工数管理ツールの選び方|無料ツールとエクセル管理表7選、SES会社は稼働と営業を分ける
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
工数管理ツールとは?
工数管理ツールとは、「誰が・どの仕事に・何時間使ったか」を記録し、集計するための道具のことです。予定の時間と実績の時間を比べ、ずれを早く見つけるために使います。
工数とは、仕事の量を「人数×時間」で表したものです。たとえば2人が8時間働けば、16人時(にんじ)です。工数の単位は工数とは?意味と単位・延べ工数をSES営業向けに例つきで解説でくわしく解説しています。
工数管理ツールには、専用のアプリだけでなく、エクセルの表も含まれます。大事なのは道具の種類ではなく、記録した時間を決まった日に見て、次の判断に使うことです。工数管理そのものの目的とやり方は、工数管理とは?目的とやり方、意味ないと言われる理由と対策5つにまとめています。
SES会社は「稼働の管理」と「営業の管理」を分けて考える
SES会社が管理する情報は、エンジニアの稼働時間と、案件・人材の営業情報の2種類です。この2つは中身も使う人も違うため、1つのツールで済ませようとすると無理が出ます。
| 管理するもの | 中身の例 | 主に使う人 | 向いている道具 |
|---|---|---|---|
| エンジニアの稼働時間 | 日ごとの作業時間、月の合計、精算幅 | エンジニア・管理部 | 工数管理表・工数管理ツール |
| 案件・人材の営業情報 | 案件の条件、単価、人材のスキル、提案状況 | 営業 | 案件・人材の管理ツール |
一般的な工数管理ツールは、時間を記録して集計するのが得意です。一方で、BPから届く案件や人材の情報を整理し、提案につなげる機能はありません。
反対に、案件・人材の管理ツールは、エンジニアの毎日の作業時間をつける道具ではありません。「稼働は工数管理表やツール」「営業はSES営業向けの管理ツール」と役割を分けるのが、失敗しない選び方です。
準委任(SES)の稼働時間は自社で管理する
準委任契約とは、決まった作業をきちんと行うことを約束する契約のことです。SESの多くはこの契約です。
準委任では、エンジニアの労働時間を管理するのは雇っているSES会社です。客先に勤怠の入力や承認を任せきりにすると、客先が指示を出す偽装請負と見られるおそれがあります。線引きは業務委託の勤怠管理は違法?準委任で許される稼働管理の範囲で確認できます。
そのため工数管理ツールを選ぶときは、自社の管理部や営業が見られる形になっているかを必ず確かめます。
工数管理の方法7選を比較
工数管理の方法は、手軽な順に7つあります。費用・向いている規模・弱点を表で比べます(2026年9月30日確認)。
| # | 方法 | 費用の目安 | 向いている規模・弱点 |
|---|---|---|---|
| 1 | エクセルの工数管理表 | 手持ちのExcelで0円 | 〜20人。同時に編集しにくい |
| 2 | Googleスプレッドシート | 無料で始められる | 〜20人。項目が増えると重い |
| 3 | Access(アクセス) | Microsoft 365の一部プランに含まれる | 作れる人がいる会社向け。属人化しやすい |
| 4 | 無料プランのある工数管理ツール | 少人数は無料、増えると有料 | 数人のチーム。人数の上限がある |
| 5 | プロジェクト管理ツールの時間記録 | 無料〜有料 | 受託開発もする会社。SESの精算には一工夫要る |
| 6 | 勤怠とつながる工数管理システム | 有料(月額・人数課金が多い) | 数十人以上。導入の手間と費用がかかる |
| 7 | 自社で工数管理システムを開発 | 開発費と保守費 | 独自の精算ルールが多い会社。作った人が辞めると困る |
1. エクセルの工数管理表
エクセルの工数管理表は、一番早く・安く始められる方法です。氏名・案件・日付・時間を1行ずつ入れ、関数で合計します。作り方は、このあとの「エクセルで工数管理表を作る手順」で紹介します。
弱点は、複数の人が同時に入力しにくいことです。ファイルを人ごとに分けると、集計のたびに転記が必要になります。
2. Googleスプレッドシート
Googleスプレッドシートは、エクセルと同じ表を複数人で同時に編集できる方法です。エンジニアが自分の稼働をスマホから入れられるので、月末の回収が楽になります。
注意点は共有範囲です。客先のメールアドレスで編集権限を渡さないようにします。単価や精算幅の列は、エンジニアに見せないシートに分けましょう。
3. Access(アクセス)で工数管理する
Accessとは、Microsoftが提供するデータベースソフトのことです。入力画面と集計を自分で作れるため、「access 工数管理」で探す人もいます。
AccessはMicrosoft 365の一部のプランに含まれます。Microsoftの案内では、Business Standard などが対象です。Windowsのパソコンで使う前提のソフトなので、Macの人がいる会社には向きません。作った人しか直せない状態になりやすい点にも注意します。
4. 無料プランのある工数管理ツール
無料プランのある工数管理ツールは、タイマーを押すだけで作業時間を記録できるアプリです。「工数管理 フリー」「工数管理 アプリ」で探す人の多くが、この種類を比べています。
海外製の例を2つ挙げます(2026年9月30日に公式サイトで確認)。Toggl Track(トグル・トラック)の無料プランは3人までです。Clockify(クロッキファイ)の無料プランは5人までです。人数が上限を超えると有料プランが必要です。料金と条件はよく変わるので、申し込む前に公式サイトで確かめてください。
このタイプは、個人やチームの作業時間を知るのに向いています。SESの精算幅に合わせた月の見込み計算などは、エクセルに書き出して行うことが多くなります。
5. プロジェクト管理ツールの時間記録
プロジェクト管理ツールの時間記録とは、タスク(作業の単位)ごとに使った時間を入れる機能のことです。たとえばRedmine(レッドマイン)は、無料で使えるオープンソースのソフトです。課題やプロジェクトごとに時間を記録できます。
受託開発で「どの作業に何時間かかったか」を見るのに向いています。SESでは、客先のタスク管理とは別に、自社として月の稼働時間を集計する必要があります。
6. 勤怠とつながる工数管理システム
勤怠とつながる工数管理システムは、出退勤の時間と工数の合計がずれていないか確かめられる有料のツールです。「工数管理システム」「工数入力システム」で比べられているのは、主にこの種類です。
入力漏れのお知らせや、グラフでの集計ができます。エンジニアが数十人を超え、管理部が月末の集計に何日も使っているなら、検討する価値があります。
7. 自社で工数管理システムを開発する
工数管理システムの開発とは、自社のルールに合わせた入力・集計の仕組みを作ることです。SES会社は開発のできる人がいるため、選ばれることがあります。
ただし、作った人が現場に出たり辞めたりすると、直せなくなります。精算幅や単価の計算など、市販のツールで足りない部分だけを作るのがおすすめです。
エクセルで工数管理表を作るなら
エクセルで始めるなら、1行に1日分の稼働を入れる入力シートと、関数で合計する集計シートに分けるのが基本です。日付・氏名・案件名・稼働時間の4列から始め、月の途中で着地見込みを出すと、精算幅から外れそうな人に早く気づけます。
列の設計、そのまま使える式、精算幅から請求額まで出す計算例は、工数管理表の作り方|SESの稼働時間と精算をエクセルで管理するテンプレで解説しています。人日・人月への換算の式はエクセルの工数計算の関数|人日・人月を出す式とテンプレ付きにまとめています。
稼働の記録は給与と請求の根拠になるため、消さずに保存します。労働基準法109条は、賃金などの記録を5年間(当分の間は3年間)保存するよう定めています。
エクセルからツールに移る目安
エクセルからツールに移る目安は、「月末の集計に半日以上かかる」「入力漏れの催促が毎月ある」のどちらかです。それまではエクセルで十分です。
次の5つのうち、2つ以上当てはまったら移る時期です。
エンジニアが20人を超えた
月末の集計と転記に、半日以上かかっている
毎月、入力漏れの催促を3人以上に送っている
ファイルの古い版と新しい版が混ざったことがある
勤怠の時間と工数の合計が合わず、確認に時間を使っている
移るときは、いきなり全員を切り替えないのがコツです。1つの案件のメンバーだけで1か月試し、エクセルと数字が合うか確かめてから広げます。
工数管理ツールの選び方5つのポイント
工数管理ツールは、「目的」「入力の楽さ」「集計」「共有範囲」「費用」の5点で選びます。機能の多さで選ぶと、入力されずに終わりがちです。
| ポイント | 確かめること |
|---|---|
| 1. 目的 | 精算と請求の根拠か、作業の改善か。目的を1つに決める |
| 2. 入力の楽さ | スマホから1分で入れられるか。エンジニアが続けられるか |
| 3. 集計 | 人ごと・案件ごとの月合計と、精算幅との比較が出せるか |
| 4. 共有範囲 | 単価など社外に出せない情報を、見せる人だけに絞れるか |
| 5. 費用 | 人数が増えたときの月額。無料プランの上限人数 |
とくに大事なのは2の入力の楽さです。エンジニアが入力しなければ、どんなに集計が得意なツールでも数字は集まりません。
営業の管理は、SES営業向けのツールで楽にする
案件・人材の営業情報は、工数管理ツールではなく、SES営業向けの管理ツールで扱うと楽になります。まずは自分でできる方法から見ていきます。
自分でやるなら:エクセルの案件・人材シート
エクセルで営業管理をする場合は、工数管理表とは別のファイルにします。案件シートと人材シートを作り、BPからのメールを見ながら1件ずつ転記します。作り方はSESの案件・人材管理をExcelで無料で行う方法|テンプレ付きにまとめています。
ただ、BPから届くメールは毎日たくさんあります。転記だけで営業の時間が減っていくのが、エクセル管理の限界です。
もっと楽にするなら:チョータツとチョータツメールAI
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールです。3,000社以上が使っており、無料で始められます。
| 機能 | できること |
|---|---|
| チョータツ | 案件・人材の情報を管理・共有する。AIが入力を手伝う。パートナーへメールを配信できる |
| チョータツメールAI | 転送設定で取り込んだメールを、AIが案件メールと人材メールに切り分ける |
| チョータツブースト | チョータツの中で、新しいパートナー企業を開拓する |
チョータツメールAIでは、案件・人材以外のメールはデータに残りません。メールの仕分けという営業の工数を減らせます。
また、他社とチョータツで連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベースにできます。取引先を増やしたいときは、チョータツブーストで新しいパートナーを探せます。ツールの比べ方はSES案件管理ツールの比較ポイント5つ|Excelから移る目安と手順も参考にしてください。
人が足りないなら:xhoursでフリーランスに直接スカウト
稼働を見える化すると、「空きのある案件に出せる人がいない」ことに気づく場合があります。xhoursは、企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスです。数千名のフリーランスのデータベースから探せます。
よくある質問
- Q. 工数管理はエクセルと専用ツールのどちらがいいですか?
- エンジニア20人くらいまでなら、エクセルかスプレッドシートで十分です。集計に半日以上かかるようになったら、専用ツールを検討しましょう。
- Q. 無料の工数管理ツールはありますか?
- あります。Toggl Trackは3人まで、Clockifyは5人までの無料プランがあります(2026年9月30日確認)。人数を超えると有料になるので、申し込む前に公式サイトで確かめてください。
- Q. 工数管理表にはどんな項目が必要ですか?
- 日付・氏名・案件名・稼働時間の4つが基本です。集計シートに精算幅の下限と上限を足すと、月の途中で外れそうな人がわかります。
- Q. Accessで工数管理はできますか?
- できます。入力画面と集計を自由に作れます。ただしWindowsで使う前提のソフトで、作った人しか直せない状態になりやすい点に注意しましょう。
- Q. 工数管理システムは自社で開発したほうがいいですか?
- まずは市販のツールかエクセルで始めるのがおすすめです。精算幅の計算など、足りない部分だけを作ると、保守の負担が小さくなります。
- Q. 工数管理ツールで案件や人材の管理もできますか?
- 一般的な工数管理ツールは、時間の記録と集計が中心です。案件・人材の営業情報は、チョータツのようなSES営業向けの管理ツールで分けて扱うと楽です。
まとめ
工数管理ツールとは、誰がどの仕事に何時間使ったかを記録・集計する道具で、エクセルの管理表も含まれる
SES会社は「エンジニアの稼働時間」と「案件・人材の営業情報」を別の道具で管理する
方法は7つ。20人くらいまでならエクセルかスプレッドシートで始められる
エクセルの工数管理表は、日付・氏名・案件名・稼働時間の4列と、関数での集計から作る
月の途中で見込みを出し、精算幅から外れそうな人に早めに声をかける
集計に半日以上かかる、入力漏れの催促が多いなら、ツールへ移る時期
営業管理は、チョータツとチョータツメールAIで転記と仕分けの手間を減らせる
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
e-Gov法令検索「労働基準法」(第109条 記録の保存、第143条 経過措置)
厚生労働省「請負を適正に行うために」(37号告示)
内閣府「国民の祝日について」
Microsoft サポート「Microsoft 365 サブスクリプションおよび Office 365 サブスクリプションの一部として含まれる Access」
Toggl「Toggl Track Pricing」(無料プランの人数)
Clockify「Pricing」(無料プランの人数)
Redmine「Redmine 公式サイト」「Time tracking」