メール営業代行は使うべき?SESの一斉配信を外注する前の判断基準と依頼前チェック10項目
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
メール営業代行とは?SESでの使われ方
メール営業代行とは、営業メールの作成・送信・返信の取り次ぎを、外部の会社に任せるサービスのことです。
リストの作成から、問い合わせフォームへの送信までまとめて請け負う会社もあります。
似た言葉に「メール配信代行」「メルマガ配信代行」「ニュースレター発送代行」があります。
どれも「送る作業を外に出す」点は同じですが、任せる範囲が違います。
| サービス名 | 主に任せること | SES営業での使い道 |
|---|---|---|
| メール営業代行 | リスト作成、文面作成、送信、返信の取り次ぎ | 取引のない会社への新規開拓 |
| 問い合わせフォーム営業代行 | 相手企業のWebフォームへの書き込み | パートナー募集への応募、新規開拓 |
| メール配信代行・メルマガ配信代行 | 自社が用意した名簿・文面の一斉送信 | 既存BPへの定期的なお知らせ |
| ニュースレター発送代行 | 紙やメールの定期便の制作・発送 | 会社紹介や実績の定期報告 |
SES営業のメールは、大きく2種類に分かれます。
1つは取引中のBPに毎日送る案件メール・人材メールです。もう1つはまだ取引のない会社に送る開拓のメールです。
この2つは性質がまったく違うので、代行を使うかどうかも分けて考えます。
BPとは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。営業全体を外に任せる考え方は、営業代行とは?SES企業の選び方・比較ポイントと任せる業務で整理しています。
外注か自社配信か:判断の4つの軸
判断の軸は「配信頻度」「情報の鮮度」「返信対応の速さ」「同意の取り方」の4つです。
4つのうち3つ以上で「自社向き」なら、代行より自社で配信する方が成果が出やすいです。
| 判断の軸 | 代行が向く場合 | 自社配信が向く場合 |
|---|---|---|
| 配信頻度 | 月に数回、決まった内容を送る | 毎日〜週数回、内容が毎回変わる |
| 情報の鮮度 | 数週間たっても古くならない内容 | 案件・人材のように数日で埋まる内容 |
| 返信対応の速さ | 返信が少なく、翌日対応でもよい | 返信にその日のうちに答える必要がある |
| 同意の取り方 | 同意の記録や配信停止を代行側でも管理できる | 名刺交換や取引開始で自社が同意を得ている |
配信頻度:毎日送るなら自社の方が安い
配信の回数が多いほど、自社で配信した方が手間もお金もかかりません。
SESの案件・人材メールは、毎日のように送る会社も少なくありません。1回ごとに代行会社へ原稿を渡すと、その受け渡しだけで時間がかかります。
情報の鮮度:案件と人材は「その日」が勝負
案件・人材の情報は、数日で埋まったり決まったりします。
代行会社へ渡してから送られるまでに半日空くと、先に他社の提案が通ることがあります。
このため、鮮度が命の情報ほど、自社ですぐ送れる形が向いています。
返信対応の速さ:返信を取り次ぎ待ちにしない
返信に早く答えられるかどうかで、面談に進めるかが決まります。
代行会社が返信を受けて転送する形だと、返事が翌日になることがあります。
「この人材、まだ空いていますか?」への返事は、その日のうちに出したいところです。
同意の取り方:誰が同意を得て、誰が記録するか
広告・宣伝のメールは、原則として相手の同意が必要です。
代行を使う場合は、同意をどちらが取り、どちらが記録を残すかを決めておきます。詳しくは、後ろの「特定電子メール法」の見出しで説明します。
代行が向く場面・向かない場面
代行が向くのは「新規開拓の最初の一通」、向かないのは「取引中のBPへの毎日の配信」です。
SES営業の仕事ごとに、どちらが合うかを整理しました。
| 仕事の場面 | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| 取引中BPへの案件・人材メール | 自社配信 | 毎日送る、鮮度が大事、返信が速さ勝負 |
| パートナー募集ページへの応募 | 自社 or 代行 | 件数が多ければ代行で手間を減らせる |
| 取引のない会社へのフォーム営業 | 代行も可 | リスト作りと送信を外に出せる |
| 会社紹介・実績のニュースレター | 代行も可 | 月1回程度で、内容が古くなりにくい |
代行を使うメリット
リスト作りと送信の時間を減らせる:営業担当は、返信が来た会社との面談に集中できます
文面の型を持っている:開拓のメールを書き慣れていない会社でも、すぐ始められます
件数をこなせる:数百〜数千の会社への最初の連絡を、短い期間で終えられます
代行を使うデメリット
自社の強みが伝わりにくい:得意な商流やスキルの細かい話は、外の人には書きにくいです
返信の取り次ぎで時間が空く:返事の遅れが、そのまま機会の損失になります
送り先の評判が自社に返ってくる:「営業お断り」の会社へ送れば、自社の名前で嫌がられます
費用の相場や料金の型は、SESの営業代行の費用相場で詳しく比べています。
特定電子メール法:代行に任せても自社の責任は残る
代行会社に送信を任せても、特定電子メール法のルールは自社にも関わります。
「送ったのは代行会社だから関係ない」とは言えないので、依頼前に確認しておきましょう。
特定電子メール法とは、広告・宣伝のメールの送り方を決めた法律のことです。
正式な名前は「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」です。営業のために会社が送るメールが対象になります(第2条第2号)。
守るべき3つのルール
原則として、事前に同意を得る(第3条第1項)。これをオプトインと呼びます
同意を得た記録を残す(第3条第2項)
送信者の名前や、配信停止の連絡先などを表示する(第4条)。配信停止を求められたら、その後は送らない(第3条第3項)
ただし、同意がなくても送れる例外があります(第3条第1項)。
たとえば、名刺交換などで自分のメールアドレスを知らせてくれた相手です。取引関係にある相手や、メールアドレスをWebで公表している会社も例外に入ります。
公表している会社でも、「広告メールを送らないで」と一緒に書いてある場合は送れません。
送信を任せた会社は「送信委託者」
送信委託者とは、営業のためのメールの送信を、ほかの会社に任せた会社のことです(第3条第1項第1号)。
メール営業代行を使うSES企業は、この送信委託者にあたります。
法律では、送信委託者に向けて同意を伝えることも、有効な同意として扱われます。
一方で、送信委託者が同意の受付や記録の保存を担い、違反に責任があると認められることもあります。その場合、国は代行会社とあわせて送信委託者にも改善を命じることがあります(第7条)。
この命令に従わないと、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金です(第34条)。会社には3,000万円以下の罰金が科されることがあります(第37条)。
同意の記録の保存に関する命令に従わない場合は、100万円以下の罰金です(第35条)。
代行会社に必ず確かめる3点
送り先のリストは、同意や例外に当てはまる相手だけか
同意の記録は、どちらがどの形で保存するか
メールに表示する送信者名・配信停止の連絡先は、どちらの会社にするか
フォーム営業の扱い
この法律の「電子メール」は、総務省令でSMTP方式(ふつうのメール)とSMSに限られています(第2条第1号)。
そのため、Webフォームへの書き込みは対象外とする見方が一般的です。ただし、返信をもらった後にメールで宣伝を送れば、この法律がかかります。
フォーム営業の送り方と例文は、SESの問い合わせフォーム営業の例文5つにまとめています。
人材情報を代行会社に渡すときの注意
人材メールを代行に任せると、エンジニアの個人情報を外に渡すことになります。
個人情報保護法では、仕事を任せる相手に個人情報を渡すとき、任せた側が相手を監督する義務があります(第25条)。
最初の連絡では、名前を伏せた概要だけにしておくと安全です。
代行に依頼する前のチェックリスト10項目
依頼前に次の10項目を確認すれば、「頼んだのに成果が出ない」を減らせます。
代行会社との打ち合わせで、そのまま質問に使ってください。
| # | 確認すること | 確認のしかた |
|---|---|---|
| 1 | 送る相手はSES企業・IT企業に絞れるか | リストの作り方と業種の条件を聞く |
| 2 | 「営業お断り」の会社を除けるか | 除外のルールを文書でもらう |
| 3 | 同意の記録を誰が保存するか | 契約書・発注書に書いてもらう |
| 4 | 送信者名と配信停止の窓口はどちらか | 送信前の文面見本で確認する |
| 5 | 文面は自社が最終確認できるか | 確認の流れと日数を聞く |
| 6 | 返信は何時間以内に転送されるか | 転送の方法と時間を決める |
| 7 | 成果を何で数えるか | 送信数・返信数・面談数のどれかを決める |
| 8 | 配信停止の依頼が来たらどう止めるか | 停止リストの共有方法を決める |
| 9 | エンジニアの個人情報をどう扱うか | 渡す情報の範囲と、秘密保持の約束を決める |
| 10 | 途中でやめるときの条件 | 最低契約期間と解約の連絡時期を聞く |
特に3・4・8は、特定電子メール法に関わる項目です。
あいまいなまま始めると、配信停止を求めた会社にまた送ってしまう、という事故につながります。
代行会社の選び方の全体像は、営業代行とは?SES企業の選び方・比較ポイントと任せる業務で整理しています。
自社で一斉配信するときの手順5ステップ
自社で配信するなら、「名簿→同意の記録→文面の型→配信→返信管理」の順で整えます。
取引中のBPへの案件・人材メールは、この手順で自社に残すのがおすすめです。
配信先の名簿を作る:取引中・取引予定のBPを、担当者名・メールアドレス・得意分野で一覧にします
同意の記録を残す:名刺交換の日、取引開始の日、同意をもらった方法を名簿に書き足します
文面の型を決める:件名の付け方と、条件面の書き方をそろえます。1通に入れる案件・人材の数も決めておきます
決まった時間に配信する:朝一番など、相手が読みやすい時間にそろえます。BCCへの入れ間違いに注意します
返信をその日のうちに返す:返信の担当を決め、提案の結果を名簿に残します
件名や本文の書き方は、SESの条件面の書き方|案件・人材メールに入れる項目14が参考になります。
自社配信で多いつまずきは、迷惑メールフォルダに入ってしまうことです。対策はSESの一斉配信が迷惑メールに入る原因|SPF・DMARCの設定手順で解説しています。配信停止の依頼への返し方は営業メールの配信停止依頼への対応|特定電子メール法と返信例文にまとめています。
案件メールの例文(取引中のBP向け)
件名:【案件】Java/基本設計〜/東京都港区/2026年11月〜
○○株式会社 ○○様
いつもお世話になっております。株式会社○○の○○です。
次の案件で、ご提案いただける方がいらっしゃいましたらご連絡ください。■内容:業務システムの改修(Java)
■開始:2026年11月2日(月)〜長期
■場所:東京都港区(週2日リモート可)
■募集:1名配信停止をご希望の方は、このメールにその旨ご返信ください。
株式会社○○(東京都○○区○○)営業部 ○○
末尾に送信者の会社名・住所と配信停止の方法を入れると、特定電子メール法の表示のルールも満たしやすくなります。
チョータツで自社配信を楽にする方法
チョータツを使うと、案件・人材の管理とパートナーへのメール配信を、ひとつのツールで進められます。
自社配信の手順5ステップのうち、案件・人材の情報の整理と配信の手間を減らせます。
| 自社配信の悩み | チョータツでできること |
|---|---|
| Excelの案件表とメールソフトを行き来している | 案件・人材の情報を管理・共有でき、パートナーへのメール配信機能もある |
| 入力に時間がかかる | AIが入力を手伝う |
| 他社の営業中案件・人材を探すのに時間がかかる | 他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる |
| 新しい配信先(取引先)を増やしたい | チョータツブーストで、新しいパートナー企業を開拓できる |
代行会社に頼むのは、多くの場合「まだ取引のない会社を増やしたい」ときです。
その目的なら、チョータツの中で新しいパートナーを開拓できるチョータツブーストも選択肢になります。
チョータツで他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できます。
チョータツは3,000社以上が利用しており、無料で始められます。
よくある質問
- Q. メール営業代行とメール配信代行は何が違いますか?
- メール営業代行は、リスト作りや文面作成まで含めて営業を任せるサービスです。メール配信代行は、自社が用意した名簿と文面を送る作業だけを任せるサービスです。
- Q. 問い合わせフォーム営業の代行は、特定電子メール法の対象ですか?
- 法律の「電子メール」はSMTP方式とSMSに限られるため、フォームへの書き込みは対象外とする見方が一般的です。ただし返信後にメールで宣伝を送るときは対象になります。
- Q. 代行会社が法律に違反したら、依頼した会社も責任を負いますか?
- 依頼した会社は「送信委託者」にあたります。同意の受付や記録の保存を担い、違反に責任があると認められると、改善の命令を受けることがあります(第7条)。
- Q. 取引中のBPへの案件メールにも同意は必要ですか?
- 取引関係にある相手や、名刺交換でアドレスを知らせてくれた相手には、同意がなくても送れる例外があります。ただし送信者名と配信停止の方法の表示は必要です。
- Q. メルマガやニュースレターの発送は代行してもよいですか?
- 月1回程度の会社紹介や実績報告なら、代行でも問題になりにくいです。内容が古くなりにくく、返信の速さも求められないからです。
- Q. 代行と自社配信は併用できますか?
- できます。新規開拓の最初の連絡は代行、返信が来た会社と取引中のBPへの配信は自社、と分けるのがおすすめです。
まとめ
メール営業代行は、リスト作り・文面作成・送信・返信の取り次ぎを外部に任せるサービス
判断の軸は、配信頻度・情報の鮮度・返信対応の速さ・同意の取り方の4つ
取引中のBPへの案件・人材メールは、鮮度と返信の速さが大事なので自社配信が基本
代行が向くのは、まだ取引のない会社への新規開拓の最初の一通
代行を使っても、送信委託者として特定電子メール法の命令を受けることがある。同意・表示・配信停止を依頼前に決める
自社配信はチョータツのメール配信機能、新しい取引先づくりはチョータツブーストで手間を減らせる
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
e-Gov法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(第2条・第3条・第4条・第7条・第34条・第35条・第37条)
e-Gov法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第二条第一号の通信方式を定める省令」(SMTPとSMSの2方式)
e-Gov法令検索「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律施行規則」(公表アドレスの例外、表示事項)
総務省「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律のポイント」(送信委託者の責任、同意の記録、表示義務)
総務省「迷惑メール対策」
個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(委託先の監督)