営業代理店とは?営業代行との違いとSES企業の紹介パートナー制度の作り方

公開日:2026年9月30日更新日:2026年9月30日

営業代理店とは?意味をひとことで

営業代理店とは、他社の商品を売り込み、成約に応じて手数料を受け取る外部の会社や個人のことです。代理店自身はその会社の社員ではなく、独立した事業者として動きます。

法律では、似た立場の人を「代理商」と呼びます。代理商とは、会社のふだんの取引の「代理」や「媒介(なかだち)」をする、社員ではない人のことです(会社法第16条)。頼む側が会社ではなく個人事業主のときは、商法第27条に同じ定めがあります。

代理店の3つの型

「代理店」という言葉は、実際にはいくつかの形をまとめて指しています。SES企業で使うなら、ほとんどが「紹介(取次)型」です。

型代理店がすること契約を結ぶのは誰かSESでの例
代理型会社に代わって契約まで結ぶ代理店が会社の名前で結ぶほぼ使わない
紹介(取次)型見込み客を紹介し、商談につなぐ会社と顧客が直接結ぶ案件・取引先を紹介してもらう
販売店(再販)型商品を仕入れて自分で売る代理店と顧客が結ぶ自社の業務ツールを他社に売ってもらう

SESの取引は、商流や精算幅、面談など確認することが多くあります。そのため、紹介までを代理店に任せ、契約は自社で直接結ぶ形が安全です。

営業代理店と営業代行の違い

営業代理店と営業代行のいちばんの違いは、お金の払い方と、誰の名前で売るかです。代理店は「売れたら手数料」、営業代行は「営業の作業に料金」が基本です。

営業代行とは、テレアポやアポイント取り、商談などの営業活動を、外部の会社に任せるサービスのことです。代行会社は依頼した会社の名前で動き、作業量や期間に応じて料金を受け取ります。

比べる点営業代理店営業代行
報酬のもらい方成約したら手数料(成果報酬)月額の固定費、または固定+成果報酬
誰の名前で動くか代理店自身の名前が多い依頼した会社の名前
売る相手の決め方代理店が自分の人脈から選ぶ依頼した会社が決めたリストを当たる
依頼する会社のリスク紹介ゼロでも費用ゼロ成約ゼロでも費用がかかる

SES企業にとってわかりやすい使い分けは、次のとおりです。

  • 人脈を持つ人や会社に、取引先をつないでほしい → 営業代理店(紹介パートナー)

  • 決まったリストに、まとまった数の連絡をしてほしい → 営業代行

営業代行の任せ方は、営業代行とは?SES企業の選び方・比較ポイントと任せる業務で詳しく解説しています。

SES企業で「紹介パートナー制度」が役に立つ場面

紹介パートナー制度とは、社外の会社や個人に案件や取引先を紹介してもらい、成約したら報酬を払う仕組みのことです。営業代理店のしくみを、SESの取引に合わせて作り直したものと考えてください。

SES企業で使われるのは、主に次の3つの場面です。

  1. エンド企業や元請けを紹介してもらう:取引のない会社に、知り合い経由で入口を作る

  2. 新しいBP(取引先の会社)を紹介してもらう:案件や人材を出し合える会社を増やす

  3. 自社の商品を売ってもらう:受託開発や自社ツールを、他社の顧客に紹介してもらう

紹介してくれる相手は、たとえば次のような人たちです。

  • 取引先の営業担当や、付き合いの長いBP

  • IT業界に顔の広いフリーランスの営業やコンサルタント

  • 税理士や、ほかの業種のコンサルタントなど、会社の経営者と接する人

「紹介のお礼はその都度決める」という会社も多いです。しかし、決まりがないと紹介する側は動きにくく、あとで金額の揉めごとにもなります。制度として先に条件を見せることで、紹介の数も質も上がります。

紹介パートナー制度を作る6つの手順

制度作りは「紹介してほしい相手を決める→報酬を決める→契約書を作る→募集する」の順に進めます。最初に対象を絞ることが、あとの揉めごとを防ぐいちばんの近道です。

  1. 紹介してほしい相手を決める:エンド企業か、元請けか、BPか。業種・地域・規模まで書き出す

  2. 「成約」の定義を決める:基本契約の締結か、最初の注文書か、最初の稼働開始か

  3. 報酬の型と金額を決める:粗利から逆算して、上限と支払う期間を決める(次の章で解説)

  4. 契約書のひな形を作る:報酬・期間・名乗り方・秘密保持など12項目を入れる

  5. 紹介を受けたときの流れを決める:誰が受け付けるか、何日以内に連絡するか、結果をどう伝えるか

  6. パートナーを募集し、紹介の記録を残す:紹介日・紹介先・担当者を一覧で管理する

いちばん揉めやすいのは手順2の「成約」の定義です。SESでは「基本契約は結んだが、1人も稼働しない」ことがよくあります。「最初のエンジニアが稼働を始めた月」を成約とすると、払う側も納得しやすくなります。

報酬の設計:3つの型と計算例

紹介パートナーへの報酬は、「定額」「粗利の○%(1回)」「粗利の○%を○か月」の3つから選びます。どれを選ぶ場合も、自社に残る粗利から逆算して決めます。

紹介料に法律で決まった相場はありません。金額はお互いの合意で決まります。

型払い方の例向いている場面注意点
定額1社の紹介で成約したら○万円BPの紹介など、売上が読みにくいとき小さな取引でも同じ額を払う
粗利の○%(1回)最初の月の粗利の○%単発の案件の紹介1回きりなので紹介する側の意欲が続きにくい
粗利の○%を○か月稼働中の粗利の○%を最長○か月エンド・元請けの紹介上限の期間と、終わる条件を必ず決める

計算例:エンド企業の紹介で、粗利の20%を6か月払う場合

次の数字は、考え方を示すための例です。

  • 客先への単価:月80万円

  • エンジニアへの支払い(BPへの支払いや社員の人件費):月68万円

  • 自社に残る粗利:月12万円

この取引で「粗利の20%を最長6か月」払うと、次のようになります。

  1. 1か月分の報酬:12万円 × 20% = 2万4,000円

  2. 6か月分の合計:2万4,000円 × 6か月 = 14万4,000円

  3. 6か月で自社に残る粗利:12万円 × 6か月 − 14万4,000円 = 57万6,000円

もしエンジニアが3か月で退場したら、報酬も3か月分(7万2,000円)で終わります。「稼働している月だけ払う」と決めておくと、途中で案件が終わっても損をしません。

報酬を決めるときの3つのルール

  • 粗利を基準にする:売上(単価)を基準にすると、利益の薄い案件で赤字になることがある

  • 上限の期間を決める:「稼働している限りずっと」は、数年後に揉めるもとになる

  • 人ではなく取引に払う:「エンジニアが採用されたら○万円」のような、人に結びつく報酬にしない

3つ目のルールは法律に関わる大切な点です。次の章以降で詳しく説明します。案件・取引先の紹介料の相場観は、紹介手数料の相場と決め方|SESで案件・BPを紹介した時の計算例で確認できます。払うときの仕訳と覚書は紹介料の仕訳・勘定科目と税務|SESで交際費にしない払い方にまとめています。

代理店契約(紹介パートナー契約)で決める12項目

紹介パートナーとは、口約束ではなく書面で契約を結びます。特に「報酬の対象」「名乗り方」「顧客の帰属」の3つは、あとで揉めやすいので必ず入れます。

#決めること書く内容の例SESでの注意点
1紹介の対象エンド企業・元請け・BPのどれか「人」の紹介は対象外と明記する
2成約の定義最初のエンジニアが稼働を始めた月基本契約だけでは払わない
3報酬の額と計算方法粗利の○%、または1件○万円粗利の計算方法も書く
4報酬を払う期間最長○か月、稼働している月だけ終わる条件を書く
5支払日と方法月末締め翌月末払い、振込客先からの入金後に払う形にするか決める
6紹介の登録方法メールで事前に登録した会社だけ対象同じ会社を2人が紹介したときの扱い
7名乗り方自社の社員を名乗らない名刺やメールの署名も確認する
8顧客の帰属成約後の取引は自社と顧客の直接取引契約終了後も報酬の請求をしない範囲を決める
9秘密保持紹介先の情報、単価の情報を外に出さない案件情報を渡す前に結ぶ
10反社会的勢力の排除お互いが反社会的勢力でないことの確約紹介先の確認は自社で行う
11競業・同時契約同業他社の代理店を兼ねてよいか兼ねる場合は申告してもらう
12契約期間と解除1年ごとの自動更新、解除の予告期間期間を決めないと法律の決まりが当てはまる

法律で決まっていることも押さえる

紹介パートナーが「代理商」に当たる場合、会社法に次の決まりがあります。頼む側が個人事業主なら、商法第27条〜第30条に同じ内容があります。契約で別に定めることもできるので、契約書にはっきり書いておくのが安全です。

  • 通知の義務:代理商は、取引の代理や媒介をしたら、すぐに会社へ知らせる(会社法第16条)

  • 競業の禁止:代理商は、会社の許可なく、同じ種類の取引を自分や他人のために行えない(会社法第17条)

  • 契約の解除:契約期間を決めていないときは、2か月前までに予告すれば解除できる(会社法第19条)

契約書の作り方は、営業代行・営業の業務委託契約書|条項例と成果報酬の決め方が参考になります。

職業紹介に当たらない線引き

紹介パートナーに「会社」や「案件」を紹介してもらう報酬は、原則として職業紹介に当たりません。一方、「人を雇わせる」仲立ちに報酬を払うと、職業紹介や委託募集に当たるおそれがあります。

職業紹介とは、求人する会社と仕事を探す人の間に「雇用」が成り立つよう仲立ちすることです(職業安定法第4条第1項)。手数料や報酬を受け取って職業紹介の事業を行うには、厚生労働大臣の許可が要ります(同法第30条第1項)。

大丈夫な紹介・注意が必要な紹介

紹介の内容雇用の仲立ちか判断の目安
エンド企業・元請けとの取引を紹介いいえ(会社どうしの取引)原則として問題になりにくい
新しいBP(会社)を紹介いいえ(会社どうしの取引)原則として問題になりにくい
エンジニアを自社の社員として採用させるはい紹介する側に職業紹介の許可が要る
自社の採用の応募者集めを報酬つきで頼む募集の委託委託募集の許可が要る(同法第36条)
フリーランスを業務委託でつなぐ原則いいえ働き方が雇用に近いと職業紹介とみられるおそれ

気をつけたい2つの落とし穴

1つ目は、紹介パートナーに「採用の紹介」までお願いしてしまうことです。「いいエンジニアがいたら紹介して。入社したら○万円払う」は、紹介する側が許可なく職業紹介をしていることになりかねません。

2つ目は、社外の人に報酬を払って、自社の社員の募集を手伝ってもらうことです。雇う会社が、社員以外の人に報酬を与えて募集をさせるには、厚生労働大臣の許可が要ります(職業安定法第36条第1項)。また、募集をする会社は、自社の社員への賃金などを除き、募集に関わる人へ報酬を与えてはいけません(同法第40条)。

名前を「紹介料」「協力金」「コンサル料」に変えても、判断は中身で行われます。無許可で有料の職業紹介を行うと、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象です(同法第64条)。

迷ったときの確認手順

  1. 紹介されるのは「会社」か「人」かを確認する:人なら次へ進む

  2. その人と誰が雇用契約を結ぶかを確認する:紹介先が新しく雇うなら職業紹介の可能性が高い

  3. 報酬が「採用」や「入社」に結びついていないか確認する:結びついていれば見直す

  4. 紹介する側が職業紹介の許可を持っているか確認する:人材紹介会社なら許可番号を聞く

  5. 判断がつかなければ、契約前に専門家や労働局に相談する

エンジニアの採用で人を紹介してもらいたいときは、許可を持つ人材紹介会社を使うのが確実です。社員からの紹介なら、賃金として報酬を払うリファラル採用とは?SES企業の社員紹介制度と報酬の相場・注意点の形にできます。くわしい判断基準はSESに有料職業紹介の許可は必要?紹介料を取る前の確認5点で解説しています。

個人の紹介パートナーと組むときの注意

紹介パートナーが従業員のいない個人(フリーランス)の場合、フリーランス法の決まりが当てはまることがあります。フリーランス法とは、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」のことです。

この法律では、フリーランスに仕事を頼んだら、すぐに条件を書面かメールで伝える必要があります(同法第3条)。伝える条件には、仕事の内容・報酬の額・支払期日などがあります。紹介の仕事も、頼み方によっては「業務委託」に当たります。

個人の紹介パートナーとは、次の3つを最初にそろえておきましょう。

条件の伝え方は、次に読む記事の一覧にある3条通知ひな形の記事に記載例があります。この3条の明示は、従業員のいない会社が頼む場合も含め、すべての発注者の義務です。

紹介パートナーに送る案内メール例文

紹介パートナーをお願いするときは、紹介してほしい相手と報酬の条件を最初のメールで具体的に伝えます。あいまいなまま始めると、紹介の質がそろいません。

例文・テンプレート
件名:取引先ご紹介のお願いと、紹介パートナー制度のご案内(株式会社△△)

株式会社〇〇
□□様

いつもお世話になっております。株式会社△△の◇◇です。
このたび、取引先をご紹介いただける方向けに、
紹介パートナー制度を始めることになりました。

■ご紹介いただきたい会社
・東京都内で、Java・AWSの開発を発注しているエンド企業・元請け
・インフラ構築の要員を探している元請け・一次請け

■お礼(紹介報酬)
・ご紹介先で弊社のエンジニアが稼働を始めた月から、
 粗利の○%を最長○か月、稼働している月だけお支払いします
・会社どうしの取引のご紹介が対象です。
 個人の採用のご紹介は対象外です

■ご紹介の流れ
1. メールで会社名とご担当者名をお知らせください
2. 弊社から3営業日以内に、ご紹介先へご連絡します
3. 商談の結果は、毎月まとめてご報告します

詳しい条件は、添付の契約書案をご確認ください。
ご不明な点があれば、お気軽にお問い合わせください。

紹介を受けたら、その日のうちにお礼と「受け付けた」旨を返信します。結果の報告が遅いと、次の紹介が来なくなります。

紹介を待つだけでなく、自社でも取引先を増やすなら:チョータツブースト

紹介パートナー制度は、紹介が来るまで待つ仕組みです。紹介の数は、パートナーの人脈や忙しさに左右されます。自社からも取引先を増やす手段を持っておくと、案件と人材の入口が安定します。

場面自分でやる場合DrivenXのツールを使う場合
新しいBPを探す紹介・交流会・検索で1社ずつチョータツブーストで新しいパートナーを開拓
BPの案件・人材を把握する届いたメールを読んでExcelに転記チョータツで連携すると、相手の営業中案件・営業中人材がデータベースになる
自社の情報を届けるBCCでメールを一斉送信チョータツのメール配信機能でパートナーに配信

チョータツでできること

  • チョータツブースト:3,000社以上が使うチョータツの中で、新しいパートナー企業を開拓できる

  • 他社との連携:連携した会社の営業中案件・営業中人材を、自社のデータベースとして見られる

  • メール配信:自社の案件・人材の情報を、パートナーへまとめて配信できる

  • AIによる入力の手伝い:案件・人材の登録をAIが手伝う

紹介パートナーは「人脈による入口」、チョータツブーストは「自社から広げる入口」です。両方を持つと、紹介が少ない月でも開拓を止めずにすみます。チョータツは無料で始められます。

使い始める流れ

  1. チョータツに無料で登録する

  2. 自社の案件・人材の情報を登録する(AIが入力を手伝う)

  3. チョータツブーストで、新しいパートナーを開拓する

  4. 紹介やブーストでつながった会社と連携し、お互いの営業中案件・人材を共有する

よくある質問

Q. 営業代理店と営業代行、SES企業はどちらを使うべきですか?
人脈で取引先をつないでほしいなら、営業代理店(紹介パートナー)が向いています。決まったリストに数多く連絡してほしいなら、営業代行です。費用を成約時だけにしたいなら、代理店の形が合います。
Q. 営業代理店の手数料の相場はどれくらいですか?
法律で決まった相場や上限はなく、お互いの合意で決めます。SESでは、自社に残る粗利から逆算し、「粗利の○%を最長○か月」のように上限と期間を決めると揉めにくくなります。
Q. 案件を紹介してもらって紹介料を払うと、職業紹介になりますか?
会社どうしの取引(案件・取引先)の紹介は、雇用の仲立ちではないため、原則として職業紹介に当たりません。ただし、エンジニアを社員として採用させる紹介に報酬を払う場合は、職業紹介に当たるおそれがあります。
Q. 紹介パートナーが自社の社員を名乗ってもいいですか?
おすすめしません。紹介先が「自社の社員」と誤解すると、トラブルのときに責任の所在があいまいになります。契約書に名乗り方を書き、「〇〇社の紹介パートナー」として動いてもらいましょう。
Q. 紹介した会社を、紹介パートナーが自分で取引先にしてしまうことはありますか?
あります。これを防ぐには、契約書で競業の扱いと顧客の帰属を決めておきます。取引先を飛ばされるリスクはSESの商流飛ばしは違法?営業が知るべきリスクと防ぎ方5つで解説しています。
Q. 自社が他社の営業代理店になることはできますか?
できます。たとえば、付き合いのある会社のサービスを自社の取引先に紹介し、手数料を受け取る形です。この場合も、紹介するのが「会社どうしの取引」か「人の採用」かで、必要な許可が変わります。

まとめ

  • 営業代理店は「成約したら手数料」の販売パートナー、営業代行は「営業の作業に料金」の外注

  • SES企業が外部から案件・取引先を紹介してもらうなら、紹介(取次)型の「紹介パートナー制度」が向いている

  • 報酬は「定額」「粗利の○%(1回)」「粗利の○%を○か月」の3つの型。粗利から逆算し、上限と期間を決める

  • 契約書には、紹介の対象・成約の定義・名乗り方・顧客の帰属など12項目を入れる

  • 紹介してもらうのは「会社」と「案件」だけ。人を雇わせる仲立ちに報酬を払うと、職業紹介に当たるおそれがある

  • 紹介を待つだけでなく、チョータツブーストで自社からも取引先を増やすと、開拓が安定する

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な判断は弁護士・社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

運営:チョータツSES研究所(株式会社DrivenX)|編集方針|公開日:2026年9月30日|更新日:2026年9月30日

参考資料(2026年9月30日確認)

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