請求書の金額間違いに後から気づいたら|SESの過大・過少請求の訂正と再発行、インボイスの直し方とお詫びメール例文

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

請求書の金額間違いに気づいたら、最初にやること

最初にやることは、客先の支払い処理が済んだかを確かめ、当日中にお詫びと訂正の予定を伝えることです。直し方は、支払い前か後かで変わります。

SESでは、1か月分の業務委託料を月末にまとめて請求する会社が多いです。客先の経理は、請求書が届いてから支払いの準備を始めます。気づくのが早ければ、再発行だけで済みます。

気づいた直後にやることを順に並べると、次のとおりです。

  1. 誤りの中身を1行で書き出す(例:「10月分の〇〇さんの稼働時間を172時間→182時間と誤記」)

  2. 正しい金額を計算し直す(稼働報告書・注文書・精算条件で確認)

  3. 客先の経理担当に電話かメールで連絡し、支払い処理が済んだかを聞く

  4. 直し方を決める(再発行/返金/次回で差し引き/差額の追加請求)

  5. 同じ数字を使ったBPへの支払いや社内の売上データも直す

連絡は、正しい金額がわかってからにします。わからないまま連絡すると、2回目の訂正が起き、信用をさらに失います。

間違いの種類ごとの直し方(早見表)

直し方は、「多く請求したか、少なく請求したか」と「支払い前か後か」の組み合わせで決まります。

状況支払い前支払い後
過大請求(多すぎた)元の請求書を取り消し、正しい請求書を再発行差額を返金するか、客先の了承を得て次回請求で差し引く
過少請求(少なすぎた)元の請求書を取り消し、正しい請求書を再発行差額だけの請求書を追加で出す
宛名・日付・登録番号だけの誤り正しい請求書を再発行修正した請求書を送る(金額の動きはなし)

過大請求とは、本来の金額より多く請求してしまうことです。過少請求とは、本来の金額より少なく請求してしまうことです。

過大請求で多く受け取ったお金は、返さなければなりません。法律上の理由なく他人の財産で得た利益は返す義務があるためです(民法第703条)。

過少請求の差額は、あとから請求できます。代金を請求する権利は、請求できると知った時から5年で時効になります(民法第166条第1項)。ただし、何か月もたってからの請求は客先の決算に響くため、気づいた月のうちに出すのが基本です。

過大請求に気づいたときの対応

過大請求は、気づいた側から先に知らせるのが鉄則です。客先に先に見つけられると、「ほかの月も多く取られていないか」と疑われます。

支払い前なら:取り消して再発行する

支払い前なら、元の請求書を取り消し、正しい金額の請求書を新しく発行します。再発行するときは、次の3点を入れます。

  • 請求書番号は新しい番号にし、備考に「〇年〇月〇日付 請求書No.〇〇の訂正版」と書く

  • タイトルか備考に「訂正」「再発行」とわかる文字を入れる

  • 客先には元の請求書を破棄してもらうよう、メールで依頼する

紙の請求書に二重線と訂正印で直す方法もあります。ただ、PDFで送ることが多いSESでは、作り直して再発行するほうが間違いが起きにくいです。

支払い後なら:返金か、次回請求で差し引く

支払い後なら、差額の返し方を客先に選んでもらいます。

返し方向いている場面注意点
差額を振り込んで返金契約が今月で終わる/金額が大きい振込手数料は自社で負担するのが一般的
次回の請求で差し引く契約が続いていて、毎月請求がある客先の了承を先にもらう。品目を分けて書く

次回の請求で差し引くときは、請求書に別の行を作り、「〇月分 過大請求の差額」としてマイナスで書きます。書き方は請求書の値引きの書き方|SESの出精値引き・控除の記載例の「控除」と同じ形です。

過少請求に気づいたときの対応

過少請求は、差額を請求できますが、お詫びを添えて早めに出すことが大切です。

支払い後に気づいた場合、元の請求書は取り消さず、差額だけの請求書を追加で出す会社が多いです。客先の経理がすでに支払いを記帳しているので、全額の再発行より処理しやすいからです。

差額の請求書には、次の項目を入れます。

  • 品目:「〇年〇月分 業務委託料(〇〇様)追加精算分」

  • 元の請求書の日付と番号

  • 差額の計算式(例:「超過10時間×4,000円=40,000円」)

  • 支払期日(客先の通常の支払いサイトに合わせる)

SESで過少請求が起きやすいのは、精算幅の超過分の請求漏れです。精算幅とは、月の稼働時間の上限と下限(例:140〜180時間)のことです。上限を超えた時間分の超過精算を、請求書に入れ忘れる例がよくあります。超過精算の伝え方は見積書と請求書の金額が違う?SESで超過精算を請求する時の伝え方でくわしく解説しています。

インボイス制度での修正のしかた

インボイスを出している会社は、誤りに気づいたら修正した適格請求書を交付しなければなりません(消費税法第57条の4第4項)。PDFなどデータで送った場合も同じです(同条第5項)。

適格請求書(インボイス)とは、登録番号・税率ごとの消費税額などを書いた、消費税の仕入税額控除に使える請求書のことです。仕入税額控除とは、受け取った側が、支払った消費税分を自分の納める消費税から差し引く仕組みのことです。

国税庁のQ&A(問33)では、修正の方法として次の2つが示されています。

方法やり方SESでの使いどころ
① 全部を書き直す誤りを直し、記載事項をすべて書いた請求書を交付する支払い前の再発行
② 直した所だけ示す元の請求書との関係がわかるようにして、修正した事項を書いた書類を交付する支払い後の差額の請求・返金

買い手が直す方法もあります。国税庁のQ&A(問32)では、買い手が仕入明細書などで誤りを直し、売り手が確認した場合を示しています。この場合、売り手は修正インボイスを改めて出さなくてよいとされています。客先が「こちらで直します」と言ってきたときは、この方法かを確かめます。

修正した請求書を出した側は、元の請求書の写しと修正した請求書の写しを両方保存します(国税庁Q&A問33)。メールやPDFでやりとりした請求書は、電子帳簿保存法第7条により、データのまま保存する必要があります。

BPへの支払いにも誤りがないか確かめる

客先への請求を間違えたら、同じ数字を使ったBPへの支払いにも誤りがないかを必ず確かめます。SESでは、客先への請求とBPへの支払いが同じ稼働報告書から作られるからです。

BPとは、ビジネスパートナーの略で、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。使い方はITのBPとは?「BPさん」の意味とSES営業での使い方・注意点で解説しています。

確かめたいのは、次の4点です。

  1. BPから届いた請求書の稼働時間が、客先に出した稼働報告書と同じか

  2. 客先向けとBP向けで、精算幅と精算単位(15分・30分など)が同じか

  3. 客先への請求を直した結果、BPへの支払額も変わるか

  4. BPのインボイスの登録番号・税率が正しいか

BPの請求書に誤りがあれば、BPに修正した請求書を出してもらいます。自社の判断だけで差し引いて払わないようにします。取適法の対象取引では、中小受託事業者の責任がないのに代金を減らすことが禁止されているためです(取適法第5条第1項第3号)。

取適法とは、発注側の会社が受注側の中小企業に不当な扱いをしないよう定めた法律のことです(2026年1月1日施行。下請法を改正したもの)。取適法の支払期日は、役務の提供を受けた日から60日以内です(取適法第3条)。請求書の訂正を待っている間も期日は動かないので、BPには早めに連絡します。支払期日の数え方は取適法の支払期日60日とSESの支払サイト|計算例と手形禁止で確認してください。

そのまま使えるお詫び・訂正のメール例文

メールには、「何を」「いくら」「どう直すか」「いつまでに」の4つを必ず入れます。言い訳や長いお詫びより、事実と対応を短く書くほうが信頼されます。

例文1:過大請求(支払い前)の再発行

件名:【訂正】10月分請求書(No.2026-1015)の金額誤りについて

〇〇株式会社 経理ご担当 〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
10月31日にお送りした10月分の請求書に、金額の誤りがありました。大変申し訳ございません。

・誤り:〇〇様の稼働時間を182時間と記載(正しくは172時間)
・金額:誤 770,000円 → 正 726,000円(税込)
・対応:訂正版の請求書(No.2026-1015-R)を添付いたします

お手数ですが、先にお送りした請求書は破棄していただけますでしょうか。
今後は送付前に、稼働報告書との照合を2名で行います。

例文2:過大請求(支払い後)の返金・差し引きの相談

件名:9月分ご請求の過大分のご返金について

〇〇様

9月分の請求書で、精算の計算を誤り、33,000円(税込)多くご請求しておりました。すでにお支払いいただいており、誠に申し訳ございません。

差額のお返しは、次のどちらかでご対応いたします。ご都合のよい方をお知らせください。

  1. 11月7日までに、ご指定の口座へお振り込み

  2. 10月分のご請求から差し引き(品目を分けて記載します)

差額の内訳を示した書類を添付しております。

例文3:過少請求の差額の追加請求

件名:9月分 超過精算の追加ご請求のお願い

〇〇様

9月分の請求書で、精算幅(140〜180時間)を超えた10時間分の超過精算を入れ忘れておりました。私どもの確認不足で、大変申し訳ございません。

・追加分:10時間 × 4,000円 = 40,000円(税抜)
・根拠:9月分稼働報告書(〇〇様承認済み)
・請求書:差額分の請求書(No.2026-0930-A)を添付いたします

お支払いは、通常どおり11月末日でお願いできますでしょうか。

請求書送付メールの基本の形は請求書の送付状の書き方|SESの送付メール例文と場面別文例も参考にしてください。

金額間違いを防ぐ送付前チェック表

金額の間違いは、送る前に「数字の出どころ」と照らし合わせることでほとんど防げます。編集部では、次の8項目を送付前に2人で確認するルールをおすすめします。

#確認すること照らし合わせる書類
1単価が最新か(更新月に変わっていないか)注文書・個別契約書
2稼働時間が承認済みの数字か客先承認済みの稼働報告書
3精算幅の上限・下限が正しいか注文書の精算条件
4超過・控除の単価と端数処理が正しいか注文書の精算条件
5途中入場・途中退場の日割りをしたか入場日・退場日の記録
6交通費などの実費が別の行になっているか契約の交通費条件・領収書
7消費税の計算と登録番号が正しいか自社のインボイス登録情報
8宛名・請求先の部署・日付が正しいか客先の請求書送付先の指定

請求書の必須項目はSESの請求書の書き方とテンプレート|精算の記載例と送付前チェック10にまとめています。

チョータツで、請求のもとになる情報をそろえる

自分でミスを減らす基本は、単価・精算条件・稼働報告書を1つの表にまとめることです。請求書は、その表からだけ作ります。担当者ごとに別のExcelがあると、どれが最新の単価かわからなくなります。

それでも、案件と人材が増えると表の数も増えます。営業が案件の条件を覚えていて、事務が別の表で請求を作る形だと、転記ミスはなくなりません。

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が利用し、無料で始められます。

やること自分でやる場合チョータツを使う場合
案件の条件を共有する営業がExcelやメールで事務に伝える案件・人材の情報を1か所で管理・共有できる
情報を入力する案件メールを読んで手で写すAIが入力を手伝う
BPとやりとりする個別にメールを送るパートナーへのメール配信機能がある

請求書そのものを作る機能ではありません。請求のもとになる「どの人が、どの案件に、どの条件で入っているか」を全員が同じ情報で見られるようにするのが役割です。

よくある質問

Q. 請求書の金額間違いは、再発行と訂正印のどちらで直すべきですか?
PDFで送ったなら、再発行が基本です。新しい請求書番号をつけ、備考に元の請求書の番号と「訂正版」と書きます。紙の場合も、再発行のほうが客先の確認が楽です。
Q. 過大請求に客先が気づいていない場合も、知らせる必要がありますか?
知らせる必要があります。多く受け取ったお金は返す義務があります(民法第703条)。あとで見つかると、ほかの月の請求まで疑われます。
Q. 過少請求の差額は、何か月前の分まで請求できますか?
法律上は、請求できると知った時から5年で時効になります(民法第166条第1項)。ただ、客先の決算をまたぐと処理が難しくなるため、気づいた月のうちに請求するのが現実的です。
Q. インボイスの登録番号を書き間違えたら、どうすればいいですか?
修正した適格請求書を交付します(消費税法第57条の4第4項)。全部を書き直すか、元の請求書との関係を示して直した所だけを書いた書類を出します。
Q. BPの請求書が間違っていたら、正しい金額に直して払ってもいいですか?
自社の判断だけで差し引いて払わず、BPに修正した請求書を出してもらいます。取適法の対象取引では、相手の責任がないのに代金を減らすことは禁止です(取適法第5条第1項第3号)。

まとめ

  • 気づいたら、正しい金額を計算し直してから、客先の経理に支払い状況を確かめて連絡する

  • 支払い前は取り消して再発行、支払い後は返金・次回で差し引き・差額の追加請求で直す

  • インボイスの誤りは修正した適格請求書を交付し、元の請求書と修正版を両方保存する

  • 客先への請求を直したら、BPへの支払いに同じ誤りがないかを確かめる

  • 送付前に8項目のチェック表で「数字の出どころ」と照らし合わせる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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