売上管理のやり方|SES会社は「要員×取引先×月」の表で進捗から入金確認まで追う
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
売上管理とは?SES会社は「誰が・どこで・いくら」を月ごとに追うこと
売上管理とは、会社の売上を「いつ・どこから・いくら」入るかを記録し、予定どおり入金されるまで確認する仕事のことです。 SES会社では、売上の単位が「エンジニア1人の1か月分の稼働」になります。
一般的な売上管理は、商品の売上を日ごと・商品ごとに記録します。SES会社では商品が「エンジニアの稼働時間」です。そのため、要員(エンジニア)・取引先・月の3つをかけ合わせて管理します。
SES会社の売上管理で追う情報は、次の3つです。
| 追う情報 | 中身 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 売上の金額 | 単価と精算で決まる月の売上 | 請求書を作る |
| 売上の進捗 | 見込みか、確定か、請求済か | 月の着地を読む |
| 入金の状況 | 期日どおり入ったか | 売掛金の回収 |
売掛金とは、請求はしたけれど、まだ入金されていないお金のことです。 SESでは「月末締め・翌月末払い」のように、稼働から入金まで1〜2か月かかります。そのため、売掛金の管理まで含めて売上管理と考えるのが安全です。
SES会社の売上が一般の会社と違う3つの点
SESの売上は「人数×単価」で決まり、さらに精算で毎月少しずつ変わります。 一般的な売上管理表のテンプレートをそのまま使うと、この変動が表せません。
| 違い | 一般の会社 | SES会社 |
|---|---|---|
| 売上の単位 | 商品の個数 | 要員1人の1か月 |
| 金額の決まり方 | 単価×個数 | 単価±精算額 |
| 確定のタイミング | 売ったとき | 勤怠(稼働時間)が確定したとき |
精算幅とは、稼働時間が決めた範囲を外れたときに、売上を増減させるルールのことです。 範囲は「140〜180時間」のように決めます。たとえば180時間を超えると超過分が売上に足され、140時間を下回ると不足分が引かれます。
つまり、SESの売上は月末に勤怠が出るまで確定しません。 月の途中では「見込み」、勤怠が出たら「確定」と、状態を分けて管理する必要があります。精算の計算方法は「SESの精算幅を下回ったら?控除の計算方法」で詳しく説明しています。
売上管理表の作り方|1行=要員×取引先×月にする
売上管理表は、1行を「1人の要員が、1社の取引先で、1か月働いた分」にします。 取引先ごとにシートを分けると、取引先別の集計はしやすくても、要員の動きが追えなくなるためです。
列は次の12項目で足ります。スマホでも見やすいよう、3列の表にまとめました。
| 列名 | 入れる内容 | 例 |
|---|---|---|
| 対象月 | 稼働した月 | 2026年10月 |
| 要員名 | エンジニアの名前 | Aさん |
| 所属 | 自社社員か、BP(取引先の会社の人)か | 自社 |
| 取引先 | 請求先の会社名 | X社 |
| 単価 | 契約の月額(税抜) | 700,000円 |
| 精算幅 | 下限〜上限の時間 | 140〜180時間 |
| 稼働時間 | 勤怠で確定した時間 | 186時間 |
| 精算額 | 超過はプラス、控除はマイナス | +23,280円 |
| 売上(税抜) | 単価+精算額 | 723,280円 |
| 状態 | 見込み/確定/請求済/入金済 | 請求済 |
| 入金予定日 | 支払いサイトから計算 | 2026年11月30日 |
| 入金日・入金額 | 通帳で確認した日と金額 | 11月30日・795,608円 |
単金とは、SESの現場で使われる「エンジニア1人あたりの月額の単価」のことです。 表では「単価」の列に入れます。
表を作るときのルールは3つです。
金額は税抜で入れる。 消費税は請求書を作るときだけ足し、入金の照合で税込に直す
1か月ごとに行を増やす。 先月の行を上書きしない。過去の売上が消えてしまう
状態の列は4つの言葉だけにする。 「たぶん確定」「請求中?」のような書き方を許さない
要員がどの案件に入っているかの一覧(アサイン表)がある場合は、そこから行を作ります。アサイン表の作り方は「SESのアサイン表の作り方」を参考にしてください。
売上管理のやり方|毎月の5ステップ
毎月の売上管理は「行を作る→勤怠で確定→請求→入金確認→取引先別に集計」の5ステップで回します。 2026年10月分を、月末締め・翌月末払いの取引先で進める例です。
月初(10月1日):見込みの行を作る
その月に稼働する全員分の行を作ります。売上には単価をそのまま入れ、状態を「見込み」にします。月末〜翌月初(11月2日ごろ):勤怠を受け取り、確定する
稼働時間を入れ、精算額を計算します。売上を「単価+精算額」に直し、状態を「確定」にします。翌月初(11月5日ごろまで):請求書を送る
取引先ごとに請求書を作って送り、状態を「請求済」にします。入金予定日(11月30日)も入れます。入金予定日(11月30日):入金を確認する
通帳や入出金明細と照らし合わせ、入金日と入金額を入れます。金額が合えば「入金済」にします。入金確認の翌営業日(12月1日):取引先別に集計する
取引先別の売上と、入金されていない行を確認します。遅れがあれば担当営業に連絡します。
2026年10月31日は土曜日です。勤怠が月末に届かないことも多くあります。「11月2日(月)までに勤怠をそろえる」など、社内の締め日を決めましょう。
月次の事務全体の流れは、SESの毎月の営業事務業務|注文書・請求・支払いの月次フローにまとめています。
計算例:2026年10月の売上を3人分で出す
3人の要員がいる場合、10月の売上は「見込み195万円」が「確定1,936,160円」に変わります。 精算による増減を1行ずつ計算するのがポイントです。
前提は次のとおりです。精算の単価は「単価÷基準時間」で出し、10円未満を切り捨てる契約とします。
| 要員・取引先 | 単価・精算幅 | 稼働時間 | 確定した売上 |
|---|---|---|---|
| Aさん・X社 | 700,000円・140〜180h | 186時間 | 723,280円 |
| Bさん・Y社 | 650,000円・140〜180h | 132時間 | 612,880円 |
| Cさん・X社 | 600,000円・精算なし(固定) | 160時間 | 600,000円 |
計算の中身は次のとおりです。
Aさん(超過):超過単価は700,000÷180=3,888円 → 3,880円。超過は186−180=6時間。6×3,880=23,280円を足して、723,280円
Bさん(控除):控除単価は650,000÷140=4,642円 → 4,640円。不足は140−132=8時間。8×4,640=37,120円を引いて、612,880円
Cさん(固定):精算がないので単価のまま600,000円
合計は723,280+612,880+600,000=1,936,160円です。月初の見込み1,950,000円から13,840円減りました。Aさんの+23,280円と、Bさんの−37,120円の差です。
精算の計算方法(上限で割るか、中間値で割るか、端数の扱い)は契約ごとに違います。必ず契約書や注文書の条件どおりに計算してください。
売上の進捗管理|見込みから入金までを4段階で追う
売上の進捗管理とは、その月の売上がいまどこまで固まっているかを、状態ごとの金額で見ることです。 売上進捗管理表は、売上管理表の「状態」の列を集計すれば作れます。
2026年10月分について、10月1日から11月30日までの時点ごとに集計すると次のようになります。
| 確認した日 | 見込み | 確定・請求済 | 入金済 |
|---|---|---|---|
| 10月1日 | 1,950,000円 | 0円 | 0円 |
| 11月2日 | 0円 | 1,936,160円 | 0円 |
| 11月30日 | 0円 | 0円 | 1,936,160円 |
月の途中で見るときは、「見込み」の中に次の3つが含まれていないかを確認します。
契約終了が決まっている要員(翌月の行を作らない)
契約更新がまだ決まっていない要員(「見込み」でも別の色にする)
待機中(案件に入っていない)の要員(売上0円の行として残す)
待機中の要員の行を消すと、「売上が立っていない人」が表から見えなくなります。売上0円の行も残すのが、進捗管理のコツです。
年間の予算と比べたい場合は、この表の実績を予実管理とは?SES会社の売上・粗利を月次で比べる表と計算例の予実管理表に移します。
取引先別の売上管理|月1回、集計して偏りと遅れを見る
取引先別の売上管理では、月に1回「取引先ごとの売上合計・割合・未入金額」を出します。 1社に売上が集中していると、その会社との契約が止まったときに売上が大きく減るためです。
先ほどの10月の例を取引先別に集計すると、次のようになります。
| 取引先 | 人数 | 売上(税抜) | 割合 |
|---|---|---|---|
| X社 | 2人 | 1,323,280円 | 約68% |
| Y社 | 1人 | 612,880円 | 約32% |
| 合計 | 3人 | 1,936,160円 | 100% |
Excelなら、ピボットテーブル(表を項目ごとに自動で集計する機能)か、SUMIFS関数で集計できます。SUMIFS関数とは、「取引先がX社」かつ「対象月が2026年10月」のように、条件に合う行だけを足し算する関数です。
取引先別の集計で見るポイントは3つです。
割合が大きすぎる取引先がないか。1社の割合が高いと、その会社の方針1つで売上が大きく動く
人数が減っている取引先がないか。前月より減っていれば、担当営業に理由を聞く
入金が遅れがちな取引先がないか。遅れが続く会社は、支払いの状況を早めに確認する
売掛金管理|入金確認と消込のやり方
売掛金の管理とは、請求した金額が、決まった日に、決まった額で入金されたかを1件ずつ確かめることです。 SES会社は毎月同じ取引先に請求するため、1回の入金漏れに気づかないと翌月以降も見落としが続きます。
消込(けしこみ)とは、入金されたお金が、どの請求の分なのかを照らし合わせて、売掛金を「回収済み」にする作業のことです。 売上管理表では、状態を「請求済」から「入金済」に変える作業にあたります。
入金確認は次の手順で進めます。
入金予定日の当日(遅くとも翌営業日)に、入出金明細を確認する
取引先ごとに、請求額(税込)と入金額を比べる
金額が合えば、入金日と入金額を入れて「入金済」にする
金額が少ない場合は、振込手数料が差し引かれていないか、精算額の認識がずれていないかを確認する
入金がない場合は、その日のうちに担当営業と経理に共有し、取引先に確認する
10月の例では、X社への請求は税込1,455,608円(1,323,280円×1.1)です。Y社は674,168円(612,880円×1.1)です。売上管理表の金額は税抜なので、照合するときは消費税(10%)を足した金額と比べます。
入金額が請求額と合わないときは、その日のうちに取引先へ確認します。次の文面をそのまま使えます。
件名:【ご確認】10月分ご請求とご入金額の差異について 株式会社X社 経理ご担当者様 いつもお世話になっております。株式会社〇〇の経理担当です。 10月分のご入金を確認いたしました。ありがとうございます。 ご請求額:1,455,608円(税込) ご入金額:1,455,168円 差額:440円 振込手数料のお差し引きか、精算額の認識違いかをご確認いただけますでしょうか。 お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
入金そのものが遅れたときの連絡の仕方は、SESの支払い遅延への対応|督促メール例文に例文があります。自社の請求額が間違っていたときは、請求書の金額間違いに後から気づいたら|SESの訂正と再発行の手順で直します。
なお、代金を請求できる権利(債権)には時効があります。民法166条1項は、次のどちらかの期間、権利を使わないと時効で消えると定めています。請求できると知った時から5年間、または請求できる時から10年間です。「そのうち入るだろう」と放置せず、翌営業日に確認する習慣をつけましょう。
売上管理と経費・収支管理の分け方|営業と経理の役割も決める
売上管理表は「請求と入金」に集中させ、経費や粗利は収支管理の表で別に管理します。 1枚に全部入れると列が増えすぎて、誰も更新しなくなるからです。
| 管理するもの | 見る表 | 主な担当 |
|---|---|---|
| 売上・進捗・入金 | 売上管理表 | 営業・営業事務 |
| 外注費・給与などの原価 | 収支管理表 | 経理・経営者 |
| 粗利・粗利率 | 収支管理表 | 経営者・営業責任者 |
| 予算との差 | 予実管理表 | 経営者 |
SES会社では、BPの要員に払う外注費も「要員×月」で発生します。そのため、売上管理表と同じ「要員名・対象月」の列を収支管理表にも持たせると、あとで突き合わせがしやすくなります。粗利の出し方は、SESの収支管理の方法|案件別粗利の計算と原価に入れる費用一覧で解説しています。
営業と経理で、次のように役割を分けると抜けが出にくくなります。
営業:見込みの行を作る、勤怠を集める、精算額の認識を取引先とそろえる
営業事務:精算を計算する、請求書を作る、状態を更新する
経理:入金を確認する、消込をする、会計ソフトに記帳する
また、法人の帳簿や請求書の控えなどは、法人税の申告期限の翌日から原則7年間の保存が必要です(国税庁の案内による。青色申告で欠損金が出た年などは10年間)。売上管理表の元になった勤怠や請求書の控えも、捨てずに保存しておきましょう。
売上管理でやってはいけないこと5つ(チェックリスト)
売上管理の失敗は、ほとんどが「表の作り方」と「更新のルール」で防げます。 次の5つに当てはまるものがないか確認してください。
先月の行を上書きして、今月の売上を入れている
待機中の要員や契約終了の要員を、表から消している
見込みと確定の金額を、同じ列に区別なく入れている
入金確認を「月末にまとめて」やっていて、遅れに1か月気づかない
単価や精算幅を、注文書ではなく担当者の記憶で入れている
とくに最後の項目は、単価の変更(増額・減額)が表に反映されない原因になります。単価と精算幅は、注文書が届いたら必ず表に反映するルールにしましょう。
売上管理に必要な機能と、チョータツで楽にする方法
売上管理に必要な機能は「1行ずつの記録」「状態の管理」「取引先別の集計」「入金の確認」の4つです。 要員が10人前後までなら、Excelやスプレッドシートで十分回せます。
自分で作るなら、次の順番がおすすめです。
この記事の12列で売上管理表を作る
状態の列に「見込み/確定/請求済/入金済」だけ選べる入力規則(プルダウン)を付ける
取引先別の集計シートを、SUMIFS関数かピボットテーブルで作る
入金予定日が過ぎても「請求済」のままの行に色が付く条件付き書式を設定する
ただし、表を作っても元になる情報がバラバラだと、転記ミスが起きます。 「誰がどの案件に、いくらで、いつまで入っているか」が散らばっていると困ります。担当者ごとのExcelやメールを探すだけで、毎月の行づくりに時間がかかります。
もっと楽にするなら、チョータツで案件・人材の情報を管理・共有する方法があります。チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールで、3,000社以上が利用しています。案件・人材の情報をチームで1か所にそろえておけば、売上管理表の行を作るときに、担当者に聞いて回る手間が減ります。AIが入力を手伝ってくれるので、情報の登録も続けやすくなります。無料で始められます。
売上の計算や入金の消込は、売上管理表で行います。チョータツは、売上管理表の「元データ」をそろえる道具として使う分担がおすすめです。
よくある質問
- Q. 売上管理は何を使ってやるのがいいですか?
- 要員が10人前後までなら、Excelやスプレッドシートで十分です。人数が増えて表の更新が追いつかなくなったら、管理システムを検討します。
- Q. 売上の進捗管理表は、売上管理表と別に作るべきですか?
- 別に作る必要はありません。売上管理表に「状態」の列を入れ、状態ごとに金額を集計すれば、それが売上進捗管理表になります。
- Q. 取引先別の売上管理は、どのくらいの頻度で見ればいいですか?
- 月に1回、月末の入金予定日の翌営業日に見るのがおすすめです。売上の割合と、入金されていない行を同時に確認できます。
- Q. 売上管理は営業と経理のどちらがやるものですか?
- 見込みと精算までは営業・営業事務、入金確認と記帳は経理が担当すると抜けが出にくくなります。表は1枚にして、担当ごとに更新する列を決めます。
- Q. 売上管理表の金額は税込と税抜のどちらで入れますか?
- 税抜で入れるのがおすすめです。単価や精算は税抜で決めることが多いためです。入金を確認するときだけ、消費税を足した金額と比べます。
- Q. 売上管理と収支管理はどう違いますか?
- 売上管理は「いくら請求し、いくら入金されたか」を見ます。収支管理は、売上から外注費や給与などを引いた「粗利」を見ます。
まとめ
SES会社の売上管理は、「要員×取引先×月」を1行にした表で行う
売上は「単価±精算額」で毎月変わる。勤怠が出るまでは「見込み」として分けて持つ
状態を「見込み→確定→請求済→入金済」の4段階で書けば、進捗管理と売掛金の確認が1枚でできる
月1回、取引先別に集計し、偏りと入金の遅れを見る
粗利や経費は収支管理表で別に見て、営業・営業事務・経理で更新する列を分ける
表の元になる案件・人材の情報は、チョータツなどで1か所にそろえると転記ミスが減る
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
国税庁「No.5930 帳簿書類等の保存期間」
e-Gov法令検索「民法」第166条(債権等の消滅時効)