ITエンジニア採用の方法とコツ|中小SES企業が使える採用手法8つを費用と速さで比較
公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日
ITエンジニア採用とは?SES企業ならではの特徴
ITエンジニア採用とは、システムの開発・運用などを担う技術者を、社員や協力者として迎え入れる活動のことです。SES企業にとっては、売上そのものをつくる活動です。
SESとは、エンジニアの技術や作業を、準委任契約などで客先に提供するサービスのことです。エンジニアが1人増えると、提案できる案件も1件増えます。
SES企業の採用には、自社開発の会社とちがう特徴が3つあります。
| 特徴 | どういうことか | 採用への影響 |
|---|---|---|
| 案件ありきで人が要る | 客先の案件の開始日が先に決まる | 採用の締め切りが短い |
| スキルが案件ごとに違う | Java・AWS・PMOなど求める人が毎回違う | 1つの求人では足りない |
| 知名度で負けやすい | 大手SIerや自社開発企業と人を取り合う | 待っていても応募が来にくい |
SIerとは、お客さんのシステムを企画から運用までまとめて請け負う会社のことです。経験者のエンジニアは大手SIerも狙っています。そのため、SES企業は大手SIerと同じ人を取り合うことになります。
エンジニア採用のいまとトレンド
エンジニアの採用は、求人に対して人が足りない「売り手市場」が続いています。そのため、待つ採用から「攻める採用」へ移る会社が増えています。
求人倍率とは、仕事を探す人1人に対して、求人がいくつあるかを表す数字のことです。厚生労働省の「一般職業紹介状況」で、2026年7月の数字を見ます。
| 職業 | 有効求人倍率(2026年7月) |
|---|---|
| 職業計(すべての職業) | 1.16倍 |
| 情報処理・通信技術者 | 1.50倍(前年同月より0.13ポイント低い) |
※ ハローワークの職業別の数字で、季節調整をしていない原数値です(常用、パートを除く)。ニュースでよく出る季節調整値(2026年7月の有効求人倍率1.18倍)とは別の数字です。転職サイトや紹介会社の動きは含まれません。
少し下がったとはいえ、エンジニアは全職業より求人が多い状態が続いています。
経済産業省の試算では、2030年にIT人材が最大で約79万人不足するとされています。人が足りない状態は、しばらく続く前提で考えましょう。
エンジニア採用のトレンドは、次の3つです。
スカウト型が広がる:マイナビの「中途採用状況調査2026年版」の結果です。IT・通信・インターネット業界は、ダイレクトリクルーティングで応募者が出た割合が全体を10ポイント以上上回りました。
リファラルの満足度が高い:同じ調査で、メインで使った手法の満足度は、リファラルが93.8%で最も高くなりました。
正社員以外の集め方も使う:フリーランスや取引先の人材と組み、必要な期間だけ人をそろえます。
→ 詳しいデータはIT人材不足の2030年予測とデータで解説しています。
中小SES企業が使える採用手法8つの比較
中小SES企業が使える採用手法は、次の8つです。費用を抑えて早く人をそろえたいなら、スカウト・リファラル・フリーランス活用・BP協業を中心にします。
| 手法 | 費用 | 人がそろう速さ | 中小SESへの向き |
|---|---|---|---|
| 1. 求人サイト(求人広告) | 掲載料を先に払う | ふつう | ○ 同じ職種を何人も採る |
| 2. 人材紹介 | 入社時に手数料 | ふつう | △ 高いが確実 |
| 3. ダイレクトリクルーティング | 利用料や成功報酬 | ふつう | ◎ 知名度がなくても会える |
| 4. リファラル(社員紹介) | 社員への紹介報酬 | 遅め(不定期) | ◎ 定着しやすい |
| 5. SNS・技術コミュニティ | ほぼ無料(手間は大きい) | 遅い | ○ 長く続ければ効く |
| 6. ハローワーク | 無料 | 遅め | △ 未経験・若手向け |
| 7. フリーランスへの直接スカウト(例:xhours) | 毎月の報酬+サービスの利用料 | 早い | ◎ 急ぎの案件向け |
| 8. BP協業(取引先の人材) | 月額の仕入れ値 | 早い | ◎ 急ぎ・特殊スキル向け |
※ 速さと向きは、編集部の目安です。費用の金額はSESのエンジニア採用単価の平均|手法別の費用と採用担当の役割で詳しく比べています。
1. 求人サイト(求人広告)
求人広告とは、転職サイトなどに求人を載せて、応募を待つ方法のことです。掲載料は、採用できなくても戻りません。
マイナビの同じ調査では、ITエンジニア1人あたりの転職サイトの求人広告費は平均57.1万円(中央値30.0万円)でした。同じ職種を何人も採るときほど、1人あたりの費用は下がります。
→ 媒体の選び方はエンジニア採用媒体の比較|求人サイト10選と選び方へ。
2. 人材紹介
人材紹介とは、紹介会社が候補者を探し、入社が決まったら手数料を払う方法のことです。入社までお金がかからないので、失敗したときの損は小さいです。
手数料は1人あたりで見ると、ほかの手法より高くなりがちです。手数料の率は会社ごとに違うため、厚生労働省の「人材サービス総合サイト」で手数料表を見比べましょう。
3. ダイレクトリクルーティング(スカウト)
ダイレクトリクルーティングとは、企業がデータベースから候補者を探し、直接スカウトを送る方法のことです。知名度がなくても、文面しだいで会ってもらえます。
中小SES企業に一番おすすめの手法です。ただし、送る人の時間がかかるので、週に何通送るかを先に決めておきます。
→ 文面の例はSESエンジニアへのスカウト文面|返信率を上げる例文8つへ。
4. リファラル(社員紹介)
リファラル採用とは、社員に知り合いを紹介してもらう方法のことです。職場の様子を知ったうえで入るので、定着しやすいのが強みです。
紹介した社員への報酬は、職業安定法第40条により、賃金として払う形に限られます。就業規則や賃金規程に書き、給与と一緒に払うようにしましょう。
5. SNS・技術コミュニティ
SNS採用とは、XやLinkedIn、技術ブログ、勉強会などで会社を知ってもらい、応募につなげる方法のことです。お金はほぼかかりませんが、効果が出るまで時間がかかります。
社員のエンジニアが書いた技術記事や、現場の案件の例を発信すると、「どんな仕事ができる会社か」が伝わります。
6. ハローワーク
ハローワークとは、国が運営する無料の職業紹介の窓口のことです。求人の掲載にお金がかからないので、若手や未経験の人を育てる採用に向きます。
経験者のエンジニアは、転職サイトや紹介会社を使う人が多いです。ハローワークだけで経験者を集めるのは難しいと考えましょう。
7. フリーランスへの直接スカウト
フリーランスの活用とは、会社に雇われずに働くITエンジニアと、業務委託契約を結んで案件に入ってもらう方法のことです。正社員の採用が間に合わない案件で使います。
人材紹介のような入社時の手数料はかからず、費用は毎月の報酬として払います。スカウトサービスを使う場合は、その利用料が別にかかります。その代わり、1人あたりの月の粗利は正社員より小さくなります。2024年11月1日からはフリーランス法が施行され、取引条件を書面やメールで示すなどの義務があります。
→ 探し方と契約前の確認点はフリーランスエンジニアの採用方法|探し方5つと契約前の確認点にまとめています。
8. BP協業(取引先の人材を提案してもらう)
BP(ビジネスパートナー)とは、案件や人材を紹介し合う取引先の会社のことです。自社で採れないスキルの人を、BPのエンジニアで埋めます。
人材を出してくれるBPが多いほど、断る案件が減ります。取引先の数を増やす方法は、このあとの「採用が間に合わないとき」の節で紹介します。
自社に合う採用手法の選び方5ステップ
採用手法は、「いつまでに・何人・どのスキルか」を決めてから選ぶと迷いません。次の5ステップで進めます。
営業から3か月先の需要を聞く:増えそうな案件のスキル・人数・開始日を書き出します。
正社員か、それ以外かを分ける:案件が1年以上続き、同じスキルの需要が多いなら正社員採用にします。
締め切りで手法を絞る:開始まで1か月を切る案件は、フリーランスとBPに同時に声をかけます。
予算で手法を組み合わせる:スカウトとリファラルを軸にし、足りない分を求人サイトや人材紹介で補います。
手法ごとの結果を記録する:費用・応募数・入社数・3か月後の定着を、手法ごとに表にします。
編集部としては、手順2(正社員か、それ以外かを分ける)を飛ばさないことをおすすめします。すべてを正社員で埋めようとすると、案件が終わったあとに待機が生まれやすいからです。
営業が採用担当に渡す「3か月先の需要表」
手順1は、次の表を営業が月初に埋めて渡すだけで進みます。
| 案件(見込み含む) | スキル・人数 | 開始日 | 埋め方 |
|---|---|---|---|
| 〇〇社 保険系更改 | Java 3年以上・2名 | 2026年12月1日 | 正社員採用1名+BP1名 |
| △△社 インフラ運用 | AWS構築・1名 | 2026年11月1日 | フリーランスへ直接スカウト |
| □□社 PMO支援 | PMO経験・1名 | 2027年1月予定 | 見込み。確定したら判断 |
「埋め方」の列まで営業が書くのがポイントです。採用担当は、正社員で採る分だけに集中できます。
待機とは、次の案件が決まらず、エンジニアの売上がない期間のことです。
場面別のおすすめの組み合わせ
| 場面 | 軸にする手法 | 補う手法 |
|---|---|---|
| 同じスキルを毎月1〜2人ずつ採りたい | ダイレクトリクルーティング | 求人サイト |
| 定着する中核メンバーがほしい | リファラル | 人材紹介 |
| 来月開始の案件に人が足りない | フリーランスへの直接スカウト(例:xhours) | BP協業 |
| 未経験から育てたい | ハローワーク・求人サイト | SNS・技術コミュニティ |
正社員とフリーランス・BPの損得は、採用単価と月の粗利を並べると判断しやすくなります。
中小SES企業がエンジニア採用に強くなるコツ6つ
採用に強い中小SES企業は、求職者の不安を先回りして消しているのが共通点です。すぐに取り組めるコツを6つ紹介します。
求人票に案件の例を書く:業界・使う技術・単価帯の例を書くと、「どんな現場か」の不安が減ります。
待機中の扱いを書く:待機中の給与や研修を、求人票と面接ではっきり伝えます。
面接に営業も入る:その人に提案できる案件があるかを、その場で確かめられます。
返事を早くする:応募から連絡まで、1営業日以内を目安にします。
スカウトの文面を1人ずつ変える:経歴の中で目にとまった点を、1行でも書きます。
採用の時間を決める:営業が採用を兼ねるなら、週何時間までと決めて既存の提案を止めないようにします。
2024年4月からは、求人の募集時に就業場所・業務の変更の範囲なども示す必要があります。客先常駐が前提のSES企業は、勤務先が変わることを求人票に書いておきましょう。
→ 項目ごとの書き方はSESの求人票の書き方|項目別の記入例とNG表現で確認できます。
→ 面接の質問例はSESのエンジニア採用が難しい理由5つ|職種別の対策と面接のコツにまとめています。
エンジニア採用の人事がやってはいけないこと
スキルの確認を人事だけで済ませる:案件に合うかは、営業か現場のエンジニアが確かめます。
紹介会社を増やしすぎる:窓口が増えるほど、手数料の条件や候補者の管理が雑になります。
採用代行に丸投げする:外に頼んでも、求人票の中身と面接の判断は自社で持ちます。
→ 外に頼む場合はエンジニア採用代行の費用と選び方を確認してください。
採用が間に合わないときは、xhoursとチョータツブーストで人をそろえる
ここまでの手法は、すべて自社だけで進められます。案件の開始に正社員採用が間に合わないときは、DrivenXの2つのサービスで人をそろえられます。
| 悩み | 自分でやる方法 | もっと楽にする方法 |
|---|---|---|
| 急ぎの案件に合う人がいない | SNSや知人をたどってフリーランスを探す | xhoursでITフリーランスに直接スカウトする |
| 人材を出してくれる取引先が少ない | 募集ページや交流会で1社ずつ探す | チョータツブーストで新しいパートナー企業を開拓する |
xhoursとは、企業がITフリーランスに直接スカウトを送れるサービスです。数千名のフリーランスのデータベースから、案件に合う人を探せます。
チョータツブーストとは、SES営業向けツール「チョータツ」の中で、新しいパートナー企業を開拓できる機能です。チョータツは3,000社以上が使っており、無料で始められます。
おすすめは、長く続く案件は正社員採用、急ぎや短期の案件はxhoursとBPという分け方です。採用の結果を待たずに、案件を受けられる数を増やせます。
よくある質問
- Q. エンジニア採用で一番おすすめの手法は何ですか?
- 中小SES企業なら、ダイレクトリクルーティングとリファラルを軸にするのがおすすめです。知名度がなくても、自分から声をかけられるからです。
- Q. 中途採用の方法には、どんな種類がありますか?
- 求人サイト・人材紹介・スカウト・リファラル・SNS・ハローワークの6つが代表的です。SES企業では、フリーランス活用とBP協業も人をそろえる手段になります。
- Q. エンジニア採用のコツを1つだけ挙げるなら?
- 求人票に案件の例と待機中の扱いを書くことです。SES企業に対する「どんな現場に行くのか」という不安を先に消せます。
- Q. 採用が案件の開始に間に合わないときは、どうすればいいですか?
- フリーランスへの直接スカウトと、BPへの人材の相談を同時に進めます。フリーランスと契約するときは、フリーランス法に沿って取引条件を示しましょう。
- Q. 採用手法は、いくつ同時に使えばいいですか?
- 最初は2〜3つに絞るのがおすすめです。手法ごとに結果を記録し、3か月ごとに入れ替えます。
- Q. 大手SIerとの採用競争に勝つには?
- 給与だけで勝負せず、案件の選びやすさや返事の早さで差をつけます。社長や営業が面接に出て、決めるまでを早くするのも中小ならではの強みです。
まとめ
ITエンジニア採用の手法は、求人サイト・人材紹介・スカウト・リファラル・SNS・ハローワーク・フリーランス活用・BP協業の8つ
中小SES企業は、スカウトとリファラルを軸に、自分から声をかける採用にする
手法は「いつまでに・何人・どのスキルか」を決めてから、費用と速さで選ぶ
求人票に案件の例と待機中の扱いを書き、面接に営業も入る
正社員が間に合わない案件は、xhoursでのフリーランスへの直接スカウトと、チョータツブーストで広げたBPで埋める
参考資料(2026年9月30日確認)
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」(参考統計表:職業別の有効求人倍率)
経済産業省(みずほ情報総研)「IT人材需給に関する調査 概要」(2019年3月。2030年の不足は約16万〜約79万人)
株式会社マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」(求人広告費、手法別の応募者の出た割合と満足度)
e-Gov法令検索「職業安定法」(40条:報酬の供与の禁止)
厚生労働省「人材サービス総合サイト」(職業紹介事業者の手数料表の検索)
厚生労働省「令和6年4月より、募集時等に明示すべき事項が追加されます」
厚生労働省「ハローワークインターネットサービス」
公正取引委員会「フリーランス法特設サイト」(施行日、取引条件の明示)
運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日