派遣先責任者とは?選任の要件・人数・講習を派遣元責任者と比べて解説|技術者派遣で客先に確認する7項目

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

派遣先責任者とは?

派遣先責任者とは、派遣社員を受け入れる会社が、派遣の管理のために選ぶ担当者のことです。派遣社員からの苦情を受けたり、派遣会社と連絡をとったりする窓口になります。

選任は労働者派遣法第41条で決まった派遣先の義務です。選ばないままだと法律違反になり、第61条で30万円以下の罰金の対象です。

派遣先責任者の5つの仕事

法律で決まっている仕事は、次の5つです。

  1. 派遣社員に指示を出す人などに、派遣法や派遣契約の内容を伝える

  2. 派遣先管理台帳を作り、記録し、3年間保存する

  3. 派遣社員から受けた苦情を処理する

  4. 安全衛生について、社内の担当者や派遣会社と連絡調整する

  5. そのほか、派遣会社(派遣元)との連絡調整をする

派遣先管理台帳とは、派遣先が派遣社員ごとに、働いた日や始業・終業の時刻、業務の種類などを記録する帳簿のことです。記載項目は「派遣先管理台帳の保管期間は3年|派遣元台帳との違いと記載項目」で確認できます。

指揮命令者との違い

派遣先責任者と混同しやすいのが指揮命令者です。指揮命令者とは、現場で派遣社員に仕事の指示を出す人のことです。

役割何をする人か契約書への記載
派遣先責任者派遣全体の管理と連絡の窓口必要
指揮命令者現場で毎日の仕事を指示する必要

IT現場では、指揮命令者はプロジェクトのリーダー、派遣先責任者は人事や総務の管理職、という分け方がよくあります。同じ人が兼ねることもできます。派遣元と派遣先の役割の全体は「派遣元・派遣先とは?違いと責任の分担をSES営業向けに一覧で解説」で一覧にしています。

派遣先責任者の選任人数は?【早見表】

派遣先責任者の人数は、事業所ごとに、そこで働く派遣社員の人数で決まります。数えるのは会社全体ではなく、事業所ごとの人数です。

事業所の派遣社員の数必要な人数
自社社員と合わせて5人以下選任しなくてよい
100人以下1人以上
101〜200人2人以上
201〜300人3人以上(以降100人ごとに1人追加)

根拠は労働者派遣法施行規則第34条です。派遣先責任者は、その事業所の専属で、自社で雇っている人(または役員)から選びます。

製造の仕事に50人を超える派遣社員を受け入れる事業所では、製造業務専門派遣先責任者も必要です。IT案件ではほぼ関係しませんが、工場のシステム保守などで話題に出ることがあります。

派遣先責任者の要件と講習

派遣先責任者には、法律で決まった資格はありません。ただし、国の指針で「こういう人を選ぶよう努めること」という目安が示されています。

「派遣先が講ずべき措置に関する指針」第13では、次の3つを備えた人が望ましいとしています。

  1. 労働関係の法律を知っている人

  2. 人事・労務管理の専門知識か、長い経験がある人

  3. 派遣社員の働き方について、決めたり変えたりする権限がある人

派遣先責任者講習とは、派遣先責任者に法律や職務の知識を学んでもらうための講習のことです。厚生労働省のガイドラインでは、新しく選んだときや法改正のときに受講させることが望ましいとされています。義務ではありません。

派遣先責任者と派遣元責任者の違い【比較表】

派遣先責任者は受け入れる会社、派遣元責任者は派遣する会社が選ぶ担当者です。技術者派遣をするSES会社は、自社が派遣元になるので、派遣元責任者を選ぶ側です。

比べる点派遣先責任者派遣元責任者
選ぶ会社派遣先(客先)派遣元(自社)
根拠派遣法第41条派遣法第36条
人数派遣社員100人ごとに1人以上(5人以下は不要)派遣社員100人ごとに1人以上
講習義務なし(受講が望ましい)過去3年以内の修了が必須

派遣元責任者は、未成年でないことや、法律で決まった欠格事由に当たらないことも条件です。派遣元には「5人以下なら不要」という例外がない点にも注意します。

SES営業の現場での使い方

SES営業が派遣先責任者という言葉を使うのは、客先と技術者派遣の契約を結ぶときです。準委任契約(SES契約)では出てきません。

準委任契約には派遣先がないので、客先に派遣先責任者を選んでもらう必要はありません。SES契約の客先が「派遣先責任者」と言い出したら要注意です。実態が派遣の働き方になっていないかを確かめるサインです。違いは「SESと派遣の違い|準委任・派遣・請負の比較表と確認5項目」で整理しています。

使う場面

  • 技術者派遣の見積もりや契約の打ち合わせ

  • 労働者派遣契約書(個別契約書)を作るとき

  • 派遣社員から苦情や相談があり、客先に伝えるとき

  • 抵触日(派遣できる期間の期限)の通知を受け取るとき

客先への確認メール例文

株式会社〇〇
総務部 〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
2026年11月1日開始の派遣契約について、契約書の作成にあたり、次の3点を教えていただけますでしょうか。

  1. 派遣先責任者の方の所属・役職・氏名・電話番号

  2. 指揮命令者の方の所属・役職・氏名

  3. 就業される事業所の名称と所在地

10月20日(火)までにご返信いただけますと助かります。
どうぞよろしくお願いいたします。

注意点

  • 「派遣先責任者はまだ決まっていない」と言われたら、契約前に決めてもらうよう頼みます。契約書に書く項目だからです。

  • 客先の事業所が小さくても、自社社員と派遣社員の合計が6人以上なら必要です。「うちは小さいから不要」と言われたら、人数を確かめます。

  • BP(取引先の会社)の技術者を、自社が受けた派遣案件に出すと二重派遣で違法です。派遣先責任者の話が出る案件は、自社社員だけで対応します。くわしくは「SESの二重派遣(多重派遣)は違法?罰則と避ける契約の組み方」を確認してください。

技術者派遣で客先に確認する7項目【チェックリスト】

技術者派遣の契約前に、客先に確認しておくことは7つです。派遣先責任者の氏名だけでなく、まわりの項目もまとめて聞くと、やりとりが1回で済みます。

  1. 派遣先責任者の所属・役職・氏名・連絡先

  2. 指揮命令者の所属・役職・氏名

  3. 就業する事業所の名称・所在地と組織単位(部署)

  4. その事業所で受け入れている派遣社員のおおよその人数

  5. 事業所単位の抵触日(派遣できる期間の期限)

  6. 苦情を受けたときの窓口と連絡の流れ

  7. 派遣先管理台帳の内容を、毎月どう通知してもらうか

4つ目の人数は、派遣先責任者が何人必要かの目安になります。5つ目の抵触日は、派遣先から派遣元へ通知することが法律で決まっています(第26条第4項)。数え方は「派遣の抵触日とは?事業所・個人の3年ルールをSES営業向けに解説」で解説しています。

7項目がそろったら、そのまま個別契約書に書き写します。書き方は「派遣の個別契約書の書き方|記載事項一覧と保管・印紙」を使ってください。

自社側では、派遣元責任者の氏名と、自社の労働者派遣事業の許可番号を客先に伝えます。許可番号の確かめ方は「労働者派遣の許可番号を検索する方法」で解説しています。参画初日までの準備は「SESの参画初日までに営業がやる準備|入場チェックリストと案内文」も参考になります。

派遣と準委任が混ざる案件をチョータツで管理する

派遣と準委任の両方を扱う会社では、案件ごとに契約形態と客先の担当者を記録することが、確認漏れを防ぐ近道です。まずは自分でできる方法から始めます。

自分でやる方法

  1. 案件管理表(Excelなど)に「契約形態」の列を作り、「派遣」「準委任」「請負」から選ぶ

  2. 派遣案件には「派遣先責任者」「指揮命令者」「抵触日」の列を足す

  3. 7項目のチェックリストを埋めてから契約書を作る

  4. 派遣案件に出す人が自社社員かどうかを、提案前に照らし合わせる

もっと楽にするなら

案件が増えると、表の管理とチームでの共有に手間がかかります。チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。案件と人材の情報をチームで管理・共有でき、AIが入力を手伝います。

提案前に案件の条件を見返せるので、「派遣案件にBPの技術者を出してしまった」というミスを防ぎやすくなります。3,000社以上が使っており、無料で始められます。

よくある質問

Q. 派遣先責任者は何人必要ですか?
事業所ごとに、派遣社員100人以下なら1人以上です。100人を超えるごとに1人ずつ増やします。
Q. 派遣社員が1人だけでも派遣先責任者は必要ですか?
派遣社員と自社社員の合計が5人以下なら不要です。合計が6人以上なら、派遣社員が1人でも必要です。
Q. 派遣先責任者に資格や講習は必要ですか?
法律で決まった資格や講習の義務はありません。厚生労働省は講習の受講が望ましいとしています。
Q. 派遣先責任者と指揮命令者は同じ人でもいいですか?
兼ねることはできます。ただし、どちらも派遣契約書に書く項目なので、それぞれ記載します。
Q. SES(準委任)の客先にも派遣先責任者は必要ですか?
不要です。準委任契約には派遣先がありません。客先が派遣先責任者の話をするなら、契約形態を見直すサインです。

まとめ

  • 派遣先責任者は、派遣社員を受け入れる会社が選ぶ管理と連絡の窓口役(派遣法第41条)

  • 人数は事業所ごとに派遣社員100人ごとに1人以上。自社社員と合わせて5人以下なら不要

  • 資格や講習の義務はないが、講習の受講が望ましいとされている

  • 派遣元責任者は講習(過去3年以内に修了)が必須で、5人以下の例外もない

  • 技術者派遣では、派遣先責任者の氏名など7項目を契約前に客先へ確認する

  • 準委任(SES契約)では派遣先責任者は出てこない

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)