保守開発とは?運用保守との違いと案件の特徴、SES営業の提案術|待機を減らす探し方と提案メール例文つき

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

保守開発とは?

保守開発とは、稼働中のシステムに手を加えて、使い続けられる状態に保つための開発のことです。新しくシステムを作る「新規開発」とちがい、すでにあるシステムが出発点になります。

保守開発で行う作業は、主に次の4つです。

  1. 見つかった不具合(バグ)を直す

  2. 利用者の要望で、画面や機能を追加・変更する

  3. 法改正や税率変更など、ルールの変化に合わせて直す

  4. OSやソフトの更新(バージョンアップ)に合わせて直す

現場では「エンハンス開発」とも呼びます。エンハンスとは、英語で「強化する」という意味です。既存のシステムを少しずつ良くしていく開発を指します。

保守の4つの種類(JISの分け方)

保守の種類は、国の規格であるJIS(日本産業規格)で4つに分けられています。JIS X 0161「ソフトウェア保守」という規格です。

保守の種類かんたんに言うと例
是正保守見つかった問題を直す利用者から報告された計算ミスを直す
予防保守障害になる前に見つけて直すログから異常の芽を見つけて直す
適応保守環境の変化に合わせて使えるようにするOSの更新や法改正に合わせて直す
完全化保守利用者のための改良や、性能・直しやすさを高める画面の使い勝手を良くする、処理を速くする

同じJISでは、適応保守と完全化保守の2つをまとめて「改良保守」(新しい要求を満たすための修正)と呼んでいます。現場でいう「エンハンス」は、この改良保守に近い意味です。

営業がこの4つを細かく覚える必要はありません。「直す仕事」と「変える仕事」の両方があると押さえれば十分です。

運用・保守・運用保守・新規開発の違い

運用はシステムを動かし続ける仕事で、保守はシステムを直したり変えたりする仕事です。新規開発は、まだないシステムをゼロから作る仕事です。保守開発は、保守のうち「プログラムを書き換える部分」を指します。

仕事目的主な作業プログラムを書くか
運用システムを止めずに動かす監視、バックアップ、定例作業、問い合わせ対応基本的に書かない
保守(保守開発)システムを直し、変える不具合修正、機能追加、改修、バージョンアップ対応書く
運用保守運用と保守をまとめて担う監視から改修まで一通り案件による
新規開発新しいシステムを作る要件定義、設計、製造、テスト書く

運用保守とは

運用保守とは、システムの運用と保守をひとまとめにした仕事のことです。会社や案件によっては「保守運用」とも呼びます。意味はほぼ同じです。

運用保守の案件は、作業の中身の幅が広いのが特徴です。監視とマニュアルどおりの作業だけの案件もあれば、改修のプログラムを書く案件もあります。営業は「運用保守」という言葉だけで判断せず、開発作業があるかを必ず確認します。

保守運用のSE(システムエンジニア)がする業務内容

保守運用の現場にいるSEの業務内容は、次のように分かれます。

業務内容求められる経験
監視・定例作業画面やアラートを見て、決まった手順で対応する手順どおりに作業できること
問い合わせ対応利用者からの質問や不具合報告を受けて切り分ける業務やシステムの理解
改修・機能追加要望を受けて設計を直し、プログラムを書く言語の経験、既存コードを読む力
リリース作業直したプログラムを本番環境に反映する手順管理、慎重さ

システム開発と保守の関係

システム開発と保守は、1本の流れでつながっています。システムは「要件定義 → 設計 → 製造 → テスト → リリース」で完成し、そのあと運用・保守に入ります。IPA(情報処理推進機構)の「共通フレーム2013」でも、開発のあとに運用と保守のプロセスが置かれています。

システムは、作る期間よりも使う期間のほうがずっと長いのが普通です。そのため、保守の仕事は開発が終わったあとも長く続きます。工程の流れは「外部設計とは?基本設計・詳細設計との違いとSES案件の工程の読み方」で詳しく説明しています。

保守開発案件の特徴|営業にとってのメリットと注意点

保守開発の案件は、長期化しやすく、経験の浅い人も入りやすいのが大きな特徴です。一方で、単価が上がりにくい、仕事が単調になりやすいといった面もあります。

観点保守開発の案件新規開発の案件
期間年単位で続きやすい開発が終われば終了しやすい
入りやすさ手順や資料があり、若手も入りやすい設計から入る人は経験が求められる
求められる力既存コードを読む力、業務知識、慎重さ設計力、新しい技術の経験
忙しさの波比較的おだやか(法改正の前などは忙しい)リリース前に大きく忙しくなりやすい

営業にとってのメリット

  • 長期化しやすい:同じ人が長く続けると、業務知識が積み上がり、案件元も手放したくなくなります。契約更新が続きやすくなります。

  • 若手を入れやすい:手順書があり、先輩の作業を引き継ぐ形が多いため、経験1〜2年の人でも決まりやすい傾向があります。

  • 売上が読みやすい:終わりの時期が見えにくい分、毎月の稼働が安定します。

注意しておきたい点

  • 単価が上がりにくい:同じ作業が続くと、単価の見直しのきっかけが作りにくくなります。

  • エンジニアの成長が止まりやすい:古い言語や決まった作業だけが続くと、本人が不満を持つことがあります。

  • 「運用のみ」との取りちがい:開発経験を積みたい人を監視だけの案件に入れると、早期の退場につながります。

SES営業の現場での使い方

保守開発という言葉は、主に「案件票を読む」「待機中の人を提案する」「単価や更新を話す」の3つの場面で使います。そのまま使える確認項目と例文をまとめます。

使う場面1:案件票で作業範囲を読み分ける

案件票の「保守」は、書き方によって中身が大きく変わります。次の表で、よくある書き方と確認ポイントを整理しました。

案件票の書き方中身の目安営業が確認すること
運用保守(監視・定例)監視や手順どおりの作業が中心夜間・休日のシフトがあるか
保守開発・エンハンス既存システムの改修でプログラムを書く使う言語と、既存コードの古さ
保守(問い合わせ対応含む)利用者との窓口も担当する業務知識の要否、対応件数の目安
保守〜小規模開発改修に加え、小さな機能追加の設計もする設計の経験を求めるか

判断に迷うときは、案件元に次の4点を聞くと、あとのずれを防げます。オンコールがある場合の単価の決め方は「オンコール対応の単価の決め方|SESの夜間・休日対応の契約」で解説しています。

  1. プログラムを書く作業はありますか。あれば全体の何割ですか

  2. 夜間・休日のシフトや、障害時の呼び出し(オンコール)はありますか

  3. 手順書やシステムの資料はそろっていますか

  4. 想定している期間はどのくらいですか

使う場面2:待機を減らすために保守案件を探す

保守案件は長く続くため、待機中の人を早く現場に入れる受け皿になります。待機とは、エンジニアが案件に入っておらず売上が立たない状態のことです。自分で探すときは、次の順で進めます。

  1. 待機中・待機予定の人を一覧にし、「保守でも入れる人」に印をつける

  2. 過去に担当した業種(金融・流通など)と、使える言語を書き出す

  3. 取引のある案件元・BPに「保守開発の案件はありますか」と定期的に聞く

  4. 届いた案件メールから「保守」「エンハンス」「改修」「運用保守」の言葉で探す

  5. 本人の希望(開発を続けたいか、安定重視か)と照らして提案先を決める

待機中の対応や給与の考え方は「SESの待機期間の給与と対応|休業手当の計算例と早く案件に入る7手順」にまとめています。待機者が複数いて順番に迷うときは「SESの待機エンジニアが複数いるときの営業の優先順位|判断表つき」を使ってください。

使う場面3:保守案件への提案で伝えること

保守開発の案件では、「長く安定して続けられる人か」が一番見られます。新規開発のように最新技術の経験だけを強調すると、かえって合わないと思われることがあります。提案では次の3つを伝えます。

  • 業務知識:同じ業種のシステムに関わった経験(例:会計、物流、保険)

  • 既存コードを読む力:人が書いたプログラムを調べて直した経験

  • 継続性:長く続けたい意思、過去の在籍期間の長さ

提案メールの例文

保守開発の案件に若手を提案するときの例文です。

件名:【ご提案】Java保守開発案件/経験2年・長期希望(10月20日〜参画可)

○○株式会社 △△様

いつもお世話になっております。株式会社□□の××です。
先日ご共有いただいた販売管理システムの保守開発案件に、1名ご提案いたします。

・経験:Javaでの保守開発2年(流通業の在庫管理システムの改修)
・強み:既存コードを調べて改修する作業に慣れています。障害時の一次切り分けも経験があります
・希望:同じシステムに長く関わりたいと本人も希望しています
・参画:2026年10月20日(火)から可能

スキルシートを添付いたします。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

若手を決めるコツは「SESの若手アサインが難しい理由5つと対策|経験1〜2年の提案術」で詳しく解説しています。

使う場面4:長く続く保守案件で単価を見直す

保守案件は長く続くため、単価の見直しを忘れやすくなります。契約更新のタイミングで、担当範囲の広がりを数字で伝えるのが基本です。

  • 「参画から1年で、担当する機能が3つから6つに増えました」

  • 「障害時の一次対応を、リーダーの代わりに担当するようになりました」

交渉の進め方は「SESの単価交渉のタイミング|更新の何か月前か・例文と資料5点」を見てください。

注意点

  • 「運用保守」の一言で提案しない。開発作業の有無を必ず確かめる

  • 開発志向の人を監視中心の案件に入れない。本人の希望を先に聞く

  • シフト勤務や障害時の呼び出しの有無を、提案前に本人へ伝える

  • 長期化した人の経歴は、スキルシートに担当範囲の広がりとして書き足す

保守案件と人材をすぐ結びつける方法

保守案件は、条件の合う人がいても、情報がばらばらだと提案が遅れます。まず自分で整理する方法を紹介し、そのうえでツールで楽にする方法を紹介します。

自分でやる方法

  1. 自社エンジニアとBPの人材を1つの表にまとめる

  2. 列に「保守の経験」「開発の希望」「シフト可否」「経験した業種」を足す

  3. 案件の表にも「作業範囲(開発あり/監視のみ)」「想定期間」の列を足す

  4. 待機予定が出たら、2つの表を業種と作業範囲で照らし合わせる

Excelで管理する方法は「SESの案件・人材管理をExcelで無料で行う方法|テンプレ付き」で紹介しています。

チョータツで楽にする方法

人や案件が増えると、Excelの表は担当者ごとにばらばらになりがちです。チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。

  • 案件と人材の情報を1か所で管理し、チームで共有できる

  • AIが入力を手伝うので、登録の手間を減らせる

  • 他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる

  • パートナーへのメール配信機能で「保守開発で長期希望の人がいます」と一斉に知らせられる

3,000社以上が利用しており、無料で始められます。

よくある質問

Q. 保守開発と運用保守の違いは何ですか?
保守開発は、既存システムのプログラムを直したり機能を足したりする開発です。運用保守は、システムを動かし続ける運用と、直す保守をまとめた呼び方です。運用保守の案件でも、開発作業がない場合があります。
Q. 運用と保守の違いは何ですか?
運用はシステムを止めずに動かす仕事で、監視や定例作業が中心です。保守はシステムを直したり変えたりする仕事で、不具合修正や改修が中心です。
Q. 保守開発の案件は未経験や若手でも入れますか?
手順書がそろっている現場が多く、経験1〜2年の人でも決まりやすい傾向があります。ただし、使う言語の経験を求める案件もあるため、必須スキルを確認して提案します。
Q. 保守開発の案件は単価が低いのですか?
新規開発の上流工程と比べると、上がりにくい傾向があります。ただし業務知識が深い人や、障害対応をまとめる人は評価されやすく、更新時に見直しを相談できます。
Q. 運用保守を担当する会社はどんな会社ですか?
システムを作ったSIerやその関連会社が、引き続き運用保守を受けることが多くあります。SES企業は、その現場に人を出す形で関わるのが一般的です。

まとめ

  • 保守開発とは、稼働中のシステムに不具合修正・機能追加・改修を行う開発のこと

  • 運用は動かし続ける仕事、保守は直して変える仕事。まとめて運用保守と呼ぶ

  • 保守開発の案件は長期化しやすく、若手も入りやすい。待機を減らす受け皿になる

  • 案件票では「開発作業の有無」「シフト」「期間」を必ず確認する

  • 提案では業務知識・既存コードを読む力・継続性を伝え、更新時に単価を見直す

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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