ITコンサルとSIerの違い|役割・商流・案件の特徴と、SES営業がPMO案件に入るときの関わり方
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
ITコンサルとSIerの違いを一言でいうと
ITコンサルは「決める人」、SIerは「作る人」です。 どちらもお客さんのシステムに関わりますが、担当する段階が違います。
ITコンサル(ITコンサルタント)とは、お客さんのIT戦略について提案や助言をする仕事、またはその会社のことです。厚生労働省の職業情報サイト「job tag」でも、顧客のIT戦略に関して提案・助言する職業と説明されています。
SIer(エスアイヤー)とは、お客さんのシステムを設計から開発・運用までまとめて請け負う会社のことです。「システムインテグレーター」の略です。job tagの「システムエンジニア(受託開発)」は、要件定義から保守までを担う職業とされています。
ITコンサルの仕事内容そのものは「ITコンサルタントとは?仕事内容とSIerとの違い、SES案件の商流」で、SIerの意味は「SIerとは?読み方・意味とSESとの関係を営業目線で解説」で解説しています。この記事は、2つを比べて案件を読み分けることに絞ります。
4つの軸で比べる:工程・商流・成果物・SES企業の入り方
違いは「担当工程」「商流の位置」「成果物」「SES企業の入り方」の4つで整理できます。 SES営業が案件を読むときは、特に工程と商流の2つが大事です。
| 比べる軸 | ITコンサル | SIer |
|---|---|---|
| 主な担当工程 | 構想・企画・要件定義・プロジェクト管理 | 要件定義・設計・開発・テスト・運用 |
| 商流での位置 | エンドの横(直接契約が多い) | 元請け〜二次請け以降まで幅広い |
| 主な成果物 | 計画書・提案資料・会議資料・判断材料 | 設計書・プログラム・動くシステム |
| SES企業の入り方 | PMO・事務局の支援が中心 | 設計・開発・テストの要員が中心 |
上流工程とは、「何を作るか」を決める最初の段階のことです。構想・企画・要件定義がこれにあたります。下流工程とは、決まった内容を形にする段階で、設計・開発・テストなどです。
ITコンサルは上流に強く、SIerは要件定義から下流までを広く担います。要件定義は両者が重なる工程なので、案件票に「要件定義」とあってもどちらの案件かは決まりません。
参考までに、job tagの賃金(年収)は、ITコンサルタントが889万円、システムエンジニア(受託開発)が578.5万円です。令和7年賃金構造基本統計調査をもとにした値です。コンサル側の案件の単価が高くなりやすい背景として押さえておくと、単価交渉の説明に使えます。
商流の中での位置の違い
ITコンサルはエンドのすぐ横、SIerはエンドから開発を受ける位置に立つのが基本です。 この位置の違いが、SES企業から見た案件の入り方を変えます。
商流とは、仕事がエンド(発注元)から、いくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。
よくある形は、次の2つです。
コンサル主導の形:エンド → ITコンサル(PMO・企画) → SES企業
SIer主導の形:エンド → SIer(元請け) → 一次請け → 二次請け(SES企業)
大きなプロジェクトでは、この2つが同時に動くこともあります。コンサルがエンドの横で全体を管理し、SIerが開発を請け負う形です。このとき、SES企業はコンサル側(PMO)にも、SIer側(開発)にも要員を出す可能性があります。
コンサル側の案件は、エンドとの距離が近いぶん、SES企業から見て商流が浅い(間に入る会社が少ない)ことがあります。一方で、コンサルファームは再委託の条件がきびしいこともあります。「BP不可」「貴社社員のみ」と書かれた案件は、自社の社員しか出せません。
コンサル経由のPMO案件:単価と求められる人材
SES企業がコンサル側に入るときの主な入口は、PMO案件です。 求められるのは、コードを書く力より「管理と調整の力」です。
PMO(ピーエムオー)とは、プロジェクトの管理を支える役割やチームのことです。進み具合の管理、会議の準備、課題の整理、資料作りなどを担当します。PMとの違いは「PMOとPMの違い|SES営業が案件を読み分けるポイントと提案判断表」で詳しく扱っています。
単価の目安は「型」で大きく変わる
PMO案件の単価は、どこまで任されるかで分かれます。当サイトの試算(公的データをもとに計算)では、次のとおりです。
| PMOの型 | 主な仕事 | 月額の目安 |
|---|---|---|
| 事務局型 | 議事録・進捗表の更新・会議の準備 | 60万〜70万円台 |
| 推進型 | 課題の解決を主導・関係者の調整 | 110万円前後 |
同じPMOでも、型が違えば目安は約40万円離れます。 計算の根拠と提案単価の決め方は「SESのPMO単価相場|経験別の目安と提案単価の決め方5手順」にまとめています。
求められる人材像
コンサル側のPMO案件で通りやすい人材には、次の特徴があります。
資料作成が速く正確:Excel・PowerPointで進捗表や報告資料を作れる
会議を回せる:議事録をその日のうちに出し、決まったことと宿題を整理できる
敬語と報告がしっかりしている:エンドの役員が同席する会議にも出られる
開発の流れがわかる:開発経験が少しあると、SIer側の話を理解しやすい
逆に、開発だけを長くやってきたエンジニアは、PMOの面談で苦戦することがあります。スキルシートでは「会議運営」「資料作成」「調整」の経験を具体的に書きましょう。
SIer経由の案件の特徴
SIer経由の案件は、設計・開発・テストなど「作る」工程が中心です。 SES企業にとって最も数が多く、提案しやすい案件です。
SIer経由の案件には、次のような傾向があります。
開発言語・フレームワーク・経験年数など、技術の条件がはっきりしている
何社か下に流れてくることが多く、商流が深くなりやすい
同じプロジェクトで複数人を募集することがある
商流が深い案件は、間に入る会社のぶんだけ単価が下がりやすくなります。複数名を求められたときは「SESのチーム提案のやり方|複数名の体制の組み方と単価の出し方」の進め方が使えます。
SES営業の現場での使い方
案件メールを見たら、「元請けがコンサルかSIerか」を最初に見分けます。 見分けられると、出す人材・単価・面談の準備が変わります。
案件メールでの見分け方
次の言葉があれば、それぞれの案件である可能性が高いです。
| 見分けるポイント | コンサル側の案件 | SIer側の案件 |
|---|---|---|
| よく出る言葉 | PMO・構想策定・業務改革・DX推進 | 詳細設計・製造・単体テスト・保守 |
| 求めるスキル | 資料作成・会議運営・調整 | 言語・フレームワーク・DB |
| 同席する相手 | エンドの役員との会議がある | 開発チーム内の作業が中心 |
| 面談での質問 | 進め方・報告の仕方 | 技術の経験・担当範囲 |
提案前に確認する3つの質問
案件元に、次の3点を先に聞きましょう。
「元請けはコンサルファームですか、SIerですか。貴社は何次請けにあたりますか」
「担当する工程は、企画・要件定義・PMOのどこまでですか」
「再委託(BPの要員)は可能ですか。何社先まで可能ですか」
再委託とは、受けた仕事を、さらに別の会社に任せることです。コンサル案件では、ここで「不可」になることが少なくありません。
商流の聞き方は「SESの商流の確認方法|何次請けかの見分け方と質問例文」に例文があります。コンサル案件の面談は役員が同席することもあります。営業が同席するときの進め方は「SES面談に同席する営業の役割|冒頭の話し方と助け舟の出し方」で確認しておきましょう。
社内での使い分けの例文
営業チーム内で共有するときは、次のように書くと伝わりやすいです。
「11月開始のPMO案件、元請けはコンサルです。事務局型なので、資料作成が得意な○○さんを第一候補にします。BPは不可なので自社社員のみで提案します」
注意したいこと
PMOは準委任契約が一般的です。 準委任契約とは、成果物の完成ではなく、作業を行うこと自体を約束する契約です。
準委任契約では、客先が要員に直接細かく指示を出すと、偽装請負を疑われることがあります。
コンサル案件は、エンドの会議に出る場面が多いため、この点を事前に確認しておきましょう。
指示の線引きは「準委任契約の指揮命令はどこまで?SES現場のOK・NG具体例20」で具体例を紹介しています。
コンサル案件とSIer案件を取りこぼさない管理のしかた
まずは案件を「元請けの種類」で分けて記録するところから始めましょう。 自分でやるなら、スプレッドシートで十分です。
自分でやる方法
案件管理の表に「元請けの種類(コンサル/SIer/エンド直)」の列を足す
「工程(PMO/要件定義/設計・開発/運用)」の列も足す
「再委託の可否」を必ず記入する
人材の表に「資料作成」「会議運営」の経験の有無を足す
週に1回、コンサル案件とPMO向き人材を照らし合わせる
この5つだけで、「PMO向きの人がいたのに提案しそびれた」というミスが減ります。
もっと楽にするなら:チョータツ
案件メールが1日に何百通も届くと、表への記録が追いつかなくなります。チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。
案件と人材の情報を1か所で管理・共有できる
AIが入力を手伝うので、記録の手間を減らせる
パートナーへのメール配信機能で、PMO向き人材の情報をまとめて送れる
他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベースにできる
3,000社以上が利用していて、無料で始められます。コンサル案件にもSIer案件にも、手元の人材をすぐ当てられる状態を作れます。
よくある質問
- Q. ITコンサルとSIerの一番の違いは何ですか?
- 担当する工程です。ITコンサルは「何を作るか・どう進めるか」を決める上流を、SIerは設計から開発・運用までの「作る」工程を主に担います。
- Q. SIerからコンサルに発注することはありますか?
- あります。大きなプロジェクトでは、コンサルとSIerが同じエンドの仕事を分担することもあります。案件メールでは、元請けがどちらかを必ず確認しましょう。
- Q. SES企業がコンサルファームの案件に入ることはできますか?
- できます。主な入口はPMO案件です。ただし「BP不可」「貴社社員のみ」など再委託の条件がきびしい案件もあるため、提案前に確認が必要です。
- Q. コンサル案件のPMOは単価が高いですか?
- 型によります。当サイトの試算では、事務局型が月60万〜70万円台、推進型が月110万円前後です。推進型ならSIer経由の開発案件より高くなることがあります。
- Q. 開発経験しかないエンジニアをPMOに提案できますか?
- できますが、資料作成や会議運営の経験を具体的に示す必要があります。スキルシートで、進捗報告や議事録作成の経験を書き出しましょう。
- Q. コンサル案件とSIer案件で、面談の準備は変わりますか?
- 変わります。コンサル案件は進め方・報告の仕方・資料の見本を、SIer案件は技術の経験と担当範囲を中心に準備します。
まとめ
ITコンサルは「決める人」、SIerは「作る人」。担当工程が違う
商流では、ITコンサルはエンドの横、SIerはエンドから開発を受ける元請けの位置が基本
SES企業がコンサル側に入る主な入口はPMO案件。単価の目安は事務局型で月60万〜70万円台、推進型で月110万円前後
PMOで求められるのは、資料作成・会議運営・調整の力
案件メールでは「元請けの種類」「担当工程」「再委託の可否」の3点を先に確認する
案件と人材を元請けの種類・工程で整理しておくと、提案の取りこぼしが減る。管理を楽にするならチョータツ
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「ITコンサルタント」
厚生労働省 職業情報提供サイト(job tag)「システムエンジニア(受託開発)」