派遣勤怠管理システムの選び方|派遣とSESの勤怠の違いと注意点7つ、稼働報告の集め方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

派遣勤怠管理システムとは?

派遣勤怠管理システムとは、派遣スタッフの出退勤の記録を、派遣先の承認を受けて派遣元へ届けるための仕組みのことです。ふつうの勤怠システムは、自社の社員の打刻を自社で管理します。派遣向けのシステムは、派遣先・派遣元・スタッフの3者が関わる点が違います。

派遣向けのシステムでよくある機能は、次のとおりです。

  • スタッフがスマホやパソコンで出退勤を打刻する

  • 派遣先の担当者が、勤務時間を確認して承認する

  • 承認された実績を、派遣元が給与計算や請求に使う

  • 派遣先管理台帳や派遣元管理台帳に必要な項目を出力する

SES企業が派遣も扱う場合、この「派遣先が承認する」機能をSES案件にまで使ってしまうのが一番の落とし穴です。理由は、次の見出しで説明します。

派遣とSESで勤怠を管理する人はどう違う?

派遣では派遣先が勤怠を管理し、SESでは自社(SES企業)が勤怠を管理します。この違いは、エンジニアに仕事の指示を出せる人(指揮命令をする人)が違うことから生まれます。

派遣元とは、スタッフを雇って送り出す会社のことです。派遣先とは、スタッフを受け入れて仕事の指示を出す会社のことです。準委任契約とは、仕事の完成ではなく、決まった作業を行うこと自体を約束する契約のことです。SESの多くは準委任契約で結ばれます。

項目派遣SES(準委任)
仕事の指示を出す人派遣先(客先)自社(SES企業)
始業・終業・休憩を管理する人派遣先自社
残業を指示する人派遣先(36協定は派遣元が結ぶ)自社
月末の実績の流れ派遣先 → 派遣元へ通知エンジニア → 自社へ報告 → 客先に確認

派遣元と派遣先の役割の分担は、派遣元・派遣先とは?違いと責任の分担をSES営業向けに一覧で解説で一覧にしています。

派遣の勤怠:派遣先が記録して、派遣元へ通知する

派遣では、派遣先が「派遣先管理台帳」をつけ、月1回以上、派遣元へ実績を通知します。派遣先管理台帳とは、派遣スタッフごとに、働いた日や時間などを記録する帳簿のことです。

労働者派遣法42条では、派遣先管理台帳に次のような項目を書くよう定めています。

  • 派遣就業をした日

  • 日ごとの始業・終業の時刻と、休憩した時間

  • 従事した業務の種類

派遣先はこの台帳を3年間保存します。さらに派遣法の施行規則38条では、派遣先から派遣元への通知が決められています。就業日・始業終業時刻・休憩時間などを、1か月ごとに1回以上、期日を決めて通知します。派遣元の側も「派遣元管理台帳」をつけ、3年間保存します。

台帳の項目は派遣先管理台帳の保管期間は3年|派遣元台帳との違いと記載項目で詳しく説明しています。

SESの勤怠:客先は「把握」まで、「管理」はしない

SESでは、客先が勤務時間を知る・確認するのはよいですが、決める・命じる・注意するのは避けます。客先が勤怠を管理すると、形は準委任なのに中身は派遣、つまり偽装請負と疑われるおそれがあるためです。

偽装請負とは、契約書は請負や準委任なのに、実際には客先がエンジニアに直接指示を出している状態のことです。厚生労働省の「37号告示」とは、請負(準委任を含む)と派遣を見分けるための基準のことです。37号告示では、始業・終業の時刻や休憩などの指示・管理を、受託した会社が自分で行うことを求めています。

客先の行動判断の目安
月末に稼働時間の合計を確認するOK(精算のための把握)
入館記録で来た時間を知っているOK(把握)
始業時刻を客先が決めて指示するNG に近い(管理)
残業を客先がエンジニアに直接命じるNG に近い(指示)
客先の勤怠システムで遅刻を注意するNG に近い(管理)

どこまでがOKかは、SESの勤怠管理は違法?客先が管理するNG例と日報・週報の扱いで具体例を並べています。

派遣の残業管理で営業が押さえる4つのこと

派遣の残業は「36協定は派遣元、残業の指示と時間の管理は派遣先」と役割が分かれます。営業は、この分担が崩れないように契約と月中のチェックを整えます。36協定とは、法定の労働時間を超えて働いてもらうために、会社と従業員の代表が結ぶ約束のことです。

  1. 36協定は派遣元(自社)が結ぶ:派遣法44条2項の読み替えにより、派遣スタッフの36協定は派遣元の事業場で結びます。派遣先の36協定は使えません。

  2. 派遣契約で残業の範囲を決める:派遣法44条3項では、派遣してはいけない場合を定めています。派遣契約の条件どおりに働かせると、労働基準法に反してしまう場合です。契約の時点で、自社の36協定の範囲に収めます。

  3. 月の途中で残業時間を確認する:月末に通知を受けてから上限超えに気づいても、取り戻せません。月の半ばに派遣先から途中経過を聞く日を決めておきます。

  4. 派遣先の承認データと自社の給与計算をそろえる:派遣先が承認した時間と、自社の給与・請求の時間がずれると、未払いや請求ミスになります。

残業のルールは、36協定は派遣と準委任でどう違う?SES営業の残業管理のポイントで、SESとの違いも含めて整理しています。

派遣とSESを両方扱う会社のシステム選び、確認点7つ

選ぶときは「派遣の流れとSESの流れを、1つのシステムの中で分けられるか」を最初に確認します。派遣向けの機能をそのままSES案件に当てはめると、客先に勤怠を管理させる形になりやすいためです。

#確認する点理由
1契約形態(派遣/準委任)ごとに承認フローを分けられるかSES案件で客先承認を外すため
2SES案件は「自社の担当者が承認」にできるか勤怠を管理するのは自社のため
3派遣先管理台帳・派遣元管理台帳の項目を出せるか就業日・始業終業・休憩・業務の種類が必要
4派遣先から派遣元への月次通知を記録できるか月1回以上の通知が義務のため
5残業の上限アラートを自社の36協定の基準で出せるか36協定は派遣元が結ぶため
6SESの精算幅・精算単位に合わせて時間を集計できるか請求額の計算に直結するため
7記録を必要な期間、保存・出力できるか台帳は3年、賃金台帳などは5年(当分の間は3年)

精算幅とは、SESで「月140〜180時間なら固定の金額」のように決める、稼働時間の幅のことです。精算単位は、15分・30分など時間を丸める単位のことです。

勤怠の仕組みは3タイプ。会社の比率で選ぶ

派遣とSESのどちらが多いかで、合う仕組みが変わります。検索上位の比較記事は派遣会社向けの製品紹介が中心ですが、SES兼業の会社は次の3タイプから考えると迷いません。

タイプ向いている会社注意点
派遣向けの勤怠システム派遣が中心で、SESは少ないSES案件で派遣先承認を外せるか確認
汎用の勤怠システム+ExcelSESが中心で、派遣は数名派遣先からの月次通知は別に保存する
Excelとメールだけ派遣がなく、SESが中心提出日と確認の記録を残す

SESの比率が高いのに派遣向けの勤怠システムを入れると、客先承認の設定を毎回外す手間が増えます。まずは今の契約件数を「派遣」と「準委任」に分けて数えてから選びます。

私たちがおすすめする選ぶ順番

おすすめは、次の3つの順番で見ることです。「SES案件で客先承認を外せるか」→「派遣の台帳と通知に対応しているか」→「精算・請求とつながるか」です。

画面の使いやすさや料金は、この3つを満たす候補だけで比べます。派遣の機能が豊富でも、1番目を満たさないシステムは、SESの比率が高い会社には合いません。派遣の管理全体を見直すときは、人材派遣管理システムの選び方|SES兼業の派遣会社向け比較ポイントもあわせて読んでください。

やってはいけない使い方

次のような使い方は、SES案件で偽装請負を疑われるきっかけになります。

  • SESのエンジニアに、客先の勤怠システムで打刻させ、客先が承認する

  • 客先の担当者に、自社システムの「遅刻・欠勤の承認」権限を渡す

  • 派遣とSESのスタッフを、同じ承認グループにまとめて設定する

どうしても客先の入館記録などを使う場合は、「精算のための確認」にとどめ、承認や指示は自社が行います。

SESの稼働報告を自社で集める流れ(5手順)

SESの稼働報告は、エンジニア本人から自社へ直接集め、自社が確認してから客先に確認してもらいます。稼働報告とは、1か月に何時間働いたかを、作業内容とあわせて報告することです。システムがなくても、Excelとメールで今月から始められます。

  1. 契約時に報告ルートを決める:注文書を受けた時点で、報告の流れを決めます。「提出先は自社」「客先には月末に合計時間を確認してもらう」と、社内の案件情報に書いておきます。

  2. エンジニアに毎日の記録を自社の書式でつけてもらう:日ごとの作業時間と作業内容を、自社の稼働報告書に記録してもらいます。書式は稼働報告書のテンプレート|SES・業務委託の書き方と精算前チェックが使えます。

  3. 月末に自社へ提出してもらう:締め日の翌営業日までなど、提出日を決めます。

  4. 自社が内容を確認する:精算幅の上限・下限を超えていないか、有給や休日出勤の扱いが契約どおりかを確認します。

  5. 客先に合計時間を確認してもらい、請求する:客先には「精算のための確認」として合計時間を送り、了承を得てから請求書を出します。

エンジニアへの提出依頼メールの例文

件名:【ご提出のお願い】2026年10月分 稼働報告書(11月2日(月)締切)

〇〇さん

いつもお疲れさまです。株式会社△△の□□です。
10月分の稼働報告書を、11月2日(月)18時までに私あてにご提出ください。
10月の作業日数と合計時間、有給を取った日があれば日付を記入してください。
客先の××様への確認は、私から11月4日(水)にお送りします。
客先へ直接送る必要はありません。

客先への確認メールの例文

件名:2026年10月分 稼働時間のご確認(〇〇プロジェクト)

××様

いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
10月分の稼働時間について、弊社で集計した結果をお送りします。
担当:〇〇/合計:162.5時間(精算幅 140〜180時間の範囲内)
内容に相違がなければ、11月6日(金)までにご返信をお願いいたします。
ご確認後、請求書をお送りいたします。

11月3日(火)は文化の日で祝日です。締め日の前後に祝日がある月は、提出日と確認日を1日ずらして案内します。

締め日を過ぎても報告書が届かないことがあります。催促と請求の間に合わせ方は、SESの稼働報告書が遅れる・出ないときの対応|請求を間に合わせる手順にまとめています。報告書の集め方の注意点は、SESの勤怠管理の方法|営業が押さえる注意点5つとツールでも説明しています。

チョータツで「勤怠の前の情報整理」を楽にする

勤怠は勤怠システムやExcelで記録し、前提となる案件情報の管理をチョータツで楽にする分担がおすすめです。チョータツは勤怠システムではありません。SES営業の案件・人材の情報を管理・共有するツールです。

派遣とSESを両方扱う会社の勤怠ミスは、情報が担当者の頭の中にしかないときに起きがちです。「この案件は派遣か準委任か」「報告先は誰か」といった情報です。チョータツを使うと、次のことが楽になります。

  • 案件・人材の情報をチームで管理・共有できる:契約形態や精算条件を案件ごとに残せば、営業事務も同じ情報を見て勤怠の集め方を決められます。

  • AIが入力を手伝う:案件情報を登録する手間を減らせます。

  • チョータツメールAIで、届いたメールを案件メールと人材メールに切り分けられる:転送設定で取り込めます。案件・人材以外のメールはデータに残りません。

  • 他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できる:次の案件や人材を探すときに使えます。

  • チョータツブーストで、新しいパートナー企業を開拓できる:チョータツの中で、新しい取引先を探す作業を始められます。

チョータツは3,000社以上が利用しており、無料で始められます。まずは、今動いている案件の契約形態と報告ルートを登録するところから始めてみてください。

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よくある質問

Q. SES企業が派遣勤怠管理システムを入れても問題ありませんか?
問題ありません。ただし、SES案件では客先が承認する設定を外し、自社が承認する流れにしてください。派遣とSESで承認フローを分けられるシステムを選ぶのが安全です。
Q. 派遣スタッフの残業は、派遣先の36協定で働かせてよいですか?
いいえ。派遣スタッフの36協定は、派遣元(自社)が結びます。残業の指示と時間の管理は派遣先が行いますが、上限は派遣元の36協定の範囲に収める必要があります。
Q. SESで客先の勤怠システムに打刻するよう求められたら、どうすればよいですか?
入館管理など客先のルールで打刻が必要な場合でも、勤怠の承認や遅刻の注意は自社が行うと客先と取り決めます。稼働時間は自社の稼働報告書でも集め、自社の記録を正とします。
Q. 派遣先から派遣元への勤怠の通知は、どのくらいの頻度ですか?
派遣法の施行規則38条で、1か月ごとに1回以上、期日を決めて通知すると定められています。派遣元から求められたときは、すぐに通知する必要があります。
Q. 勤怠の記録はいつまで保存しますか?
派遣先管理台帳と派遣元管理台帳は3年間です。賃金台帳などの労務の書類は、労働基準法109条で5年間とされ、当分の間は3年間とする経過措置があります。

まとめ

  • 派遣は派遣先が勤怠を管理し、月1回以上、派遣元へ通知する

  • SES(準委任)は自社が勤怠を管理し、客先は把握までにとどめる

  • 派遣の残業は、36協定は派遣元、指示と時間の管理は派遣先

  • システムは「SES案件で客先承認を外せるか」を最初に確認し、台帳・通知・精算・保存を順に見る

  • SESの稼働報告は、エンジニアから自社へ直接集め、自社が確認してから客先に合計を確認してもらう

  • 案件ごとの契約形態・報告先・精算条件は、チョータツでチームに共有しておく

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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