中途採用とは?SES企業がエンジニア経験者を採る進め方と、客先に出せるかの見極め方

公開日:2026年10月1日更新日:2026年10月1日

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中途採用とは?新卒採用・経験者採用との違い

中途採用とは、学校を卒業したばかりの人(新卒)以外を採用することです。職歴の有無は問いません。厚生労働省の解釈でも、中途採用は「新規学卒等採用者以外」の雇い入れとされています。

よく似た言葉に「経験者採用」と「キャリア採用」があります。経験者採用とは、その仕事の経験がある人に絞って採用することです。キャリア採用も、ほぼ同じ意味で使われます。

言葉意味SES企業での使い方の例
新卒採用卒業予定・卒業直後の人を採る研修後に若手向け案件へ提案する
中途採用新卒以外の人を採る(経験は問わない)未経験の第二新卒も、経験者も含む
経験者採用仕事の経験がある人に絞って採る「Java開発3年以上」など条件つきで採る
キャリア採用経験者採用とほぼ同じ意味大手企業の求人名でよく使われる

SES企業が「中途採用」と言うときは、多くの場合エンジニア経験者の採用を指します。この記事でも、経験者を採ることを中心に説明します。

新卒採用と比べたときの違い

中途採用と新卒採用の一番の違いは、入社から売上が立つまでの期間です。新卒は研修を経てから案件に入ります。経験者は、入社してすぐ客先に出られる可能性があります。

比べる点新卒採用中途採用(経験者)
募集の時期年1回の決まった時期が中心1年中いつでも
入社から稼働まで研修があり長め早ければ入社月から
見るポイント伸びしろ・人柄経験・スキル・すぐ出せるか
給与の決め方一律の初任給が多い経験と想定単価で個別に決める

SES企業の中途採用は「営業」が要件を決める

SES企業の中途採用では、採用要件は営業が決めるのが基本です。採った人を客先に提案し、単価を決めるのは営業だからです。人事だけで要件を決めると、「採ったのに出せる案件がない」というずれが起きます。

一般の会社の中途採用は「社内の欠員を埋める」ことが目的です。SES企業は違います。「今ある案件・これから来る案件に出せる人」を採ることが目的です。

営業が決める3つの要件

営業は、次の3つを採用担当に渡します。

  1. 想定単価:その人を客先に出したとき、月いくらで契約できそうか

  2. 稼働開始日:いつから客先で働いてほしいか

  3. 必須スキル:案件の「必須」欄に書かれる技術と経験年数

この3つが決まると、給与の上限・募集の締め切り・書類選考の基準が一気に決まります。

単価から給与の上限を逆算する計算例

給与の上限は、想定単価から会社に残したい粗利を引いて決めます。想定単価の目安はSESの単価相場|職種別の月額目安と公的データの使い方で確認できます。粗利とは、売上から人件費などを引いて会社に残るお金のことです。

計算例(数字はすべて仮の例です)

  • 想定単価:月65万円 → 年間の売上は 65万円 × 12か月 = 780万円

  • 会社に残したい粗利:年間の売上の25% → 195万円

  • 人件費に使える上限:780万円 − 195万円 = 585万円

  • 人件費を「年収 × 1.15」(社会保険料の会社負担を含む)と仮定:年収の上限は 585万円 ÷ 1.15 ≒ 508万円

この計算をしておくと、応募者の希望年収を聞いた時点で「出せる・出せない」をすぐ判断できます。社会保険料の会社負担の割合は会社ごとに違うため、自社の実際の数字で計算してください。

営業から採用担当へ渡す「採用依頼メモ」のひな形

要件は口頭で伝えず、1枚のメモにして渡します。そのまま社内チャットに貼れる形です。

【採用依頼】Java開発経験者 1名
・想定単価:月65万円(精算幅140〜180時間)
・稼働開始日:2026年12月1日
・必須スキル:Java 3年以上、Spring Boot、詳細設計から担当
・歓迎スキル:AWSでの構築経験、リーダー経験
・年収の上限:500万円(単価から逆算)
・勤務地:東京都港区の客先(リモート週2日)
・提案予定の案件:〇〇社 保険系システム更改(面談11月中旬)
・締め切り:10月15日までに内定を出したい

「提案予定の案件」まで書くと、採用担当が応募者に仕事内容を具体的に話せます。

稼働開始日から採用スケジュールを逆算する

稼働開始日が決まれば、いつまでに内定を出すかも決まります。在職中の人は退職の手続きがあるため、内定から入社まで1〜2か月かかることがよくあります。

例:2026年12月1日(火)から客先で稼働してほしい場合

  1. 2026年11月16日(月)ごろ:客先との面談を終える

  2. 2026年11月2日(月)ごろ:入社し、スキルシートを整える

  3. 2026年10月15日(木)ごろ:内定を出す

  4. 2026年10月1日(木)ごろ:面接を始める

実際には、応募者の退職日によって前後します。面接の最初に「いつから働けるか」を必ず聞き、稼働開始日に間に合うかを確認しましょう。

→ 採用計画の立て方|稼働人数から逆算する手順

中途採用の進め方7ステップ

SES企業の中途採用は、案件の確認から始めて、客先への初提案で終わります。入社をゴールにせず、「稼働」をゴールにすることが大切です。

  1. 案件を確認する:手元の案件と、この先3か月で来そうな案件を洗い出す

  2. 採用要件を決める:営業が想定単価・稼働開始日・必須スキルを決める

  3. 求人票を作る:業務内容、就業場所と変更の範囲、給与などを書く

  4. 募集する:求人媒体、人材紹介、スカウト、社員の紹介(リファラル)を使う

  5. 書類選考をする:スキルシート・職務経歴書を、評価項目に沿って点数をつける

  6. 面接をする:技術の深さと、客先で働けるかを確かめる

  7. 内定・入社・初提案:入社日と稼働開始日をそろえ、スキルシートを整えて提案する

ステップ3の求人票では、2024年4月から「就業場所の変更の範囲」と「業務の変更の範囲」の明示が必要になりました。客先常駐の場合は「客先の所在地」などと書き、配属先が変わりうることを伝えます。

→ SESの求人票の書き方|項目別の記入例とNG表現

「客先に出せる経験者か」を見極める採用の評価項目

SES企業の採用評価項目は、「技術」「経験の中身」「客先で働く力」「条件」の4つに分けると整理できます。採用評価項目とは、合否を決めるために確認する点をあらかじめ決めた一覧のことです。

スキルシート(職務経歴書)で見る5点

スキルシートとは、エンジニアの経歴や技術を案件ごとにまとめた書類のことです。書類選考では、次の5点を見ます。

見る点確認することよくある注意点
工程設計・開発・テストのどこを担当したか「開発」とだけ書き、担当範囲がわからない
役割メンバーか、リーダーかチーム人数の記載がない
期間1つの案件にどれくらいいたか数か月で次々と案件が変わっている
技術言語・フレームワーク・DBの種類と年数触っただけの技術まで並べている
直近の経験最近1〜2年で何をしていたか古い経験だけが強く、今の技術と合わない

特に「工程」と「直近の経験」は、案件の必須条件とそのまま比べられます。書類の時点で、提案できる案件を1〜2件思い浮かべられるかを基準にしましょう。

→ SESスキルシートのフォーマットと書き方|15項目の記入例

入社後に提案用のスキルシートへ直すときも、書いてある経験を盛ってはいけません。水増しを求められたときの断り方は、SESで経歴を盛ってと言われたら|断り方と営業が負うリスクで紹介しています。

面接で確かめる5点と質問例

面接では、書類に書かれたことが本当にできるかと、客先で問題なく働けるかを確かめます。

  1. 担当範囲の具体性
    「直近の案件で、あなたが一人で作った機能を1つ教えてください」

  2. 技術の深さ
    「そのときに一番苦労した不具合と、どう直したかを教えてください」

  3. 報告・相談の習慣
    「作業が遅れそうなとき、誰にどのタイミングで伝えていましたか」

  4. 客先の環境への慣れ
    「常駐先のルールで戸惑ったことと、そのときの対応を教えてください」

  5. 条件の確認
    「いつから働けますか。通える範囲と、希望する働き方も教えてください」

答えが「チームでやりました」だけで終わる場合は、「その中であなたがやった部分は?」と一歩深く聞きます。自分の言葉で説明できる人ほど、客先との面談でも通りやすくなります。

面接で聞いてはいけないこと

厚生労働省は、本人の適性や能力と関係ないことで合否を決めないよう求めています。たとえば、本籍・出生地、家族の職業、支持する政党や宗教などは、面接で聞かないようにしましょう。

営業が面接に入る会社では、この点を面接官全員で共有しておくと安心です。

採用評価シートの作り方:点数で判断をそろえる

採用評価シートとは、評価項目ごとに点数をつけて、合否を決めるための表のことです。面接官が複数いても、同じ基準で判断できます。

評価項目1点3点5点
担当範囲の具体性説明があいまい担当部分を説明できる設計の理由まで説明できる
技術の深さ使ったことがある程度不具合を自分で直せる他の人に教えられる
報告・相談例が出てこない遅れる前に報告していた仕組みとして報告を回していた
条件の合致単価・開始日が合わないどちらか調整が必要どちらもそのまま合う

おすすめの使い方

  • 合格ラインを先に決める(例:合計12点以上、かつ1点の項目がない)

  • 面接官は面接直後に、ほかの人と相談する前に点数をつける

  • 点数と一緒に「提案できそうな案件名」を1つ書く

最後の「提案できそうな案件名」が書けない人は、採用しても待機になりやすい人です。待機とは、案件が決まらず客先で働いていない状態のことです。待機中も給与は発生するため、採用の段階で避けたいポイントです。

正社員の中途採用が難しいときの補い方

正社員の中途採用だけで要員をそろえようとすると、案件に間に合わないことがあります。そんなときは、フリーランスとBP(取引先の会社)の人材を組み合わせて補います。

手段向いている場面注意点
正社員の中途採用長く一緒に働く中心メンバーを増やす内定から入社まで時間がかかる
フリーランスへの直接スカウト(例:xhours)急ぎの案件、専門性の高い案件業務委託の契約条件を事前に決める
BPの人材を提案人数が必要な案件、自社にない技術商流(間に入る会社の数)を確認する

自分でやる方法:スカウトとBP開拓

フリーランスには、SNSやスカウト型の媒体から直接声をかける方法があります。BPは、パートナー募集ページのある会社に問い合わせたり、交流会に出たりして増やします。

どちらも、案件の単価・期間・必須スキルを先に固めてから声をかけると、話が早く進みます。

→ フリーランスエンジニアの採用方法|探し方5つと契約前の確認点

もっと楽にするなら:xhoursとチョータツブースト

1社ずつ探す手間を減らしたいなら、DrivenXのサービスが使えます。

  • xhours:企業がITフリーランスに直接スカウトできるサービスです。数千名のフリーランスのデータベースから、案件に合う人を探せます。正社員の採用と並行して使えば、稼働開始日に間に合わせやすくなります。

  • チョータツブースト:SES営業向けツール「チョータツ」の中で、新しいパートナー企業を開拓できる機能です。チョータツは3,000社以上が使っており、無料で始められます。

→ 無料登録してチョータツブーストで新しいBPを探す

正社員の中途採用は「会社の土台」、フリーランスとBPは「案件に間に合わせる手段」と分けて考えます。そうすると、採用を焦らずに済みます。焦って条件に合わない人を採ると、待機や早期退職につながるからです。

中途採用比率の公表義務とは

常時雇用する労働者が301人以上の企業は、正規雇用労働者の中途採用比率を公表する義務があります。労働施策総合推進法の改正により、2021年4月1日から始まりました。

中途採用比率とは、正社員として採用した人のうち、中途採用者が占める割合のことです。公表のルールは次のとおりです。

項目内容
対象常時雇用する労働者が301人以上の企業
公表する内容直近3事業年度の各年度の中途採用比率
公表の頻度事業年度ごとに1回以上(2回目以降は前回からおおむね1年以内)
公表の方法自社のホームページなど、求職者が見やすい方法

中小のSES企業の多くは対象外です。ただし、取引先の大手SIerの中途採用比率は参考になります。その会社が経験者をどれくらい社内で増やしているかの目安です。

入社から初アサインまでに営業がやること

中途採用は、入社して客先で稼働したときに初めて成果になります。入社後の最初の1か月で、営業は次のことを進めます。

  1. スキルシートを整える:面接で聞いた担当範囲を、提案用の書き方に直す

  2. 提案先を決める:採用時に書いた「提案できそうな案件」から順に提案する

  3. 客先面談の練習をする:面接の質問例を使って、答え方を一緒に確認する

  4. 稼働後の連絡方法を決める:月1回の面談など、困りごとを聞く場を決める

参画初日までの準備はSESの参画初日までに営業がやる準備|入場チェックリストと案内文のチェックリストがそのまま使えます。

試用期間とは、本採用の前に、働きぶりや適性を確かめる期間のことです。なお、試用期間中でも、雇い入れから14日を超えた人を解雇するときは、労働基準法にもとづき解雇予告などの手続きが必要です。

経歴と実際のスキルが大きく違うことが入社後にわかった場合は、落ち着いて事実を確認しましょう。

→ SESの経歴詐称がバレたら?営業がやる対応6ステップ

よくある質問

Q. 中途採用とはどういう意味ですか?
新卒以外の人を採用することです。厚生労働省の解釈でも「新規学卒等採用者以外」の雇い入れとされています。職歴がない既卒者も中途採用に含まれます。
Q. 経験者採用とは、中途採用と何が違いますか?
中途採用は新卒以外すべてを指し、経験は問いません。経験者採用は、その中でも仕事の経験がある人に絞った採用です。SES企業の中途採用は、ほとんどが経験者採用です。
Q. SES企業の中途採用で、採用評価項目は何を入れればいいですか?
「担当範囲の具体性」「技術の深さ」「報告・相談の習慣」「条件の合致」の4つがおすすめです。1〜5点で点数をつけ、合格ラインを先に決めておきます。
Q. 採用要件は人事と営業のどちらが決めるべきですか?
営業が決めるのがおすすめです。想定単価・稼働開始日・必須スキルは、案件を持つ営業にしかわからないからです。人事は、その要件をもとに募集と日程調整を進めます。
Q. 希望年収が高すぎる経験者は、見送るべきですか?
まず、想定単価から給与の上限を計算しましょう。上限を超える場合は、より単価の高い案件に出せるかを営業が確認します。出せる案件がなければ、見送るほうが安全です。
Q. 中途採用が間に合わないとき、どうすればいいですか?
フリーランスへの直接スカウトや、BPの人材の提案で補います。xhoursならITフリーランスに直接スカウトでき、チョータツブーストなら新しいパートナー企業を開拓できます。

まとめ

  • 中途採用とは、新卒以外の人を採ること。経験者採用は、その中で経験者に絞った採用

  • SES企業は「客先に出せるか」で合否を決める。要件は営業が単価と稼働開始日から逆算する

  • 給与の上限は「想定単価 − 残したい粗利」から計算する

  • スキルシートで5点、面接で5点を確認し、評価シートで点数をそろえる

  • 「提案できそうな案件名」が書けない人は、待機になりやすい

  • 正社員が間に合わないときは、xhoursやチョータツブーストでフリーランス・BPの人材を補う

  • 301人以上の企業には、中途採用比率を公表する義務がある

急ぎの案件は、フリーランスへの直接スカウトで:xhoursを見てみる

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年10月1日|更新日:2026年10月1日

参考資料(2026年9月30日確認)

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