営業分析のやり方|SES営業が見るべき4つの切り口とグラフ例、案件メールをデータにする方法
公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日
営業分析とは?SES営業での意味
営業分析とは、営業活動の記録を数字にまとめ、成果が出ている場所と止まっている場所を見つける作業のことです。 見つけた結果をもとに、次にどこへ時間を使うかを決めます。
SES営業の分析は、物を売る一般的な営業の分析と、見る数字が違います。SESで売るのは「エンジニアの稼働」です。そのため、案件と人材の両方を数える必要があります。
| 比べる点 | 一般的な営業の分析 | SES営業の分析 |
|---|---|---|
| 売るもの | 商品・サービス | エンジニアの稼働(人月) |
| 相手 | 買ってくれるお客さま | 案件を出す会社と、人材を出すBP |
| 主な数字 | 商談数・受注率・売上 | 提案数・面談通過率・決定率・単価 |
| データの出どころ | 商談の記録・見積もり | 案件メール・人材メール・日報 |
BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。 SES営業では、BPから届く大量のメールが、分析の材料の大半を占めます。
営業全体の管理の考え方は、営業管理とは?SES企業で管理すべき5つの数字とやり方の手順で解説しています。この記事では、その数字を「分析してどう使うか」に絞ります。
分析の前に:案件メールが残っていないと分析できない
SES営業の分析は、案件メールをデータとして残していないと始められません。 決定率も単価の傾向も、元になる「届いた案件の記録」がなければ計算できないからです。
多くのSES営業は、1日に何十通もの案件メール・人材メールを受け取ります。提案しなかった案件は、読んだら終わりで記録に残りません。すると、次のような質問に答えられなくなります。
先月、Javaの案件は何件届いたか
A社の案件に何回提案して、何回決まったか
どのBPが一番多く人材を出してくれたか
分析のために残す項目
分析に使う記録は、案件1件につき1行で残します。最低限、次の項目があれば4つの切り口をすべて計算できます。
| 項目 | 例 | 使う切り口 |
|---|---|---|
| 受信日・取引先名 | 2026/9/1・A社 | 取引先別の決定率 |
| 主なスキル・単価 | Java・70万円 | スキル別の案件数と単価 |
| 提案した人材・出したBP | 山田(仮名)・B社 | BP別の提案数 |
| 結果(提案/面談/決定/見送り) | 面談→決定 | 面談通過率・決定率 |
「提案しなかった案件」も1行残すのが大事なポイントです。届いた案件の総数がわからないと、スキル別の案件数の傾向を正しく見られません。
案件メールの整理のしかたは、この記事の後半「案件メールをデータにする方法」で説明します。
SES営業で分析すべき4つの切り口
SES営業で分析すべき切り口は、取引先・スキル・BP・面談の4つです。 それぞれ「どこに力を入れるか」を決める材料になります。
| 切り口 | わかること | 向いているグラフ |
|---|---|---|
| 取引先別の決定率 | どの会社に提案すると決まりやすいか | 横棒グラフ |
| スキル別の案件数と単価 | どのスキルの人材を集めるべきか | 棒グラフ+折れ線グラフ |
| BP別の提案数 | どのBPと関係を深めるべきか | 横棒グラフ(多い順) |
| 面談通過率 | 提案の質と面談準備に問題がないか | 折れ線グラフ |
切り口1:取引先別の決定率
決定率とは、提案した件数のうち、参画が決まった件数の割合のことです。 取引先ごとに出すと、「決まりやすい会社」と「提案しても決まらない会社」が分かれて見えます。
計算式は次のとおりです。
決定率(%)= 決定数 ÷ 提案数 × 100
架空の例で見てみます(2026年7〜9月の3か月分)。
| 取引先 | 提案数 | 決定数 | 決定率 |
|---|---|---|---|
| A社 | 20件 | 4件 | 20% |
| B社 | 30件 | 3件 | 10% |
| C社 | 8件 | 2件 | 25% |
B社は提案数が一番多いのに、決定率は一番低い結果です。C社は提案数が少ないのに、決定率が高くなっています。この場合は、C社の案件をもっと多く受け取れないかを先に考えます。
注意点は、提案数が少ない取引先の割合は、ぶれやすいことです。提案が5件未満の取引先は「参考値」として扱い、結論を急がないようにします。
切り口2:スキル別の案件数と単価
スキル別の分析とは、届いた案件をスキルごとに数え、件数と単価の平均を並べて見ることです。 どのスキルの人材を集めれば提案が増えるかがわかります。
| スキル | 届いた案件数(月) | 単価の平均 | 自社で出せる人材 |
|---|---|---|---|
| Java | 60件 | 68万円 | 5人 |
| AWS | 35件 | 75万円 | 1人 |
| PMO | 15件 | 82万円 | 0人 |
※架空の例です。単価は案件メールに書かれた上限額の平均です。
この例では、AWSの案件は多く単価も高いのに、出せる人材が1人しかいません。そこで、AWSの経験がある人材をBPから集める、という打ち手が決まります。
単価は「上限」「目安」「スキル見合い」など、メールによって書き方が違います。平均を出すときは、同じ書き方の単価だけを使います。
切り口3:BP別の提案数
BP別の提案数とは、どのBPの人材を何回提案したかを数えたものです。 自社の提案が、どのBPに支えられているかがわかります。
見るべき点は2つです。
上位のBPに偏りすぎていないか:1社のBPで提案の半分以上を占めると危険です。そのBPの人材が減ったとき、提案も止まります。
人材メールは多いのに、提案に使えていないBPはないか:スキルが自社の案件と合っていない可能性があります。条件を伝え直すと、提案できる人材が増えることがあります。
自社社員(プロパー)の提案数も、同じ表に並べて比べます。プロパーとは、自社で直接雇用しているエンジニアのことです。
切り口4:面談通過率
面談通過率とは、実施した面談のうち、次に進んだ(または決定した)面談の割合のことです。 提案の選び方や、面談前の準備がうまくいっているかを見る数字です。
面談通過率(%)= 通過した面談数 ÷ 実施した面談数 × 100
面談通過率は、月ごとの折れ線グラフで見ると変化がわかります。急に下がった月は、見送りの理由を1件ずつ確認します。理由を上位の会社から正しく聞き出す例文は、SES面談の見送り理由の聞き方|例文と次の提案に活かす記録法にあります。
| 見送りの理由 | よくある原因 | 次の打ち手 |
|---|---|---|
| スキル不足 | 必須スキルの確認があまい | 提案前に必須条件を1つずつ照らす |
| コミュニケーション | 面談の準備が足りない | 想定質問を事前に共有する |
| 条件が合わない | 単価・開始日・勤務地のずれ | 条件面を提案メールに必ず書く |
面談通過率の目安と上げ方は、SESの面談通過率を上げる方法|平均の目安と営業ができる事前準備8つで詳しく紹介しています。
営業のターゲット分析:どの取引先に時間を使うか
ターゲット分析とは、4つの切り口の結果を組み合わせて、力を入れる取引先とスキルを決めることです。 SES営業では、「決まりやすく、単価も高い取引先」に時間を使うのが基本です。
おすすめは、取引先を次の4つに分ける方法です。
| グループ | 決定率 | 単価の平均 | 動き方 |
|---|---|---|---|
| 最優先 | 高い | 高い | 案件をもらう回数を増やす |
| 育てる | 低い | 高い | 見送り理由を聞き、提案を合わせる |
| 維持 | 高い | 低い | 単価交渉のきっかけを探す |
| 見直し | 低い | 低い | 提案の優先度を下げる |
「高い・低い」の境目は、自社の平均を使います。たとえば決定率の平均が15%なら、15%以上を「高い」とします。
営業分析のグラフ例と選び方
営業分析のグラフは、「比べる」「変化を見る」「減り方を見る」の3つの目的で選びます。 目的に合わないグラフを使うと、数字が正しくても伝わりません。
| 見たいこと | おすすめのグラフ | SES営業での例 |
|---|---|---|
| 取引先やBPを比べる | 横棒グラフ(多い順) | 取引先別の決定率、BP別の提案数 |
| 月ごとの変化を見る | 折れ線グラフ | 面談通過率の推移、提案数の推移 |
| 件数と金額を一緒に見る | 棒グラフ+折れ線グラフ | スキル別の案件数(棒)と単価(線) |
| 段階ごとの減り方を見る | ファネル形の横棒 | 案件受信→提案→面談→決定 |
ファネルとは、段階が進むごとに数が減っていく様子を、漏斗(じょうご)の形で表したものです。 SES営業なら、次のように並べます。
届いた案件:300件 → 提案:60件 → 面談:20件 → 決定:6件(架空の例)
この並びなら、一番減っているのは「届いた案件→提案」の段階です。人材が足りないのか、案件を読み切れていないのかを確かめます。
グラフを作るときの注意点は3つです。
円グラフは使いすぎない:項目が5つを超えると、差が読み取れません。
縦軸を0から始める:途中から始めると、小さな差が大きく見えてしまいます。
1枚のグラフに言いたいことは1つ:グラフのタイトルに結論を書きます(例:「C社の決定率が最も高い」)。
営業分析のやり方:6つの手順
営業分析は、「記録を集める→表を作る→数字を出す→原因を探す→打ち手を決める→翌月に確かめる」の順で進めます。 Excelやスプレッドシートで始められます。
記録のルールを決める:案件1件=1行とし、残す項目と書き方(単価は「上限」で書くなど)をチームでそろえます。
3か月分の記録をためる:1か月分だけだと、たまたまの結果に引っぱられます。
4つの切り口で数字を出す:ピボットテーブルを使うと、取引先別・スキル別の集計が数分でできます。ピボットテーブルとは、表を項目ごとに自動で集計するExcelの機能のことです。
一番数字が落ちている場所を1つ選ぶ:全部を直そうとせず、ファネルで一番減っている段階から手をつけます。
打ち手を決めて、担当と期限を書く:「AWS人材をBPに依頼する。担当:佐々木(仮名)。期限:10月15日」のように書きます。
翌月に同じ数字で確かめる:数字が動かなければ、打ち手を変えます。
提案数や面談数の目安は、SES営業のKPIの目安|1日の提案数・面談数と1人あたり売上目標を参考にしてください。
営業日報のデータを分析に使うコツ
営業日報を分析に使うには、文章ではなく「数字の欄」を決めておくことが必要です。 文章だけの日報は、あとから集計できないからです。
日報に入れておくと分析しやすい数字は、次の4つです。
その日の提案数
その日の面談数(実施・通過)
その日に決まった件数
新しく受け取った人材の数(BPから)
日報の数字と、案件1件=1行の表を別々に作ると、同じ内容を2回書くことになります。日報の数字は、案件の表から数えて出すのが二重手間を防ぐコツです。日報の項目と例文は、営業日報の書き方|SES営業で提案・面談数が見える項目と例文で紹介しています。
日報の数字を1週間ごとに見直す回し方は、営業PDCAの回し方|SES営業の4つの数字と週次の管理手順で解説しています。
営業分析資料の作り方:会議用に1枚にまとめる
営業分析資料は、A4で1枚、「結論→根拠のグラフ→打ち手」の順にまとめます。 営業会議で数字を読み上げるだけの資料にしないためです。
1枚の中身は、次の順番がおすすめです。
| 順番 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
| 1 | 今月の結論(1〜2行) | AWS案件に対して人材が足りない |
| 2 | 根拠のグラフ(1〜2個) | スキル別の案件数と単価のグラフ |
| 3 | 打ち手と担当・期限 | BP3社にAWS人材を依頼(10/15まで) |
| 4 | 先月の打ち手の結果 | 面談前の想定質問共有で、通過率が上がった |
月次の報告書と兼ねる場合は、営業報告書の書き方|SES営業の月次報告テンプレートと記入例の形に、グラフを1つ足すと作りやすくなります。
営業分析でやってはいけない3つのこと
営業分析で一番多い失敗は、数字を集めることが目的になり、打ち手が決まらないことです。 次の3つは避けてください。
担当者を責めるために使う:決定率の低い担当者を責めると、記録そのものが正確に書かれなくなります。数字は「仕組みの問題」を探すために使います。
エンジニアの個人情報を必要以上に広げる:分析の表に、氏名や経歴を細かく載せる必要はありません。個人情報保護法では、個人情報の利用目的を特定し、本人に通知または公表することが求められています。分析用の表は、仮名や社員番号で十分です。
1か月の数字で結論を出す:案件の数は月によって大きく変わります。3か月分を並べて判断します。
案件メールをデータにする方法
案件メールをデータにする方法は、「自分で表に転記する」か「ツールで取り込む」かの2つです。 まずは自分でできる方法から始め、手間が重くなったらツールを検討します。
自分でやる方法:Excelに転記するルールを決める
メールソフトで、案件メールと人材メールを別のフォルダに振り分けます。
1日1回、決まった時間に、案件メールを表へ1件1行で転記します。
転記が終わったメールは「転記済み」フォルダに移します。
週1回、表の抜けや書き方のずれを確認します。
この方法は無料で始められます。ただし、1日に届くメールが多いと、転記だけで毎日1時間以上かかることもあります。転記が遅れると、分析の数字も欠けてしまいます。
もっと楽にするなら:チョータツメールAIとチョータツ
転記の手間を減らしたい会社には、チョータツメールAIが向いています。チョータツメールAIとは、届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分けるメールインポート機能のことです。メールに書かれた単価や商流などの条件も読み取ります。
転記がいらない:メールの転送設定をするだけで取り込めます。
余計なメールは残らない:案件・人材以外のメールはデータに残りません。
チョータツで管理・共有できる:取り込んだ案件・人材の情報を、チョータツでチーム全員が見られます。
チョータツは、SES営業の案件・人材を管理・共有するツールで、3,000社以上が利用しています。他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材もデータベースにできます。届いた案件が1か所にたまるので、「先月どんな案件が来たか」をあとから探せるようになります。
分析の元データを「たまる仕組み」にしておくと、毎月の集計にかかる時間が減ります。
よくある質問
- Q. 営業分析は何から始めればいいですか?
- 案件1件=1行の記録表を作ることから始めます。記録が3か月分たまったら、取引先別の決定率を最初に出すのがおすすめです。
- Q. 営業のデータ分析に専用のツールは必要ですか?
- 最初はExcelやスプレッドシートで十分です。案件メールの転記に毎日1時間以上かかるようになったら、ツールで取り込む方法を検討します。
- Q. 営業分析のグラフは何を使えばいいですか?
- 比べるなら横棒グラフ、月ごとの変化は折れ線グラフ、段階ごとの減り方はファネル形の横棒を使います。円グラフは項目が少ないときだけにします。
- Q. 営業の数値分析で、まず見るべき数字はどれですか?
- SES営業なら、提案数・面談通過率・決定率の3つです。ファネルで並べて、一番減っている段階から手をつけます。
- Q. 営業日報の分析がうまくいかないのはなぜですか?
- 日報が文章だけで、数字の欄がないことが多いです。提案数・面談数・決定数を決まった欄に書くと、集計できるようになります。
- Q. 案件が決まらない原因を分析で見つけられますか?
- 見つけられます。ファネルと見送り理由の表を見ると、原因が提案前・面談・条件のどこにあるかがわかります。原因別の直し方はSESの案件が決まらない原因7つ|提案から参画までの詰まりを直す手順で紹介しています。
まとめ
営業分析とは、営業の記録を数字にして、決まる場所と止まる場所を見つけること
SES営業の切り口は、取引先別の決定率・スキル別の案件数と単価・BP別の提案数・面談通過率の4つ
グラフは「比べる=横棒」「変化=折れ線」「減り方=ファネル」で選ぶ
分析の最大の壁は、案件メールがデータとして残っていないこと。案件1件=1行で、提案しなかった案件も残す
3か月分をためてから分析し、一番数字が落ちている段階を1つ選んで打ち手を決める
転記が重いなら、チョータツメールAIで取り込み、チョータツで管理・共有すると元データが自然にたまる
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。記事中の取引先・スキル・人数の数字は、説明のための架空の例です。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日
参考資料(2026年9月30日確認)
個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」(3-1 利用目的の特定、法第17条・第21条)
e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」(第17条 利用目的の特定、第21条 取得に際しての利用目的の通知等)