)
3.〇〇様から表明確約書を受け取っているか

基本契約書の第〇条にもとづく確認です。
お手数ですが、本メールへのご返信でお知らせください。

返信メールは、記録シートの「確認方法」の欄に日付と一緒に残します。

再委託先の扱いは、SESの再委託禁止条項の書き方|承諾条件と個人事業主の扱いで解説しています。

やってはいけないフリーランスの反社チェック

本人の同意なく必要以上の情報を集めることと、あいまいな情報で断定することは避けます。次の4つは特に注意してください。

  • 名前の検索結果だけで「反社だ」と決めつけ、周りに話す

  • マイナンバーの記載面をコピーして保管する

  • SNSの私的な投稿を深く調べ、仕事と関係ない理由で取引を断る

  • 確認した記録を残さず、担当者の記憶だけに頼る

怪しい情報が出たときは、自社だけで判断しません。警察や各都道府県の暴力追放運動推進センター(暴力団排除の相談窓口)に相談します。

取引後に疑いが出たときは、BPとの取引停止の判断基準と伝え方も参考にしてください。

また、フリーランスと取引するときは、フリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の義務もかかります。取引条件の明示などはフリーランス法のSES対応|発注者の義務7つと実務チェック表で確認してください。

チョータツとxhoursで、確認済みの取引を楽にする

自分で調べる手順が決まったら、次は「確認した相手の情報をどう使い回すか」が課題になります。ここでDrivenXのツールが役に立ちます。

チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。人材の情報をチームで管理・共有できるので、確認を終えたフリーランスや、BPから届いた人材を一か所にまとめられます。他社と連携すると、他社の営業中人材もデータベースにできます。3,000社以上が使い、無料で始められます。

xhoursは、企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスです。数千名のフリーランスのデータベースから探せます。BPを通さず本人と直接やりとりするので、本人確認や表明確約書をもらう相手がはっきりします。

やりたいこと自分でやる方法ツールを使う方法
確認済み人材の共有Excelの記録シートを共有チョータツで人材情報を管理・共有
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よくある質問

Q. フリーランスの反社チェックは無料でできますか?
できます。本人確認書類、インボイス公表サイト、官報(直近90日分)、Web検索は無料です。人数が多いときだけ、有料の記事データベースや専用サービスを足します。
Q. 個人事業主の与信調査はどうすればいいですか?
自社がお金を払う側なら、過去の稼働実績・連絡の速さ・他社との契約状況を確かめます。自社が請求する側なら、支払いサイトを契約前に決め、取引額を小さく始めます。
Q. SESの新規取引で、反社チェックと与信管理はどちらを先にやりますか?
反社チェックを先に行います。反社の疑いがあれば、与信を見るまでもなく取引を見送るためです。そのあとで支払い条件や稼働の安定性を確認します。
Q. インボイス登録をしていないフリーランスは、反社チェックで不利ですか?
不利ではありません。登録は消費税の仕組みの話で、反社かどうかとは関係ありません。登録がない場合は、本人確認書類とWeb検索、表明確約書で確認します。
Q. BPが紹介するフリーランスも、自社で反社チェックが必要ですか?
契約の相手はBPなので、BPに確認を任せるのが一般的です。基本契約書でBPに確認を義務づけ、提案のたびに「確認済み」の返信をもらって記録します。

まとめ

  • フリーランスには登記も法人番号もないことが多く、会社向けの調べ方がそのまま使えない

  • 本人確認書類・インボイス公表サイト・官報・Web検索・表明確約書を組み合わせる

  • 同姓同名に注意し、生年月日や地域と照らし合わせてから判断する

  • 与信は、法人BPなら支払い、フリーランスなら稼働の安定性を中心に見る

  • BP経由のフリーランスは、BPに確認を義務づけ、返信を記録に残す

  • 1人1行の記録を残し、契約更新のたびに見直す

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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