請求書の自動化|SES企業の月末請求をラクにする方法と、請求書ソフト・電子化サービス比較5選

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

請求書の自動化とは?SES企業では何を自動にするのか

請求書の自動化とは、請求書を作る・送る・受け取る・確認する作業を、ソフトやルールで手作業から減らすことです。 SES企業では、請求書を作る前の「稼働時間の回収」と「精算の計算」まで含めて考えるのがポイントです。

一般の会社なら、毎月同じ金額の請求書を送るだけで済むことがあります。しかしSESでは、エンジニアの稼働時間で毎月の金額が変わります。そのため、請求書ソフトだけを入れても、月末の忙しさはあまり減りません。

SES企業の月末作業は、次の4工程に分かれます。

工程やることよくあるミス
1. 稼働時間の回収エンジニアから稼働報告書を集める提出の遅れ、客先の承認漏れ
2. 精算の計算精算幅と比べて控除・超過を出す割り方や単価の取り違え
3. 請求書の発行客先へ請求書を作って送る宛先違い、送り忘れ
4. BP請求書の受け取りBPからの請求書を確認して支払う金額の食い違い、支払い漏れ

精算幅とは、月の稼働時間の下限と上限のことです。 たとえば「140〜180時間」なら、140時間を下回ると減額、180時間を超えると増額になります。

用語:SESの精算幅を下回ったら?控除の計算方法と有給・固定の扱い

手作業のままだと月末に何が起きるか

手作業の請求では、同じ数字を3回以上書き写すため、転記ミスと確認の時間が増えます。 稼働報告書から精算表へ、精算表から請求書へ、さらに会計ソフトへと数字を移すからです。

営業事務の月末は、たとえば次のような流れになりがちです。

  1. エンジニアにメールやチャットで稼働報告書の提出をお願いする

  2. 届いた報告書の時間を、Excelの精算表に書き写す

  3. 案件ごとの精算幅と単価を、契約書や注文書から探して確かめる

  4. 控除・超過の金額を計算し、請求書のひな形に書き写す

  5. PDFにしてメールで送り、送ったことを一覧に記録する

  6. BPから届いた請求書と、自社の精算表を1社ずつ見比べる

このうち3番の「条件を探す」作業は、ソフトでは自動化しにくい部分です。精算幅・割り方・支払いサイトが、契約書やメールに散らばっているためです。

支払いサイトとは、締め日から入金日までの期間のことです。 「月末締め翌月末払い」なら、約30日になります。

月末請求を自動化する4ステップ(自分でやる方法)

自動化は「稼働時間の回収」から順に進め、最後に請求書ソフトを入れるのがおすすめです。前の工程の数字が正しくないと、請求書を自動で作っても誤った請求書が早く出るだけだからです。

ステップ1:稼働時間の回収をフォームにする

稼働報告書は、提出期限と提出方法を決めて、全員同じ形で集めます。 メールの添付をやめて、共有フォームや勤怠のクラウドサービスに入力してもらうと、書き写しが減ります。

  • 提出期限は「締め日の翌営業日の正午」のように、日時まで決める

  • 客先の承認が必要な案件は、承認済みの報告書だけを受け付ける

  • 期限の前日と当日に、自動のリマインドを送る

→ 報告書が期限までに届かないこともあります。催促の仕方は、SESの稼働報告書が遅れる・出ないときの対応|請求を間に合わせる手順を参考にしてください。

ステップ2:精算の計算を1つの表にまとめる

精算の計算は、案件ごとの条件と、その月の稼働時間を1つの表に並べると自動になります。Excelなら、条件の列を用意しておけば式で計算できます。

列入れる内容例
案件の条件単価・精算幅・割り方・精算単位70万円、140〜180h、上下割、15分
その月の稼働回収した稼働時間186時間
計算結果控除額または超過額+23,280円
請求額単価+超過−控除723,280円(税抜)

上下割とは、下限の時間で割って控除単価を、上限の時間で割って超過単価を出す方法のことです。 割り方は契約で決まるので、案件ごとに必ず記録します。

→ 表の作り方は工数管理表の作り方|SESの稼働時間と精算をエクセルで管理するテンプレで詳しく解説しています。

ステップ3:請求書ソフトで発行と送付を自動にする

請求書の発行は、請求書ソフトの「定期請求」と「メール送付」で自動化できます。定期請求とは、毎月同じ取引先への請求書を、決まった日に自動で作る機能のことです。

SESでは金額が毎月変わるため、次の使い方が現実的です。

  1. 取引先・品目(案件名とエンジニア名)・支払期限を、定期請求に登録しておく

  2. 月末にステップ2の請求額だけを差し替える

  3. ソフトからPDFをメールで送り、送付済みの記録を自動で残す

多くの請求書ソフトは、CSVファイルの取り込みにも対応しています。精算表からCSVを出して取り込めば、差し替えの手間も減ります。

ステップ4:BPの請求書を「照合」で確認する

BPからの請求書は、自社の精算表と金額が一致するかだけを見る仕組みにします。自社側で同じ稼働時間から仕入額を計算しておけば、突き合わせは数字の比較だけで済みます。

  • BPには、請求書をPDFで送る宛先のメールアドレスを1つに決めて伝える

  • 受け取った請求書は、日付・金額・取引先がわかるファイル名で保存する

  • 食い違いがあれば、支払い前に稼働時間と精算条件を確認する

数字で見る:1人分の月末請求の計算例

同じ稼働時間から、客先への請求額とBPへの支払額の両方を出すと、ミスに気づきやすくなります。ここでは2026年10月分の例で計算します。

条件

  • エンジニア:BPの要員1名、2026年10月の稼働は186時間

  • 客先との契約:単価70万円、精算幅140〜180時間、上下割、10円未満切り捨て

  • BPとの契約:単価60万円、精算幅140〜180時間、上下割、10円未満切り捨て

客先への請求(売上)

  1. 超過単価:700,000円 ÷ 180時間 = 3,888円 → 3,880円

  2. 超過額:3,880円 × 6時間 = 23,280円

  3. 請求額:700,000円 + 23,280円 = 723,280円(税抜)

BPへの支払い(仕入)

  1. 超過単価:600,000円 ÷ 180時間 = 3,333円 → 3,330円

  2. 超過額:3,330円 × 6時間 = 19,980円

  3. 支払額:600,000円 + 19,980円 = 619,980円(税抜)

この月の粗利は、723,280円 − 619,980円 = 103,300円です。BPから届いた請求書が619,980円でなければ、稼働時間か条件のどちらかが食い違っています。

端数の処理(切り捨て・四捨五入)は、契約によって違います。精算幅や割り方と同じく、案件の条件として記録しておきましょう。

2026年10月分のスケジュール例(月末締め翌月末払い)

日付やること
10月31日(土)締め日
11月2日(月)正午稼働報告書の提出期限
11月4日(水)精算の計算と確認(11月3日は祝日)
11月5日(木)客先へ請求書を送付、BPの請求書を受付
11月30日(月)客先からの入金予定日、BPへの支払日

入金と支払いが同じ日になる場合は、資金の流れにも注意が必要です。対策はSESの黒字倒産を防ぐ資金繰り|支払いサイトの差と対策6つで解説しています。

請求書ソフト比較5選|SES企業の選び方

SES企業の請求書ソフト選びでは、「定期請求」「CSVの取り込み」「会計連携」「受け取りの電子化」の4つを見ます。 見積書と請求書を同じソフトで作れると、見積から請求までの金額の食い違いも防げます。

ソフト(運営会社)主な役割SESで使いやすい点無料で試せるか
マネーフォワード クラウド請求書(株式会社マネーフォワード)発行定期請求、郵送代行、入金などの状況管理1か月の無料トライアルあり
freee請求書(フリー株式会社)発行定期請求、CSV連携、入金消込の自動化無料で請求書を作れる
Misoca(弥生株式会社)発行見積書・請求書の作成、会計ソフトとの連携無料プランあり(請求書は月10通まで)
楽楽明細(株式会社ラクス)大量の発行請求書などの自動発行、メール・郵送の使い分け公式サイトで確認
Bill One(Sansan株式会社)受け取り届いた請求書をオンラインで受け取り、データ化公式サイトで確認

※ 2026年9月29〜30日に各社の公式サイトで機能を確認しました。料金や機能は変わることがあるので、申し込む前に公式サイトで最新の情報を確認してください。

会社の規模で選ぶ目安

請求先の数(月)おすすめの組み合わせ理由
10社以下Excelの精算表+無料の請求書ソフト費用をかけずに送付まで自動にできる
11〜50社精算表+有料の請求書ソフト+会計連携入金の確認と仕訳の手間が大きくなる
50社超発行専用+受け取り専用サービスBPからの請求書の確認が大きな負担になる

どの規模でも、ソフトに入れる前の精算条件の管理が土台です。条件が散らばったままだと、どのソフトを入れても月末の確認は減りません。

→ 契約・請求・案件をまとめて管理したい場合は、SES管理システムおすすめ比較|契約・請求・案件管理の選び方も参考にしてください。

請求書の電子化で押さえる2つのルール

請求書を電子化するときは、「適格請求書の記載事項」と「電子帳簿保存法の保存ルール」の2つを守ります。 どちらも、ほとんどの請求書ソフトが対応しています。

適格請求書(インボイス)とは、消費税の仕入税額控除に必要な、決められた6項目を書いた請求書のことです。 国税庁は、次の6項目を挙げています。

  1. 交付を受ける相手の氏名または名称

  2. 発行する事業者の氏名または名称と登録番号

  3. 取引年月日

  4. 取引の内容

  5. 税率ごとに分けた合計額と、適用税率

  6. 税率ごとに分けた消費税額等

電子帳簿保存法とは、帳簿や請求書などを電子データで保存するときのルールを決めた法律のことです。 2024年1月からは、メールやクラウドで受け取った請求書を、原則として紙に印刷せず電子データのまま保存する必要があります。

保存のルール中身SES企業での対応例
改ざんの防止事務処理規程・タイムスタンプ・履歴が残るシステムのどれか対応したソフトを使うか、社内規程を作る
検索できること日付・金額・取引先で探せるファイル名を「20261105_619980_〇〇社」にする
見られること画面やプリンタで表示できるPDFをすぐ開ける場所に保存する

国税庁のパンフレットでは、基準期間の売上高が5,000万円以下なら、条件付きで検索のルールが不要になると説明されています。自社が当てはまるかは、税理士に確認しましょう。

デジタルインボイスとは、請求書の内容を、ソフト同士がそのまま読み取れるデータでやりとりする仕組みのことです。 日本の標準仕様は「JP PINT」で、国際規格のPeppol(ペポル)をもとにデジタル庁が管理しています。

電子化するときは客先・BPへ1か月前までに案内する

請求書ソフトで電子送付に切り替えるときは、切り替えの1か月前までに、客先とBPへ別々に案内します。 客先には「いつの請求分からPDFで送るか・送信元・紙が必要なときの連絡先」、BPには「送付先・ファイル名のルール・提出期限」を伝えます。

BPにファイル名のルール(例:年月日_金額_貴社名.pdf)を決めてもらうと、保存時の「日付・金額・取引先で探せる」状態を、受け取った時点でつくれます。そのまま使える顧客向け・BP向け・フリーランス向けの案内文は、請求書電子化の案内文例|SES企業の切替5手順と電帳法の保存にまとめています。

チョータツで精算条件を案件情報として一元管理する

月末の請求ミスを減らす近道は、精算幅・割り方・単価などの条件を、提案の時点から案件の情報として1か所に残すことです。 請求書ソフトは「作る・送る」を自動にしますが、「正しい条件を探す」作業は残るからです。

自分で管理する場合は、Excelの案件一覧に条件の列を足します。ただ、営業が案件を取るときの情報と、事務が月末に使う情報が別々のファイルになりやすく、ずれが起きます。

チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
案件の条件を残す契約書・メール・Excelに散らばる案件の情報としてまとめて管理できる
営業と事務で共有するファイルを送り合うチームで同じ情報を共有できる
情報を入れる1件ずつ手で書き写すAIが入力を手伝う
案件メールを整理する1通ずつ目で仕分けるチョータツメールAIが案件メールと人材メールに切り分ける

チョータツは請求書を発行するツールではありません。「条件はチョータツ、発行は請求書ソフト」と役割を分けましょう。月末に条件を探す時間を減らせます。

なお、チョータツメールAIは、案件・人材以外のメールはデータに残しません。請求書のメールは、受け取り用の宛先や受け取りサービスで管理しましょう。

請求を自動化する前のチェックリスト10項目

自動化の前に、次の10項目がそろっているかを確認します。 1つでも欠けていると、自動で作った請求書を手で直すことになります。

#確認すること見るポイント
1案件ごとの単価客先向けとBP向けの両方がある
2精算幅下限・上限の時間が数字で決まっている
3割り方上下割か中間割か、固定か
4精算単位と端数処理15分・30分、切り捨てか四捨五入か
5締め日と支払いサイト客先とBPで違いがないか
6交通費などの実費別に請求するか、単価に含むか
7稼働報告書の提出期限エンジニアとBPに伝わっている
8請求書の送付先客先の経理担当のメールアドレス
9登録番号自社とBPの適格請求書発行事業者の番号
10保存のルールファイル名と保存場所が決まっている

9番の登録番号は、BPが免税事業者かどうかの確認です。免税事業者からの仕入れで控除できる消費税の割合は、2026年10月1日から70%(それまでは80%)に下がります。支払額や単価の見直しが必要か、税理士と確認しておきましょう。

特に5番の締め日と支払いサイトは大切です。BPがフリーランス(従業員を使わない個人など)の場合は、フリーランス法第4条がかかります。従業員を使う(または役員が2人以上いる)SES企業は、報酬の支払期日を役務の提供を受けた日から60日以内に定める必要があります。客先の支払いサイトが長くても、BPへの支払いは遅らせられません。

請求の自動化でやってはいけないこと

自動化で一番避けたいのは、確認の工程までなくしてしまうことです。 次の3つは、自動化したあとによく起きる失敗です。

  • 稼働報告書が届く前に請求書を作る:前月と同じ時間で作り、あとで差し替えを忘れる

  • 精算条件をソフトの中だけに書く:営業が条件を変えても、事務に伝わらない

  • BPの請求書をそのまま支払う:自社の精算表と照合しないため、食い違いに気づけない

自動化は「人が確認する場所」を減らすのではなく、確認する場所を1か所に集めることです。最後に金額を見る担当者は、必ず決めておきましょう。

金額を間違えて送ってしまったときは、請求書の金額間違いに後から気づいたら|SESの訂正と再発行の手順で直します。

よくある質問

Q. 請求書を自動で作れる無料のソフトはありますか?
あります。2026年9月時点で、Misocaは無料プランで請求書を月10通まで作れます。freee請求書も無料で請求書を作れます。まずは無料で試し、請求先が増えたら有料プランを検討しましょう。
Q. 見積書と請求書は同じソフトで作れますか?
作れます。2026年9月時点で、3つのソフトは見積書と請求書の両方を作れます。マネーフォワード クラウド請求書・freee請求書・Misocaです。同じソフトで作ると、見積と請求の金額や宛名の食い違いを防げます。
Q. SESの請求書は、なぜ完全に自動にできないのですか?
毎月の稼働時間で金額が変わるからです。稼働時間の回収と精算の計算を仕組みにすれば、請求書の作成と送付は定期請求で自動にできます。
Q. 請求書の電子化の案内は、いつ送ればいいですか?
切り替えの1か月前までが目安です。客先の経理で支払いの手順を変えることがあるため、開始月・送信元・問い合わせ先を書いて早めに送りましょう。
Q. 請求書の電子化サービスには、どんな種類がありますか?
大きく「発行するサービス」と「受け取るサービス」の2種類です。SES企業は客先へ発行し、BPから受け取るので、両方の負担を見て選びます。
Q. 電子で受け取った請求書は、印刷して保存すればいいですか?
いいえ。2024年1月からは、原則として電子データのまま保存する必要があります。日付・金額・取引先で探せるように、ファイル名や保存場所のルールを決めましょう。

まとめ

  • SES企業の請求書の自動化は、稼働時間の回収→精算の計算→請求書の発行→BP請求書の受け取りの4工程で考える

  • 自動化は前の工程から進める。精算の条件がそろっていないと、誤った請求書が早く出るだけ

  • 同じ稼働時間から売上と仕入を両方計算すると、BPの請求書との照合が数字の比較だけで済む

  • 請求書ソフトは「定期請求・CSV取り込み・会計連携・受け取りの電子化」の4つで選ぶ

  • 電子化は、客先・BPへ1か月前までに案内し、適格請求書の6項目と電子データの保存ルールを守る

  • 精算条件はチョータツで案件の情報として残し、発行は請求書ソフトに任せると役割がはっきりする

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言・税務助言ではありません。具体的な判断は弁護士・税理士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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