人時とは?人日・人月との違いと計算方法|SESの精算幅で請求額がどう変わるかの計算例つき
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
人時とは?意味と読み方
人時とは、1人が1時間かけて行う作業の量を表す単位のことです。 「10人時」なら、1人で10時間、または10人で1時間かかる作業量を指します。
読み方は「にんじ」が一般的です。「じんじ」と読む人もいますが、「人事(じんじ)」と聞き間違えやすいため、社内外の会話では「にんじ」がおすすめです。「人時間(にんじかん)」と書くこともあり、意味は同じです。
人時は、工数の単位の1つです。工数とは、仕事を終えるのに必要な作業量を「人数×時間」で表したもののことです。SES営業が人時を使うのは、主に毎月の精算と、小さな追加作業の見積です。
「1人時」の具体例
1人時は、1人が1時間働いた分の作業量です。次の3つは、どれも同じ「6人時」になります。
1人で6時間かかる作業
2人で3時間かかる作業
3人で2時間かかる作業
英語では man-hour(マンアワー) または person-hour と書き、「MH」と略されます。外資系の客先の見積書で「MH」を見たら、人時のことだと考えてよいです。
人時・人日・人月の違いと換算表
人時・人日・人月の違いは、1人が働く長さを「時間・日・月」のどれで数えるかです。 一般的には、1日8時間・1か月20日で換算します。
| 単位 | 読み方 | 意味 | 人時での大きさ |
|---|---|---|---|
| 人時 | にんじ | 1人が1時間働く作業量 | 1人時 |
| 人日 | にんにち | 1人が1日働く作業量 | 8人時 |
| 人月 | にんげつ | 1人が1か月働く作業量 | 160人時 |
1日8時間という目安は、労働基準法第32条の「1日8時間・1週40時間」という法定労働時間と同じ数字です。ただし、これは法律で決まった換算ルールではありません。会社や案件によって「1人日=7.5時間」「1人月=21日」などと決めていることがあるので、必ず確認します。
人日と人月の違いや読み方をくわしく知りたい方は、人日・人月の計算方法|意味・読み方と換算早見表・見積例を読んでください。
人時から人日・人月への換算早見表
1日8時間・1か月160時間で換算した場合の早見表です。
| 人時 | 人日 | 人月 |
|---|---|---|
| 4人時 | 0.5人日 | 0.025人月 |
| 16人時 | 2人日 | 0.1人月 |
| 40人時 | 5人日 | 0.25人月 |
| 80人時 | 10人日 | 0.5人月 |
| 160人時 | 20人日 | 1人月 |
| 480人時 | 60人日 | 3人月 |
人時の計算方法3パターン
人時の計算は「人数×時間」が基本です。 人日や人月からの変換は、1日の時間数や1か月の時間数をかけるだけです。
| やりたいこと | 計算式 | 計算例 |
|---|---|---|
| 人数と時間から出す | 人数 × 作業時間 | 3人 × 5時間 = 15人時 |
| 人日から出す | 人日 × 1日の時間 | 2.5人日 × 8 = 20人時 |
| 人月から出す | 人月 × 1か月の時間 | 0.5人月 × 160 = 80人時 |
反対に、人時から人日や人月に直すときは割り算です。
人時を人日にする:人時 ÷ 8(例:24人時 ÷ 8 = 3人日)
人時を人月にする:人時 ÷ 160(例:24人時 ÷ 160 = 0.15人月)
前提が違う案件では、8や160の部分を契約の数字に置きかえる
工数の見積で人時を使う例
ちょっとした追加作業の見積では、人月よりも人時のほうが伝わりやすいです。たとえば、顧客から「帳票の項目を2つ追加してほしい」と頼まれたとします。
作業を分ける:設計2時間、修正8時間、テスト6時間、確認4時間
合計する:2+8+6+4=20人時
人月に直す:20 ÷ 160=0.125人月
金額にする:人月単価60万円なら、0.125 × 600,000円=75,000円
人日・人月での見積の立て方は、人日・人月の計算方法|意味・読み方と換算早見表・見積例にまとめています。
SESでは「人時」が請求額に直結する
SESでは、エンジニアが実際に働いた時間(人時)で、毎月の請求額が決まります。 月額単価は固定ではなく、稼働時間が精算幅から外れると増えたり減ったりするからです。
SESの多くは準委任契約です。準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決まった業務を行うこと自体に報酬を払う契約のことです。そのため「何時間働いたか」が報酬の基準になりやすいのです。
精算幅とは、月額単価のまま請求できる稼働時間の範囲のことです。「140〜180時間」のように決め、範囲を下回ると控除、上回ると超過の精算をします。精算幅の決め方は、SESの稼働時間の上限・下限の決め方|契約前の確認12項目つきで解説しています。
| 稼働時間 | 精算 | 請求額の出し方 |
|---|---|---|
| 下限より少ない | 控除 | 月額単価 − 足りない人時 × 控除単価 |
| 精算幅の中 | なし | 月額単価のまま |
| 上限より多い | 超過 | 月額単価 + 超えた人時 × 超過単価 |
精算幅140〜180時間で請求額はいくら変わる?計算例
月額60万円・精算幅140〜180時間・上下割なら、130時間で557,150円、190時間で633,330円です。 割り方が違うと、同じ稼働でも請求額が変わります。
割り方は主に2つあります。上下割とは、月額単価を下限時間で割って控除単価を、上限時間で割って超過単価を出す方法のことです。中間割とは、下限と上限の真ん中の時間で割り、控除も超過も同じ単価にする方法のことです。
| 割り方 | 控除単価(1人時) | 超過単価(1人時) |
|---|---|---|
| 上下割 | 600,000÷140=4,285円 | 600,000÷180=3,333円 |
| 中間割 | 600,000÷160=3,750円 | 600,000÷160=3,750円 |
※1円未満は切り捨てています。端数処理は契約書の定めに従います。
稼働時間ごとの請求額
| 実際の稼働 | 精算 | 上下割の請求額 | 中間割の請求額 |
|---|---|---|---|
| 130時間 | 10人時の控除 | 557,150円 | 562,500円 |
| 140時間 | なし | 600,000円 | 600,000円 |
| 170時間 | なし | 600,000円 | 600,000円 |
| 180時間 | なし | 600,000円 | 600,000円 |
| 190時間 | 10人時の超過 | 633,330円 | 637,500円 |
計算の流れは、次のとおりです。130時間・上下割の場合で見てみましょう。
足りない時間を出す:140 − 130 = 10人時
控除単価をかける:10 × 4,285円 = 42,850円
月額から引く:600,000 − 42,850 = 557,150円
下回ったときの控除や、有給・日割りの扱いはSESの精算幅を下回ったら?控除の計算方法と有給・固定の扱いでくわしく解説しています。15分・30分などの精算単位についてはSESの精算単位15分・30分の違い|稼働時間の切り捨ては違法?も参考にしてください。
1人時あたりの「実質単価」も変わる
精算幅の中では請求額は同じですが、1時間あたりの実質単価は稼働時間によって変わります。 顧客から見ると、長く働いてもらうほど1人時あたりは安くなります。
| 稼働時間 | 請求額 | 1人時あたりの実質単価 |
|---|---|---|
| 140時間 | 600,000円 | 約4,285円 |
| 160時間 | 600,000円 | 3,750円 |
| 180時間 | 600,000円 | 約3,333円 |
顧客に「時給換算でいくら?」と聞かれたら、稼働時間によって幅があることを伝えます。そうすると誤解を防げます。
2026年の月ごとの人時の目安
2026年は、平日だけで数えると月144〜184人時と、月によって40時間も差が出ます。 精算幅140〜180時間の案件では、祝日が多い月と少ない月に注意が必要です。
1日8時間・土日と祝日を休みとして数えた、主な月の目安です。祝日は内閣府の「国民の祝日」の一覧で確認しています。
| 月(2026年) | 平日の日数 | 8時間×日数 | 精算幅140〜180時間との関係 |
|---|---|---|---|
| 2月 | 18日 | 144人時 | 下限まで4時間しか余裕がない |
| 5月 | 18日 | 144人時 | 大型連休で下限に近い |
| 9月 | 19日 | 152人時 | 連休あり。有給1日で144人時 |
| 11月 | 19日 | 152人時 | 祝日2日 |
| 12月 | 23日 | 184人時 | 年末休暇がないと上限を超える |
2月や5月は、有給を1日取るだけで136人時となり、下限の140時間を割ります。12月は反対に、客先の年末休暇がなければ上限を超えやすい月です。
営業は、こうした月の前にエンジニアと顧客の両方に稼働予定を確認しておきましょう。控除や超過が出そうなら、事前に伝えておくと請求時のトラブルを防げます。
顧客やBPに人時・精算を説明するときの例文
説明のコツは、「換算の前提」と「精算の計算式」を数字でそろえることです。 口頭だけで済ませず、メールでも残しておきます。
契約前に精算条件を確認するメール例文
件名:【ご確認】〇〇案件の精算条件について
〇〇株式会社 〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
2026年11月開始の〇〇案件について、精算条件を確認させてください。・月額単価:600,000円(税抜)
・精算幅:140〜180時間
・割り方:上下割(控除単価4,285円、超過単価3,333円)
・精算単位:15分このほかに、1日の所定時間や祝日の扱いに決まりがあれば、お知らせいただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
顧客に「時給でいくら?」と聞かれたときの答え方
「月額60万円・精算幅140〜180時間なので、1時間あたりは約3,333円〜4,285円の間になります。160時間で割ると3,750円です」と答えます。「時給」ではなく「1人時あたりの単価」と言いかえると、雇用契約と誤解されにくくなります。
人時・精算で揉めないためのチェックリスト
1人日は何時間か(8時間/7.5時間など)
1人月は何日・何時間か(20日・160時間など)
精算幅の下限・上限は何時間か
割り方は上下割か中間割か
精算単位は何分か(15分・30分・1時間)
端数処理は切り捨てか四捨五入か
有給・祝日・客先休業日の扱い
人時生産性は経営指標として別記事で
人時生産性とは、1人が1時間働いたときにどれだけの粗利を生んでいるかを表す指標のことです。計算式は「粗利 ÷ 総労働時間」で、人時を分母に使います。
SESでは、超過精算がない契約で稼働時間が増えると、同じ粗利でも1人時あたりの数字が下がる点だけ覚えておきましょう。計算例、人時売上高との違い、部門別の出し方など経営での使い方は、人時生産性とは?計算式と人時売上高をSES会社の経営に使う方法で詳しく扱っています。
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よくある質問
- Q. 人時の読み方は「にんじ」と「じんじ」どちらですか?
- どちらも使われますが、「にんじ」が一般的です。「人事(じんじ)」と聞き間違えやすいため、会話では「にんじ」がおすすめです。
- Q. 人時と人時間は違いますか?
- 意味は同じです。どちらも1人が1時間働く作業量を表します。見積書や契約書では、社内で表記をそろえると読み間違いを防げます。
- Q. 1人月は何人時ですか?
- 一般的には、1人月=20人日×8時間=160人時です。ただし、案件によって1か月の日数や1日の時間の前提が違うため、契約で確認します。
- Q. 人時の計算方法を教えてください。
- 「人数×作業時間」で計算します。3人で5時間なら15人時です。人日からなら×8、人月からなら×160で人時に直せます。
- Q. SESの請求で、人時はどう使いますか?
- 毎月の稼働時間を人時で数え、精算幅と比べます。範囲を下回れば控除、上回れば超過を計算し、月額単価に足し引きして請求額を出します。
- Q. 人時生産性の計算式は?
- 「粗利 ÷ 総労働時間」です。粗利12万円・160時間なら、1人時あたり750円です。経営指標としての使い方は、人時生産性を扱う別記事で解説しています。
まとめ
人時(にんじ)とは、1人が1時間働く作業量を表す工数の単位
一般的な換算は、1人日=8人時、1人月=20人日=160人時。前提は案件ごとに確認する
SESでは、稼働した人時と精算幅で毎月の請求額が決まる
月額60万円・140〜180時間なら、130時間で557,150円、190時間で633,330円(上下割)
2026年は月144〜184人時と差が大きい。2月・5月・12月は事前に稼働予定を確認する
精算条件はメールで顧客とそろえ、案件ごとに管理しておく
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)