工数管理とは?SES会社の目的とやり方|意味ないと言われる理由と対策5つ、予実管理の計算例つき

公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日

工数管理とは?意味をひとことで

工数管理とは、仕事にかかる時間(工数)を予定と実績で記録し、その差を見て改善につなげる管理のことです。「どの仕事に、誰が、何時間使ったか」を数字で残し、計画とのずれを早く見つけます。

工数とは、仕事を終えるのに必要な作業量を「人数×時間」で表したものです。単位は人時・人日・人月を使います。単位の違いは工数とは?意味と単位・延べ工数をSES営業向けに例つきで解説で詳しく整理しています。

工数管理で使う基本の言葉は、次の4つです。

言葉意味SES会社での例
予定工数仕事を始める前に見込んだ時間10月の予定稼働168時間
実績工数実際にかかった時間10月15日までの稼働92時間
予実予定と実績を比べること予定より多い・少ないを見る
工数消化率予定工数のうち使った割合92÷168=約55%

実績工数とは、実際に作業にかかった時間を記録したものです。勤怠の時間と同じとは限りません。会議や移動を工数に入れるかは、会社ごとにルールを決めておきます。

SES会社の工数管理は「2つ」に分けて考える

SES会社の工数管理は、エンジニアの稼働時間と営業自身の作業時間の2つに分けると、目的がはっきりします。この2つを1つの表で管理しようとすると、どちらも中途半端になりがちです。

管理するもの目的主に見る人使う場面
エンジニアの稼働時間精算・請求の根拠をそろえる営業・営業事務精算幅の確認、請求、単価交渉
営業の作業時間営業の時間の使い方を改善する営業責任者・経営者業務の削減、人員配置

エンジニアの稼働時間の工数管理

エンジニアの稼働時間は、客先への請求額を決める数字です。SESの準委任契約では、多くの場合「月140〜180時間」のような精算幅を決めます。稼働が下限を割れば控除、上限を超えれば超過の請求になります。

つまり、稼働の工数管理がずれると、そのまま売上がずれます。月末に集計してから気づくのでは遅いので、月の途中で予実を見ることが大切です。精算幅の決め方はSESの稼働時間の上限・下限の決め方|契約前の確認12項目つきで解説しています。

営業自身の作業時間の工数管理

営業の作業時間は、売上に直接つながる仕事に何時間使えているかを見るための数字です。SES営業は、案件メールの確認、人材の提案、面談の調整、請求の確認など、細かい仕事を毎日こなしています。

どの仕事に時間を取られているかがわかれば、減らすべき作業が見えます。個人で自分の工数を記録するだけでも、1週間で傾向はつかめます。

工数管理の目的と必要性

工数管理の目的は、「お金のずれを防ぐ」「無駄な作業を減らす」「次の見積もりを正確にする」の3つです。SES会社では、特に1つ目の「お金のずれ」に直結します。

1. 請求と支払いのずれを防ぐ
エンジニアの稼働が正しく記録されていれば、客先への請求とBPへの支払いを同じ根拠で計算できます。精算で揉めるときは、時間の数え方(休憩・移動・会議を含めるか)が食い違っていることがよくあります。

2. 営業の無駄な作業を見つける
営業の作業時間を記録すると、「メールの仕分けに毎日2時間」のような隠れた負担が見えます。減らす作業の優先順位を、感覚ではなく数字で決められます。

3. 見積もりと単価交渉の根拠にする
過去の実績工数があれば、次の案件で「この規模なら何人月か」を説明できます。稼働が毎月上限を超えている案件なら、単価の見直しを相談する材料にもなります。

労働時間の把握は法律でも求められている

会社は、雇っている社員の労働時間を把握する必要があります。労働安全衛生法第66条の8の3は、事業者に労働者の労働時間の状況の把握を求めています。

2017年1月20日には、厚生労働省が労働時間の把握のガイドラインを策定しています。始業・終業の時刻は、タイムカードやパソコンの記録など客観的な方法で確認するのが原則です。

また、労働基準法第109条は、賃金など労働関係の重要な書類の保存を定めています。保存期間は5年ですが、附則第143条の経過措置で当分の間は3年です。出勤簿やタイムカードなど勤怠の記録もこの書類に含まれます。

準委任(SES)では、エンジニアの時間管理は自社で行う

準委任(SES)契約では、エンジニアの労働時間の管理は、雇っているSES会社が自分で行うのが原則です。客先がエンジニアの勤怠を直接管理し、残業を指示すると、偽装請負と見られるおそれがあります。

37号告示とは、請負と労働者派遣を区別するための厚生労働省の基準のことです。準委任のSES契約も、同じ考え方で判断されます。37号告示では、労働時間の管理を受注側(SES会社)が自ら行うことが、判断の要素の1つです。

SES営業が現場でやることは、次の3つです。

  1. 稼働の記録は、エンジニアからSES会社へ直接報告してもらう

  2. 客先には、作業の実績として稼働報告書で確認してもらう

  3. 残業が増えそうなときは、客先とSES会社の責任者どうしで相談する

派遣契約の場合は、派遣先がエンジニアに直接指示を出せます。契約の形で時間管理の担当が変わる点に注意しましょう。客先が稼働をどこまで確認してよいかは、業務委託の勤怠管理は違法?準委任で許される稼働管理の範囲で整理しています。

工数管理で記録する項目

工数管理の項目は、最初は5〜6個に絞るのがコツです。項目が多いほど入力が面倒になり、正確さが落ちます。

対象必ず記録する項目あれば便利な項目
エンジニアの稼働氏名、案件名、日付、稼働時間精算幅、休暇、残業の理由
営業の作業日付、作業の種類、時間関係する案件名、成果(提案数など)

営業の作業の種類は、10個以内に決めておきます。たとえば「メール確認」「提案作成」「面談調整」「打合せ」「請求・勤怠確認」「その他」の6つで十分です。

工数管理のやり方|予実管理の5ステップ

工数管理は、「予定を立てる→記録する→月の途中で比べる→対応する→振り返る」の5ステップで進めます。大事なのは、3つ目の「月の途中で比べる」を必ず入れることです。

  1. 予定工数を立てる:月初に、エンジニアごとの予定稼働時間を出す(営業日数×1日の所定時間)

  2. 実績工数を記録する:毎日または毎週、実際の稼働時間を記録してもらう

  3. 月の途中で予実を比べる:15日前後に、工数消化率と月末の見込みを計算する

  4. ずれに対応する:精算幅から外れそうなら、客先・エンジニアと早めに相談する

  5. 月末に振り返る:請求を確定し、翌月の予定に反映する

予実管理の計算例(2026年10月)

2026年10月は、平日が22日あり、10月12日(スポーツの日)が祝日です。営業日は21日になります。1日8時間なら、予定工数は168時間です。

精算幅140〜180時間の案件で、10月15日時点の実績を計算してみます。10月1日〜15日の営業日は10日で、実績は92時間でした。

  1. 工数消化率:92時間÷168時間=約55%

  2. 1日あたりの実績:92時間÷10日=9.2時間

  3. 月末の見込み:9.2時間×21日=約193時間

  4. 判定:上限180時間を約13時間超える見込み

このペースが続くと、上限を超えます。営業は、超過分を精算するか、業務量を調整するかを、客先の責任者と月の途中で相談できます。控除・超過の金額の出し方はSESの精算幅を下回ったら?控除の計算方法と有給・固定の扱いで解説しています。

3か月の予実は単価交渉の材料になる

予実を毎月残しておくと、単価交渉の根拠になります。たとえば3か月続けて上限を超えている案件なら、「実際の作業量が契約の想定より多い」と数字で示せます。

交渉の場では、月ごとの実績時間を並べた表を見せるのが効果的です。感覚で「忙しそうです」と伝えるより、客先も社内で説明しやすくなります。

月の途中で客先に送る相談メールの例

15日の予実で上限超えが見えたら、月末を待たずに客先の責任者へ送ります。

件名:〇〇案件 10月の稼働見込みのご相談

〇〇様 いつもお世話になっております。株式会社△△の□□です。
山田の10月の稼働が、15日時点で92時間となりました。
このペースですと月末は約193時間となり、精算幅の上限180時間を約13時間超える見込みです。
超過分を精算とするか、作業の優先順位を調整するか、ご相談させてください。
8月・9月も上限を超えているため、11月以降の体制や条件もあわせてお話しできれば幸いです。

作業の優先順位や時間の配分は、客先がエンジニアへ直接指示するのではなく、会社どうしで決めて自社からエンジニアに伝えます。残業が何か月も続くときの動き方はSESの客先で残業が続くときの営業の対応|安全配慮義務と交渉で解説しています。

工数管理が「意味ない」と言われる理由

工数管理が意味ないと言われるのは、記録することが目的になり、誰もデータを見ていないからです。現場から見ると、手間だけ増えて何も変わらないように感じます。

よくある原因は次の3つです。

原因現場で起きること結果
目的が決まっていない何のために入力するか誰も説明できない入力が後回しになる
入力が面倒項目が多く、月末にまとめて入力する数字が不正確になる
データを見ない集計しても会議で使われない「やっても変わらない」と感じる

この3つは、つながっています。入力が面倒だと数字が不正確になり、不正確な数字は使われず、使われないからさらに入力が雑になります。どこか1か所を断ち切れば、流れは変わります。

意味のある工数管理にする対策5つ

工数管理を意味のあるものにするには、目的を1つに絞り、入力を楽にし、見る日を決めることが基本です。SES会社で取り組みやすい順に、5つの対策を紹介します。

1. 目的を1つに決めて、全員に伝える
「精算で揉めないため」「営業のメール作業を減らすため」など、目的を1文で決めます。目的が伝わると、入力する人の納得感が上がります。

2. 項目を5〜6個に減らす
最初から細かく分けると続きません。作業の種類は10個以内にし、使わない項目は削ります。

3. 記録は毎日5分、週1回締める
月末にまとめて思い出すと、数字はずれます。毎日5分で記録し、金曜に1週間分を確認する流れにすると、正確さが保てます。

4. 月の途中に「予実を見る日」を決める
毎月15日前後など、予実を見る日を固定します。精算幅から外れそうなエンジニアを、その日に一覧で確認します。

5. 数字を「やめる作業」を決めるために使う
営業の作業時間を見たら、減らす作業を1つ決めます。たとえばメールの仕分けに時間を取られているなら、仕分けを自動にする方法を検討します。

やってはいけないのは、工数の数字で個人を責めることです。責められると、実際より少なく記録する人が出て、データが使えなくなります。

営業の工数を見える化する例

営業の工数を1週間記録すると、売上に直接つながらない作業の多さが見えることがよくあります。次の表は、営業1人の1週間(40時間)の記録の例です。

作業の種類時間割合
案件・人材メールの確認と仕分け10時間25%
提案作成・提案メール送信8時間20%
客先・BPとの打合せ・電話8時間20%
面談調整6時間15%
請求・勤怠の確認5時間12.5%
その他3時間7.5%

この例では、メールの確認と仕分けに全体の4分の1を使っています。1日2時間を半分にできれば、1週間で5時間、1か月で約20時間を提案や打合せに回せます。

減らす作業の考え方は、工数削減とは?SES営業の事務を減らす方法7つと目標の立て方で詳しく扱っています。

自分で工数管理する方法(Excel・スプレッドシート)

少人数のSES会社なら、Excelやスプレッドシートで十分に工数管理を始められます。まずは無料でできる方法から試しましょう。

  1. シートを2つ作る:「エンジニア稼働」と「営業作業」(ひな形は工数管理表の作り方|SESの稼働時間と精算をエクセルで管理するテンプレを使えます)

  2. エンジニア稼働のシートに、氏名・案件名・予定工数・精算幅・日ごとの実績を入れる列を作る

  3. 合計のセルで、工数消化率(実績÷予定)と月末見込み(1日平均×営業日数)を計算する

  4. 営業作業のシートに、日付・作業の種類・時間を入れる列を作る

  5. 作業の種類ごとに合計し、割合を出す

人日・人月の換算に使う関数は、エクセルの工数計算の関数|人日・人月を出す式とテンプレ付きで紹介しています。人数が増えて入力が追いつかなくなったら、工数管理ツールへの移行を考えます。

営業の工数をチョータツメールAIとチョータツで減らす

営業の工数で大きいのは、案件メールと人材メールの確認・仕分けです。BPから毎日届くメールを1通ずつ開き、案件か人材かを分けるだけで、多くの時間を使います。

チョータツメールAIとは、届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分けるメールインポート機能です。メールに書かれた単価や商流などの条件も読み取ります。流れは次のとおりです。

  1. 受信メールを、チョータツメールAIへ転送する設定をする

  2. 届いたメールを、AIが案件メールと人材メールに切り分ける

  3. 案件・人材以外のメールはデータに残らないので、必要な情報だけが残る

切り分けた案件・人材の情報は、チョータツで管理・共有できます。チョータツでは、AIが入力を手伝ってくれます。パートナーへのメール配信機能もあります。

さらに、他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベースにできます。自分で探す手間が減り、提案や打合せに使える時間が増えます。

まずはExcelで1週間、自分の作業時間を記録してみてください。メールの仕分けが大きな割合を占めていたら、チョータツメールAIを試す価値があります。

よくある質問

Q. 工数管理とは簡単にいうと何ですか?
仕事にかかる時間を、予定と実績で記録して比べることです。ずれを早く見つけ、次の計画や見積もりに生かします。
Q. 工数管理は意味ないと言われるのはなぜですか?
目的が決まっていない、入力が面倒、集めたデータを誰も見ない、の3つが主な原因です。目的を1つに絞り、項目を減らし、予実を見る日を決めると改善します。
Q. 実績工数とは何ですか?
実際に作業にかかった時間のことです。SES会社では、エンジニアの稼働時間が精算と請求の根拠になる実績工数です。
Q. 工数消化率はどう計算しますか?
実績工数÷予定工数×100で計算します。予定168時間のうち92時間を使っていれば、約55%です。
Q. 工数管理ではどんな項目を記録すればいいですか?
エンジニアの稼働なら、氏名・案件名・日付・稼働時間の4つが基本です。営業の作業なら、日付・作業の種類・時間の3つから始めましょう。
Q. SESで客先がエンジニアの工数を管理してもいいですか?
準委任(SES)契約では、労働時間の管理はSES会社が自分で行うのが原則です。客先が勤怠を直接管理すると、偽装請負と見られるおそれがあります。
Q. 個人でも工数管理はできますか?
できます。1週間、作業の種類ごとに時間をメモするだけで、時間の使い方の傾向がわかります。営業1人でも始められます。

まとめ

  • 工数管理とは、仕事の時間を予定と実績で記録し、比べて次に生かすこと

  • SES会社では、エンジニアの稼働時間と営業の作業時間の2つに分けて管理する

  • エンジニアの稼働は、月の途中で工数消化率と月末見込みを出し、精算幅から外れそうなら早めに相談する

  • 3か月分の予実は、単価や精算幅の見直しを相談する材料になる

  • 準委任(SES)では、エンジニアの労働時間の管理はSES会社が自分で行う

  • 意味ないと言われる原因は、目的・入力の手間・データを見ないこと。対策は目的を絞る・項目を減らす・見る日を決める

  • 営業の工数は、メールの仕分けから減らすと効果が大きい

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日

参考資料(2026年9月30日確認)

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