業務委託とは?意味と種類をSES営業向けに解説|準委任・請負・委任の違いと、客先・BP・エンジニアへの説明例文

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

業務委託とは?意味と読み方

業務委託とは、自社の仕事の一部または全部を、社外の会社や個人に任せることです。読み方は「ぎょうむいたく」です。任せる側を委託者(発注者)、引き受ける側を受託者と呼びます。

ポイントは、任せた相手と雇用関係がないことです。受託者は、自分の会社や自分の判断で仕事を進めます。委託者は、仕事の結果や作業に対してお金を払います。

SESの現場では、次のような取引がすべて「業務委託」と呼ばれます。

  • 客先(エンドや元請け)が、自社にシステム開発の作業を任せる

  • 自社が、BP(取引先の会社)に要員を出してもらう

  • 自社が、個人事業主のフリーランスエンジニアに作業を頼む

「業務委託」という言葉だけでは、何を約束した契約なのかがわかりません。次の章で、その理由を説明します。

業務委託は法律用語?民法とほかの法律での扱い

業務委託は、民法で定められた契約の名前ではありません。民法が定めているのは、請負(632条)・委任(643条)・準委任(656条)などの契約の型です。業務委託契約は、この3つをまとめて呼ぶ、実務上の言い方です。

そのため、契約書のタイトルが「業務委託契約書」でも、中身しだいで請負にも準委任にもなります。裁判や行政の判断では、タイトルではなく契約の中身と働き方の実態で見られます。

一方で、「業務委託」という言葉を独自に定義している法律もあります。

法律「業務委託」の扱いSES企業に関係する場面
民法定義なし。請負・委任・準委任で考えるすべての業務委託契約
フリーランス法事業者が物品の製造・情報成果物の作成・役務の提供を委託すること個人事業主のエンジニアに頼むとき
取適法(旧下請法)製造委託・情報成果物作成委託・役務提供委託などを対象にするBPへ開発や運用を再委託するとき

フリーランス法は2024年11月1日に施行されました。取適法は、下請法を改正して2026年1月1日に施行されました。どちらも、発注する側に義務がかかる法律です。個人のエンジニアに頼むときの義務は「フリーランス法のSES対応|発注者の義務7つと実務チェック表」で確認できます。

業務委託の種類3つ|請負・委任・準委任の違い

業務委託の種類は、請負・委任・準委任の3つです。違いは「何を約束し、何に対してお金を払うか」にあります。

  • 請負:仕事の完成を約束し、完成した成果物にお金を払う(例:受託開発)

  • 委任:法律に関する事務を任せる(例:弁護士への訴訟の依頼)。IT業界ではほとんど使わない

  • 準委任:法律以外の事務を任せ、作業の遂行にお金を払う(例:SES、運用保守)。SESで一番多い形

3種類の違いを民法の条文や契約の結び方まで詳しく知りたい方は、「業務委託契約とは?3つの種類とSES契約での使われ方を解説」で解説しています。準委任の「履行割合型」と「成果完成型」の違いは「準委任契約の成果完成型とは|履行割合型との違いと検収の注意点」にまとめています。

「委託業務」と「業務委託」の違い

委託業務と業務委託は、言葉の向きが違います。委託業務は「任せる仕事の中身」、業務委託は「仕事を任せること(または契約)」を指します。

言葉指すもの使い方の例
業務委託仕事を任せる行為・契約「BPと業務委託契約を結ぶ」
委託業務任せる仕事そのもの「委託業務の範囲は、詳細設計とテスト」

契約書では「委託業務の内容」という条項で、任せる仕事の範囲を書きます。ここがあいまいだと、「そこまで頼んでいない」「それも含むはず」という揉めごとになります。

似た言葉の「受託」は、仕事を引き受けることです。

業務委託と雇用の違い|「雇用形態:業務委託」の意味

業務委託と雇用の一番の違いは、指揮命令をするかどうかです。雇用では会社が働く人に仕事の指示を出せます。業務委託では、受託者が自分の判断で仕事を進めます。

雇用契約とは、働く人が会社の指示に従って働き、会社が給料を払う契約のことです(民法623条)。会社には、社会保険や労働時間の管理などの義務があります。

比べる点雇用業務委託
仕事の指示会社が出せる原則として出せない
お金給料(労働の対価)報酬(成果や作業の対価)
労働時間・残業の管理会社が管理する受託者が自分で管理する
社会保険・労働基準法適用される原則として適用されない

求人票に「雇用形態:業務委託」とあるのは、厳密には雇用ではない働き方という意味です。会社側から見ると、フリーランスとして仕事を頼む形です。

実態が雇用なら、業務委託でも「労働者」になる

契約書が業務委託でも、実態が雇用と同じなら労働基準法の労働者と判断されることがあります。判断の材料は、仕事の指示の有無、時間や場所の拘束、報酬が時間で決まっているかなどです。

SES企業が個人のエンジニアに業務委託で頼むときは、次の点に注意しましょう。

  • 始業・終業の時間を自社が細かく決めて管理しない

  • 作業のやり方を、自社の社員と同じように指示しない

  • 断れない形で、ほかの仕事を追加しない

業務委託と派遣の違い

業務委託と派遣の違いも、誰が指揮命令するかです。派遣では、派遣先の会社がエンジニアに直接指示を出せます。業務委託(準委任)では、客先はエンジニアに直接指示を出せません。

労働者派遣とは、派遣会社が雇っている人を、別の会社(派遣先)の指示のもとで働かせることです。行うには、厚生労働大臣の許可が必要です。

比べる点業務委託(準委任)労働者派遣
客先からエンジニアへの指示できないできる
必要な許可なし労働者派遣事業の許可
客先が人を選ぶこと直接の禁止規定はない派遣先は避けるよう努める定めがある
主な法律民法労働者派遣法

準委任なのに客先が直接指示を出すと、偽装請負と判断されるおそれがあります。偽装請負とは、契約は業務委託なのに、実態が派遣になっている状態のことです。判断のポイントは「偽装請負の判断基準|SES営業が避けたいNG行為10選と予防策」にまとめています。

SES契約は業務委託のどれに当たるか

SES契約は、多くが履行割合型の準委任です。エンジニアの作業時間に対して、月単位で報酬を払います。精算幅(例:140〜180時間)を決めて、上下した分を精算するのが一般的です。

ただし、1つの商流の中で、契約の種類が変わることがあります。

取引よくある契約の形注意する点
客先 → 自社準委任(ときに請負)客先からエンジニアへの直接の指示
自社 → BP準委任再委託の許可、取適法の対象か
自社 → 個人のエンジニア準委任フリーランス法の義務、労働者性
自社 → 自社の社員雇用業務委託ではない

客先から「一括で作ってほしい」と頼まれた場合は、請負になることがあります。請負では完成の責任と、不具合を直す責任を負います。SESの感覚で受けると、赤字や揉めごとの原因になります。見分け方は「準委任契約と請負契約の違い|業務委託契約書を見分ける判定シート」で解説しています。

最近は、チームを一定期間確保する「ラボ契約」を持ちかけられることもあります。中身は準委任が多く、「ラボ契約とは?SESとの違いと準委任で結ぶときの注意点7つ」で注意点を確認できます。

SES営業の現場での言い方と例文

SES営業が契約形態を説明するときは、「業務委託」の一言で済ませず、種類と精算方法まで伝えます。相手によって気にすることが違うので、言い方を変えましょう。

客先(エンド・元請け)への言い方

客先が気にするのは、責任の範囲と、エンジニアへの指示の出し方です。

例文・テンプレート
本件は準委任契約(時間精算)でのご提案です。
成果物の完成までをお約束する請負契約ではございません。
作業のご依頼は、弊社の責任者(〇〇)を通してお伝えください。
精算幅は月140〜180時間、超過・不足は時間単価で精算いたします。

BP(取引先の会社)への言い方

BPが気にするのは、商流と、再委託してよいかどうかです。

例文・テンプレート
本案件は、元請け様と弊社が準委任契約を結んでいます。
貴社とも準委任(時間精算・140〜180時間)でお願いする予定です。
貴社から先への再委託は不可です。貴社所属の方でご提案ください。
注文書は、稼働開始の10月1日(木)より前にお送りします。

個人のフリーランスエンジニアへの言い方

個人のエンジニアが気にするのは、働き方と報酬の支払い方です。

例文・テンプレート
今回は雇用ではなく、業務委託(準委任)でのご契約です。
作業の進め方はご自身の判断でお願いします。
報酬は月単位の時間精算で、月末締め翌月末払いです。
契約条件は、稼働前に書面(メール)でお送りします。

使わない方がよい言い方

  • 「業務委託なので、客先の指示どおりに動いてください」:偽装請負を招く言い方です

  • 「業務委託だから、何かあっても責任はありません」:準委任でも善管注意義務があります

  • 「契約は業務委託です」だけ:請負か準委任かが伝わりません

業務委託で取引を始める前の確認手順

業務委託で取引を始める前に、次の6つの手順で確認します。種類を決めてから契約書を作るのが基本の順番です。

  1. 任せる仕事を書き出す:作業の範囲、期間、場所、人数を決めます。

  2. 契約の種類を決める:完成を約束するなら請負、作業の遂行なら準委任にします。

  3. 報酬と精算の方法を決める:月額、精算幅、時間単価、支払期日を決めます。単価が決まらないまま始めるときは「SESで単価未定のまま参画するときの仮単価|取適法上の扱い」を確認します。

  4. 指示の出し方を決める:客先からの依頼を受ける窓口(責任者)を決めます。

  5. 関係する法律を確認する:相手が個人ならフリーランス法、BPなら取適法を確認します。

  6. 契約書と注文書を交わす:稼働開始の前に、条件を書面かメールで残します。

契約書のひな形は「SESの基本契約書とは|テンプレートと個別契約の優先・印紙7号」で確認できます。

案件ごとの契約条件をチョータツで管理する

自分で管理するなら、案件ごとに「契約の種類・精算幅・単価・支払期日」をExcelにまとめます。ただ、案件が増えると、メールやファイルに情報が散らばりやすくなります。その結果、提案のときに条件を取り違えることがあります。

場面自分でやる場合チョータツを使う場合
案件の条件を確認するメールやExcelを探す案件情報を1か所で管理し、提案前に確認
チームで共有する担当者ごとにファイルがばらばら案件・人材の情報をチームで共有
情報を入力する1件ずつ手で転記AIが入力を手伝う
BPに情報を届けるBCCでメールを一斉送信メール配信機能でパートナーに配信

チョータツは、3,000社以上が使うSES営業向けの案件・人材の管理・共有ツールです。他社と連携すると、他社の営業中案件・営業中人材をデータベースにできます。無料で始められます。

ただし、契約の種類の判断や契約書の作成は、自社で行う必要があります。チョータツは、その前提になる案件の情報をそろえておくために使いましょう。

よくある質問

Q. 業務委託とは簡単に言うと何ですか?
自社の仕事を、雇用していない社外の会社や個人に任せることです。中身は請負・委任・準委任のどれかです。
Q. 業務委託の読み方は?
「ぎょうむいたく」と読みます。引き受ける側は「受託者(じゅたくしゃ)」と呼びます。
Q. 業務委託は法律で定義されていますか?
民法には定義がありません。フリーランス法や取適法など、一部の法律がその法律の中だけで使う意味を定めています。
Q. 業務委託の種類はいくつありますか?
請負・委任・準委任の3つです。IT業界では、主に請負と準委任を使います。SES契約の多くは準委任です。
Q. 業務委託と雇用は何が違いますか?
雇用は会社が仕事の指示を出せ、給料を払います。業務委託は受託者が自分の判断で進め、報酬を受け取ります。実態が雇用と同じなら、労働者と判断されることがあります。
Q. 委託業務と業務委託の違いは何ですか?
委託業務は「任せる仕事の中身」、業務委託は「仕事を任せること」を指します。契約書では「委託業務の範囲」を必ず書きます。
Q. フリーランスのエンジニアに業務委託で頼みたいときは?
BPから紹介してもらうほか、DrivenXのxhours(エックスアワーズ)を使うと、ITフリーランスに直接スカウトを送れます。契約前にフリーランス法の義務も確認しましょう。

まとめ

  • 業務委託とは、自社の仕事を社外の会社や個人に任せること。読み方は「ぎょうむいたく」

  • 民法に「業務委託契約」はなく、請負・委任・準委任の総称

  • 請負は完成に、準委任は作業の遂行にお金を払う。SES契約の多くは準委任

  • 雇用や派遣との違いは、指揮命令をするかどうか

  • 営業は「準委任で、時間精算」のように、種類と精算方法まで伝える

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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