営業計画書の作り方|SES企業の月次計画を粗利から逆算する手順【ひな形・記入例付き】
公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日
営業計画とは?営業戦略・営業目標・行動計画との違い
営業計画とは、決めた期間に「どれだけの成果を、どんな動きで出すか」を数字で並べた計画のことです。SES企業では、1か月単位で作ると一番使いやすくなります。人の契約が月単位で動くからです。
似た言葉が多いので、違いを表にまとめます。
| 言葉 | 何を決めるか | 期間 | SESでの例 |
|---|---|---|---|
| 営業戦略 | どこで・誰に・何を売るか | 1年 | 「エンド直の比率を35%に」 |
| 営業計画 | いくら稼ぎ、何人決めるか | 1か月 | 「12月参画を6名決める」 |
| 営業目標 | 担当者ごとの数字 | 1か月〜半年 | 「Aさんは決定2名」 |
| 行動計画 | 毎日・毎週の動く量 | 1日〜1週間 | 「提案を1日4件」 |
営業計画書とは、営業計画を1枚の書類にまとめたものです。年度の戦略を立てる方法は営業戦略の立て方|SES企業のフレームワーク5つと計画書テンプレで解説しています。この記事は、その戦略を毎月の実行計画に落とす段階だけに絞って説明します。
一般的な営業計画とSESの営業計画の違い
一般的な営業計画は「売上目標÷受注単価=受注件数」から始めます。SESではこの式だけだと、うまく合いません。
SESの売上は「稼働している人数×単価」で決まります。今いる人が来月も稼働するなら、何もしなくても売上は立ちます。反対に、契約が終わる人や待機中の人は、決まるまで粗利がゼロです。
そのため、SESの営業計画は「空く人を何人埋めるか」から逆算するのが基本です。
SESの営業計画書に入れる8つの項目
SESの営業計画書には、次の8項目を入れます。これだけあれば、1枚で「今月やること」が全員に伝わります。
| # | 項目 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 1 | 対象月と営業方針 | 何月参画を決める計画か。今月の方針を1〜2文で |
| 2 | 粗利目標 | 年度計画から割り振った、その月の粗利 |
| 3 | 継続見込みの粗利 | 来月も稼働が続く人の粗利の合計 |
| 4 | 空く人リスト | 契約終了予定・待機中・入社予定の人 |
| 5 | 決定目標 | 何人を、いつまでに決めるか |
| 6 | 行動目標 | 提案数・面談数(全体と1日あたり) |
| 7 | 担当者ごとの割り振り | 誰が、どの人を、何件提案するか |
| 8 | 週ごとの締めとリスク | 週ごとの目安と、遅れたときの打ち手 |
粗利とは、売上から仕入れ(BPへの支払い)や自社エンジニアの人件費を引いた残りのことです。
営業計画書の作り方|粗利から逆算する6ステップ
営業計画書は、粗利目標から始めて、提案数まで6段階で割り戻すと作れます。数字は「自社の過去3か月の実績」を使うのがコツです。業界の平均より、自社の実績の方が当たります。
ここでは、次のような会社を例にします(数字はすべて説明用の例です)。
自社エンジニア(プロパー)20名。1人あたり月の粗利は平均18万円
BP(取引先の会社)のエンジニア10名が稼働中。1人あたり月の粗利は平均8万円
2026年11月に営業し、12月1日(火)参画の人を決める計画を作る
ステップ1:その月の粗利目標を決める
まず、年度の計画から「12月の粗利目標」を決めます。年度の粗利目標を12で割るだけでなく、繁忙期や入社の時期に合わせて月ごとに調整します。
例では、12月の粗利目標を440万円とします。
ステップ2:空く人リストを作る
次に、12月に稼働していない可能性がある人を、全員書き出します。空く人リストとは、契約終了予定・待機中・入社予定の人を1つにまとめた一覧のことです。
| 区分 | 人数 | 確認すること |
|---|---|---|
| 11月末で契約終了(プロパー) | 3名 | 延長の可能性はゼロか |
| 11月末で契約終了(BP) | 2名 | BP側が次を探しているか |
| 待機中(プロパー) | 1名 | 希望の条件は変わっていないか |
| 11月入社予定(プロパー) | 1名 | 12月から参画できるか |
契約終了の予定は、遅くとも1〜2か月前には客先に更新の意向を確認しておきます。この確認が遅れると、計画そのものが作れません。
待機とは、エンジニアが次の現場に入っておらず、稼働していない状態のことです。待機中でも自社エンジニアの給与は発生します。会社の都合で休ませる場合は、労働基準法第26条により、平均賃金の60%以上の休業手当が必要です。詳しくはSESの待機期間の給与と対応|休業手当の計算例と早く案件に入る7手順を参照してください。
待機の人が複数いる月は、誰から先に決めるかも計画書に書きます。順番の決め方はSESの待機エンジニアが複数いるときの営業の優先順位|判断表つきで解説しています。
ステップ3:継続見込みの粗利と、足りない粗利を出す
空く人を除いた「来月も続く人」の粗利を合計し、目標との差を出します。
| 項目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| プロパーの継続分 | (20名−終了3名−待機1名)×18万円 | 288万円 |
| BPの継続分 | (10名−終了2名)×8万円 | 64万円 |
| 継続見込みの粗利 | 288万円+64万円 | 352万円 |
| 足りない粗利 | 440万円−352万円 | 88万円 |
この88万円が、11月の営業で新しく決めなければならない粗利です。
ステップ4:決める人数を決める
足りない粗利を、粗利の大きい人から順に埋めると考えます。SESでは、プロパーの方がBPより1人あたりの粗利が大きいことが多いからです。
プロパー5名(終了3名+待機1名+入社1名)を決める:5名×18万円=90万円
これで88万円に届く。ただし1名でも決まらないと届かない
1名でも崩れると目標に届かないので、BP要員を1名、上乗せで決める計画にします。BP1名で8万円なので、合計の決定目標は6名(98万円)です。
決定目標は、必ず「目標ぴったり」より少し多めにします。SESでは、面談の結果待ちや参画日のずれがよく起きるからです。
ステップ5:決定数から面談数を出す
次に、「6名決めるには、面談が何件必要か」を出します。自社の過去3か月の面談からの決定率を使います。
面談からの決定率とは、客先との面談を受けた件数のうち、参画が決まった件数の割合のことです。ここでは例として35%とします。
必要な面談数=決定6名÷35%=17.1件 → 18件(端数は切り上げ)
面談で落ちる割合を下げる方法は、SESの面談通過率を上げる方法|平均の目安と営業ができる事前準備8つで解説しています。
ステップ6:面談数から提案数を出し、1日あたりに割る
最後に、「面談18件のために、提案が何件必要か」を出します。自社の提案から面談に進む割合を使います。例では25%とします。
必要な提案数=面談18件÷25%=72件
2026年11月の営業日=19日(土日と、11月3日の文化の日・11月23日の勤労感謝の日を除く)
1営業日あたりの提案数=72件÷19日=3.8件 → 1日4件
営業担当が3人なら、1人あたり月24件、1日1〜2件です。こうして「今日、何件提案すればいいか」まで割ると、行動計画書として使えます。1日の提案数の目安は、SES営業のKPIの目安|1日の提案数・面談数と1人あたり売上目標も参考にしてください。
そのまま使える営業計画書のひな形と記入例
営業計画書は、1枚に収まる形にします。長い資料にすると、誰も見返さなくなるからです。次のひな形をExcelやスプレッドシートにそのまま写して使えます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 営業計画書(2026年12月1日参画分) 作成:営業部 ○○ 作成日:2026年10月26日(月) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ 今月の営業方針 契約終了3名と待機1名を、11月20日(金)までに全員決める。 新規の面談は、単価より「早く決まる案件」を優先する。 ■ 粗利の計算 粗利目標 440万円 継続見込みの粗利 352万円(プロパー288万円+BP64万円) 足りない粗利 88万円 ■ 空く人リスト No.|名前|区分|得意スキル |希望単価 1 |A |終了|Java・Spring |70万円 2 |B |終了|AWS構築・運用 |72万円 3 |C |終了|PMO |75万円 4 |D |待機|テスト・PHP |55万円 5 |E |入社|ネットワーク運用 |50万円 6 |BP枠|BP |Java(BP○○社) |75万円 ■ 決定・行動の目標(全体) 決定 6名(プロパー5名+BP1名) 面談 18件(面談からの決定率35%で計算) 提案 72件(提案から面談に進む割合25%で計算) 営業日19日 → 提案1日4件 ■ 担当者ごとの割り振り 担当|担当する人 |決定|面談|提案 山田|A・B |2名|6件 |24件 佐藤|C・BP枠 |2名|6件 |24件 鈴木|D・E |2名|6件 |24件 ■ 週ごとの締め(累計) 11月6日(金) 提案24件/面談4件 11月13日(金) 提案48件/面談10件/決定2名 11月20日(金) 提案66件/面談16件/決定5名 11月27日(金) 提案72件/面談18件/決定6名 ■ リスクと打ち手 ・待機のDさんは経験が浅い → テスト案件を多く持つBPへ、人材提案を依頼する ・入社予定のEさんは参画日が読めない → 12月中旬開始の案件も並行して探す ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
週ごとの締めは、前半に多めに置くのがポイントです。12月1日参画なら、面談の結果が出るまでの日数を考えると、11月後半の提案では間に合わないことがあるからです。
営業方針・営業チーム方針の書き方と例文
営業方針とは、その月に「何を優先し、何を後回しにするか」を1〜2文で決めた言葉のことです。数字の計画だけだと、迷ったときの判断がばらばらになります。方針があると、担当者が同じ向きで動けます。
営業方針は、次の3つを入れると具体的になります。
期限:いつまでに
対象:誰を(どの空く人を)
優先順位:単価・スピード・商流のどれを優先するか
営業方針の例文(SES向け)
「契約終了の3名は、11月20日までに全員決める。今月は単価より参画の早さを優先する」
「待機中の若手2名は、テスト・運用保守の案件に絞って提案する。BPへの人材提案依頼を週2回送る」
「今月から、エンド直・元請けの案件に提案の半分を使う。二次請けより下の案件は、待機の人だけに使う」
営業チーム方針とは、チーム全体の動き方のルールのことです。月の数字ではなく、毎月変わらない約束ごとを書きます。
「空く人の情報は、わかった日のうちにチームに共有する」
「面談の結果は、客先から連絡が来たその日に記録する」
「提案を送ったら、2営業日後に必ず結果を確認する」
担当者ごとの目標の決め方は、営業目標の立て方|SES営業の個人目標・行動目標の例文と決め方で詳しく解説しています。
営業計画を月の途中で見直す方法
営業計画は、毎週1回、実績と比べて見直します。月末に「足りなかった」とわかっても、SESでは翌月の参画に間に合わないからです。
毎週の営業会議で、次の順に確認します。
決定数:週の締めの目安に届いているか
面談数:決定が足りない原因が、面談の数か、面談からの決定率か
提案数:面談が足りない原因が、提案の数か、提案の質か
空く人リスト:新しく契約終了がわかった人はいないか
打ち手:足りない分を、誰が・何件・いつまでに埋めるか
たとえば「提案は予定どおりなのに、面談が少ない」なら、提案の数ではなく提案する案件の選び方に問題があります。スキルや単価が合っていない案件に送っていないか確認しましょう。
会議の進め方は営業会議の進め方|SESで案件・要員を30分で回すアジェンダ例で解説しています。計画と実績の比べ方は予実管理とは?SES会社の売上・粗利を月次で比べる表と計算例にあります。
営業計画書づくりでやってはいけない5つの失敗
営業計画でよくある失敗は、数字の出どころがあいまいなことです。次の5つは避けましょう。
売上目標だけで作る:SESは空く人が埋まらないと粗利が出ません。人数から計算しましょう
業界の平均値で割り戻す:面談からの決定率は、会社や職種で大きく違います。自社の直近3か月の実績を使いましょう
決定目標を目標ぴったりにする:1名崩れると届きません。1〜2名の上乗せを入れましょう
空く人リストを月初に作る:契約終了の確認は1〜2か月前から始めないと、提案が間に合いません
作ったまま見直さない:週1回、実績と比べないと、計画書はただの「願い」になります
営業計画書を回すための道具|まずはExcel、続けるならチョータツ
営業計画書は、Excelやスプレッドシートで十分作れます。ただし、毎週見直すには空く人・案件・提案の記録が1か所にまとまっていることが前提です。
自分でやる方法(Excel・スプレッドシート)
「人材」のシートに、全エンジニアの契約終了日・待機の有無を入れる
「計画」のシートに、ひな形の項目を入れ、粗利と人数の計算式を作る
「提案記録」のシートに、提案日・案件名・結果を1行ずつ記録する
週に1回、提案記録の件数を数えて、計画と比べる
この方法は無料で始められます。ただ、担当者が増えると転記の漏れやファイルの取り違えが起きやすくなります。
もっと楽にするなら:チョータツ
チョータツは、SES営業の案件・人材の情報を管理・共有できるツールです。3,000社以上が利用していて、無料で始められます。営業計画の場面では、次のように使えます。
| 場面 | 自分でやる場合 | チョータツを使う場合 |
|---|---|---|
| 空く人リストを作る | 各担当のExcelから集める | 人材の情報を1か所で管理・共有 |
| 提案先の案件を探す | 届いたメールを1通ずつ読む | 連携先の営業中案件をデータベースで見る |
| BPに人材を届ける | BCCで一斉送信 | メール配信機能でパートナーに配信 |
| 情報を入力する | 手で転記する | AIが入力を手伝う |
提案数の目標が大きい月ほど、「提案できる案件をどれだけ持っているか」で差がつきます。チョータツで他社と連携すると、連携先の営業中案件・営業中人材を自社のデータベースとして見られます。提案先を探す時間を減らせます。
よくある質問
- Q. 営業計画書はどのくらいの期間で作ればいいですか?
- SES企業なら1か月単位がおすすめです。エンジニアの契約が月単位で動くためです。年度の方針は営業戦略、月の数字は営業計画書、と分けると整理しやすくなります。
- Q. 営業計画書と行動計画書は別に作るべきですか?
- 1枚にまとめて問題ありません。営業計画書の中に「提案数・面談数」と「担当者ごとの割り振り」を入れれば、それがそのまま行動計画書になります。
- Q. 面談からの決定率がわからないときはどうしますか?
- まず今月から、提案・面談・決定の件数を記録しましょう。最初の月は仮の数字で作り、2〜3か月たったら自社の実績に置き換えます。
- Q. 待機の人がいない月も、営業計画書は必要ですか?
- 必要です。翌々月の契約終了予定や入社予定を早めに書き出せるからです。空く人がいない月は、単価アップや商流を上げる提案に時間を使う計画にします。
- Q. BP要員も決定目標に入れるべきですか?
- 入れることをおすすめします。1人あたりの粗利はプロパーより小さいことが多いですが、プロパーが決まらなかったときの上乗せになります。
- Q. 営業方針はどのくらい具体的に書けばいいですか?
- 「期限・対象・優先順位」の3つが入っていれば十分です。「がんばる」「強化する」のような言葉だけの方針は、判断の基準になりません。
まとめ
営業計画書は、年度の戦略を「今月何人決めるか」と「何件動くか」に落とす月次の実行表
SESでは、粗利目標→継続見込み→足りない粗利→決定数→面談数→提案数の順に逆算する
出発点は、契約終了予定・待機中・入社予定を並べた空く人リスト
決定目標は1〜2名上乗せし、率は自社の直近3か月の実績を使う
営業方針は「期限・対象・優先順位」を入れて1〜2文で書く
週1回の営業会議で、決定・面談・提案の実績と比べて見直す
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日
参考資料(2026年9月30日確認)