SESの面談交通費は誰が負担する?立場別の一般的な扱いと事前の取り決め文例

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

SESの面談交通費は誰が負担するのが一般的?

SESの面談交通費は、エンジニアを提案した側の会社が負担するのが一般的です。面談は「自社のエンジニアを売り込むための営業活動」と考えられているためです。

面談交通費とは、エンジニアや営業が客先での面談に行くための電車代・バス代などのことです。遠方なら新幹線代や宿泊費も含みます。

なお、面談交通費の負担を決めた法律はありません。2026年9月時点で、SES業界の慣行を示す公的な調査も見当たりません。そのため、当事者どうしの取り決めで決まるのが基本です。

エンジニアの立場一般的な負担者揉めやすい点
自社の正社員自社面談の時間を勤務として扱うか
BPの社員BP(エンジニアの所属会社)BPが自社に請求してくる
フリーランス(個人事業主)本人、または提案した会社決まらなかった面談の分
客先の都合で2回目以降話し合いで決める遠方・宿泊が出る場合

BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。BPのエンジニアを自社の案件に提案する場面は、SESではよくあります。

客先に面談交通費を請求できる?

客先に面談交通費を請求することは、原則としてできないと考えておくのが無難です。契約前の面談の費用は、提案する側の営業コストとして扱うのが一般的だからです。

ただし、次のような場合は、事前に相談すれば客先が負担することもあります。

  • 客先の希望で、遠方から対面で来てもらう場合

  • 客先の都合で、3回目以降の面談になる場合

  • 客先の事業所を複数か所まわることを求められた場合

大切なのは、面談の前に相談することです。面談が終わってから「交通費をください」と伝えると、断られるうえに印象も悪くなります。

商流とは、SESの仕事がエンド(発注元の会社)から、いくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。商流が深いと、客先の上の会社まで話を通す必要があり、交通費の相談はさらに通りにくくなります。

契約後に常駐先へ通う交通費や、出張の交通費の扱いは、面談とは別の話です。SESの交通費の請求ルール|精算の記載例と契約で決める4項目で解説しています。

立場別:面談交通費の扱いと注意点

面談交通費の扱いは、エンジニアが自社社員・BPの社員・フリーランスのどれかで変わります。立場ごとに、誰が払い、どこで揉めやすいかを整理します。

自社の正社員の場合:自社が負担する

自社の正社員が面談に行く場合、交通費は自社が負担するのが自然です。面談は会社の指示で行く仕事だからです。

待機中の社員でも、客先への面談は業務として扱います。交通費は、通常の出張や外出と同じ社内ルールで精算しましょう。

国税庁によると、仕事のための移動で通常必要な範囲の旅費は、給与として課税されません(所得税法 第9条)。実費精算とは、実際にかかった金額だけを払うやり方のことです。領収書や経路の記録を残しておきましょう。

BPの社員の場合:BPが負担する

BPのエンジニアを提案した場合、交通費はBP(エンジニアの所属会社)が負担するのが一般的です。自社は「案件を紹介する側」、BPは「人材を売り込む側」だからです。

揉めるのは、BPから「面談交通費を請求したい」と言われる場面です。次の順で対応すると、関係を壊さずに済みます。

  1. 提案を受ける前に、「面談交通費は各社負担」と伝えておく

  2. 遠方の面談なら、オンラインにできないか客先に聞く

  3. どうしても対面なら、負担する範囲を決めてからメールで残す

面談交通費の扱いは、BPとの取引を始めるときに決めておきます。基本契約か最初のメールで決めれば、案件ごとに話し合わずに済みます。

フリーランスの場合:取り決めがないと本人負担になりやすい

フリーランスのエンジニアは会社に所属していないため、取り決めがないと本人の負担になりがちです。決まらなかった面談の交通費まで自腹になると、不満が出やすくなります。

おすすめは、提案する前に次のどちらかを決めておくことです。

  • 本人負担:面談の交通費は本人持ちと、最初に伝える

  • 会社負担(上限つき):「1回あたり往復〇円まで」「2回目以降は負担」などと決める

源泉徴収とは、報酬を払う会社が、所得税をあらかじめ差し引いて国に納めるしくみのことです。源泉徴収が必要な報酬は、所得税法第204条第1項で種類が決められています(原稿料・デザイン料など)。

プログラミングやシステム開発、インフラ構築の報酬は、この一覧に入っておらず、原則として源泉徴収の対象外です。一方、デザインの報酬は対象です。

報酬が対象の種類に当たる場合、交通費を報酬に含めて払うと、交通費の分も原則として源泉徴収の対象になります。ただし、会社が交通機関へ直接払った交通費は例外です。通常必要な範囲なら、報酬に含めなくてよいとされています(国税庁 No.2792)。迷うときは、税理士や税務署に確かめましょう。

フリーランスとの取引では、フリーランス法第3条の義務もあります。仕事を頼むときに、報酬などの条件を書面かメールで明示する義務です。この義務は、従業員のいない発注者も含めたすべての発注者にかかります。面談交通費を会社が負担する約束も、報酬とあわせて明示しておくと安心です。詳しくはフリーランス法のSES対応|発注者の義務7つと実務チェック表で確認してください。

揉める場面と、事前に決める4項目

面談交通費で揉めるのは、ほとんどが「聞いていなかった」ときです。提案の段階で、次の4項目を確かめておけば防げます。

項目確認すること決め方の例
面談形式オンラインか、対面か1回目はオンライン、2回目は対面
場所客先の本社か、作業場所か最寄り駅と所要時間を確かめる
回数何回あるか最大2回。3回目以降は相談
交通費誰が、どこまで払うか各社負担。遠方は上限〇円まで

対面面談とは、客先の会議室などに出向いて、顔を合わせて行う面談のことです。オンライン面談とは、ZoomやTeamsなどのビデオ通話で行う面談のことです。

よくある揉めごとの例

  • 面談が3回あり、フリーランスの交通費が往復で数千円かかった

  • BPから、決まらなかった面談の交通費をあとから請求された

  • 客先が「対面必須」と言い出したのが、面談の前日だった

  • エンジニアが面談当日に来られず、客先へのお詫びと交通費の扱いが問題になった

  • 地方在住のエンジニアに、新幹線での対面面談を求められた

どれも、最初の提案メールや面談調整の時点で4項目を確かめていれば避けられた例です。当日のドタキャン・遅刻の対応は、SES面談のドタキャン・遅刻の対応|当日の謝罪メールと再設定で手順を紹介しています。

面談交通費の簡単な計算例

面談交通費は1回あたりは小さくても、回数が増えると営業コストとして無視できなくなります。

たとえば、自社の営業とエンジニアの2人が、往復1,000円の客先へ対面面談に行くとします。1回で2,000円です。月に10回なら2万円、1年で24万円になります。移動に往復1時間かかれば、2人で月20時間の時間も使います。

面談形式を確かめずに提案すると、この費用と時間が、決まらなかった面談の分まで積み上がります。

そのまま使える取り決めメール文例

取り決めは、口頭で済ませずメールで残すのが基本です。あとで「言った・言わない」にならないよう、文例をそのまま使ってください。

文例1:客先(上の会社)に面談形式を確認する

例文・テンプレート
件名:【確認】面談形式・場所について(田中/インフラ)

株式会社〇〇
△△様

いつもお世話になっております。株式会社□□の佐藤です。
田中の面談の件で、事前に確認させてください。

・面談形式:オンライン/対面のどちらでしょうか
・対面の場合の場所:貴社本社、または作業場所のどちらでしょうか
・面談の回数:何回を予定されていますか

田中は現在、大阪在住のため、
1回目はオンラインでお願いできますと大変助かります。
よろしくお願いいたします。

文例2:BPに「交通費は各社負担」と伝える

例文・テンプレート
件名:ご提案いただく際のお願い(面談交通費について)

株式会社〇〇
△△様

お世話になっております。株式会社□□の佐藤です。
要員のご提案、いつもありがとうございます。

面談にかかる交通費については、
各社のご負担でお願いしております。
遠方などで対面の面談が難しい場合は、
オンライン面談を客先に相談いたしますので、事前にお知らせください。

ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

文例3:フリーランスに交通費の扱いを伝える

例文・テンプレート
件名:面談のご案内と交通費の扱いについて

鈴木様

お世話になっております。株式会社□□の佐藤です。
〇〇案件の面談日程が決まりましたので、ご案内します。

・日時:2026年10月8日(木)14:00〜14:45
・形式:対面(客先本社、〇〇駅から徒歩5分)
・交通費:往復2,000円までを弊社で負担いたします
 (ご精算時に経路をお知らせください)

2回目の面談が入った場合も、同じ扱いといたします。
ご不明点があればお知らせください。

日程の候補を出すメールに、形式と交通費の扱いを1行ずつ入れておくと、確認が1通で済みます。書き方はSESの面談日程調整メール例文|候補日の出し方とリスケの連絡を参考にしてください。

オンライン面談へ切り替える提案の仕方

面談交通費を減らすいちばんの方法は、1回目の面談をオンラインにしてもらうことです。対面が必要な場合でも、「2回目だけ対面」にできれば、決まらなかった面談の交通費は発生しません。

オンラインと対面の違いを、客先に説明するときの材料として整理します。

比べる点オンライン面談対面面談
交通費かからない往復分かかる
日程調整空き時間に入れやすい移動時間も必要
伝わりやすさ画面越しで表情は見える雰囲気や人柄が伝わりやすい
向いている場面1回目のスキル確認最終確認、職場の見学

客先に伝えるときの3つのコツ

  1. 客先のメリットから伝える:「日程をすぐ組めます」「面談の時間を短くできます」

  2. 対面を否定しない:「最終確認は対面でも大丈夫です」と選択肢を残す

  3. 準備を約束する:「接続テストは前日に済ませます」と不安を消す

伝え方の一例です。

例文・テンプレート
1回目はオンラインでお願いできれば、今週中に日程を組めます。
スキルの確認をオンラインで済ませ、
職場の雰囲気の確認として2回目を対面にする形はいかがでしょうか。
接続の確認は、前日までに弊社で済ませておきます。

接続テストなどの準備は、SESの面談準備|営業が事前にやること10項目とエンジニアへの伝え方で解説しています。

面談の回数と交通費の関係

面談の回数が増えるほど、交通費の問題は大きくなります。SESの面談は、客先の上の会社との面談と、エンドとの面談で2回になることがよくあります。

回数が多くなりそうな案件では、提案の前に「何回目までは対面か」を確かめましょう。面談が2回になる理由と段取りは、SES面談の流れ|2回面談になる理由と営業の段取り7ステップで紹介しています。

また、SES(準委任契約)の面談は、エンジニアのスキルを確かめる顔合わせの場として行われます。準委任契約とは、仕事の成果ではなく、決まった作業を行うことに対して報酬を払う契約のことです。

根拠は、厚生労働省の「37号告示に関する疑義応答集(第3集)」のQ7です。発注者が特定の人を指名したり、就業を断ったりすると、適正な請負等とは認められないとされています。

面談を重ねて個人を選ぶ形にならないよう、回数は必要な分に絞るのが望ましいです。

チョータツで面談条件の確認と提案を楽にする

ここまでの確認は、Excelとメールでも行えます。ただ、提案中の案件が増えると、どの案件が対面か、交通費をどう決めたかを1件ずつ追うのが大変になります。

DrivenXのチョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールのことです。3,000社以上が利用していて、無料で始められます。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
案件情報の管理メールとExcelに分かれて残る案件・人材の情報をまとめて管理し、チームで共有
近い案件を探す届くメールを1通ずつ読む他社と連携すると、営業中案件がデータベースになる
BPへの連絡BCCで一斉に送るメール配信機能で、パートナーへまとめて配信
情報の登録1件ずつ手で入力AIが入力を手伝う

交通費の揉めごとを減らすいちばんの近道は、そもそもエンジニアに合う案件を選んで出すことです。連携した他社の営業中案件から、住まいや働き方に合う案件を探せれば、遠方の対面面談を減らせます。

使い始める流れ

  1. チョータツに無料で登録する

  2. 自社の人材の情報を登録する(AIが入力を手伝う)

  3. 取引のある会社と連携し、営業中案件を見られるようにする

  4. 面談形式や勤務地が合う案件から提案する

よくある質問

Q. SESの面談交通費は、エンジニア本人が払うものですか?
自社の社員なら会社が払うのが自然です。フリーランスは取り決めがないと本人負担になりやすいため、提案の前に扱いを伝えておきましょう。
Q. BPから面談交通費を請求されたら、払う必要がありますか?
事前の取り決めがなければ、各社負担として扱うのが一般的です。今後のために、「面談交通費は各社負担」とメールで伝えておきましょう。
Q. 客先に面談交通費を請求してもいいですか?
原則は請求しないものと考えておきます。遠方からの対面など客先の希望が強い場合だけ、面談の前に相談しましょう。
Q. 面談が決まらなかった場合の交通費はどうなりますか?
決まったかどうかに関係なく、取り決めどおりに扱います。「決まったら払う」とすると不満が出やすいので、条件はシンプルにしましょう。
Q. オンライン面談と対面面談は、どちらが通りやすいですか?
どちらが通りやすいかを示す公的なデータはありません。1回目はオンラインでスキルを確かめ、最終確認を対面にする形が、費用と伝わりやすさのバランスがとれます。
Q. 面談交通費に税金はかかりますか?
社員への実費の交通費は、仕事で通常必要な範囲なら給与として課税されません。フリーランスのエンジニアへの開発の報酬は、原則として源泉徴収の対象外です。デザインなど対象の種類に当たる報酬では、報酬に含めて払った交通費も原則として源泉徴収の対象になります。

まとめ

  • 面談交通費は、エンジニアを出す側の会社が負担するのが一般的

  • 自社社員は自社、BPの社員はBP、フリーランスは取り決め次第

  • 客先への請求は原則しない。例外は面談の前に相談する

  • 揉めるのは遠方・宿泊・面談の回数が多いとき

  • 提案の段階で「形式・場所・回数・交通費」の4項目を確かめ、メールで残す

  • 1回目をオンライン面談にしてもらうのが、費用を減らすいちばんの方法

  • 合う案件を選んで出すには、チョータツの連携で候補を増やすのが近道

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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