請求書の消費税の書き方|税込・税抜と端数処理のSES計算例、BPとずれる原因5つ
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
請求書の消費税は税込・税抜のどちらで書く?
会社どうしの請求書は、税込でも税抜でも書けます。 税込表示を義務づける「総額表示」は、消費者向けの値札や広告が対象だからです。
総額表示とは、消費者に前もって見せる価格を、消費税を含めた金額で表示するルールのことです。国税庁は、この義務の対象を「事業者が消費者に対してあらかじめ表示する価格」と説明しています。SES企業どうしの請求書は、消費者向けの表示ではありません。
ただし、書き方が自由でも、インボイスとして必要な項目はそろえます。
| 書き方 | 請求書の見え方 | SESでの使われ方 |
|---|---|---|
| 税抜で書く | 小計(税抜)+消費税=請求額(税込) | 一般的。人月単価が税抜で決まるため |
| 税込で書く | 各行を税込で書き、うち消費税を示す | 少ない。交通費などで使うことがある |
| 混ぜて書く | 税抜の行と税込の行が並ぶ | 計算がずれやすい。できれば避ける |
SESの単価(人月単価)は、税抜で提示するのが一般的です。そのため、請求書も税抜の行を並べ、最後に消費税を足す形が自然です。
「請求書の税金」は消費税のこと?
SES企業どうしの請求書で出てくる税金は、ほぼ消費税だけです。 ただし、個人のフリーランスに払う場合は、業務の中身によって源泉徴収が関係することがあります。
源泉徴収とは、支払う側が報酬から所得税を差し引いて、国に納める仕組みのことです。エンジニアへの支払いで要るかどうかは、エンジニアへの業務委託と源泉徴収|不要な場合と消費税の計算例で解説しています。
インボイスの消費税は「1枚につき税率ごとに1回」だけ端数処理する
インボイスでは、消費税の端数処理は1枚の請求書につき、税率ごとに1回だけです。 国税庁は、商品ごと(SESなら要員ごと)に消費税を計算して合計する方法を認めていません。
端数処理とは、計算で出た1円未満の金額を、切り捨て・切り上げ・四捨五入でまとめることです。国税庁は、どの方法で処理するかは「任意」としています。
適格請求書(インボイス)とは、売り手が買い手に、正しい税率と消費税額を伝えるための請求書のことです。登録番号を持つ事業者だけが出せます。受け取った客先は、この請求書があると、払った消費税を自社の納税額から差し引けます(仕入税額控除)。
適格請求書に書く6つの項目
| # | 項目 | SESの請求書での例 |
|---|---|---|
| 1 | 発行者の名前と登録番号 | 株式会社〇〇 T1234567890123 |
| 2 | 取引の年月日 | 2026年9月1日〜9月30日分 |
| 3 | 取引の内容 | SES業務(〇〇案件)山田・佐藤 |
| 4 | 税率ごとの合計額と適用税率 | 10%対象 1,206,827円 |
| 5 | 税率ごとの消費税額 | 消費税(10%) 120,682円 |
| 6 | 受け取る会社の名前 | 株式会社△△ 御中 |
4の「合計額」は、税抜・税込のどちらで書いてもよいとされています。SESの取引は、ほとんどが消費税10%です。「10%対象の合計」と「消費税額」を1つずつ書けば足ります。項目全体の並べ方は、SESの請求書の書き方とテンプレート|精算の記載例と送付前チェック10で紹介しています。
要員ごとに計算すると1円ずれる例
要員ごとに消費税を計算して足すと、合計で1円ほどずれることがあります。3人の要員が、それぞれ税抜333,335円の場合で比べます。
| 計算のしかた | 消費税の出し方 | 消費税額 |
|---|---|---|
| 正しい:合計で1回 | 1,000,005円×10%=100,000.5円→切り捨て | 100,000円 |
| 誤り:要員ごと | 33,333.5円→33,333円を3人分足す | 99,999円 |
たった1円でも、客先の経理から「インボイスの計算が違う」と差し戻されることがあります。Excelなら、消費税のセルは合計の1か所だけに式を入れましょう。
精算額と交通費が混ざるSESの請求書の計算例
SESの請求書は、月額単価・精算の超過や控除・交通費を税抜の行で並べ、合計に1回だけ10%をかけます。 交通費を税込の実費で受け取る約束なら、税抜に直してから合計に入れます。
2026年9月分の請求書で、2つの書き方を比べます。条件は次のとおりです。
山田さん:月額650,000円(税抜)、精算幅140〜180時間、稼働185時間、上下割
佐藤さん:月額550,000円(税抜)、精算幅140〜180時間、稼働134時間、上下割
交通費:山田さんの通勤定期代12,340円(支払った金額。消費税込み)
消費税の端数:1円未満切り捨て
超過単価は650,000円÷180時間=3,611円です。控除単価は550,000円÷140時間=3,928円です(どちらも1円未満切り捨て)。精算の計算の考え方は、SESの精算幅を下回ったら?控除の計算方法と有給・固定の扱いで詳しく解説しています。
書き方A:交通費も税抜の行として10%をかける
| 内容 | 計算 | 金額(税抜) |
|---|---|---|
| 山田 月額単価 | ― | 650,000円 |
| 山田 超過精算 | 5時間×3,611円 | 18,055円 |
| 佐藤 月額単価 | ― | 550,000円 |
| 佐藤 控除精算 | 6時間×3,928円 | −23,568円 |
| 山田 交通費 | 定期代の実費 | 12,340円 |
| 小計(10%対象) | ― | 1,206,827円 |
| 消費税(10%) | 120,682.7円→切り捨て | 120,682円 |
| 請求金額(税込) | ― | 1,327,509円 |
書き方B:交通費は「税込の実費」として受け取る
交通費を「払った金額(税込)のまま受け取る」約束なら、税抜に直してから10%対象の合計に入れます。12,340円×100/110=11,218.18円なので、11,218円(切り捨て)とします。
| 内容 | 計算 | 金額(税抜) |
|---|---|---|
| 人件費の行の合計 | 650,000+18,055+550,000−23,568 | 1,194,487円 |
| 山田 交通費 | 12,340円×100/110 | 11,218円 |
| 小計(10%対象) | ― | 1,205,705円 |
| 消費税(10%) | 120,570.5円→切り捨て | 120,570円 |
| 請求金額(税込) | ― | 1,326,275円 |
2つの書き方の差は1,234円で、交通費12,340円の10%分です。どちらが正しいかではなく、客先と約束した扱いに合わせることが大切です。国税庁も、税抜と税込が混ざる場合に、どちらかにそろえて計算する方法を示しています。
交通費を報酬の一部として受け取るか、立替金として受け取るかで、消費税の扱いが変わることもあります。立替金とは、相手が払うべき費用を一時的に代わりに払ったお金のことです。立替金として扱うなら、立替金精算書などの書類をそろえる必要があります。自社の扱いは、顧問税理士に確認しておきましょう。交通費の契約の決め方は、SESの交通費の請求ルール|精算の記載例と契約で決める4項目にまとめています。
BPの請求額と自社の計算がずれる原因5つ
BPの請求書と自社の支払い予定額がずれたら、まず次の5つを疑います。 ずれの多くは数円〜数千円で、原因がわかれば電話1本で直せます。
| # | ずれる原因 | よくある例 | ずれの大きさ |
|---|---|---|---|
| 1 | 端数処理の回数 | BPが要員ごとに消費税を出している | 数円 |
| 2 | 丸め方の違い | 自社は切り捨て、BPは四捨五入 | 1円 |
| 3 | 交通費の税込・税抜 | 自社は税込実費、BPは実費に10%上乗せ | 交通費の約10% |
| 4 | 控除・超過単価の丸め | BPは3,928.57円のまま計算している | 数円〜数十円 |
| 5 | 単価の税込・税抜の誤解 | 「60万円」を税込と思っていた | 数万円 |
原因4の例です。佐藤さんの控除6時間を、BPが1円未満を残したまま計算すると、6×3,928.57円=23,571円です。自社の23,568円と3円ずれ、消費税もずれます。控除単価を丸めるか、丸めるなら何円単位かも、契約書で決めておきましょう。
原因5は金額が大きく、揉めやすいずれです。注文書や見積書では、単価の横に必ず「税抜」と書く習慣をつけましょう。
免税事業者のBPから「消費税」が載った請求書が届いたら
インボイスの登録をしていないBP(免税事業者)の請求書では、載っている消費税を全額は差し引けません。 差し引ける割合は、2026年10月1日から80%→70%に下がります(令和8年度税制改正)。月額60万円の人なら、差し引けない消費税は月18,000円です。割合の日程と計算はインボイス経過措置2026年10月の変更|控除割合の計算例とSESで確認できます。
登録番号がないことを理由に、一方的に消費税分を値下げすると、法律の問題になることがあります。対応の考え方は、インボイスで免税事業者に値下げは違反?SESの取引と単価交渉で解説しています。
請求書の消費税を送る前に確認する5ステップ
消費税のミスは、送る前の5分の確認でほぼ防げます。 毎月、次の順番で確認しましょう。
単価の税抜・税込を確認する:注文書の単価が税抜かを見る
行はすべて税抜にそろえる:交通費など税込の行があれば、約束どおり税抜に直す
10%対象の小計を出す:月額・超過・控除・交通費を足す
消費税を1回だけ計算する:小計×10%を、社内で決めた方法で1回だけ丸める(Excelなら
=ROUNDDOWN(小計*0.1,0))インボイスの6項目を確認する:特に登録番号と「消費税(10%)」の行があるか見る
BPから届いた請求書も、同じ5ステップで確認できます。フリーランスの請求書で見るべき点は、フリーランスの請求書チェック8項目|SESで不備を差し戻す例文付きにまとめています。計算を誤って送ったときは、請求書の金額間違いに後から気づいたら|SESの訂正と再発行の例文の手順で訂正します。
客先に消費税の計算方法を伝えるメール例文
端数処理の方法を変えるときや、客先から問い合わせが来たときは、先に計算方法を伝えます。
件名:2026年9月分ご請求書の消費税の計算方法について
株式会社△△ 経理ご担当者様
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の□□です。
9月分のご請求書について、消費税の計算方法をお知らせします。・消費税は、10%対象の小計(税抜)1,206,827円に10%をかけています
・1円未満は、請求書1枚につき1回だけ切り捨てています
・交通費は、個別契約に合わせて税抜の行として計上していますご不明な点がございましたら、お気軽にお知らせください。
チョータツで案件ごとの単価・精算条件を管理する
自分で管理する場合は、Excelに案件ごとの「単価(税抜)」「交通費の扱い」「精算幅」「控除単価の丸め方」を並べます。請求のたびに、その表を見返します。ただ、案件が増えると、条件がメールや注文書に散らばりがちです。
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が使っていて、無料で始められます。
| 場面 | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 案件の条件を残す | Excelやメールに散らばる | 案件の情報としてまとめて管理できる |
| 提案前に条件を確認する | 注文書やメールを探す | 案件情報を開いて確認できる |
| 社内で共有する | ファイルを送り合う | チームで同じ情報を共有できる |
| 情報を入れる | 1件ずつ手で書き写す | AIが入力を手伝う |
「この案件の単価は税抜か」「交通費は別か」を提案の段階で確認しておくと、請求のときに慌てません。他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材もデータベースとして見られます。
よくある質問
- Q. 請求書は税込と税抜のどちらで書けばいいですか?
- 会社どうしの請求書なら、どちらでもかまいません。SESでは単価が税抜なので、税抜の小計に消費税を足し、税込の請求額を書く形が一般的です。
- Q. 請求書の税込表示は義務ですか?
- 義務ではありません。税込表示の義務(総額表示)は、消費者向けの値札や広告が対象です。事業者どうしの請求書には当てはまりません。
- Q. 請求書の消費税は切り捨てですか、四捨五入ですか?
- どちらでもかまいません。国税庁は、切り捨て・切り上げ・四捨五入を任意としています。ただし、1枚の請求書につき、税率ごとに1回だけ処理します。
- Q. 消費税込みの金額から消費税を出すには?
- 10%の場合、税込の金額×10/110で出します。税込12,340円なら、1,121.8円で、端数を処理して1,121円か1,122円です。
- Q. 税込の請求書のテンプレートはありますか?
- Excelで作れます。行はすべて税抜で並べ、小計の下に「消費税(10%)」と「請求金額(税込)」の行を置きます。消費税のセルにだけ、
=ROUNDDOWN(小計*0.1,0)などの式を入れます。 - Q. 交通費にも消費税をかけますか?
- 報酬の一部として受け取るなら、10%対象として計算するのが一般的です。税込の実費として受け取る約束なら、税抜に直して合計に入れます。どちらにするかは契約で決め、顧問税理士にも確認しましょう。
まとめ
会社どうしの請求書は、税抜・税込のどちらで書いてもよい
SESでは「税抜の小計+消費税10%=税込の請求額」が一般的
インボイスの端数処理は、1枚の請求書につき税率ごとに1回だけ
丸め方(切り捨て・切り上げ・四捨五入)は自由。社内で1つに決める
交通費は、税抜の行か税込の実費かを契約で決める。差は約10%
BPとずれたら、端数処理・丸め方・交通費・控除単価・単価の税込税抜を確認する
注文書や見積書の単価には、必ず「税抜」と書く
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。消費税の具体的な扱いは、顧問税理士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
国税庁「No.6902「総額表示」の義務付け」(総額表示は消費者に対してあらかじめ表示する価格が対象)
国税庁「インボイス制度の理解のために」(記載事項、端数処理は一の適格請求書につき税率ごとに1回)
国税庁「令和8年度税制改正特集(インボイス制度)」(免税事業者などからの仕入れの控除割合の見直し「7・5・3割控除」)
国税庁「インボイス制度に関するQ&A 目次」