SESの新規開拓をAIツールで効率化|5工程で分ける「AIに任せる所」と「人が確認する所」

公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日

SESの新規開拓でAIに任せられるのは「下書き」と「仕分け」

SESの新規開拓でAIに任せやすいのは、文章の下書き・情報の要約・メールの仕分けです。反対に、事実の確認と送信の判断は人がやります。

生成AIとは、質問や指示に答えて、文章や画像を新しく作るAIのことです。ChatGPT(チャットジーピーティー)、Gemini(ジェミニ)、Claude(クロード)などが代表的なサービスです。AIへの指示文のことをプロンプトと呼びます。

生成AIには弱点があります。もっともらしいウソを書くことがあり、これをハルシネーション(幻覚)と呼びます。存在しない会社名や、間違った住所を出すこともあるので、事実は必ず人が確かめます。

工程AIに任せてよいこと人が確認すること
①リスト作成検索する言葉の案、表の形への整理会社が実在するか、重複がないか
②企業調査公式サイトの要約、得意分野の整理要約が元のページと合っているか
③初回文面相手に合わせた下書き自社の数字、送ってよい相手か
④返信の仕分け案件メール・人材メールの切り分け返事が必要な連絡の見落とし
⑤案件・人材の登録入力の手伝い単価・商流・開始日などの条件

新規開拓の全体像は、SESの新規開拓の営業方法10選で整理しています。この記事は、そのうち「手作業が多い部分」をAIで減らす方法に絞って解説します。

AIを使う前に決めたい3つの社内ルール

AIを使い始める前に、「入れない情報」「使うサービス」「確認する人」の3つを決めておきます。ルールがないと、営業ごとに使い方がばらばらになります。

ルール1:入力しない情報を決める

エンジニアの氏名・生年月日・顔写真、取引先の単価、客先の社名は、原則としてAIに入れません。スキルシートを要約させたいときは、氏名をイニシャルに、会社名を「A社」に置きかえてから入れます。

個人情報保護委員会は、2023年6月2日に生成AIの利用について注意喚起を出しています。個人データを本人の同意なく入力し、それが回答以外の目的で使われると、個人情報保護法に違反する可能性があると示しました。そのため、入力したデータを学習に使わないサービスかを先に確認するよう求めています。

ルール2:使うサービスを会社で決める

営業が個人のアカウントで、自由にAIを使う状態は避けます。会社として契約するサービスを1つ決め、学習に使わない設定になっているかを管理者が確認します。

ルール3:「送る前に人が読む」を必ず守る

AIが作った文章を、そのまま外に送らないことを決めます。とくに社名・担当者名・数字は、送る前に1つずつ確かめます。

個人情報の扱いは、スキルシート管理の方法でもくわしく解説しています。

工程1:開拓リストの作成をAIで効率化する

リスト作成でAIに任せるのは、「どんな言葉で探すか」の案出しと、集めた情報を表に整える作業です。会社名そのものをAIに出させるのは避けます。

AIに「SES企業を50社挙げて」と頼むと、実在しない会社や、すでに閉じた会社が混ざることがあります。会社名は、検索や公式サイトなど元の情報から自分で集めるのが安全です。

AIを使ったリスト作成の手順

  1. 狙う相手を決める(例:東京のインフラ系SES、一次請けのSIer)

  2. AIに「探すための検索語」を10個出してもらう

  3. 検索語でGoogle検索し、公式サイトのURLを集める

  4. 集めた会社名とURLをAIに渡し、表の形に整えてもらう

  5. 国税庁の法人番号公表サイトで、会社が実在するかを確かめる

  6. 既存の取引先や、過去に断られた会社と重複していないか消し込む

プロンプト例(検索語を出す)

例文・テンプレート
あなたはSES企業の営業担当です。
東京都でインフラ(サーバー・クラウド)の案件を多く持つSES企業を探しています。
Google検索で使う検索語の組み合わせを10個、1行ずつ出してください。
会社名は出さないでください。

国税庁の法人番号公表サイトでは、会社の正式な名前・所在地・法人番号を無料で調べられます。リストに法人番号の列を作っておくと、同じ会社を二重に登録するミスも防げます。

リストの項目や検索コマンドの使い方は、SESの開拓リストの作り方にまとめています。

工程2:企業調査をAIで効率化する

企業調査でAIに任せるのは、相手の公式サイトを読んで得意分野・募集内容・連絡先を短くまとめる作業です。公式サイトを1ページずつ読み込む時間を、要約を確かめる時間に置きかえられます。

AIには、公式サイトの文章を貼り付けてから要約を頼みます。AIに「〇〇社について教えて」とだけ聞くと、古い情報や誤った情報が混ざりやすくなります。

プロンプト例(公式サイトを要約する)

例文・テンプレート
次の文章は、ある会社の公式サイトの「事業内容」と「パートナー募集」ページです。
SES営業の目線で、次の4点を箇条書きでまとめてください。
1. 得意な技術や業界
2. パートナーに求めている人材・案件
3. 連絡の窓口(フォーム・メールなど)
4. 文章に書かれていないことは「記載なし」と書く

(ここに公式サイトの文章を貼る)

「書かれていないことは記載なしと書く」と指示するのがコツです。AIが推測で空欄を埋めるのを防げます。

人が確認する3点

  • 要約の内容が、元のページに本当に書いてあるか

  • ページの更新日が古すぎないか(数年前の募集は終わっていることがある)

  • 商流の位置(元請け・一次請け・二次請け)の推測が入っていないか

商流の見分け方は、SESの元請けとはで解説しています。

工程3:初回の連絡文面をAIで下書きする

初回の連絡文は、AIに「相手の情報」と「自社の情報」の両方を渡すと、1社ずつ内容を合わせた下書きが作れます。全社に同じ文面を送るより、返事が来やすくなります。

文面づくりの手順

  1. 工程2で作った相手の要約を用意する

  2. 自社の情報(エンジニア数・得意分野・今探しているもの)を用意する

  3. AIに下書きを頼む(件名と本文、300字以内など条件をつける)

  4. 社名・担当者名・数字を人が確認し、言い回しを整える

  5. 送信先が送ってよい相手かを確認してから送る

プロンプト例(初回文面を作る)

例文・テンプレート
あなたはSES企業の営業担当です。
次の【相手の情報】と【自社の情報】をもとに、
情報交換をお願いする初回メールの件名と本文を作ってください。
条件:本文は300字以内。売り込みすぎない。
相手のどこに興味を持ったかを1文入れる。
自社の数字は【自社の情報】にあるものだけを使う。

【相手の情報】(工程2の要約を貼る)
【自社の情報】自社エンジニア12名。Java・AWSが中心。
金融系の開発案件を常時5件ほど保有。インフラ構築の人材を探している。

下書きの例(人が確認したあとの形)

例文・テンプレート
件名:インフラ案件での情報交換のお願い(株式会社△△ □□)

株式会社〇〇
パートナーご担当者様

はじめまして。株式会社△△の□□と申します。
貴社のパートナー募集ページで、AWSの構築実績が多いことを拝見しました。

弊社はJava・AWSが中心のSES企業で、自社エンジニアは12名です。
現在、インフラ構築の経験がある方を探しております。
反対に、金融系の開発案件は常時5件ほどご紹介できます。

10月6日(火)〜9日(金)のどこかで、
30分ほどオンラインで情報交換のお時間をいただけないでしょうか。

株式会社△△ □□
住所:東京都〇〇区〇〇1-2-3
メール:xxxx@example.co.jp
今後このようなメールが不要な場合は、本メールへの返信でお知らせください。

送る前に確認したいメールのルール

広告や宣伝のためのメールは、特定電子メール法(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)のルールを守ります。特定電子メールとは、会社などが自社の営業の広告・宣伝のために送るメールのことです。

原則として、同意をもらった相手にしか送れません。ただし、メールアドレスをサイトなどで公表している会社には、同意なしで送れる例外があります(第3条第1項第4号)。そのページに「広告メールお断り」などの表示があれば、例外は使えません。

送るときは、送信者の氏名・名称をメールに表示します。配信停止(受信拒否)を受け付けるメールアドレスかURLも必要です(第4条)。あわせて、送信者の住所と、苦情・問い合わせの連絡先も表示します(同条と総務省令)。AIに下書きを頼むときも、これらを必ず入れるよう指示しておきましょう。

配信停止を求められたときの返し方は、営業メールの配信停止依頼への対応|特定電子メール法と返信例文で紹介しています。フォームから送る場合の例文は、SESの問い合わせフォーム営業の例文5つにまとめています。

工程4:返信メールの仕分けをAIで効率化する

返信の仕分けは、AIがいちばん時間を減らせる工程です。新規開拓が進むほど、BP(取引先)から案件や人材の配信メールが毎日届くようになるからです。

BPとは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。つながったBPからは、案件情報と人材情報がそれぞれメールで届きます。これを1通ずつ開いて分けるのは、大きな手間です。

自分でやる方法:メールソフトの振り分けルール

まずは、メールソフトの機能で分けることから始められます。

  1. 件名に「案件」「募集」が入るメールを「案件」フォルダへ移すルールを作る

  2. 件名に「人材」「要員」「エンジニア紹介」が入るメールを「人材」フォルダへ移すルールを作る

  3. どちらにも入らなかったメールは受信箱に残し、1日2回まとめて見る

ただし、この方法は件名の書き方に左右されます。「【ご紹介】」だけの件名など、ルールに合わないメールは受信箱に残ります。振り分けのくわしいやり方は、SESの案件メール整理方法で解説しています。

もっと楽にするなら:チョータツメールAIで切り分ける

チョータツメールAIとは、届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分けるメールインポート機能のことです。メールに書かれた単価や商流などの条件も読み取ります。件名の書き方に頼らず、メールの中身で分けられます。

使う流れは次のとおりです。

  1. チョータツに無料で登録する

  2. 配信メールが届くアドレスから、チョータツメールAIへの転送設定をする

  3. 届いたメールを、AIが案件メールと人材メールに切り分ける

  4. 案件・人材以外のメール(あいさつや請求の連絡など)は、データに残らない

  5. 切り分けられた案件・人材を、チョータツの画面で確認する

メールソフトのルールと違い、件名がばらばらでも中身で分けられるのが強みです。取引先が増えて、受信箱があふれてきたら検討する価値があります。

工程5:案件・人材の登録をAIで効率化する

案件と人材の登録では、AIに入力の手伝いを任せ、単価・商流・開始日などの条件は人が確認します。登録の質が、あとで提案を探すときの速さを決めます。

自分でやる方法:Excelの表に転記する

案件・人材を1行ずつExcelに書き写す方法です。無料で始められますが、転記ミスや、最新の情報がどれかわからなくなる問題が起きやすくなります。

もっと楽にするなら:チョータツに登録する

チョータツは、SES営業のための案件・人材の管理・共有ツールです。案件・人材の登録では、AIが入力を手伝います。3,000社以上が利用しており、無料で始められます。

他社と連携すると、連携した会社の営業中案件・営業中人材をデータベース化できます。新規開拓でつながった会社と連携すれば、メールを待たずに相手の案件・人材を確認できます。

登録したら、人が次の点を確かめます。

  • 単価(月額)と精算幅(稼働時間の上限・下限)

  • 商流の位置と、再委託(さらに別の会社に出すこと)の可否

  • 開始日・場所・リモートの可否

案件と人材を合わせる作業をAIで速くする方法は、SESマッチングのAI活用で解説しています。

チョータツで5工程をつなぐ

5工程を別々の道具でこなすと、コピーと貼り付けが何度も発生します。DrivenXのツールを使うと、開拓から登録までを1か所でつなげられます。

工程自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
取引先を増やす検索・フォーム・電話で1社ずつチョータツブーストで新しいパートナーを開拓
返信の仕分け件名ルールと目視で仕分けチョータツメールAIが案件・人材に切り分け
案件・人材の登録Excelに転記チョータツに登録(AIが入力を手伝う)
相手の情報を見る配信メールを待つチョータツで連携し、営業中案件・人材をDB化

チョータツブーストとは、チョータツの中で新しいパートナー企業を開拓できる機能のことです。工程1〜3で1社ずつリストを作って連絡する手間を、チョータツの中での開拓に置きかえられます。

使い始める流れ

  1. チョータツに無料で登録する

  2. 自社の案件・人材を登録する(AIが入力を手伝う)

  3. チョータツブーストで、新しいパートナーを開拓する

  4. つながった会社と連携し、お互いの営業中案件・人材を共有する

  5. 配信メールはチョータツメールAIに転送し、案件・人材に切り分ける

AI活用で失敗しやすい5つの落とし穴

AIを開拓に使うときの失敗は、ほとんどが「確認しないまま使った」ことから起きます。次の5つは、始める前に社内で共有しておきましょう。

  1. AIが出した会社名をそのまま使う:存在しない会社や、別の会社の情報が混ざる

  2. 同じ文面を大量に送る:AIで量産した文面は似てしまい、返事が来にくい

  3. スキルシートをそのまま入れる:氏名や経歴は個人情報。置きかえてから入れる

  4. 配信停止の連絡先や住所の表示を入れ忘れる:特定電子メール法の表示義務に反するおそれがある

  5. AIの要約だけで商流を判断する:商流は、相手に直接聞いて確かめる

とくに2は、AIを使うほど起きやすくなります。文面の最初の1文だけは、相手ごとに人が書くと決めておくと防げます。

1週間で始めるAI活用のスケジュール例

AI活用は、1週間で1工程ずつ試すと定着しやすくなります。2026年10月の週を例にした進め方です。

日付やることゴール
10月5日(月)社内ルール3つを決める入れない情報と使うサービスが決まる
10月6日(火)工程1:検索語をAIで出し、20社のリストを作る実在を確認したリストができる
10月7日(水)工程2:20社の公式サイトをAIで要約する1社3行の要約がそろう
10月8日(木)工程3:初回文面を下書きし、10社に送る送信記録が残る
10月9日(金)工程4・5:返信を仕分け、案件・人材を登録する次の週の連絡先が決まる

1週目が終わったら、「1社あたりにかかった時間」を記録します。AIを使う前と比べると、どの工程で時間が減ったかがわかります。

よくある質問

Q. SESの新規開拓は、AIで全部自動化できますか?
全部の自動化はおすすめしません。下書き・要約・仕分けはAIに任せられますが、会社の実在確認、事実の確認、送信の判断は人がやる必要があります。
Q. 生成AIに、エンジニアのスキルシートを入れてもいいですか?
氏名などの個人情報は、イニシャルなどに置きかえてから入れるのが基本です。入力したデータを学習に使わないサービスかも、先に確認しましょう。
Q. AIで作った営業メールを、BPに一斉送信しても大丈夫ですか?
まず、特定電子メール法のルールで送ってよい相手かを確認します。送信者の名称・住所と配信停止の連絡先も表示してください。文面は、最初の1文だけでも相手ごとに変えると返事が来やすくなります。
Q. 返信メールの仕分けにおすすめのツールはありますか?
まずはメールソフトの振り分けルールで試せます。件名がばらばらで分けきれない場合は、案件メールと人材メールをAIで切り分けるチョータツメールAIが使えます。
Q. チョータツメールAIは、メールから単価や商流まで読み取れますか?
読み取れます。チョータツメールAIは、届いたメールを案件メールと人材メールに切り分けるだけでなく、メールに書かれた単価や商流などの条件も読み取ります。提案の前には、元のメールと見比べて条件を確かめると安心です。
Q. AIツールを入れる前に、何から始めればいいですか?
入力しない情報・使うサービス・送る前に読む人の3つのルールを決めることからです。そのうえで、リスト作成など1つの工程から試しましょう。

まとめ

  • 新規開拓は、リスト作成・企業調査・初回文面・返信の仕分け・登録の5工程に分ける

  • AIに任せるのは「下書き」「要約」「仕分け」。実在確認・事実確認・送信判断は人がやる

  • AIに会社名を出させず、元の情報から集め、法人番号公表サイトで実在を確かめる

  • 個人情報や単価は入れない。入れるなら、学習に使わないサービスかを先に確認する

  • 広告・宣伝のメールは、特定電子メール法の送信先ルールと表示義務を守る

  • 返信の仕分けはチョータツメールAI、登録と共有はチョータツ、取引先を増やすならチョータツブースト

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日

参考資料(2026年9月30日確認)

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