人時生産性とは?計算式と人時売上高の違い|SES会社の「営業1人1時間あたり粗利」の計算例と上げ方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

人時生産性とは?

人時生産性とは、従業員1人が1時間働いたときに生み出す粗利のことです。「にんじせいさんせい」と読みます。お店やサービス業でよく使われてきた指標ですが、SES会社の経営にもそのまま使えます。

ここで使う言葉を先に整理します。

  • 人時(にんじ)とは、1人が1時間働く量のことです。3人が2時間働けば6人時です。→ 人時の意味と人日・人月との違い

  • 粗利(あらり)とは、売上から仕入れにかかったお金を引いた残りのことです。SESなら、客先への請求額からエンジニアの給与やBPへの支払いを引いた金額です。

  • 総労働時間とは、対象の人たちが実際に働いた時間の合計です。残業も含めます。

人時生産性が高いほど、少ない時間で多くの粗利を稼げていることになります。人を増やさずに利益を増やしたい会社ほど、見ておく価値がある数字です。

人時生産性の計算式と計算の手順

人時生産性の計算式は、「粗利 ÷ 総労働時間」です。期間は1か月でそろえると、毎月の変化を追いやすくなります。

人時生産性 = 粗利 ÷ 総労働時間

たとえば、1か月の粗利が320万円で、4人が合計640時間働いたとします。320万円 ÷ 640時間で、人時生産性は5,000円です。

計算は次の順番で進めます。

  1. 期間を決める(例:2026年9月の1か月)

  2. その期間の粗利を出す(売上 − エンジニアの給与などの原価 − BPへの支払い)

  3. 対象にする人を決める(全社か、営業部門だけか)

  4. 対象の人の実労働時間を足す(残業を含める)

  5. 粗利を総労働時間で割る

SESの粗利の出し方がまだあいまいなら、先に計算の決まりをそろえておきましょう。→ SESの粗利率の平均は?利益率の計算式と計算例・上げる方法5つ

人時売上高とは?人時生産性との違い

人時売上高とは、従業員1人が1時間働いたときに生み出す売上のことです。計算式は「売上高 ÷ 総労働時間」です。

人時売上高 = 売上高 ÷ 総労働時間

2つの違いは、割る前の数字が「粗利」か「売上」かだけです。

指標計算式わかることSESでの注意点
人時生産性粗利 ÷ 総労働時間1時間で残る利益の力経営判断に向いている
人時売上高売上高 ÷ 総労働時間1時間で動かす取引の大きさBP案件が多いと高く見えやすい

SESでは、人時売上高だけを見るのは危険です。BPのエンジニアを高い単価で提案しても、仕入れも高ければ粗利はあまり残りません。売上は大きいのに利益が薄い状態を見落とさないよう、人時生産性とセットで見るのがおすすめです。

労働生産性との違い

労働生産性とは、働いた量1単位あたりで、どれだけの成果を生んだかを表す数字のことです。人時生産性は、その考え方を「1時間あたりの粗利」に絞った使いやすい版だと考えてください。

指標分子(成果)分母(働いた量)よく使う場面
労働生産性(1人あたり)付加価値額従業員数国や業界の統計
労働生産性(1時間あたり)付加価値額など労働者数 × 労働時間国際比較
人時生産性粗利総労働時間会社・部門の管理

付加価値とは、売上から外部から買ったもの(原材料費や外注費など)を引いた、会社が新しく生んだ価値のことです。財務省の法人企業統計では、人件費・支払利息等・動産不動産賃借料・租税公課・営業純益を足して付加価値額を出しています。

付加価値は計算の手間がかかります。社内で毎月見るなら、粗利で計算する人時生産性のほうが手軽です。

SES会社では「営業1人1時間あたり粗利」に置き換える

SES会社で人時生産性を使うなら、分母を「営業部門の労働時間」にするのがおすすめです。こうすると「営業1人1時間あたり粗利」という、営業の働き方に直結する数字になります。

理由は、全社で計算するとエンジニアの労働時間が分母の大半を占めるからです。そうなると数字の動きは、ほぼ単価と粗利率の話になります。営業が時間の使い方を変えても、全社の数字にはほとんど表れません。

計算の範囲分母に入れる時間何を見る数字か
全社プロパーのエンジニア+営業+管理部門会社全体の稼ぐ力
営業部門営業担当+営業事務営業の時間の使い方
営業担当1人その営業の実労働時間担当ごとの差

BPのエンジニアの時間は、どの範囲でも分母に入れません。BPへの支払いは外注費として粗利の計算で引いているため、自社の社員の時間ではないからです。

SES会社の計算例(営業部門の人時生産性・人時売上高)

計算例では、営業部門の人時生産性は5,625円、人時売上高は30,469円になります。架空のSES会社で、2026年9月の1か月分を計算してみます。

前提(架空の会社)

  • 稼働中のエンジニア:30人(プロパーとBPの合計)

  • 平均単価:月65万円 → 月の売上 1,950万円

  • 1人あたりの平均粗利:月12万円 → 月の粗利 360万円

  • 営業部門:営業担当3人+営業事務1人。1人の月の実労働時間は160時間 → 合計640時間

計算

  • 人時生産性 = 360万円 ÷ 640時間 = 5,625円

  • 人時売上高 = 1,950万円 ÷ 640時間 = 30,469円(1円未満は四捨五入)

参考までに、全社で計算するとどうなるかも見ておきます。プロパーのエンジニア20人と管理部門2人を足すと、分母は(20+4+2)× 160時間 = 4,160時間です。全社の人時生産性は、360万円 ÷ 4,160時間 = 約865円になります。

全社の約865円は、エンジニアの給与と単価でほぼ決まります。一方、営業部門の5,625円は、営業の時間の使い方で上下する数字です。営業責任者が毎月見るなら、営業部門の数字を使いましょう。

転記やメール整理の時間を減らすと、数字はどう変わるか

営業部門の人時生産性は、同じ粗利のまま時間を減らすか、浮いた時間で粗利を増やすかのどちらかで上がります。同じ会社の例で、効果を比べてみます。

この会社では、営業担当3人がそれぞれ1日2時間を、案件メールの仕分けと管理表への転記に使っていました。営業日20日で、月120時間です。仕組みを見直し、その半分の60時間を減らせたとします。

パターン粗利営業部門の時間人時生産性
見直し前360万円640時間5,625円
A:残業を60時間減らす360万円580時間約6,207円
B:60時間を提案に回し、2人多く決まる384万円640時間6,000円
A+B:両方できた384万円580時間約6,621円

パターンBでは、浮いた時間で提案数を増やし、エンジニアが2人多く稼働したと考えています。粗利は12万円 × 2人で24万円増えます。売上も130万円増えるので、人時売上高は2,080万円 ÷ 640時間 = 32,500円になります。

ポイントは、「作業の時間」を減らすだけで数字が1割ほど上がることです。単価交渉や採用と違い、社内だけで今月から始められます。

人時生産性・人時売上高の目安

SES会社向けの、公的な人時生産性の目安はありません(2026年9月時点で確認)。そのため、自社の数字を毎月測り、前の月・前の年と比べるのが一番確かな使い方です。

参考として、国全体の数字はあります。日本生産性本部「労働生産性の国際比較2025」によると、2024年の日本の時間あたり労働生産性は60.1ドル(5,720円)です。OECD加盟38か国中28位でした。ただしこれは国全体の付加価値をもとにした数字です。粗利で計算する人時生産性とは中身が違うので、そのまま比べないでください。

目安を自社で作るなら、次の2つの方法があります。

  1. 目標から逆算する:来月の粗利目標 ÷ 営業部門の予定労働時間 = 目標の人時生産性

  2. 過去から決める:直近6か月の平均を出し、その1割増しを次の目標にする

たとえば粗利目標が400万円で、営業部門の予定が640時間なら、目標は6,250円です。今が5,625円なら、あと625円上げる必要があるとわかります。

人時生産性を毎月測る5ステップ

人時生産性は、同じ決まりで毎月測り続けることで役に立ちます。次の5ステップで始めてください。

  1. 計算の範囲を決める:まずは「営業担当+営業事務」に固定します。

  2. 粗利の出し方をそろえる:請求額から、プロパーの人件費とBPへの支払いを引く決まりを文書にします。→ SESの収支管理と案件別粗利の計算

  3. 労働時間を勤怠から取る:自己申告ではなく、勤怠の実労働時間を使います。残業も含めます。

  4. 時間の内訳を1週間だけ記録する:提案・面談調整・メール整理・転記・会議などに分けて記録します。どこに時間が消えているかが見えます(記録表の例は下にあります)。

  5. 月初に前月の数字を出して共有する:人時生産性と人時売上高を並べ、前月との差と理由を1行で書きます。

ステップ4で使う記録表の例です。15分単位で、1日の終わりに書き込みます。

作業の分類月火1週間の合計
提案メール作成・送信1.5h2.0h8.0h
面談の調整・同席2.0h1.0h7.5h
案件・人材メールの仕分け1.25h1.5h7.0h
管理表への転記0.75h1.0h4.5h
社内会議・報告1.0h0.5h3.5h

「仕分け」と「転記」の合計が週10時間を超えていたら、仕組みで減らす候補です。

営業1人ごとに計算すると、担当者の比べ合いになりがちです。まずは部門全体の数字で、「時間の使い方」を話し合う材料にするのがおすすめです。営業の数字の追い方は SES営業のKPIの目安 も参考になります。

自分でできる時間の減らし方

営業部門の時間を減らす近道は、毎日くり返す手作業から手をつけることです。まずは、お金をかけずにできる方法から試しましょう。

  • メールの振り分けルールを作る:件名に「案件」「人材」「要員」が入るメールを、フォルダに自動で分けます。→ SESの案件メールの整理方法

  • 管理表の項目を減らす:提案に使わない項目の入力をやめます。

  • 転記を1回にする:メールから管理表、管理表から提案メールと、同じ情報を何度も写さない流れにします。→ 転記ミスが起きる5つの原因と防ぐ仕組み

  • 定型メールをテンプレにする:提案・お断り・日程調整の文面を、チームで共有します。

どの作業から減らすかの順番は、SES営業の効率化の方法|時間を奪う作業7つと減らす順番でくわしく整理しています。

もっと楽にするなら:チョータツとチョータツメールAI

手作業の見直しで減らせる時間には限りがあります。仕分けと転記そのものを仕組みに任せると、減らせる時間はさらに大きくなります。DrivenXのツールで楽にできるのは、次の部分です。

時間がかかる作業使う機能楽になること
大量の案件・人材メールの仕分けチョータツメールAIAIが案件メールと人材メールに切り分ける
メールの取り込みチョータツメールAI転送設定で取り込める
管理表での情報共有チョータツ案件・人材の情報をチームで管理・共有できる
パートナーへの一斉連絡チョータツメール配信機能で送れる
他社の営業中の案件・人材探しチョータツ他社と連携すると、営業中の案件・人材をデータベース化できる

チョータツメールAIでは、案件・人材以外のメールはデータに残りません。営業に関係する情報だけがたまっていくので、探す時間も短くなります。チョータツ本体はAIが入力を手伝うため、手で打ち込む量も減らせます。

仕分けと転記の月120時間のうち60時間を減らせれば、計算例の人時生産性は約6,207円に上がります。浮いた時間を提案に回せば、粗利そのものを増やす道も開けます。

よくある質問

Q. 人時生産性とは、かんたんに言うと何ですか?
1人が1時間働いて生み出す粗利のことです。「粗利 ÷ 総労働時間」で計算します。
Q. 人時生産性の計算式に、残業時間は入れますか?
入れます。実際に働いた時間で割らないと、残業が多い月ほど数字が高く見えてしまいます。
Q. 人時売上高と人時生産性は、どちらを見ればいいですか?
SES会社では人時生産性を優先しましょう。BP案件が多いと、人時売上高だけが高く見えて、利益の薄さを見落とすからです。
Q. 人時売上高の目安はいくらですか?
SES向けの公的な目安はありません。「来月の粗利目標 ÷ 営業部門の予定時間」で、自社の目標を作るのがおすすめです。
Q. SES会社の人時生産性は、エンジニアも含めて計算すべきですか?
経営全体を見るなら含めます。営業の働き方を見るなら、営業担当と営業事務だけで計算しましょう。
Q. BPのエンジニアの労働時間は分母に入れますか?
入れません。BPへの支払いは外注費として粗利から引いているため、自社の社員の時間ではないからです。

まとめ

  • 人時生産性は「粗利 ÷ 総労働時間」、人時売上高は「売上高 ÷ 総労働時間」

  • SES会社では、営業部門の時間で割る「営業1人1時間あたり粗利」が使いやすい

  • 計算例では5,625円。仕分けと転記の60時間を減らすと約6,207円に上がる

  • SES向けの公的な目安はないので、目標から逆算し、毎月の変化を追う

  • 時間を減らす近道は、メールの仕分けと転記。仕組みに任せるならチョータツメールAIとチョータツ

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

関連する記事