派遣元管理台帳とは?記載項目・保管期間3年と派遣先管理台帳との違い|SESと派遣を併用する会社向け

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

派遣元管理台帳とは?誰が、いつ作るのか

派遣元管理台帳とは、派遣した自社の社員ごとに、派遣の条件や支援の記録をまとめる帳簿のことです。 労働者派遣法第37条で作成と保存が義務づけられています。

派遣元事業主とは、労働者派遣事業の許可を受けて、自社で雇った人をほかの会社へ派遣する会社のことです。SES会社でも、派遣の許可を持ち、派遣契約でエンジニアを出していれば派遣元事業主にあたります。

作り方の基本は、施行規則第30条で次のように決まっています。

決まりごと内容根拠
作る単位派遣元の事業所ごとに作る施行規則第30条第1項
書く単位派遣する人(派遣労働者)ごとに書く法第37条第1項
書くとき派遣を始めるときに書く施行規則第30条第2項
書き直すとき派遣先から届いた実績の通知が、台帳の中身と違うとき、そのつど書く施行規則第30条第3項

たとえば本社と大阪支店の両方から派遣しているなら、台帳は本社と大阪支店で分けて作ります。派遣元と派遣先の責任の分担は、派遣元・派遣先とは?違いと責任の分担をSES営業向けに一覧で解説で一覧にしています。

派遣元管理台帳の保管期間は「派遣が終わった日から3年」

派遣元管理台帳は3年間保存します。 数え始める日(起算日)は、台帳を作った日ではなく「労働者派遣の終了の日」です(施行規則第32条)。

ここでいう「終了の日」は、その人の派遣が実際に終わった日です。契約を更新して同じ派遣先で働き続けている間は、まだ数え始めません。

保管期間の計算例(2026年の暦で)

ケース派遣が終わった日保管しておく目安
2026年4月1日から半年の派遣で終了2026年9月30日2029年9月末まで
3か月ごとに更新し、2026年12月で終了2026年12月31日2029年12月末まで
派遣終了後、準委任契約に切り替えて継続派遣契約が終わった日その日から3年

3つめのケースは、SESと派遣を併用する会社で起こりやすい形です。派遣の期間が終わった日から3年は、派遣時代の台帳を残しておきます。準委任に切り替えたあとの記録は、派遣元管理台帳には書きません。

捨ててよいかを確かめる手順

  1. 台帳ごとに「派遣が終わった日」を一覧にする

  2. その日から3年たったかを確かめる

  3. 同じ人の派遣が、別の契約で続いていないかを確かめる

  4. 苦情の処理など、話がついていない件がないかを確かめる

  5. すべて問題ないものだけを、まとめて廃棄する

保存しなかった場合は、労働者派遣法第61条により30万円以下の罰金の対象になります。作成や記載をしなかった場合も同じです。

派遣元管理台帳の記載項目(法律と施行規則で決まった24項目)

派遣元管理台帳には、労働者派遣法第37条第1項の12項目と、施行規則第31条の12項目を書きます。 決まった様式はないので、項目がそろっていれば形は自由です。

法律(第37条第1項)で決まっている項目

#項目SES会社での書き方の例
1協定対象派遣労働者かどうか「協定対象」または「協定対象でない」
2無期雇用か有期雇用か(有期なら契約期間)「有期:2026年10月1日〜2027年3月31日」
360歳以上かどうか「60歳未満」
4派遣先の名称客先の正式な会社名
5就業の場所と組織単位客先の事業所名・住所、配属の部署
6派遣の期間と就業する日「2026年10月1日〜12月31日、月〜金」
7始業・終業の時刻「9:00〜18:00」
8従事する業務の種類「Javaを使った業務システムの開発」
9雇用安定措置として行ったこと「派遣先へ直接雇用を依頼(2026年11月)」
10教育訓練の日時と内容「2026年10月15日 13:00〜17:00 クラウド基礎研修」
11本人から受けた苦情の処理受けた日、内容、対応、結果
12紹介予定派遣に関すること紹介予定派遣のときだけ書く

協定対象派遣労働者とは、派遣元が労使協定を結び、その協定で賃金などを決めている派遣労働者のことです。無期雇用派遣とは、派遣元と期間の定めのない雇用契約を結んでいる派遣労働者のことです。

雇用安定措置とは、派遣が終わる見込みの人に、直接雇用の依頼や次の派遣先の紹介などを行うことです(法第30条第1項)。

施行規則(第31条)で決まっている項目

#項目書き方のポイント
13派遣労働者の氏名本人の氏名
14業務に伴う責任の程度「役職なし」「リーダー(部下2名)」など
15事業所の名称派遣先の事業所名
16派遣元責任者と派遣先責任者氏名・役職・連絡先
17日雇派遣の例外業務のときの号番号日雇派遣が認められた業務で派遣するときだけ
18〜21期間制限の例外にあたるときの事項有期プロジェクト、日数限定業務、産休・育休や介護休業の代わりのときだけ
22雇用安定措置について本人から聞いた希望聞いた日と希望の中身
23キャリアに関する相談などの援助をした日と内容キャリアコンサルティングの記録
24社会保険・雇用保険などの加入の通知内容派遣先へ伝えた加入状況

17〜21は、条件にあてはまる派遣のときだけ書く項目です。ITエンジニアの通常の派遣なら、空欄や「該当なし」で足ります。

キャリアコンサルティング・教育訓練・雇用安定措置の書き方

派遣元管理台帳でいちばん書き漏れやすいのは、雇い主としての支援の記録です。 キャリアコンサルティング、教育訓練、雇用安定措置の3つは、日付と中身がわかる形で残します。

キャリアコンサルティングとは、働く人の希望や適性を聞き、今後の仕事や学び方を一緒に考える相談のことです。派遣元は、派遣労働者から求められたら、相談の機会を用意するなどの援助をしなければなりません(法第30条の2第2項)。

記入例(2026年の暦で)

欄記入例
キャリアコンサルティング2026年10月20日。本人の希望によりオンラインで60分。クラウド系の案件に移りたいとの希望を聞き、資格の取り方を相談
教育訓練2026年11月5日 10:00〜12:00。情報セキュリティ研修(社内講師、Off-JT)
雇用安定措置の希望2026年12月1日に聞き取り。「次も派遣で、別の開発案件を希望」
雇用安定措置の実施2026年12月10日。次の派遣先として2社を紹介

教育訓練の欄は、法第30条の2第1項にもとづく段階的・体系的な教育訓練を書く欄です(施行規則第30条の2)。仕事から離れて行う研修(Off-JT)も、仕事をしながら計画的に行う訓練(OJT)も含みます。

SES会社では、キャリア面談を営業担当が行うこともよくあります。面談のたびに「日付・方法・時間・話した内容」の4点をメモしておくと、台帳にそのまま転記できます。

営業がそのまま使える面談メモのひな形です。

例文・テンプレート
【キャリア相談メモ】派遣元管理台帳 転記用
氏名:山田太郎 派遣先:株式会社△△
日時:2026年10月20日 18:00〜19:00 方法:オンライン
相談のきっかけ:本人の申し出/定期面談
本人の希望:クラウド系の案件に移りたい
会社から伝えたこと:AWS資格の受験費用補助の案内
次の対応:11月の定期面談で学習状況を確認
記入者:営業部 佐藤

常駐しているエンジニアとの定期面談の進め方は、SESの定期面談(FB面談)のやり方|質問10とシート例で紹介しています。

派遣元管理台帳と派遣先管理台帳の違い

2つの台帳のいちばんの違いは、作る会社と記録の中心です。 派遣元管理台帳は雇い主の記録、派遣先管理台帳は現場で働いた実績の記録です。

派遣先管理台帳とは、受け入れた派遣労働者の働いた日時や仕事を、派遣先が記録する帳簿のことです(労働者派遣法第42条)。

比べる点派遣元管理台帳派遣先管理台帳
作る会社派遣元(送り出す会社)派遣先(受け入れる会社)
記録の中心派遣の条件、雇用安定措置、教育訓練、キャリア相談実際に働いた日・時刻・休憩・仕事
保管期間派遣が終わった日から3年派遣が終わった日から3年
作らなくてよい例外法令上の例外はない事業所の派遣労働者と社員の合計が5人以下なら不要

派遣先は、台帳に書いた就業の実績を、月1回以上派遣元へ通知します(施行規則第38条)。派遣元は、その通知の中身が自分の台帳と違えば、そのつど書き直します(施行規則第30条第3項)。

SES会社が他社のエンジニアを派遣で受け入れる側になるときは、派遣先管理台帳を作ります。立場ごとの整理は派遣先管理台帳の保管期間は3年|派遣元台帳との違いと記載項目を参照してください。

準委任(SES)の要員に台帳が要らない理由と、混同したときの危険

準委任(SES)契約で出している要員には、派遣元管理台帳は要りません。 労働者派遣法の台帳は、労働者派遣をしたときだけ作るものだからです。

準委任契約とは、仕事を行うこと自体を引き受ける契約のことです。エンジニアへの仕事の指示は、客先ではなく自社(受託者)が出します。派遣のように客先が直接指示する関係がないので、派遣法の台帳は対象外です。

営業目線で気をつけたい「混同」のパターン

派遣と準委任を併用している会社では、書類の扱いが混ざりやすくなります。次のような運用は、準委任なのに派遣の実態がある、つまり偽装請負を疑われる材料になりえます。偽装請負とは、契約の形は請負や準委任なのに、実態が派遣になっている状態のことです。

混同のパターンなぜ危ないか
準委任の要員も派遣元管理台帳にまとめて載せる社内でも派遣として扱っていると見られやすい
準委任の客先から「派遣先の実績通知」の形で勤務表をもらう客先が勤怠を管理していると受け取られやすい
準委任の注文書に「派遣先責任者」「指揮命令者」の欄がある客先が指示を出す前提の書類になる
派遣の要員なのに台帳を作っていない法第37条の違反。30万円以下の罰金の対象

逆に言えば、台帳を分けて作ること自体が、契約形態を社内で区別できている証拠にもなります。ただし、台帳が正しくても、現場で客先が直接指示していれば偽装請負の疑いは消えません。

派遣元管理台帳のフォーマット(Excel)の作り方

派遣元管理台帳は、必要な項目がそろっていればExcelで作って構いません。 厚生労働省の「労働者派遣事業関係業務取扱要領」でも、決まった様式は示されていません。

Excelで作る手順

  1. 事業所ごとに1つのファイルを作る

  2. 派遣する人ごとに1シートを作り、シート名を「氏名_派遣先名」にする

  3. シートの上部に、法第37条の1〜8と施行規則第31条の13〜16を並べる

  4. 中ほどに、派遣先から届いた実績を月ごとに書き足す欄を作る

  5. 下部に、雇用安定措置・教育訓練・キャリアコンサルティング・苦情の記録欄を作る

  6. 表紙シートに「氏名/派遣が終わった日/廃棄してよい日」の一覧を作る

6の一覧に「派遣が終わった日+3年」を入れておくと、保管期間の管理がひと目でわかります。電子データで保存する場合は、必要なときにすぐ画面に出したり、印刷したりできる状態にしておきます。

東京労働局などの資料の探し方

東京労働局の「労働者派遣事業関係」のページには、派遣元事業主向けの案内や、許可・更新の申請様式がまとめられています。教育訓練の整理用シートの記載例が入ったリーフレットも公開されています。

派遣元管理台帳そのものの記入例は、一部の労働局が公開しています。たとえば茨城労働局は「派遣元管理台帳 記入例」をPDFで出しています。自社の所在地を管轄する労働局のサイトを先に確認しましょう。

営業担当がやること:契約時の確認チェックリスト

台帳は営業事務や管理部が作ることが多いですが、材料の多くは営業担当が持っています。 派遣の契約を決めるときに、次の8点を管理部へ渡しましょう。

#営業が確かめて渡すこと台帳のどの欄になるか
1契約形態は派遣か準委任か台帳を作るかどうか
2派遣先の正式名称と事業所・部署派遣先の名称、就業の場所と組織単位
3派遣期間と勤務日、始業・終業の時刻期間・就業日・時刻
4業務の中身と、リーダーなどの役割の有無業務の種類、責任の程度
5派遣先責任者の氏名と連絡先派遣元責任者・派遣先責任者
6本人との面談で聞いたキャリアの希望キャリアコンサルティング
7契約終了が近いときの本人の希望雇用安定措置の希望
8月ごとの実績通知を誰から受け取るか実績の書き直し

1〜5は、参画初日までに営業が集める情報と同じです。入場前の準備と合わせて集めると手間が減ります(SESの参画初日までに営業がやる準備|入場チェックリストと案内文)。

派遣の個別契約書に書く項目は、台帳の項目と重なる部分が多くあります。契約書の側は派遣の個別契約書の書き方|記載事項一覧と保管・印紙で確認できます。

案件ごとの契約形態を、チョータツでまとめて管理する

台帳は自社のExcelなどで作り、案件と人材の情報はチョータツでまとめると、確認が楽になります。 チョータツは派遣元管理台帳そのものを作るツールではありません。案件・人材の情報を管理・共有するツールです。

派遣と準委任の両方を扱う会社では、「誰がどの契約で入っているか」が担当営業の頭の中にしかないことがよくあります。チョータツで案件・人材の情報をチームで共有すれば、担当者が休んでも契約形態をすぐ確かめられます。台帳を作るべき要員の洗い出しも早くなります。

チョータツは3,000社以上が利用し、無料で始められます。パートナーへのメール配信機能もあります。

よくある質問

Q. 派遣元管理台帳の保管期間は何年ですか?
3年です。数え始めは台帳を作った日ではなく、労働者派遣が終わった日です(労働者派遣法第37条第2項、施行規則第32条)。
Q. 派遣元管理台帳は必要ですか?作らなくてよい例外はありますか?
労働者派遣をする派遣元事業主は、必ず作ります。派遣先管理台帳のような「5人以下なら不要」という例外は、派遣元管理台帳にはありません。
Q. 派遣元管理台帳のキャリアコンサルティングの欄には何を書きますか?
相談などの援助を行った日と、その内容を書きます(施行規則第31条)。「日付・方法・時間・話した内容」がわかるように書くと確実です。
Q. 派遣元管理台帳のフォーマット(Excel)は決まっていますか?
決まった様式はありません。法律と施行規則の項目がそろっていれば、Excelでも構いません。記入例は労働局のサイトで公開されていることがあります。
Q. 派遣元管理台帳と派遣先管理台帳の違いは何ですか?
作る会社と記録の中心が違います。派遣元は雇用安定措置やキャリア相談まで書き、派遣先は実際に働いた日時や仕事の実績を書きます。保管期間はどちらも3年です。
Q. SES(準委任)で出している要員も台帳に載せるべきですか?
載せる義務はありません。派遣の台帳に載せると、社内でも派遣として扱っていると見られやすくなるため、派遣の要員と分けて管理するのが安全です。

まとめ

  • 派遣元管理台帳の保管期間は、派遣が終わった日から3年

  • 作るのは派遣元事業主で、事業所ごと・派遣する人ごとに、派遣を始めるときに書く

  • 記載項目は法律の12項目と施行規則の12項目。キャリアコンサルティングと雇用安定措置の記録を忘れない

  • 派遣先管理台帳とは作る会社と記録の中心が違う。保管期間はどちらも3年

  • 準委任(SES)の要員には台帳は要らない。派遣の書類と混ぜると偽装請負を疑われる材料になる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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