稼働率の計算方法|SESエンジニアの稼働率2つの式とExcel関数・グラフの作り方
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
稼働率とは?意味と定義
稼働率とは、使える量のうち、実際に使った量の割合のことです。「量」には、人数・時間・生産数などが入ります。何を量にするかは、業界や目的で変わります。
同じ「稼働率」でも、場面によって意味が違います。検索で出てくる説明の多くは、工場の設備やITシステムの話です。SES会社で使う意味とは分けて考えましょう。
| 場面 | 何の割合か | 式の例 |
|---|---|---|
| 工場の設備 | 生産できる量のうち、実際に作った量 | 実際の生産量÷生産能力×100 |
| ITシステム | 動くべき時間のうち、止まらず動いた時間 | 正常に動いた時間÷全体の時間×100 |
| SES会社(会社全体) | 稼働できる人のうち、案件に入っている人 | 稼働中の人数÷稼働できる人数×100 |
| SES会社(1人ずつ) | 基準の時間のうち、実際に働いた時間 | 実稼働時間÷基準時間×100 |
ここからは、表の下2行のSES会社の稼働率を中心に説明します。
稼働率の英語表記
稼働率の英語は、意味によって使い分けます。人や時間の稼働率は utilization rate(ユーティライゼーション・レート)です。
工場などの設備は operating rate と呼びます。ITシステムが止まらずに動く割合は availability(可用性)です。
稼働管理・稼働状況とは
稼働管理とは、誰がどの案件にどれだけ入っているかを記録し、空きが出ないように調整することです。SES会社では、営業や営業責任者が担当することが多い仕事です。
稼働状況とは、ある時点で、その人が案件に入っているか・待機しているかという状態のことです。稼働状況を1人ずつ集めて数えると、会社の稼働率になります。稼働状況の一覧の作り方は、SESの稼働管理の方法|待機を減らす稼働状況一覧と毎週12項目でくわしく説明しています。
SES会社が追う稼働率は2種類ある
SES会社が追う稼働率は、「人数で見る会社の稼働率」と「時間で見る1人の稼働率」の2つです。目的が違うので、両方を別々に出します。
| 種類 | 分かること | 主に使う人 |
|---|---|---|
| 人数ベース(会社) | 何人が売上を生んでいて、何人が待機か | 経営者・営業責任者 |
| 時間ベース(1人) | その人が基準に対して、どれだけ働いたか | 営業・営業事務 |
人数ベースは、売上と利益に直結する数字です。待機の人は、客先に請求できないからです。
時間ベースは、精算や働きすぎのチェックに使う数字です。客先の契約で決めた時間の幅(精算幅)と比べて、控除や超過が出ないかを確かめます。
稼働率の計算式①:人数で出す会社の稼働率
会社の稼働率は、「稼働中のエンジニア数÷稼働できるエンジニア数×100」で求めます。毎月末など、決まった日の時点で数えます。
計算例
稼働できるエンジニア:30名
案件に入っている人:27名
稼働率=27÷30×100=90%
待機率=100%−90%=10%(3名)
待機率とは、稼働できるのに案件に入っていない人の割合のことです。待機率と稼働率を足すと、100%になります。
分母の「稼働できる人数」の決め方
計算でいちばん迷うのが、分母に誰を入れるかです。次の人は、分母から外す会社が多いです。
休職中・育児休業中の人
入社直後で研修中の人
社内の開発や管理の仕事を担当している人
どこまで分母に入れるかで、稼働率は数ポイント動きます。社内でルールを文字にして、毎月同じルールで数えることが大切です。
月の途中で入れ替わりがあるとき
月の途中で案件に入った人や、途中で抜けた人がいる月は、人月で数えると正確です。人月とは、1人が1か月働く量を1とする単位のことです。
例:30名のうち、26名がまる1か月稼働、2名が月の後半だけ稼働、2名が待機
(26+0.5+0.5)÷30×100=90%
人月の数え方は、人日・人月の計算方法|意味・読み方と換算早見表・見積例でくわしく説明しています。業界の平均や上場企業の開示例、待機を減らす打ち手は、SESの稼働率の平均と上げ方|待機を減らす営業の打ち手5つにまとめています。
稼働率の計算式②:時間で出す1人の稼働率
1人の稼働率は、「実際に働いた時間÷基準の時間×100」で求めます。基準の時間は、ふつう「その月の営業日数×1日の所定労働時間」です。
所定労働時間とは、会社や契約で決めた、1日に働く予定の時間のことです。労働基準法では、法定労働時間を原則1日8時間・週40時間と定めています。多くの会社は8時間か、それより短い時間にしています。
2026年10月の計算例
2026年10月の平日は22日です。10月12日(月)がスポーツの日で祝日なので、営業日は21日になります。
| 項目 | 数字 | 計算 |
|---|---|---|
| 営業日数 | 21日 | 平日22日−祝日1日 |
| 基準の時間 | 168時間 | 21日×8時間 |
| 実際に働いた時間 | 160時間 | 稼働報告書の合計 |
| 稼働率 | 約95.2% | 160÷168×100 |
残業が多い月は、稼働率が100%を超えることもあります。100%を超えたら「よく働いた」ではなく、働きすぎのサインとして確認しましょう。
精算幅との関係
時間ベースの稼働率は、精算幅とは別の数字です。精算幅とは、月の稼働時間が何時間から何時間までなら、単価どおりに請求するかという幅のことです。
たとえば精算幅が140〜180時間なら、160時間は幅の中です。稼働率が95.2%でも、請求額は変わりません。精算幅を外れたときの計算は、SESの精算幅を下回ったら?控除の計算方法を見てください。
有給休暇の扱い
有給休暇を「働いた時間」に入れるかどうかは、会社のルールと客先との契約で決まります。社内の稼働率では入れない、と決める会社もあります。客先への精算での扱いは、SESで有給を取ると稼働時間はどうなる?で3つのパターンを紹介しています。
チームの「人員稼働率」を出すとき
人員稼働率とは、チーム全体で見た、基準の時間に対する働いた時間の割合のことです。1人ずつの稼働率を平均するのではなく、時間を足してから割ります。
例:Aさん160時間・Bさん120時間、基準はどちらも168時間
(160+120)÷(168+168)×100=約83.3%
Excelで稼働率を出す方法(関数つき)
Excelでは、人数ベースはCOUNTIFS関数、時間ベースはNETWORKDAYS関数を使います。毎月の計算を自動にできます。Googleスプレッドシートでも同じ関数が使えます。
人数ベースの稼働率をExcelで出す手順
A列に「エンジニア名」、B列に「状態」の見出しを作る
B列には「稼働中」「待機」「対象外」のどれかだけを入れる(入力規則のリストにすると入力ミスが減る)
稼働中の人数を出すセルに
=COUNTIFS(B:B,"稼働中")と入れる稼働できる人数を出すセルに
=COUNTIFS(B:B,"稼働中")+COUNTIFS(B:B,"待機")と入れる稼働率のセルに
=IFERROR(稼働中のセル/稼働できるセル,"")と入れ、表示形式を「%」にする
「対象外」は、休職中や研修中の人に使います。対象外を分母から自動で外せるので、定義がぶれません。
COUNTIFS関数とは、条件に合うセルの数を数える関数のことです。条件を複数つけられるので、「部署ごと」「スキルごと」の稼働率も出せます。
時間ベースの稼働率をExcelで出す手順
別のシートに、その年の祝日の日付を1列に並べる(例:祝日シートのA2:A20)
基準の時間のセルに
=NETWORKDAYS("2026/10/1","2026/10/31",祝日!A2:A20)*8と入れる2026年10月なら、結果が168になることを確かめる
実際に働いた時間のセルに、稼働報告書の合計時間を入れる
稼働率のセルに
=IFERROR(ROUND(実働のセル/基準のセル,3),"")と入れ、表示形式を「%」にする
NETWORKDAYS関数とは、開始日から終了日までの、土日と指定した祝日を除いた日数を数える関数のことです。祝日の一覧は、内閣府が毎年公表している「国民の祝日」から写します。
よくあるまちがいは、式に「×100」を入れたうえで、表示形式も「%」にすることです。すると90%が9000%と表示されます。「%」表示にするなら、100は掛けません。
関数の使い方をもっと知りたい方は、エクセルの工数計算の関数|人日・人月を出す式も参考にしてください。
稼働率のグラフの作り方
稼働率は、会社の月ごとの推移を折れ線グラフ、1人ずつの比較を横棒グラフにすると読みやすくなります。
1行目に月(2026年4月〜2027年3月など)、2行目に毎月の稼働率を並べる
2行目の範囲を選び、「挿入」から「折れ線グラフ」を選ぶ
縦軸の最小値を70%ほどにして、小さな変化も見えるようにする
目標の稼働率(例:95%)を3行目に入れ、同じグラフに線として重ねる
目標の線を重ねると、「どの月に目標を下回ったか」がひと目でわかります。会議でも説明しやすくなります。
稼働率の計算ツールは必要か
稼働率の計算だけなら、専用の計算ツールがなくても、ExcelかGoogleスプレッドシートで十分です。式は割り算1つだからです。
ツールが役に立つのは、計算よりも「状態を最新に保つ」ことです。稼働状況の入力が遅れると、どんなに正しい式でも、数字は実態とずれます。
| 方法 | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|
| Excel・スプレッドシート | エンジニア30名くらいまで | 更新する人を1人に決める |
| 工数管理ツール | 時間の記録も一緒にしたい | 入力の手間が増えないか確認する |
| 案件・人材の管理ツール | 待機の人の次の案件探しまでつなげたい | 人材の情報を全員で共有する |
どの方法でも、状態を更新する担当者と曜日を決めることが先です。
稼働率の計算でよくあるまちがい5つ
稼働率の数字がおかしいときは、式よりも数え方のルールがずれていることがほとんどです。よくあるまちがいは次の5つです。
分母の定義を月によって変える:研修中の人を入れた月と外した月があると、前の月と比べられない
「%」表示と×100を両方使う:90%が9000%になる
有給休暇の扱いがばらばら:人によって実働に入れたり入れなかったりする
月の途中の入場を1人と数える:月末だけ見ると、実態より高く出る
1人ずつの稼働率を単純に平均する:時間の多い人と少ない人の重みが消える
5つとも、社内で「稼働率の数え方」を1枚のメモにしておくと防げます。そのまま使えるひな形は次のとおりです。
| 項目 | 決める内容(記入例) |
|---|---|
| 数える日 | 毎月末日の18時時点 |
| 分母に入れる人 | 正社員エンジニア。休職・育休・入社3か月以内の研修中は除く |
| 分子に入れる人 | 個別契約書の期間中の人(月の途中の入場は日割りの人月で数える) |
| BP要員 | 会社の稼働率には入れず、別の表で管理する |
| 有給休暇 | 社内の時間ベースの稼働率では実働に入れない |
| 報告先 | 翌月第3営業日の営業会議で、営業責任者が報告 |
営業会議では「10月末の稼働率は90%(27名/30名)。待機3名のうち2名は11月中旬の参画が決定、1名は提案中5件」のように、率と人数と次の見込みを1文で報告すると議論が早く進みます。
計算した稼働率の使い方
稼働率は結果の数字なので、計算のしかたを変えても上がりません。上げるには、契約が終わる前に次の案件を決めて、待機の日数を減らします。
30名の会社なら、待機が1名減るだけで稼働率は約3.3ポイント上がります。単価60万円なら、月60万円の売上が戻ります。毎月の数字は、次のように使うと営業の動きにつながります。
月末の会社の稼働率を、前月・前年同月と並べて見る
1人の稼働率が低い人(基準時間を大きく下回る人)は、精算の控除や案件の見直しの材料にする
「3か月以内に契約が終わる人数」を、稼働率と同じ表に並べておく
待機を減らす営業の打ち手5つは、SESの稼働率の平均の記事で解説しています。
チョータツで「次の案件探し」を早くする
稼働率を上げる打ち手のうち、いちばん時間がかかるのが次の案件探しです。ここを楽にするのが、DrivenXのSES営業向けツールです。
チョータツとは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールのことです。3,000社以上が利用しており、無料で始められます。
| 作業 | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 他社の案件を探す | 届いた配信メールを1通ずつ読む | 連携した会社の営業中案件をデータベースで探す |
| 届くメールを分ける | 案件か人材かを手で仕分ける | チョータツメールAIが案件メールと人材メールに切り分ける |
| 空きが出る人を知らせる | BCCで一斉送信する | チョータツのメール配信機能でパートナーに配信する |
| 人材の状態を共有する | 担当ごとのExcel | チョータツで人材の情報を管理・共有する |
チョータツメールAIは、転送設定でメールを取り込む機能です。案件・人材以外のメールはデータに残りません。
稼働率の計算はExcelで続けながら、待機になりそうな人の次の案件探しだけチョータツに任せる使い方もできます。
よくある質問
- Q. 稼働率の計算式は何ですか?
- 基本は「実際に使った量÷使える量×100」です。会社全体なら「稼働中の人数÷稼働できる人数×100」です。1人ずつなら「実際に働いた時間÷基準の時間×100」で求めます。
- Q. 稼働率はExcelでどうやって出しますか?
- 人数はCOUNTIFS関数で「稼働中」と「待機」を数え、割り算します。基準の時間は、NETWORKDAYS関数で営業日を数え、8時間を掛けます。セルを「%」表示にするときは、100を掛けません。
- Q. 稼働率が100%を超えることはありますか?
- 時間ベースの稼働率では、残業が多い月に100%を超えます。人数ベースの稼働率は、全員が稼働して100%が上限です。
- Q. 稼働率は英語で何と言いますか?
- 人や時間の稼働率は「utilization rate」です。工場などの設備は「operating rate」です。ITシステムが止まらずに動く割合は「availability」と呼びます。
- Q. 研修中の新人は稼働率の分母に入れますか?
- 決まりはありません。研修が終わるまでは分母から外す会社も多いです。大切なのは、社内でルールを決めて毎月変えないことです。
- Q. SES会社の稼働率の平均は何%ですか?
- 業界全体の平均を示す公的な統計は見当たりません。上場企業の開示例は、「SESの稼働率の平均と計算式」の記事で紹介しています。
まとめ
稼働率の基本は「実際に使った量÷使える量×100」
SES会社では、人数ベース(会社)と時間ベース(1人)の2つを別々に出す
会社の稼働率は「稼働中の人数÷稼働できる人数×100」。分母のルールを文字にして毎月変えない
1人の稼働率は「実働時間÷(営業日数×所定労働時間)×100」。2026年10月は基準168時間
Excelは、COUNTIFS関数とNETWORKDAYS関数で自動化できる。「%」表示なら100は掛けない
稼働率を上げるカギは、契約終了の3か月前から動き、待機を減らすこと
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)
Microsoft サポート「COUNTIFS 関数」
Microsoft サポート「NETWORKDAYS 関数」
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