請求書の明細の書き方|SESの要員別・精算内訳の記載例と数量・単位・別紙
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
請求書と明細書の違い
請求書は「合計でいくら、いつまでに払ってほしいか」を伝える書類です。明細書は「その金額が、どの要員の、何時間分から出てきたか」を伝える書類です。
明細書(請求明細書)とは、請求金額の内訳を1行ずつ並べた書類のことです。請求書の中に明細欄として入れることもあれば、別の紙(別紙)にすることもあります。
| 書類 | 伝えること | SESでの中身の例 |
|---|---|---|
| 請求書(本体) | 請求金額・支払期限・振込先 | 9月分合計 1,647,320円 |
| 明細書(別紙) | 金額の内訳と根拠 | 要員3名の月額・精算・交通費 |
| 稼働報告書 | 実際に働いた時間 | 山田 186h、鈴木 132h |
法律で「明細書を必ず別に作る」と決まっているわけではありません。要員が1〜2名なら、請求書の明細欄に全部書いて1枚にまとめて構いません。
明細を別紙にしたほうがよいケース
次のどれかに当てはまるなら、明細を別紙に分けるのがおすすめです。
同じ客先に3名以上の要員を出している
精算の行(超過・控除)が毎月いくつも出る
客先の経理は合計だけ見て、現場の担当者が内訳を確認する
客先から「要員別の内訳を付けてほしい」と言われている
本体を合計だけにすると、経理は支払いの手続きがしやすくなります。現場の担当者は、別紙を稼働報告書と並べて確認できます。
SESの明細は「要員ごと」に行を分ける
SESの明細は、要員1人ごとにかたまりを作り、月額の行の下に精算の行を足す形にします。複数の要員の精算をまとめて1行にすると、誰の分がいくらなのか、客先がわからなくなります。
人月とは、1人が1か月働く量を1とする単位のことです。精算幅とは、月額のまま請求する稼働時間の範囲のことで、「140〜180時間」のように契約で決めます。
明細の行の並べ方
要員ごとに、月額単価の行を1行書く(「SE業務(山田)9月分」)
精算幅の上限を超えた要員は、すぐ下に超過精算の行を足す
下限に届かなかった要員は、すぐ下に控除精算の行を足し、金額をマイナスにする
月の途中で入場・退場した要員は、行の中に「日割り」と割った日数を書く
交通費など要員に付かない費用は、要員の行のあとにまとめる
最後に小計・消費税・合計を書き、本体の金額と一致させる
超過精算とは、稼働時間が精算幅の上限を超えた分を追加で請求することです。控除精算とは、下限に届かなかった分を月額から差し引くことです。
記載例:1社に3名の要員を出している場合
ここでは、客先1社に3名を出している2026年9月分の例で、本体と別紙明細の両方を作ります。精算は上下割(控除は下限時間で、超過は上限時間で月額を割る方法)で、1円未満は切り捨てとします。
山田さん(自社社員):月額650,000円、精算幅140〜180時間、実稼働186時間
鈴木さん(BP要員):月額600,000円、精算幅140〜180時間、実稼働132時間
田中さん(9月16日入場):月額550,000円、日割り(9月の営業日19日のうち8日)、精算なし
2026年9月は、平日22日から敬老の日(21日)・国民の休日(22日)・秋分の日(23日)を引いて19営業日です。日割りの方法(営業日か暦日か)は、契約書や注文書で決めた方法に合わせてください。
別紙明細の記載例
| 内容 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| SE業務(山田)9月分 | 1人月 | 650,000 | 650,000 |
| 超過精算(山田)186h−180h | 6時間 | 3,611 | 21,666 |
| SE業務(鈴木)9月分 | 1人月 | 600,000 | 600,000 |
| 控除精算(鈴木)140h−132h | 8時間 | 4,285 | −34,280 |
| SE業務(田中)9月分 日割り8日/19日 | 1式 | 231,578 | 231,578 |
| 交通費(実費・3名分) | 1式 | 28,600 | 28,600 |
| 小計(10%対象) | 1,497,564 | ||
| 消費税(10%) | 149,756 | ||
| 合計(税込) | 1,647,320 |
超過単価3,611円は650,000円÷180時間、控除単価4,285円は600,000円÷140時間です。田中さんの金額は、550,000円×8日÷19日=231,578円(1円未満切り捨て)です。
控除単価と超過単価の出し方、上下割と中間割の違いは、SESの精算幅を下回ったら?控除の計算方法と有給・固定の扱いで詳しく解説しています。
請求書本体の記載例
本体には、別紙の合計を2〜3行にまとめて書きます。
| 内容 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| システム開発支援 2026年9月分(3名) | 1式 | 1,468,964 | 1,468,964 |
| 交通費(実費) | 1式 | 28,600 | 28,600 |
| 小計(10%対象) | 1,497,564 | ||
| 消費税(10%) | 149,756 | ||
| 請求金額(税込) | 1,647,320 |
本体の備考欄には、次のように書いて別紙とのつながりを示します。
「要員別の内訳は、別紙明細(請求書番号 202609-C015-01、全2ページ)のとおりです。」
「精算は、ご確認済みの2026年9月分稼働報告書にもとづきます。」
「精算条件:140〜180時間、上下割、1円未満切り捨て」
支払期限を「翌月末」とする契約なら、2026年10月31日は土曜日です。前営業日の10月30日(金)とするか、翌営業日とするかは契約の定めに合わせます。
数量と単位の書き方
明細の数量と単位は、その行の金額がどうやって出たかがわかるものを選びます。同じ請求書の中で、同じ種類の行は同じ単位にそろえましょう。
| 行の中身 | 単位 | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 月額の稼働 | 人月 | 1人月 × 650,000 |
| 精算(超過・控除) | 時間(h) | 6時間 × 3,611 |
| 日単価の契約 | 人日・日 | 18人日 × 30,000 |
| 交通費・日割りなど | 式 | 1式 × 28,600 |
「式(一式)」とは
一式とは、いくつかの内容をまとめて1つとして数えるときの単位のことです。交通費の合計や、日割りで計算した金額など、「数量×単価」で表しにくい行に使います。
ただし「1式」は中身が見えない単位です。使うときは、内容の欄に根拠を書きます。「交通費(実費・3名分)」「日割り8日/19日」のように書けば、客先が迷いません。
時間の書き方のコツ
15分単位で精算する契約なら、0.25時間刻みで書く(例:6.25時間)
「h」と「時間」は、どちらかにそろえる
内容の欄に「186h−180h」と式を書くと、稼働報告書とすぐ照らし合わせられる
精算単位(15分・30分など)の決め方と注意点は、SESの精算単位15分・30分の違い|稼働時間の切り捨ては違法?にまとめています。人月・人日の意味は、人日・人月の計算方法|意味・読み方と換算早見表・見積例で確認できます。
明細を別紙にするときの注意点
明細を別紙にするときは、本体と別紙が同じ請求のものだとひと目でわかるようにします。書類がばらばらになっても、つながりが追えることが大切です。
別紙で必ずそろえる3点
請求書番号:本体と別紙の両方に同じ番号を書く(例:202609-C015-01)
ページ番号:「1/2」「2/2」のように、全部で何枚あるかがわかるように書く
合計金額:別紙の合計と、本体の請求金額を必ず一致させる
別紙のタイトルは「請求明細書」または「別紙 請求明細」とします。宛名・対象期間・発行日も、本体と同じものを入れておくと安心です。
インボイスの項目は本体と別紙で満たせばよい
適格請求書(インボイス)とは、登録番号や税率ごとの消費税額など、決められた項目が書かれた請求書のことです。国税庁は、複数の書類を合わせて記載事項を満たすことも認めています。
その条件は、書類どうしの関係がはっきりしていて、取引の内容を正しくつかめることです。国税庁の「インボイスQ&A 問65」では、請求書に納品書の番号を書く方法が例に挙がっています。SESなら、本体と別紙に同じ請求書番号を書くのがわかりやすい方法です。
登録番号・税率・税率ごとの消費税額は、本体に書いておくのが確実です。別紙には要員別の内訳を書き、本体と合わせて記載事項がそろう形にします。
消費税は行ごとに計算しない
消費税の端数処理は、1枚の請求書につき、税率ごとに1回です(国税庁「インボイスQ&A 問57」)。要員の行ごとに消費税を計算して足すと、合計がずれることがあります。別紙では税抜の金額を並べ、最後の小計にだけ消費税をかけましょう。
請求書全体の必須項目は、SESの請求書の書き方とテンプレート|精算の記載例と送付前チェック10で確認できます。
請求書が複数枚になるときの書き方
明細が1枚に入らず複数枚になるときは、合計を1枚目に、内訳を2枚目以降に書きます。客先の経理は1枚目だけ見れば、支払う金額がわかります。
1枚目に、宛名・請求金額・支払期限・振込先・登録番号をまとめる
2枚目以降に、要員別の明細を書く
ページの終わりごとに「小計(次ページへ)」を書き、次のページの頭で受ける
すべてのページに請求書番号とページ番号(1/3など)を書く
最後のページの合計と、1枚目の請求金額が同じかを確かめる
PDFで送るときは、全ページを1つのファイルにまとめます。ファイルを分けると、別紙だけ届かないことがあるためです。
送る前の明細チェックリスト
明細の間違いで多いのは、時間の転記ミス・単価の古いまま・本体と別紙の金額ずれの3つです。送る前に、作った人とは別の人が次の表で確認しましょう。
| チェック項目 | よくあるミス | 確認するもの |
|---|---|---|
| 稼働時間 | 報告書と1時間ずれている | 客先承認済みの稼働報告書 |
| 単価 | 単価改定前のまま | 最新の注文書・覚書 |
| 精算の向き | 控除にマイナスを付け忘れ | 精算幅と実稼働 |
| 日割り | 暦日と営業日を取り違え | 契約書・注文書 |
| 合計 | 本体と別紙の金額が違う | 両方の合計欄 |
| 番号 | 別紙に請求書番号がない | 全ページのヘッダー |
特に超過精算は、書き忘れるとそのまま自社の損になります。送ったあとで誤りに気づいたら、請求書の金額間違いに後から気づいたら|SESの訂正と再発行の例文の例文で客先に連絡します。
客先の現場担当者に明細の確認を頼むメール例文
別紙明細は、経理に送る前に現場の担当者に見てもらうと差し戻しが減ります。
件名:【ご確認】2026年9月分 請求明細(3名分)
株式会社〇〇 開発部 〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
9月分の請求明細(別紙)をお送りします。
・山田:186時間(上限180時間を6時間超過)
・鈴木:132時間(下限140時間に8時間不足)
・田中:9月16日入場のため日割り(8日/19営業日)
時間は、ご承認いただいた稼働報告書と同じです。
10月2日(金)までに問題がなければ、経理部様へ請求書をお送りします。
要員別の明細づくりをラクにする方法
自分で管理するなら、Excelに要員ごとの行を作り、「客先・月額・精算幅・割り方・日割り方法・入場日」を並べます。毎月その表を見ながら明細を作れば、単価の古いままや割り方の取り違えはかなり防げます。
ただ、客先や要員が増えると、条件がメール・注文書・Excelに散らばります。BPの要員は、仕入れ側の条件(BPへ払う単価)も別に持つため、なおさら混ざりやすくなります。工数と精算をまとめる表は、工数管理表の作り方|SESの稼働時間と精算をエクセルで管理するテンプレが参考になります。
チョータツで案件と要員の条件をまとめておく
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。
| 場面 | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 条件を残す | Excelやメールに散らばる | 案件・人材の情報としてまとめられる |
| 提案前に確かめる | 注文書やメールを探す | 案件情報を開いて確認できる |
| 社内で共有する | ファイルを送り合う | チームで同じ情報を共有できる |
| 情報を入れる | 1件ずつ手で書き写す | AIが入力を手伝う |
明細のミスの多くは、提案や契約のときに条件をはっきり残さなかったことから起こります。案件ごとの精算幅や割り方を残しておけば、提案前にも月末にも、同じ情報を見て確認できます。
よくある質問
- Q. 請求書と明細書の違いは何ですか?
- 請求書は、請求金額・支払期限・振込先を伝える書類です。明細書は、その金額の内訳を1行ずつ示す書類です。SESでは、明細書に要員別の月額と精算を書きます。
- Q. 請求書の明細は別紙にしてもいいですか?
- はい、別紙にして構いません。本体と別紙に同じ請求書番号とページ番号を書き、合計金額を一致させます。インボイスの項目は、本体と別紙を合わせて満たせば認められます。
- Q. 請求書の数量の単位は何を使えばいいですか?
- SESでは、月額の行は「人月」、精算の行は「時間」、交通費や日割りのまとめは「式」を使うのが一般的です。同じ種類の行は、請求書の中で単位をそろえます。
- Q. 請求書の単位「式」とはどういう意味ですか?
- 「式(一式)」は、いくつかの内容をまとめて1つとして数える単位です。中身が見えにくいので、内容の欄に「交通費(実費・3名分)」のように根拠を書きます。
- Q. 請求書が複数枚になるときはどう書きますか?
- 1枚目に合計・支払期限・振込先をまとめ、2枚目以降に明細を書きます。全ページに請求書番号と「1/3」のようなページ番号を入れ、PDFは1ファイルにまとめます。
- Q. 複数の要員の精算を1行にまとめてもいいですか?
- おすすめしません。誰の分がいくらか客先が確認できず、問い合わせが増えます。要員1人ごとに超過・控除の行を分けて書きましょう。
まとめ
請求書は「いくら払ってほしいか」、明細書は「なぜその金額か」を伝える書類
1社に3名以上出しているなら、本体は合計だけにし、要員別の内訳は別紙にする
明細は要員ごとに月額の行と精算の行を分け、「186h−180h」のように式を書く
単位は、月額は「人月」、精算は「時間」、まとめは「式」と使い分ける
別紙には、本体と同じ請求書番号・ページ番号を書き、合計を一致させる
消費税は行ごとに計算せず、税率ごとに1回だけ計算する
要員ごとの単価・精算幅・日割り方法を1か所にまとめておくと、月末のミスが減る
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
国税庁「インボイス制度について」(適格請求書の記載事項)
国税庁「同Q&A 問65 一定期間の取引をまとめた請求書の交付」(複数の書類で記載事項を満たす方法)
国税庁「同Q&A 問57 適格請求書に記載する消費税額等の端数処理」(1枚の請求書につき税率ごとに1回)
内閣府「国民の祝日について」(2026年9月の祝日・休日)