SESの営業利益率の平均は?公的統計と上場企業の数字、利益が出ない原因5つと営業ができる改善策

公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日

SESの営業利益率の平均は?公的な目安は約5〜6%

SESに近い業種の公的な数字では、営業利益率は約5〜6%です。中小企業庁の「中小企業実態基本調査」で、情報サービス業の法人企業を見ると、2024年度決算は5.6%でした。

営業利益率とは、売上のうち、本業で残った利益(営業利益)が何%かを表す数字のことです。「営業利益÷売上高×100」で計算します。

中小企業の情報サービス業は5.6%(全産業は3.7%)

中小企業実態基本調査は、全国の中小企業の決算を集計した国の統計です。情報サービス業には、SESのほか受託開発やシステム運用の会社も入ります。

決算年度(調査)情報サービス業の営業利益率全産業の営業利益率情報サービス業の社数
2022年度(令和5年確報)5.2%3.2%29,946社
2023年度(令和6年確報)5.8%3.3%31,823社
2024年度(令和7年確報)5.6%3.7%33,354社

※ 中小企業実態基本調査「売上高及び営業費用(産業中分類別表・法人企業)」の売上高と営業利益から、当メディアが計算しました。社数は推計値です。

3年とも5%台で推移しています。自社の営業利益率が5%前後なら、中小の情報サービス業として平均的と見てよいでしょう。

上場している技術者派遣・SI企業は10%超

上場している大手は、営業利益率が10%を超える会社があります。決算短信で公表されている数字を見てみましょう。

会社(2026年3月期)主な事業売上高営業利益率売上総利益率
メイテックグループホールディングスエンジニア派遣14.5%約26.4%
DTSシステム開発(独立系SIer)12.2%約21.9%

※ 売上総利益率は、決算短信の売上高と売上総利益から当メディアが計算しました。

2社とも、粗利率は20%台です。それでも営業利益率が高いのは、販管費が売上の約10〜12%に収まっているからです。メイテック(MT)は、エンジニアの稼働率が98.5%と高い水準にあります。

→ ほかの上場企業の数字はSES上場企業の決算・営業利益率を比較|技術者派遣大手ランキングでまとめています。

営業利益率と粗利率の違い

営業利益率は、粗利率から販管費率を引いたものです。粗利率が「案件そのものの儲け」なら、営業利益率は「会社を回した後に残る儲け」です。

販管費(販売費及び一般管理費)とは、営業や管理部門の人件費、家賃、採用費など、会社を回す費用のことです。エンジニアの給与やBPへの支払いは、ふつう販管費ではなく売上原価に入ります。

指標計算式わかること
粗利率粗利 ÷ 売上 × 100案件・エンジニア単位で残る割合
販管費率販管費 ÷ 売上 × 100会社を回す費用の重さ
営業利益率粗利率 − 販管費率本業で最終的に残る割合

中小企業の統計で粗利率が46%に見える理由

中小企業実態基本調査では、情報サービス業の粗利率(売上総利益率)は46.5%、販管費率は40.9%です。SES営業の感覚より、粗利率がかなり高く見えます。

理由の一つは、エンジニアの人件費を販管費に入れている会社が多いことです。同じ調査では、販管費の中の人件費が売上の約21%あります。原価の労務費(約17%)より多いのです。

そのため、他社と比べるときは粗利率ではなく営業利益率で比べるのがおすすめです。経費をどこに入れても、営業利益率は同じになるからです。粗利率の計算方法はSESの粗利率の平均は?利益率の計算式と計算例・上げる方法5つで解説しています。

モデル会社で見る営業利益率の計算例

ここからは、エンジニア30名のSES会社を例に計算します。数字は計算のしかたを示すための例です。

モデル会社の月の数字

項目内容金額(月)
売上プロパー20名・BP10名、単価はいずれも70万円2,100万円
粗利プロパー1人22.5万円、BP1人7万円520万円(24.8%)
販管費営業3名150万円、管理1名45万円、採用70万円、家賃・通信45万円、その他50万円360万円(17.1%)
営業利益粗利 − 販管費160万円(7.6%)

プロパーとは、自社で雇っている正社員のエンジニアのことです。BP(ビジネスパートナー)とは、エンジニアを出してくれる取引先の会社のことです。

プロパーの粗利22.5万円は、単価70万円から給与40万円・会社負担の社会保険料6万円・交通費1.5万円を引いた額です。BPの粗利7万円は、単価70万円からBPへの支払い63万円を引いた額です。

このモデル会社の営業利益率7.6%は、中小企業の平均(5.6%)より少し高い水準です。次の章で、この数字がどう崩れるかを見ていきます。

SESで利益が出ない原因5つ

SESで利益が出ない原因は、待機・営業工数・BP比率・商流の深さ・採用と離職のコストの5つです。どれも、営業のやり方で変えられる部分があります。

原因モデル会社で起きた場合営業利益率営業で変えられるか
① 待機プロパー2名が1か月待機7.6% → 1.0%変えられる(提案先を増やす)
② 営業工数事務作業のために営業を1名増員7.6% → 5.2%変えられる(作業を減らす)
③ BP比率プロパー10名・BP20名に逆転7.6% → 0.2%一部変えられる(BPの粗利交渉)
④ 商流の深さ全員の単価が5万円下がる7.6% → 0.5%変えられる(上流の取引先開拓)
⑤ 採用・離職1名が辞め、補充に採用費100万円を追加7.6% → 1.8%一部変えられる(定着の支援)

① 待機:売上ゼロでも給与は出る

待機は、営業利益率を最も大きく下げる原因です。待機とは、プロパーの次の参画先が決まらず、売上が立っていない状態のことです。

モデル会社で2名が1か月待機すると、売上は140万円減ります。給与は払い続けるので、営業利益は160万円から20万円に減ります。営業利益率は7.6%から1.0%です。

販管費はエンジニアの人数では減りません。そのため、待機の損失はほぼそのまま営業利益から消えます。待機が同時に何人も出たときの動き方は、SESの待機エンジニアが複数いるときの営業の優先順位|判断表つきで解説しています。

② 営業工数:メール整理や転記に時間を取られる

営業工数とは、営業担当が仕事に使う時間のことです。SES営業は、案件メールを読んでExcelに転記する作業に時間を取られがちです。

この作業が回らず営業を1名増やすと、販管費が月50万円増えます。営業利益は110万円、営業利益率は5.2%に下がります。人を増やす前に、時間を奪う作業を減らせないか確認しましょう。

→ SES営業の効率化の方法|時間を奪う作業7つと減らす順番

③ BP比率:BPの人材は粗利が薄い

BPの人材が多いほど、会社全体の粗利率は下がります。モデル会社では、プロパーの粗利率は約32%、BPの粗利率は10%です。

人数の比率がプロパー10名・BP20名に逆転すると、粗利は365万円に減ります。販管費360万円を引くと、営業利益は5万円だけです。営業利益率は0.2%になります。

BPの人材は待機のリスクがなく、採用費もかかりません。BPを使うこと自体は悪くありませんが、BP1件ごとの粗利が営業のコストを上回っているかを確認しましょう。目安の出し方は次の章で説明します。

④ 商流の深さ:単価が低い案件ばかりになる

商流とは、仕事がエンド(発注元)から、いくつもの会社を通って流れてくる経路のことです。商流が1段深くなるごとに、間の会社の取り分だけ単価が下がります。

モデル会社で30名全員の単価が5万円ずつ下がると、粗利は150万円減ります。営業利益は10万円、営業利益率は0.5%です。原価は変わらないので、単価の差がそのまま利益の差になります。

→ SESの一次請け・二次請けの違い|単価差と商流を上げる方法

⑤ 採用と離職のコスト:販管費が膨らむ

採用費は販管費に入るので、エンジニアが辞めるたびに営業利益が削られます。モデル会社でプロパー1名が辞め、いつもの採用費とは別に補充の採用費100万円がかかったとします。その月の営業利益は約38万円(粗利22.5万円減・販管費100万円増)、営業利益率は約1.8%まで下がります。

さらに、辞めた人の分だけ売上が止まります。補充までの期間が長いほど、損失は大きくなります。営業ができることは、エンジニアの希望に合う次の案件を早めに用意することです。

SESのBP案件の利益率の目安

BP案件の粗利は、営業1人の月のコストを担当件数で割った額より多いことが最低ラインです。これを下回ると、その案件は営業の手間の分だけ赤字です。

公的な統計に、BP案件の利益率の平均はありません。そこで、自社の数字から目安を出す方法を紹介します。

  1. 営業1人の月のコストを出す(給与+会社負担の社会保険料など。例:50万円)

  2. 営業1人が担当している稼働中の案件数を数える(例:10件)

  3. 1件あたりの営業コストを出す(50万円÷10件=5万円)

  4. 管理部門・家賃などの分を足す(例:1件あたり3万円)

  5. 合計(例:8万円)を、BP案件1件で確保したい粗利の最低ラインにする

この例では、BP案件の粗利が月8万円を下回ると、会社としては利益が残りません。単価70万円の案件なら、粗利率は約11.4%が目安です。

BPへの支払い(単価70万円)粗利粗利率最低ライン8万円との比較
65万円5万円約7.1%3万円足りない
63万円7万円10.0%1万円足りない
62万円8万円約11.4%ちょうど
60万円10万円約14.3%2万円上回る

最低ラインを下回るBP案件は、すぐに断る必要はありません。更新のときにBPと仕入れ単価を話し合うか、1件あたりの営業の手間を減らすかのどちらかを考えましょう。

更新のときにBPへ仕入れ単価の相談をする文面の例です。取引量の話とセットにすると、一方的な値下げの要求になりにくくなります。

例文・テンプレート
〇〇様

いつもお世話になっております。株式会社△△の佐藤です。
山田様の1月以降のご契約について、ご相談があります。

上位からの単価が据え置きとなったため、弊社の取り分が
管理にかかる費用を下回る状態が続いております。
次回更新から、月62万円でのご契約をご検討いただけないでしょうか。

あわせて、御社のJava経験者を来月2名までご提案いただければ、
優先して上位へご紹介いたします。

BPが中小企業やフリーランスの場合、一方的に単価を決めると、取適法やフリーランス法の買いたたきに当たるおそれがあります。必ず話し合いで決め、やりとりを記録に残しましょう。ほかの伝え方はSESの仕入れ単価のBP交渉|関係を壊さない伝え方と例文5つにまとめています。

営業利益率を上げる改善策(優先順)

営業利益率を上げるには、待機ゼロ → 単価とBP粗利の見直し → 営業工数の削減の順で進めます。効果が大きく、すぐ効くものから取り組むのがおすすめです。

順番改善策モデル会社での効果(月)主な担当
1待機をなくす待機2名なら+140万円営業
2更新時に単価交渉(5名×3万円)+15万円営業
3BPの仕入れ単価を見直す(10名×1万円)+10万円営業
4営業の事務作業を減らす増員せずに済む(50万円の抑制)営業・管理
5案件別・営業別の利益を毎月見る問題の早期発見営業責任者

2と3だけでも、モデル会社の営業利益は185万円、営業利益率は約8.7%になります。

1. 待機をなくす

契約が終わる2か月前には、次の案件探しを始めます。具体的には、次の手順で進めましょう。

  1. 全プロパーの契約終了予定を、月ごとの一覧にする

  2. 終了2か月前にスキルシートを最新にする

  3. 自社の案件だけでなく、取引先の営業中案件にも提案する

  4. 終了1か月前に決まっていない人は、営業全員で共有する

2. 更新時に単価交渉をする

既存の客先には、契約更新の1〜2か月前に単価交渉を持ちかけます。担当範囲が広がった、資格を取ったなど、具体的な事実をそろえて伝えましょう。→ SESの単価交渉のタイミング|更新の何か月前か・例文と資料5点

3. BPの仕入れ単価を見直す

BP案件ごとに、前の章の最低ラインを下回っていないかを確認します。下回る案件は、更新のときに取引量を増やす提案とセットで交渉しましょう。

4. 営業の事務作業を減らす

営業1名分の人件費は、モデル会社の営業利益の約3分の1にあたります。案件メールの整理や転記など、売上を生まない作業を減らすほうが、増員より先です。

5. 案件別・営業別の利益を毎月見る

会社全体の営業利益率だけでは、どこで利益が漏れているかわかりません。毎月、次の4つを一覧で確認しましょう。

見る数字確認すること
待機人数と月数来月の待機予定者がいないか
案件別の粗利BP案件が最低ラインを下回っていないか
営業1人あたりの粗利営業のコストの3倍以上あるか(自社で基準を決める)
販管費率前年の同じ月より上がっていないか

→ SESの収支管理の方法|案件別粗利の計算と原価に入れる費用一覧

チョータツで待機と営業工数を減らす

営業利益率を下げる原因のうち、①待機と②営業工数は、ツールで楽にできる部分があります。自分でやる方法と比べてみましょう。

やりたいこと自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
待機が出る前に提案先を探す届いたメールを読み、合う案件を探すチョータツで他社と連携し、営業中の案件・人材をデータベース化する
空きが出るエンジニアを知らせるBCCで取引先に一斉送信するチョータツのメール配信機能でパートナーに配信する
案件メールを整理する手作業でフォルダ分け・Excel転記チョータツメールAIが案件メールと人材メールに切り分ける
案件・人材を社内で共有する営業ごとのExcelを集めるチョータツで案件・人材を管理・共有する(AIが入力を手伝う)

チョータツとは、SES営業の案件・人材を管理・共有できるツールです。3,000社以上が利用しており、無料で始められます。

チョータツメールAIとは、届いたメールをAIが処理し、案件メールと人材メールに切り分ける機能です。メールに書かれた単価や商流などの条件も読み取ります。案件・人材以外のメールはデータに残りません。

提案先の数が増えるほど、待機は短くなります。事務の時間が減るほど、営業1人あたりの粗利は増えます。どちらも、営業利益率に直接効くポイントです。

よくある質問

Q. SESの営業利益率の平均は何%ですか?
SESだけの公的な統計はありません。近い数字として、中小企業実態基本調査の情報サービス業(中小企業・法人)は、2024年度決算で約5.6%でした。
Q. SESの営業利益率は何%あれば良いですか?
中小企業なら、まずは情報サービス業の平均5〜6%を上回ることを目安にしましょう。上場している大手には10%を超える会社もあります。
Q. SESで利益が出ない一番の原因は何ですか?
多くの場合は待機です。例では、30名中2名が1か月待機するだけで、営業利益率が7.6%から1.0%に下がりました。
Q. BP案件の利益率の目安はありますか?
公的な目安はありません。「営業1人の月のコスト÷担当件数+管理費の分」を、BP1件の粗利の最低ラインにする方法がおすすめです。
Q. 粗利率は高いのに営業利益率が低いのはなぜですか?
販管費が重いからです。営業・管理の人件費、採用費、家賃が売上に対して多すぎないか、販管費率を確認しましょう。
Q. 営業利益率と経常利益率はどう違いますか?
経常利益率は、営業利益に利息などの本業以外の損益を足した割合です。本業の力を見るなら、営業利益率を使います。

まとめ

  • SESだけの営業利益率の公的統計はない。中小の情報サービス業は約5.6%(2024年度決算)、全産業は約3.7%

  • 上場の大手は10%超の会社もある(メイテックグループホールディングス14.5%、DTS12.2%。2026年3月期)

  • 営業利益率=粗利率−販管費率。他社と比べるときは、粗利率より営業利益率で比べる

  • 利益が出ない原因は、待機・営業工数・BP比率・商流の深さ・採用と離職のコストの5つ

  • BP案件は「営業1人の月コスト÷担当件数+管理費の分」を粗利の最低ラインにする

  • 改善は、待機ゼロ → 単価交渉とBP粗利の見直し → 営業工数の削減の順で進める

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日

参考資料(2026年9月30日確認)

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