情報サービス業の倒産件数2026|倒産が増える理由と、SES営業が売掛金を守る10のチェック

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

情報サービス業の倒産件数(2026年9月時点)

情報サービス業の倒産は、高い水準が続いています。ここでは、民間の信用調査会社2社の集計を使って数字を整理します。

倒産とは、会社が借金や支払いを続けられなくなり、事業を続けられなくなった状態のことです。集計では主に、裁判所を通す「法的整理」(破産・民事再生など)を数えます。

集計期間件数ポイント
ソフトウェア業(帝国データバンク)2024年度(通年)220件2025年度も同じペースで推移
ソフトウェア業(帝国データバンク)2025年度(2月末まで)195件前年同期と同じ195件
情報通信業(東京商工リサーチ)2025年12月46件前年同月比39.3%増。2025年で最多
情報通信業(東京商工リサーチ)2026年8月41件前年同月比10.8%増。6カ月連続の増加

※ 帝国データバンクは負債1,000万円以上・法的整理が対象です。数字は2026年9月30日に各社の公表資料で確認しました。

ソフトウェア業の倒産の内訳

帝国データバンクの2025年度(2月末まで)の195件は、次のように分かれます。

分類件数特徴
ソフト受託開発157件全体の約8割。SES企業の多くがここに入る
パッケージソフトウェア38件過去最多を更新する見通し
負債1億円未満(規模別)165件全体の約85%(84.6%)が小さな会社

ソフト受託開発とは、お客さんから注文を受けてシステムやソフトを作る仕事のことです。SES企業は、業種を「受託開発ソフトウェア業」として登録していることが多いです。

全体の倒産件数との比べ方

全業種の倒産は、2025年に10,300件で、前年より2.9%増えました(東京商工リサーチ、負債1,000万円以上)。2026年8月は830件で、前年同月より3.1%増えています。

倒産は業種を問わず増えています。その中で、情報通信業は増え方がはっきりしている業種の1つです。

SES企業だけの倒産件数は公表されていない

SES企業だけに絞った倒産件数は、2026年9月時点で公表されていません。信用調査会社の集計は、「ソフトウェア業」「情報通信業」といった業種の単位だからです。

そのため、SESの倒産の動きを知りたいときは、ソフト受託開発の件数を目安にするのが現実的です。受託開発とSESは、同じ業種で登録されていることが多いためです。

一方で、市場そのものは縮んでいません。2024年の情報サービス業の売上高は約17.9兆円で、前年の105.5%でした(経済産業省の特定サービス産業動態統計)。2026年7月分(総務省のサービス産業動態統計)も前年同月比8.2%増です。

市場は伸びているのに、倒産は多いのが、今の情報サービス業の特徴です。お金が大手や元請けに集まり、小さな会社ほど苦しくなっていると読めます。

SES・ソフトウェア業の倒産が増える3つの理由

倒産が増える主な理由は、人手不足・下請け構造・資金繰りの3つです。帝国データバンクの分析をもとに、SES営業の目線で整理します。

理由1:人手不足で人件費が上がる

1つ目の理由は、エンジニアが足りず、給料を上げないと人が集まらないことです。正社員が足りないと感じる情報サービス業の会社は、69.2%でした(帝国データバンク、2026年1月時点)。情報サービス業の月給も38万3,755円と、前年より2.5%上がっています。

SES企業では、エンジニアの給料が上がっても、お客さんへの単価をすぐには上げられません。その差が利益を削ります。東京商工リサーチの集計でも、全業種の人手不足関連倒産は2026年8月に32件(前年同月23件)と増えています。

理由2:多重下請けで価格交渉に弱い

2つ目の理由は、下請けの深い位置にいる会社ほど、価格交渉で不利になることです。帝国データバンクも、多層的な業務委託の構造で、下請け企業が不利になりやすいと指摘しています。

多重下請けとは、エンドの仕事が元請け・一次請け・二次請けと、何社も通って流れる構造のことです。下の会社ほど手元に残るお金が少なく、コストが上がったときに耐えられません。

理由3:入金までの資金繰りが続かない

3つ目の理由は、エンジニアへの給料を先に払い、お客さんからの入金が後になることです。支払いサイトとは、請求の締め日から入金日までの期間のことです。

たとえば「月末締め翌々月末払い」だと、入金は約60日後です。その間の給料や社会保険料は、自社のお金で立て替えます。待機のエンジニアが増えると、すぐにお金が足りなくなります。

→ SESの黒字倒産を防ぐ資金繰り|支払いサイトの差と対策6つ

背景:ユーザー企業の内製化

内製化とは、ユーザー企業が外の会社に頼んでいたシステム開発を、自社の社員でやるようにすることです。

帝国データバンクの分析では、内製化は倒産の理由として数字では示されていません。ただし、SES営業の現場では、内製化で「外部に出す仕事の中身が変わる」動きが起きています。上流の設計を社内で持ち、作業だけを外に出す流れです。深い商流にいる会社ほど、単価の低い仕事が回ってきやすくなります。

→ SESへの内製化の影響|ユーザー企業の動きと営業の打ち手5つ

理由起きること苦しくなりやすい会社
人手不足給料が上がり利益が減る単価を上げられない会社
多重下請け価格交渉で不利になる二次請け以降の会社
資金繰り入金前にお金が尽きる支払いサイトが長い会社
内製化(背景)単価の低い仕事が増える下流の作業が中心の会社

SES営業にとっての倒産リスクは「売掛金が回収できないこと」

SES営業にとって一番の問題は、取引先が倒産すると売掛金が戻ってこないことです。売掛金とは、仕事は終わっているのに、まだ入金されていないお金のことです。

SESでは、1人のエンジニアで月60万〜80万円ほどの請求になる案件も多くあります。支払いサイトが60日なら、2カ月分が常に未入金です。3人を出していれば、計算上は数百万円になります。

計算例(単価70万円・3人・支払いサイト約60日)

  1. 1カ月の請求額:70万円 × 3人 = 210万円

  2. 未入金になっている月数:約2カ月

  3. 倒産で戻らない可能性があるお金:210万円 × 2 = 420万円

しかも、エンジニアへの給料は払い続けます。売上が消えて、費用だけが残るのが、取引先の倒産です。

反対に、自社がBPから人材を受けている場合もあります。その場合は、自社の上の会社が倒れると、BPへの支払いと入金がずれて自社が苦しくなります。

取引先の危ないサイン10項目チェックリスト

取引先の倒産は、事前にサインが出ることが多いです。SES営業が日々のやりとりで気づける10項目をまとめました。3つ以上当てはまったら、上司と対応を相談しましょう。

#サイン気づく場面
1入金日が遅れる、少しずつずれる毎月の入金確認
2支払いサイトを延ばしたいと言われる契約更新の打ち合わせ
3単価の値下げを急に頼まれる契約更新の打ち合わせ
4担当者や役員がよく辞めるメールの署名・連絡先の変化
5返信が遅い、連絡がつきにくい日々のメール
6手形や、すぐ現金にできない方法で払おうとする請求・支払いの相談
7自社エンジニアの給料遅れの話を聞くエンジニアとの面談
8案件の数が急に減る、配信メールが止まる案件の情報交換
9本社の移転や、事務所の縮小登記・公式サイト
10主な取引先(エンド・元請け)を失った噂業界の情報交換

特に1と2(入金の遅れと支払いサイトの延長)は、お金が回っていないはっきりしたサインです。1回でも遅れたら、その月のうちに理由を確認しましょう。

当てはまった数で決める対応表

サインの数に応じて、営業の動きを社内で決めておくと迷いません。

当てはまった数営業の対応決める人
0〜2個通常どおり。入金だけ毎月確認担当営業
3〜4個新しい人材の提案を止める。未入金の額を上司に報告営業責任者
5個以上・入金遅れあり更新を見送る準備。エンジニアの次の案件を探し始める経営者

取引を減らす・やめるときの伝え方は「BPとの取引停止の判断基準と伝え方|SESの連絡例文と注意点」で紹介しています。

入金が遅れたときの最初の確認メール例文

初回は責めずに、事実と期日だけを確認します。

件名:10月末入金分のご確認(株式会社〇〇 △△)

いつもお世話になっております。株式会社〇〇の△△です。
9月分のご請求(請求書番号:No.0930-01、金額:770,000円)について確認のご連絡です。
10月31日(土)のお支払い予定でしたが、本日時点で入金を確認できておりません。
行き違いでしたら申し訳ございません。お支払い予定日をお知らせいただけますでしょうか。

返事がない、期日が延びたときの督促は「SESの支払い遅延への対応|督促メール例文と入金までの6ステップ」を使ってください。サインの確かめ方は「SES企業の倒産の原因と前兆|取引先の危ないサイン10個と確認法」でさらに詳しく解説しています。

支払い条件の法律ルールも知っておく

2026年1月1日から、下請法が「取適法」(中小受託取引適正化法)に変わりました。取適法とは、発注する会社が、小さな受注側の会社に不利な取引をしないよう決めた法律のことです。

発注した仕事を受け取った日(役務なら提供を受けた日)から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を決める義務があります。手形での支払いも禁止されました。SESの仕事の多くは「役務提供委託」や「情報成果物作成委託」として対象になりえます。

支払いを極端に遅らせる取引先は、法律上の問題を抱えている可能性もあります。対象になるかは、資本金や従業員数などで決まるため、公正取引委員会の資料で確認してください。

取引先の倒産から売掛金を守る5つの手順

売掛金を守るには、「取引前に調べる→取引中に見張る→条件で守る」の順で備えます。自社でできる手順を5つにまとめました。

  1. 取引前に与信チェックをする
    与信とは、相手にどこまで後払いを任せてよいかを判断することです。法人番号公表サイトで会社の実在を確かめ、信用調査会社の情報も参考にします。→ SESの取引先の与信チェック方法|反社チェックと確認手順5ステップ

  2. 取引先ごとの上限額を決める
    「この会社には、未入金が最大〇〇万円まで」と決めます。上限を超えそうなら、新しい人材の提案を止めます。
    例:月の請求が210万円、支払いサイトが約2か月なら、未入金は常に約420万円です。上限を500万円と決めると、単価70万円の人をもう1人出す余裕はありません。

  3. 支払いサイトを短くする交渉をする
    新しい契約や更新のときに、「月末締め翌月末払い」など短い条件を求めます。→ SESの支払いサイトの相場は?一般的な日数と短縮交渉のコツ

  4. 毎月の入金を必ず確認する
    営業事務と連携し、入金日にずれがないかを毎月見ます。遅れた会社は一覧にして、営業会議で共有します。

  5. 1社への依存度を下げる
    売上の多くを1社に頼っていると、その会社の倒産で自社も危なくなります。取引先を分散させておきましょう。

公的な備え:経営セーフティ共済

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)とは、取引先の倒産時に、無担保・無保証人でお金を借りられる国の制度のことです。中小企業基盤整備機構が運営しています。

項目内容
掛金月5,000円〜20万円で自由に選べる
借りられる額回収できなくなった売掛金などと、掛金総額の10倍(最高8,000万円)の少ないほう
条件取引先が倒産し、売掛金などの回収が難しくなったとき

経営者や経理の担当と一緒に、加入しているかを確認しておくと安心です。

回収できなくなったとき

取引先の入金が止まったら、早く動くほど回収できる可能性が上がります。督促、内容証明、少額訴訟などの段階があります。

→ 取引先がすでに倒産したとき:SESの取引先が倒産したら売掛金は?回収の手順と今すぐやること

チョータツで取引先を分散させ、1社に頼らない営業にする

取引先の倒産に強い会社は、案件をもらえる取引先が多い会社です。1社が倒れても、自社のエンジニアを次の案件にすぐ提案できるからです。

自分でやる場合は、BPから届く案件メールを読み、Excelに転記して管理します。取引先が増えるほど、この作業が重くなります。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
取引先の案件を把握するメールを読んでExcelに転記連携した会社の営業中案件がデータベースになる
自社の人材を届けるBCCで一斉送信メール配信機能でパートナーに届ける
案件・人材の情報を社内で共有ファイルを回覧案件・人材の情報をまとめて管理・共有

チョータツは、3,000社以上が使っているSES営業の案件・人材の管理・共有ツールです。無料で始められます。取引先を増やして分散させる土台として使えます。

届くメールが多すぎる場合は、チョータツメールAIも使えます。届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分けます。

よくある質問

Q. 情報サービス業の倒産件数は2026年も増えていますか?
増えています。東京商工リサーチの集計で、情報通信業の倒産は2026年8月に41件でした。前年同月を6カ月連続で上回っています。
Q. SES企業の倒産件数だけを知る方法はありますか?
SESだけの集計は、2026年9月時点で公表されていません。SES企業の多くが入る「ソフト受託開発」の件数を目安にしましょう。2025年度は2月末までで157件でした(帝国データバンク)。
Q. SESの倒産が増えている理由は何ですか?
主な理由は、人手不足による人件費の上昇、多重下請けで価格交渉に弱いこと、入金までの資金繰りの3つです。ソフトウェア業の倒産の約85%は負債1億円未満の小さな会社です。
Q. ソフトウェア業の倒産は内製化が原因ですか?
帝国データバンクの分析では、内製化は倒産理由として数字で示されていません。ただし、内製化で外部に出す仕事が下流の作業に寄り、深い商流の会社ほど単価が上がりにくい面はあります。
Q. 取引先が倒産したら、エンジニアはどうなりますか?
現場の仕事がなくなる可能性があります。すぐに次の案件を探す必要があるため、日頃から複数の取引先と案件の情報交換をしておくことが大切です。
Q. 取引先の倒産に備えて、営業が今日からできることは?
毎月の入金日を確認し、遅れた会社を一覧にすることです。あわせて、取引先ごとの未入金の上限額を決めておきましょう。

まとめ

  • ソフトウェア業の倒産は高い水準が続く。2025年度は2月末までで195件、2024年度は通年220件(帝国データバンク)

  • 情報通信業の倒産は2026年8月に41件で、6カ月連続の増加(東京商工リサーチ)

  • SESだけの件数はなく、「ソフト受託開発」(2025年度2月末まで157件)が目安

  • 理由は人手不足・多重下請け・資金繰りの3つ。倒産の約85%は負債1億円未満の会社

  • 営業は10項目のサインを見て、与信・上限額・支払いサイト・入金確認・分散の5手順で売掛金を守る

  • 取引先を分散させる土台として、チョータツの連携で営業中案件を集めておく

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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